梅雨明けの7月下旬は新潟県の湯沢町に位置する苗場山を登り、下山後はお隣の十日町市の景勝地である清津峡を見学しました。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった…と、川端康成の雪国の舞台となった湯沢町は温泉とスキー場が多数ある町で知られ、長い関越トンネルを抜けるとその様子が一目瞭然で、山沿いには多くのホテルやロープウェイが連なる光景が広がっていました。
さて、今回も日帰り山旅として、下山後はどこか立ち寄ってから帰ろうと計画を立て、久しぶりに素晴らしい景勝地を味わいたいと思い、少し距離はありましたが苗場山から40分くらいの所にある清津峡に立ち寄りました。
トンネルの歩道により見学する清津峡は様々な工夫がされ、特に水鏡のパノラマステーションはSNS映えには持ってこいの光景が広がり、子供から大人まで楽しめる空間になっています。
それでは早速、人と自然が造り出した清津峡の素晴らしい光景を紹介したいと思います。
- 清津峡のアクセス、駐車場、基本情報
- 日本三大峡谷清津峡とは
- 駐車場~温泉街~トンネル入坑口
- トンネル入坑口~第一見晴所までの様子
- 第一見晴所
- 第二見晴所
- 第三見晴所
- 明鏡止水!自然と人が造り出したパノラマステーション!
- 周辺のおすすめスポット
- 最後に
清津峡のアクセス、駐車場、基本情報
アクセス
電車の場合:越後湯沢駅からバスに乗り清津峡入口で下車(約30分)
バス停から歩いて約30分で到着します。
時刻表等は南越後観光バス㈱ホームページをご覧ください。
車の場合:関越自動車道塩沢石打IC下車、国道353号、県道389号を経て約20分で到着します。
駐車場
駐車場は第一~第三駐車場まであり、全て無料で駐車出来ます。
駐車場にはトイレが完備されています。
※トイレはトンネル内にもありますが、第二見晴所のみ設置され、しかも2室しかありませんので、出来る限り入坑前に駐車場のトイレを利用した方が良いそうです。
基本情報
入坑料:大人600円(高校生以上) 小人(小中学生)300円 ※幼児、障害者は無料
団体料金(20名以上):大人550円 小人250円
開坑時間:午前8時半~午後5時(受付は午後4時半まで)
往復所要時間:40~60分(全長750mのトンネル)
住所(管理事務所):〒949-8433 新潟県十日町市小出葵2126
公式サイト:
日本三大峡谷清津峡とは
清津峡は黒部渓谷と大杉谷とともに日本三大峡谷に選ばれ、昭和16年4月に国の名勝及び天然記念物に指定された景勝地です。
峡谷は読んで字の如く山と山の間の狭い谷を意味し、鋭角に削られた地形からV字谷とも言われ、清津峡もV字谷を形成されている事が分かると思います。
現在はトンネルにより清津峡の成す素晴らしい光景を眺めますが、かつては清津川に沿った歩道があり、間近に峡谷を眺める事ができたそうです。
歩道は昭和63年の7月に歩道内での落石により死亡事故が発生したために閉鎖され、これにより清津峡の成す素晴らしい光景を眺める事の出来ない状況になってしまいました。
しかし、国の名勝に指定された清津峡の自然美を眺められない状況を何とかしたいと地元の人々と国や県の関係機関が話合い、安全に歩行する事の出来る歩道トンネルの建設が決定されました。
そして、平成8年の10月にトンネルは完成し、多くの方々が感動された清津峡の峡谷美を再び目の当たりにする事が出来るようになり、完成されたトンネルはただ清津峡を眺めるだけでなく、トンネル内には様々な仕掛けやデザインが施され、かつての景色はもちろん、更に峡谷と人との共同作により多くの人を楽しませる名勝へと生まれ変わりました。
駐車場~温泉街~トンネル入坑口
駐車場から清津峡へ向かう所には小出温泉街が立ち並んでいます。
温泉宿からお土産屋、食事処など、小規模ではありますが趣のある温泉街を感じる事が出来ます。
トンネルまでの道は綺麗に整備され、横には清津川と奥には深い清津峡を眺められます。
温泉街とトンネル入口の間にはこのようなおしゃれな建物が建てられています。
これはエントランス施設と言い、1階はカフェとショップ、2階には足湯が体験できるコーナーが設けられています。
午前9時から午後4時までの営業で、2階の足湯は無料で体験できるそうです。
トンネル入坑口~第一見晴所までの様子
さて、トンネルの入口にやって参りました。
受付を済ませ、いよいよトンネルへ入坑です!
