日本二百名山並びに日本三大奇景として知られる妙義山は今も昔も見る人々を圧倒させる姿を保ち続けています。
妙義山は表妙義と裏妙義に分かれ、妙義神社や中之嶽神社が鎮座する表妙義は石門巡りや観光スポットとして人気ですが、
登山に於いては裏妙義と同様に危険密集地帯となっており、熟達者向けの登山が妙義山の特徴です。
このようにスリル満点として知られる妙義山ですが、上信越自動車道を更に長野方面へ走らせ、碓氷軽井沢ICに恐ろしい岩峰が聳えているのをご存じでしょうか?
これは高岩といい、高速道路やICが出来るまでは人目のつかない秘峰として静かに聳え、今では奥妙義の高岩と呼ばれる幻の妙義山です。
今回はそんな謎に包まれた奇峰、高岩の様子をお伝えしたいと思います。
- 高岩のアクセス、駐車場
- 高岩登山口~高岩のコル
- 高岩のコル~鎖場直下
- 核心部、チムニー3段30mの鎖場
- 雄岳山頂
- 高岩のコル~P1
- P1~P2、P3
- P3~高岩八風平登山口
- 高岩のビューポイント
- まとめ
高岩のアクセス、駐車場
場所は上信越自動車道碓氷軽井沢ICのすぐ目の前に聳えているので、すぐに分かると思います。
上信越自動車道碓氷軽井沢ICを降り、最初の信号を右に曲がります。
矢印の方向に入りしばらくすると民家が現れ、その先には高岩が姿を見せます。
そして高岩登山口の看板が現れます。
残念ながら駐車場はありませんので、入り口のスペースに駐車します。
頑張れば路肩にも駐車可能ですが、その場合は小型車が望ましいです。
高岩登山口~高岩のコル
駐車スペースからすぐの登山道の様子です。
スタートの段階からかなり登山道は荒れていて、途中倒木により道が塞がれている箇所もありますが、避けながら進んでいきましょう。
しばらく進むとこのような巨岩が現れます。
相変わらず分かりづらい道は続きます。
コルの寸前はこのような岩場が続きます。
幸いにも印が付いているので、それを頼りに進んでいきましょう。
ですが厳しい道のりである事に変わりないので、注意が必要です。
高岩のコル~鎖場直下
高岩のコルに到着しました。
春に訪れた埼玉の二子山のコルに少し似ています。
ここから右に進むと雄岳、左に進めば雌岳へと続きますが、
案内の看板は一切無く、ここからの登山は地図を頼りに、しっかり確認しながら進んでいきましょう。
高岩と同様、2つの岩峰が聳える二子山についてはこちら↓
まず始めに雄岳を目指します。
途中トラバースが出現します。
窪みを下って登る感じですが、雨の翌日はかなり濡れているので注意が必要です。
そしてこのトラバースを越えると、いよいよ核心部のチムニー3段30mの鎖場に差し掛かります。
核心部、チムニー3段30mの鎖場
チムニーとは岩壁に煙突状にのびる裂け目で、人が入る事の出来る大きさとされています。
高岩のチムニーは高さ30mですが、ちょうど3段になっていて途中休憩出来るのが唯一の救いです。
ちょうど矢印のところにぷら~んと鎖が垂れさがっていて、上まで鎖が繋がっているのがお分かりだと思います。
ここからスタートします!
私は少しでも体を軽くしたいので、カメラのみトレランザックに詰め、大きいザックはデポするようにしています。
それでは、チムニーの様子を見てみましょう!
1段目2段目はホールドも豊富で登りやすいですが、かなり急勾配なので腕力もそこそこ使います。
1段目を終えて休息ポイント。
上を見上げると…
2段目の鎖、更に上には3段目の鎖が待っています!
2段目はホールドが豊富ですが、左右に揺さぶられるのでしっかりと鎖を握りましょう。
また、すぐ後ろは岩壁なので背後にも注意してください。(ぶつかると痛いです)
2段目を登り終え、再び休息ポイント。
ここは広めなのでかなり安心できます。
そして最大の難所はこの3段目です!
なぜ最大の難所というと…
まず、完全垂直な鎖のため腕力勝負! (細身の方ならすんなり窪みに入るかも)
窪みの中には岩が豊富なため簡単に見えますが、体が太い私には入れません。(いくらやっても入れませんでした…)
なので、ここは完全腕力勝負ということになってしまします。
つまり、外側の乏しい岩肌を頼りに登るしかありません。(どこに足をかけようか凄く悩みます…)
雄岳山頂
3段の鎖を登り終えるとすぐに頂上に到着します。
ピークは2つあり、内側のピークには石碑が立っています。
もう1つの外側のピークの展望は素晴らしですが、狭い山頂で周りは全て断崖絶壁となっているので、なかなか落ち着かない山頂です。
写真ではよく分かりませんが、すぐ目の前は断崖絶壁であり、落ちたら一気に下まで行くのではないかと思うくらい恐ろしい崖です。
碓氷軽井沢ICがよく見えます。
ICからも恐らくてっぺんに人がいる事が分かると思うので、思いっきり手を振ってみましょう!
