素晴らしき日本の景色たち

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竜宮城は存在した!?龍神現る奇奇怪怪な洞窟、竜宮洞穴とは?

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富士登山及び富士山頂お鉢巡り後は昨年の人穴に続き洞窟巡りを行いました。

この日はいくつかの洞窟を見学しましたが、今回最も感銘を受けたのがこの竜宮洞穴です。

この洞穴は富士山青木ヶ原に存在する溶岩洞穴の一つで総延長は約六十メートル、国指定天然記念物に選ばれています。

古くは富士道者巡拝の霊場とされ、洞穴入り口の祠には“豊玉姫命”が祀られ、かつて干ばつの際に雨乞いの神事が行われたそうです。

さて、「竜宮」と聞くと殆どの人が浦島太郎の竜宮城を思い浮かべると思います。

助けた亀に連れられ、竜宮城で乙姫と楽しい時間を過ごしましたが、ある日故郷を思い出し、いざ現実の世界に戻ると何百年の時間が過ぎ、決して開けてはならないと忠告を受けたにも関わらず玉手箱を開けてお爺さんになってしまったというストーリーはご存知だと思います。

この竜宮洞穴は果たして浦島太郎と何か関係があるのか見学をしながら疑問に思ってしまったので自分なりに考えてみました。

浦島太郎の原型

浦島太郎の原型は「丹後国風土記」の中に伝えられています。

大まかな内容は…

主人公の“島子”(浦島太郎)は五色の亀を釣り上げ、その亀が美女へと変化しました。

島子はどこから来たの?とたずねると、美女は天上仙家から来たと答え、島子にプロポーズしました。

この美女は実は亀の化身ではあるが、天上仙家から来た事から神女であり、そのあまりにも美貌な容姿に引かれたのか島子はプロポーズを受け、神女の住まう蓬莱山(仙人集う不老不死の世界)へ連れていかれました。

蓬莱山にたどり着き、神女の父母が島子を歓迎し、宴会が始まりました。ここで神女の名前が亀比売(かめひめ)であることが判明しました。

結婚式を終え幸せな日々を過ごし、三年たったある日、島子は故郷を思い出し、帰る事を決めました。

亀比売は反対しましたが島子の意志は変わらず、そこで亀比売は決して開けてはなりませんと言い、玉匣(たまくしげ)を渡しました。

故郷へ戻った島子はあまりに変わり果てた事に驚き、何と三百年もの歳月が経っている事が判明しました。

そして途方に暮れた島子は開けるなと言われた箱を開けてしまいました。

すると中から芳しい躰が風雲に乗って天に昇ってしまいました。

これにより、島子はもう妻の亀比売に二度と会うことは出来ない事を知り、ただ涙を流すだけであった…

と、かなりバットエンドな物語であることが分かると思います。

一般的な浦島太郎の物語に登場する乙姫が「丹後国風土記」では亀の化身として登場し、島子と結婚するお話になっています。

古代の浦島説話には中国から伝わった道教の神仙思想の影響が表れた作品であります。

物語に語られているように、人間でありながら何百年もの間幸せな日々を過ごす事の出来る世界が描かれ、それはつまり不老不死への憧れを強調された物語なのです。

しかし、最後は神女とは二度と会うことは出来ず、現実世界において、不老不死はただの憧れに過ぎない事を思い知らせる悲しい物語だったのです。

祠に祀られている豊玉姫命とは?

竜宮洞穴に祀られている豊玉姫命は記紀神話の海幸彦と山幸彦の物語に登場する海の神様です。

内容は…

兄の火照命は海で魚を取り、弟の火遠理命は山で狩りをしながらそれぞれ生活をしていました。

ある日、火遠理命がお互いの持ち物を交換しようと提案し、火照命の釣針で漁をやってみたがいっこうに釣れず、更にその釣針を失くしてしまいました。

兄の火照命に替わりの釣針を渡しても許してもらえず、無くした釣針を捜すために海中にある海神のいる宮殿に向かいました。

そこで海神の娘である豊玉姫命と結婚し三年間留まりました。

幸せな日々を送っていましたが、ある日当初の目的を思い出し、海神や魚たちの協力により無くした兄の釣針が見つかり、地上へ戻り火照命に返却しました。

その後、海神から教わった呪文を火照命に唱えた事により、生活に苦しくなった火照命が火遠理命の土地に攻めてきました。

火遠理命は海神から貰った二つの珠を使い火照命を降参させました。

兄弟の戦い後、豊玉姫命は火遠理命の子を身ごもった為、地上にやってきました。そしていよいよ出産を迎えます。

豊玉姫命は火遠理命に決して姿を見ないで下さいと約束しましたが、火遠理命は約束を破り覗き見をしてしまいました。

豊玉姫命の姿は何と大きな鰐(サメ)に変わっていたため、火遠理命は驚き逃げ去ってしまった。

夫に本当の姿を見られた事に恥じた豊玉姫命は産み落とした子をそのままにして、海神の国へ帰ってしまいました。

豊玉姫命は海を統治する海神(大綿津見神)の娘であり、その姿はサメと伝えられています。

浦島説話とは内容が異なりますが、海中の宮殿に行き、海神の娘と結婚し三年間暮らした後に地上へ帰る事は共通しています。

浦島太郎を知っている人であれば、この物語が浦島説話に似ていると感じるのではないでしょうか。そしてこれも夫婦離ればなれなってしまう、バットエンドな物語です。

富士山=不死山

富士山の“ふじ”には古来より様々な意味の込められた漢字で表現されてきました。

二つとない不二や不老不死の願いから不死など多くの言われがあります。

その中でかぐや姫伝説による不死山が有名です。

一般的なかぐや姫は最後月に帰ってしまいますが、富士市に伝わる伝説では、富士山へ帰ったと伝えられています。ラストシーンでは帰り際に帝に不死の薬を渡します。

しかし、かぐや姫がいない世界では不死の薬など必要ないと思った帝は日本で一番高い山でその薬を焼き、その古事から不死山と呼ばれ、いつしか富士山となったと言われています。