トンネルは外より涼しくて寒すぎない快適な空間になっています。
まさに、天然のクーラーですね。
入ってすぐの所にはパネルや模型が設置され、パネルには清津峡の成り立ちやこれまでの歴史などが書かれています。
入口から第一見晴所までは距離が長く、最奥のパノラマステーションまで一直線なトンネルなので、先が見えません。
このような長いトンネルなので、トンネル内には様々な仕掛けや見どころがあります。
ふと下を見ると、何やら足跡が描かれていますね。
人間ではなく、何かの獣の足跡のように描かれ、子供たちが興味津々に眺めていました。
トンネル内の明かりは白の他、黄色、赤、青の種類があり、途中には音楽が流れていました。
恐らく恐怖心や退屈さを感じさせない為の工夫だと思います。
と、安心していたら一変…
赤いトンネルに差し掛かりました。
これは…
安心感どころか少し恐怖を覚えるようなんですけど…
まるで心霊スポットのような戦慄のトンネルですね。
第一見晴所
長く楽しいトンネルを歩き続け、ようやく第一見晴所に到着しました。
トンネル内には第一から第三、最後のパノラマステーションの4箇所から清津峡を眺める事が出来ます。
第一見晴所からはこのような光景が見られます。
岩壁を眺めるとこのような柱状の岩が集まっている事が確認出来ますね。
この岩は柱状節理と言われ、溶岩が冷却される際に収縮されて柱状に割れ目が生じてこのような光景になったそうです。
清津峡は主に六角柱状ですが、場所によっては四角や五角など不規則な柱状も見られるようです。
また、清津峡一帯はかつて海の底であり、海底火山により地中にマグマが進入して固まり、柱状節理を形成し、その後隆起されて地上に現れ、浸食されて今の光景が出来たとの事です。
その証拠に周辺では魚の化石等が発見されているそうです。
かつて歩道から眺めたこの光景が見晴所により見事復活されました。
第二見晴所
さて、ここから第二、第三と続いていきますが、距離が短いのですぐに着いてしまいます。
さあ、第二見晴所に到着!ですが…
ん?
これは何でしょう?
恐る恐る近づいてみると…
なんと!お手洗いでした!
そういえば、入坑前にトイレの情報を確認しましたが、トンネル内にはトイレが1箇所しか無いので、入坑前に済ませるようにと書かれていたのを思い出しました。
それにしても、このようなカプセルのトイレに入るのも何か恥ずかしいですね。
トイレはさておき、第二見晴所からの景色
ここからも相変わらず柱状節理のアートを目の当たりにする事が出来ます。
第三見晴所
パノラマステーション前の最後の見晴所に到着です。
さあ、ここはどんな仕掛けがあるのでしょう。
ふと横を見ると
壁一面に何やら怪しい鏡が取り付けられています。
しかも光っていますね!
近くで見てみると、アメーバみたいな歪んだ鏡になっています。
後ろに写る鏡が核のように映し出していますね。
構造はシンプルで、後ろに電気が取り付けられているだけでした。
床にはテーブルが置かれていましたが、これはテーブルでしょうか?
いや、恐らくこれは腰を掛けるためのテーブルでしょうね。
しかし、光の点いた歪んだ鏡はまるで生きているかのように表現されています。
また、私にはドラえもんに出てくるタイムマシンの空間に浮かぶ歪んだ時計に見えました。
みなさんはどのように見えますか?
ちなみに、ここからも相変わらず素晴らしい光景が楽しめます。
これまでの景色より、こちらの方が美しい柱状節理を確認出来ます。
まるで蜂の巣のように均一に並ぶ柱状節理はまさに、自然が造り出した芸術です。
明鏡止水!自然と人が造り出したパノラマステーション!
さて、第三見晴所の次はいよいよ最奥のパノラマステーションへ向かいます。
最後のトンネルですが、ご覧の通り超不気味な色のトンネルになっています。
奥からゾンビでも出てきそうな、そんな予感のするトンネルですね。
なぜかこの時に限って誰もいなかったので、ビビりながら歩きました…
しかし、ふと上を見上げると、小石のようなもので何か描かれていました。
この他にも小石を使って花火やトンボ、蝶のようなものが描かれているのを発見しました。
青いライトが不気味なので、少しでも和ませるために作られたのでしょうか?