写真は何故か全てジオラマモードで撮ったものしかなく、おもちゃみたいに見えますが、本物です(笑)
ジオラマ撮影は高山では撮る事の出来ない、低山ならではの楽しみ方の一つですね。
上信越自動車道も走っている車が見渡せます。
これもジオラマモードで撮影しました!
展望は浅間山から妙義山がよく見え、お隣の雌岳の絶壁も素晴らしいです。
高岩のコル~P1
さて、恐怖の雄岳を終え、次は雌岳に向かいましょう。
先ほどのコルを今度は左に進むと雌岳P1~P3に到着します。
雌岳は雄岳のような鎖場はありませんので、安心して登れますが、あくまでバリエーションルートなので気を引き締めて登りましょう。
とは言うもののP1までは道が細く1箇所ロープ場もあります。
P1に到着しました。
ここは足場が悪いですが、先ほど登った雄岳がよく見えます。
雄岳は超巨大な岩石で成り立っている事がよく分かります。
不気味な雰囲気を醸し出す裏妙義もここからはよく見えます。
ぽつんと地面に何か置かれていたので取ってみると、なんと雌岳の標識でした。
ちなみに昨年の4月に行った時は写真のように置いてありましたが、今年の8月に行った時は置かれていませんでした。
見落としただけか、どこかに飛んでしまったのか、次登るときにもう一度確認しようと思います。
P1~P2、P3
P1~P2、P3は距離も短くすぐに到着します.
まず、P2はこのようなナイフブリッジ状になっています。
てっぺんに行くにはこの岩を登らなくてはなりませんが、この岩は極めて危険なので一般登山者は絶対に登らないようにしましょう。
地図でも危険なので登らないようにと書かれている通り、左右スパっと切れていて危険です。
ナイフブリッジもこのように左右切れているので、注意が必要です。
P2を進むとすぐにP3に到着します。
P3の岩には写真のように小さな隙間が見えますが、これを覗くと…
なんと!ちょうど先に浅間山が見える絶妙な窓なのです!
見事にすっぽり浅間山が入ったこの窓はあまり知られていない高岩のおすすめ絶景ポイントです!
また、この窓の形が群馬県に似ているという意見もございますが、
確かに言われてみれば群馬県を縦に引き伸ばした形に見えなくもないですね。
まさに、奇跡の窓と言っても過言ではないです!
このP3は先ほどのP2と違い安心して岩に登る事が出来ます。
そして、ここP3からは360度の大パノラマを楽しめます。
高岩の中でP3からの展望が一番良いと思います。
西上州の200名山荒船山もバッチリ見えます。
それにしても荒船山は絶妙に真っ平らですね。
遮るものが一切ないので開放的な場所です。
上信越自動車道の曲がりくねった道路が確認出来ます。
やはり1番の見どころは浅間山ですね。
P1、P2と違い若干のスペースがあるので断崖絶壁に立つ事も可能です。
P3~高岩八風平登山口
雌岳は危険箇所もほとんどありませんが、P3から高岩八風平登山口までの道のりが非常に分かりにくく、迷いやすいので注意が必要です。
P3の先に進むとこのような分岐点に到着します。
明らかに真っすぐの方が正解そうに見えますが、左が正しいです。
木のところにピンクテープがありますが、これが分かりにくい!
真っすぐ行くととんでもない所に行ってしまいます…(実際私もここで間違えました)
このような道なので常に地図を確認しながらこの先は進みましょう。
その後も分かりにくい道を進み、ロープ場に到着します。
雄岳の鎖ほどではないのでここはサクッと行けると思います。
その後も相変わらず分かりにくい道を進むと…
ようやく高岩八風平登山口に到着です。
後は道路沿いを歩いていき、しばらくすると碓氷軽井沢ICが見えてきます。
高岩のビューポイント
碓氷軽井沢ICのシンボル的な存在となる高岩は近くを通っただけでも目が行ってしまうほどのインパクトのある岩峰だと思います。
運転中に撮影するのは危険なため、車を停めて安心して高岩の撮影出来る箇所を紹介します。
登山口から少し先に進むとT字路にぶつかります。
ちょうどそこから振り向くとこのような感じに高岩が見えます。
民家と高岩とのコラボがいい感じに写ると思います。
今度は高岩登山口から碓氷軽井沢ICの方へ走るとこのような看板が見えるので、そこを左に曲がると
高速道路のガード下に着きます。
車は手前に邪魔にならないスペースがあるのでそこに停車させましょう。
ガードの下から見上げると、高速道路と高岩のコラボ写真が撮れます。
ここはなかなかのビューポイントだと思います。
まとめ
高岩は難易度が高く初心者向けの登山ではありません。
高岩の鎖場は妙義山の中でもトップクラスを誇り、それは同時に全国の鎖場でも上位に入る難易度とも言えます。
しかし、標高は低く歩行時間も短いので、これからアルプスの厳しい難路や岩場に挑戦する方にとっては短時間で練習できる大変おすすめの山です。
また、核心部の雄岳に登らなくても、そこまで危険ではない雌岳からは素晴らしい絶景を仰ぐ事が出来るので、鎖場が得意でない方も十分に楽しめると思います。
ぜひ、360度のスリルな展望が楽しめる、そして山頂に立てば下界の人たちをあっと驚かす事の出来る高岩に登ってみてはいかがでしょうか。