大崎下島の御手洗、竹原の町並み保存地区観光の後は、以前から登ってみたかった忠海駅前に聳える黒滝山を、平成31年初旅の締めくくりとして登りました。
忠海は竹原市の東端に位置し、竹原駅から車で約15分程度で到着出来る港町です。
目の前に瀬戸内海が広がる忠海は観光スポットも充実し、特に忠海の目の前に浮かぶ大久野島は世界でも珍しい野生のウサギが生息する島で、たくさんのウサギと触れ合う事ができ、子供から大人、更に外国人観光客も多く来られるそうです。
そんな海に関する観光スポットとして有名な忠海ですが(ただの海なだけに…)、
港町のすぐ後ろは山々が聳え立ち、その中で山頂付近に巨大な岩が点在する山が確認出来ます。
この山は黒滝山と言い、元々は信仰の山として開かれた山ですが、現在は山頂から瀬戸内海を一望できる絶景スポットとして有名な山になっています。
また、この黒滝山もアニメ「たまゆら」で紹介され、聖地巡礼の一つとして選ばれています。
日帰り旅行なので帰りの電車が気になり、急ピッチの登山となりましたが、黒滝山までの道のりや山頂からの素晴らしい絶景をお伝えしたいと思います。
黒滝山の場所、アクセス
忠海駅を降りて国道185号を右の方へ歩くと、黒滝山登山口の案内看板が等間隔に設置されているのでそれに従い、ガソリンスタンドの信号を左へ曲がると、登山口に繋がります。(案内看板もあります)
車の場合は、さくら堂(東屋)手前に数台停められる駐車場があるので、車はそちらに駐車します(無料)
黒滝山とは?
山頂付近に巨岩が点在する不思議な形の黒滝山は標高266mでありながら、山頂からは瀬戸内海の島々や四国連山まで一望できる観光スポットとして、広島県百名山にも選ばれています。
黒滝山の歴史は古く、730年頃、僧行基が夢の中でお告げを受けた事により十一面観世音菩薩像を彫り、山頂に観音堂を建てその像を安置し、黒滝山と名付けた事から開かれたそうです。
その後、山中には西国三十三所巡礼にちなんだ三十三の石仏が安置され、更に山頂には石鎚神社も建てられており、以来この霊場は「くろたきさん」と呼ばれ、今もなお石仏や祠が残されている事から、庶民の篤い信仰の面影を感じる事の出来る山です。
余談ですが、黒滝山は広島だけではなく、全国にその名前の山が存在しているそうで、
以前群馬の南牧村で登った山も黒滝山という名の山で、広島の黒滝山とは対照的に、深い山奥に聳える山でした。
その時の山行はこちら↓
黒滝山登山口までの道のり
忠海駅に到着しました。
駅の看板はご覧の通り、うさぎの島が有名なので、うさぎが描かれています。
駅を降り、右方面へ歩いていきます。
案内看板が等間隔で設置されているので、迷う事はないと思います。
歩いてすぐにガソリンスタンドがあり、信号を左に曲がると登山道へ、信号手前の橋を右に曲がると忠海港になります。
ここで忠海港を少し紹介。
駅から徒歩3分でこの建物に到着します。
ここでは大久野島行きのチケットが販売され、中にはお土産やカフェもあるオシャレなお店になっています。
更に便利な事に、このお店には荷物を一時預ける事が可能で、
本来は島へ向かう人の為のサービスですが、忠海駅にはコインロッカーのない駅であり、駅の方に聞いてみたらここを紹介され、島へ向かう方以外の荷物も預かってくれました。
黒滝山に登る際、荷物を預けたい方にはおすすめなお店です。
ちなみに、手荷物預け料は1日500円です。
【公式サイト】うさぎの島への玄関口|忠海港
忠海港の目の前はもちろん…海!
さて、登山の話に戻りましょう。
先ほどのガソリンスタンドを曲がると細長い道のりになります。
細い道の奥には黒滝山が聳えています。
山頂付近の巨岩の様子がよく分かりますね。
麓には地蔵院があり、その横に続く道を登っていきます。
案内の看板に従いさらに登ると、休憩ポイントのさくら堂に到着します。
実はここまでは車でも来られ、さくら堂の下には数台の駐車スペースが設けてあります。
トイレも完備されているので安心です。
さくら堂には黒滝山に安置されている三十三体の石仏の案内があります。
三十三所巡礼を行いたい方には有難い案内です。
ちなみに私は全て見つける事が出来ませんでした。
さくら堂(東屋)~観音堂
さて、ここからは登山道らしい道のりとなります。
とは言うものの、険しい道のりではないので安心です。
急な坂道ではなく、整備された道が続きます。
この辺りはハイキング気分で登れます。
道中には、案内で紹介された観音像があちらこちらに安置されています。
石仏として安置されたものや、壁に描かれた観音様など、様々な姿の観音様を拝む事ができます。
登山道沿いから、登山道から少し離れた分かりにくい場所にもありますので、道迷いに注意しながら観音像巡りを行いましょう。
途中にはこんな観音様も
明らかに自由の女神?みたいな観音様も安置されていました。
こんなスポットも
このミニチュア鳥居をくぐれば幸せになれるとの事ですが、
頭を入れた瞬間、あっこれ無理だわ…って思うくらい狭い鳥居でした!
ミニ鳥居周辺は様々な石仏が安置されています。
信仰の山である事を感じさせる光景です。
途中には休憩ポイントがあります。
山頂まで行かなくても、すでにここで絶景を味わえます。
ここから山頂までもう少しなので、気合を入れて登りましょう。
休息ポイントからすぐにこんな珍スポットが!