青いトンネルを抜けると、最奥であるパノラマステーションに到着します。
清津峡の一番の見どころはやはりここですね。
床一面には峡谷から湧きだした水が張られる事で、ご覧のように外の景色を映し出し、半円であるトンネルが見事に一つの円が描かれる仕組みになっています。
清津峡の素晴らしい自然美を人が作り出したトンネルにより更に倍増させ、多くの人々を感動へ導く、まさに人と自然の共同作である事が分かりますね。
水鏡に映し出された清津峡を堪能するのも良いですが、せっかくなのでトンネルの一番奥まで行って、雄大な清津峡ビューも堪能しましょう。
実は水鏡はご覧のような仕組みで真ん中に行くほど深く、壁際ほど浅くなっています。
それではトンネルの端っこを歩いてみましょう。
私はごく普通のスニーカーで歩きましたが、中がびしょびしょになるような事はありませんでした。
若干、濡れているような濡れていないような微妙な感じでしたが、不快に思うほどではないので、先ほどの写真の通り、水深の浅い端っこを歩けば特に問題ないと思います。
もし、サンダルや絶対に濡れるのはゴメンだ!と思う方は、小タオルを持参した方が良いかもしれません。
もう一つの注意点は、壁が濡れていますので、壁に当たらないように歩きましょう。
一番奥は辛うじて水が張られていないので、安心して絶景を楽しむ事が出来ます。
また、ガラスの柵は低めだったので、身を出さずに景色を楽しみましょう。
トンネルの最奥からはこのような景色が見られます。
第一~第三までの景色とは違い、清津峡の全体を眺める事ができ、見事なV字谷の様子が分かると思います。
ふと、左下を眺めると…
あれはかつての歩道でしょうか?
明らかに人によって作られた道のように見えますが…
今でも歩けるのでしょうか?
さて、今一度パノラマステーションからの眺めをご覧ください。
パノラマステーションは水面上を歩くのは自由なので、人が歩く際はどうしても水面が揺らぎ、なかなか綺麗な円の写真を撮る事が難しいと思います。
ですが、見知らぬ人たちをこのように撮るのもなかなか絵になると思うので、これはこれで良いのではないかと思います。(逆光なので顔も見えません)
実際、何枚も撮ってしまいましたw
ただ、どうしても誰もいない状態で撮りたいと思う方は、ひたすら待ちましょう!
中には人が退くのを待ち続ける人もいました(その内の一人が私)
周辺のおすすめスポット
苗場山
苗場山はお隣の湯沢町の山ですが、清津峡まで登山口から40分くらいで着いてしまうので、苗場山登山後でも立ち寄る事が可能です。
苗場山は新潟県の百名山であり、山頂はまるで神々が住んでいるかのような美しい湿原が広がっています。
登山好きの方は清津峡と合わせて登られてみてはいかがでしょうか。
越後湯沢駅
電車で来られる方は越後湯沢駅からバスを利用との事で、越後湯沢駅に立ち寄る方も多いと思います。
駅周辺はホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街の雰囲気を醸し出し、お土産屋も多い駅周辺になっています。
駅の中にもお土産屋はありますが、特におすすめは新潟県の日本酒を利き酒できる、ぽんしゅ館です。
500円で新潟県の日本酒を5杯分楽しめる仕組みになっていて、更に館内には南魚沼産コシヒカリで握られたぽんしゅ館名物の「爆弾おにぎり」もおすすめなので、ぜひ立ち寄ってほしい所です。
【公式サイト】
最後に
日本三大峡谷と言われている通り、清津峡の成す自然美は大変素晴らしく、まさに自然が造り出した芸術であると感じる事が出来ます。
歩道の事故により一時閉鎖となりましたが、8年の時を経て新たに生まれ変わった清津峡は、かつての風景と同時に、人の手によって清津峡の素晴らしい自然を更に引き出した造りになっています。
特にトンネル最奥のパノラマステーションは上半分の清津峡と下半分の水鏡に映し出された清津峡が一つの円を描く事により、人と自然は一体である事を表現しているのではないでしょうか。
みなさんもぜひ、本来の自然と人の手によって新たな光景を生み出された清津峡に足を運んでみてはいかがでしょうか。