このように富士山周辺にはかぐや姫の物語により、多くの不老不死伝説が伝わっているそうです。

いざ、洞穴へ!竜宮洞穴までの道のり

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話が長くなってしまいましたが、実際に訪れた時の写真で竜宮洞穴を紹介!

浦島太郎との関係性についてはまとめと考察で語ろうと思います。

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竜宮洞穴には駐車場は無く、適当に車を停めて樹海を歩かなければなりません!

もちろん、入場料は無料です♪

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車から洞穴まではこのような道のりです。

苔が生えていない部分が道なので、誰でも分かると思います。

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途中、このような冷気を放つ穴が見られます。

これらも奥まで続いているのでしょうか?

入れるのであれば入って探検したいものですね。

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横を眺めるとこんな感じです。

人の進入を拒むようにどこまでも樹海は続いています。

美しさと同時に恐ろしさも感じてしまうのが青木ヶ原の樹海。

迷いこんだら帰れなくなる恐れがあるので、進入はやめましょう。

竜宮城への入口?巨大な竜宮洞穴へ潜入

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しばらく歩くと大きな口を開けた洞窟が!?

足場はあまり良くないので、慎重に下りましょう。

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下まで降りた瞬間、洞穴の奥からもの凄い冷気を感じました。それと同時に誰かに見られている感覚に襲われ後ろが気になりました!

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奥を覗いてみたかったのですが、あまりにも冷気が凄かった為しばらく動けませんでした…

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豊玉姫命を祀る祠

紙垂もきれいなので、きちんとお祭りされていると思います。

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祠の後ろはこのようになっており、どうやら奥まで続いていそうです。

横から下りて奥に行こうと思えば行ける感じでしたが、余りにも凄い冷気と威圧感で一歩も動けませんでした。

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入口付近に、何やら人工的?に組まれた木を発見しました。

建造物の一部のように見えましたが、ひょっとしたらこの洞穴の入口に大きなお社かお堂が建てられていたのかもしれませんね。

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恐怖で固まっていたので足早に退散しました!

そして、振り向いた際に撮った写真の左上に何やら白いモヤが映っています。レンズが曇っているのか確認しましたが、曇っている様子はありませんでした。

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もう一度撮ってみると、明らかに白い何かがゆらゆらと漂っています!

もしかして…龍神?

そういえばこの穴には白い竜が現れるという噂を聞いたような…

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遠くから撮っても確認出来ました!

まるで、鱗のように気持ち良さそうに泳いでいる様子が分かります!

視線を感じたのはこれだったのかは分かりませんが、帰りの際に現れたのが不思議でした。

竜宮洞穴のアクセス、駐車場

アクセス

 

国道139号を西湖方面へ走り、鳴沢氷穴を越え富岳風穴前の信号を曲がり国道710号の道を下ります。しばらくすると右に竜宮洞穴の入り口に繋がる道がありますので、そこを右に曲がって下さい。

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このような比較的広い入口になっています。

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竜宮洞穴までは入口から車で1、2分くらいで到着します。

道幅も広く整備されているので迷う事は無いと思います。

駐車場

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入口を進み暫くすると竜宮洞穴入口の看板があるので、その周辺に駐車可能です。

比較的広いので、邪魔にならない程度に停車させて見学しましょう。

入場時間や入場料は設けておらず、好きな時間に見学可能な観光スポットになっています。

その他おすすめ洞窟

富士山周辺には竜宮洞穴の他、数多くの風穴や風穴が存在します。

その中で特に人気なのが富岳風穴と鳴沢氷穴です。

竜宮洞穴から距離も短く、時間に余裕があれば3つ見学する事も十分可能だと思います。

富岳風穴と鳴沢氷穴の詳しい情報は下のバナーへ↓

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まとめと考察

富士山は不死山から、この周辺には多くの不老不死伝説が広がったため、この穴も神仙思想の影響が見られる浦島伝説を用いて、竜宮と名づけたのではないかと考えています。

また、これにより御祭神も乙姫が記紀神話の海幸彦と山幸彦の物語の豊玉姫命に置き換えられているのではないかと思います。

富士山周辺には、気軽に入れるところから危険を伴う溶岩洞窟が多数存在し、この竜宮洞穴は入場料金も無く自由に見学出来ますが、崩壊の恐れもあるため自己責任で見学して下さいとの事でした。

観光地から離れた樹海の奥に存在し、入り口は異様な雰囲気を醸し出していることを肌で感じ、中は夏にも関わらずひんやりと肌寒く、穴の奥から冷たい風が吹いていることも確認出来ました。

人の手が加えられていない正真正銘の自然にただ唖然とするだけで、自然とは感動と同時に恐怖をも感じさせてしまう存在である事を改めて感じました。

みなさんもぜひ、数々の伝説が折り重なった竜宮洞穴へ足を運び、龍神様に会ってみてはいかがでしょうか?