亀のようですが…
明らかに目玉を付け加え、無理やり作った感が半端ないです!
それにしても、恐ろしいほど無表情な亀ですね。
無表情な亀から5分くらいで、麓から見えていた観音堂に到着です。
後ろには麓から見えていた巨岩が聳えています。
近くで見ると、やはりその大きさに驚きを隠せないです。
観音堂から先は石鎚山?
さぁ、いよいよクライマックスです。
石鎚神社と書かれた鳥居の後ろには鎖場が待ち構えています。
最初この光景を見たときに、石鎚山の二ノ鎖によく似ているなと思いました。
石鎚山の登山の様子はこちらをご覧ください↓
独特な形の鎖は恐らく本場石鎚山の鎖を使用されていると思われます。
石鎚山の鎖は江戸時代から鎖の掛け替えが行われていたらしく、現在に至るまでに何回か行われていたそうです。
その際、替えた鎖は神社の手すりに使用されたり、全国の教会や石鎚信仰の地に配られています。
難易度もそこまで高くないので、ある程度鎖場を経験している人ならば特に問題はないと思います。
鎖が苦手、あるいは登った事がなく不安だと思う方は安心してください。
この山にもどうやら鎖場を通らずに山頂まで行ける迂回コースがあるので、不安な方はそちらのコースをおすすめします。
鎖場の途中にこんな祠がありました。
縦に、石鉄山大…と書かれた石碑が置かれています。
石鉄山とは石鎚山の事を指し、平安以降山岳信仰の発達に伴い石鎚信仰の中心となった横峰寺、前神寺の山号でもあります。
黒滝山の巨岩を石鎚山と見立て、この場所にも石鎚信仰が広がったと思われます。
鎖を登りきると、岩で覆われた道になります。
山頂はすぐそこなので、焦らず慎重に登りましょう。
しかし、この辺りになると登山靴が恋しいです…
黒滝山山頂からの絶景
そして、ついに山頂に到着です!
ここからの景色は本当に素晴らしいので紹介します。
向かって左側をズーム
生口島と大三島を結ぶ多ヶ羅大橋が見えます。
船も見えますね。
一番先端に立ってみました。
標高200m台ですが思った以上に高度感があり、遮るものが一切ないので、瀬戸内海の島々が一望出来ます。
またまたズーム!
標高が低いので、町の様子もよく分かります。
恐らく、地上からも巨岩の先端に人が立っている事がわかるかもしれません。
西の方は島々が点在し、西日に輝く瀬戸内海と船がいい感じに写し出されています。
いつまでも見続けたい、
そんな光景が広がっています。
後ろは穏やかな山並みの広がる光景になっています。
最後に絶景をもう一度
あまり知られていないので、だれ一人としてすれ違う事なく到着し、
更に絶景も独り占めする事が出来ました。
本当にここはおすすめスポットです!
黒滝山山頂の様子
山頂の先端部は巨岩の一部となっているので、このように複雑な場所になっています。
規模は小さいですが、何となく石鎚山の雰囲気に近い所があります。
ギリギリまで近づけますが、ご覧の通り崖になっているので、歩く際は注意が必要です。
山頂には石鎚神社と書かれた石碑があり、そこに祠が設けてあります。
中には、石鎚神社の御祭神である石鎚毘古命の御神徳を表す、三体の御神像が祀られています。
愛媛の石鎚山も山頂の奥之宮にこの三体の御神像が祀られているので、
いかに、本場の石鎚山に近い形にされたのではないかと思われます。
石鎚山の信仰についてはこちらをご覧ください↓
登山道は奥まで続き、ここから先は白滝山へ向かうそうです。
時間に余裕があれば縦走してみたいコースです。
竹原市のおすすめ観光スポット
忠海は竹原市に属する地区であり、竹原の町並み保存地区を中心とする観光がおすすめなので、いくつか紹介したいと思います。
町並み保存地区
安芸の小京都と呼ばれる竹原は江戸時代の建造物が立ち並び、歴史情緒溢れる町並みとなっています。
朝日山
山頂まで車で行ける絶景スポット。
麓からも登山が可能な山で、山頂からは瀬戸内海や市街を見渡す事が出来ます。
大崎下島
竹原市ではありませんが、竹原港から高速船で向かう島であり、
島内には竹原と同じく江戸時代からの町並みが広がり、更に瀬戸内海の絶景も味わえるおすすめの島です。
竹原港から約40分かかりますが、時間に余裕がある方にはぜひ立ち寄ってほしい島です。
アヲハタジャムデッキ
忠海駅前に位置するアヲハタジャムデッキは瀬戸内海の柑橘類を使用したジャムを製造する工場で、更に工場の見学やジャム作りも体験できる工場になっています。
【公式サイト】
最後に
黒滝山は標高266mの低山でありながら、山頂直前には鎖場が設けられ、本格的な登山の体験ができ、山頂からは瀬戸内海の美しい島々を眺められる山です。
更に道中に三十三体の観音像を安置し、古くからこの山を信仰の対象とされ、庶民に親しまれてきた事を同時に感じる事の出来る山でもあります。
海の観光地のイメージが強い忠海ですが、このような山に登って海の町を眺めるのも魅力的な観光スポットの一つだと思います。
ぜひ、黒滝山から瀬戸内海及び海の町の絶景を眺めてみてはいかがでしょうか。