東北遠征2日目は秋田県にある太平山を登りました。
昨日は遠野を丸1日観光し、そのまま太平山の麓までやってきましたが、なんと!最後に立ち寄った高清水展望台にレンズと予備バッテリーの入ったバックを置き忘れてしまい、絶体絶命のピンチで次の日を迎えました…
しかも忘れに気付いたのは午後7時45分頃秋田自動車道を走っている時で、戻ろうとしたけれど、運悪くその時期は釜石自動車道は午後8時に閉鎖され、戻るにも戻れない状況でした。
自分のアホなミスにより、やる気とテンションが下がりましたが、いつもの登山のように楽しく登らせていただこうという気持ちに切り替え、今回も全力で登山を楽しみました。
さて、アホな話はさておき、この時期の太平山の山頂付近は紅葉が大変素晴らしく、ベストシーズンの山行となり、今回は旭又登山口から太平山山頂、山頂から御手洗経由の周回コースを選択しました。
いつものように登山道の様子や注意事項、更に山頂からの景色や素晴らしい紅葉をお伝えしたいと思います。
太平山とは
太平山は秋田県のほぼ中央に位置する標高1170mの山で、古くから里人たちに水をもたらし、農耕神の鎮まる山として親しまれていました。
読み方は“たいへいざん”といい、太平洋沿いでもなく太平洋が見えないのにこのような山名となっています。名前の由来は定かではなく、古くから“おいだらやま”と呼ばれ、おおだいらが訛っておいだらとなったそうです。
元々は素朴な農耕神としての信仰を集めていましたが、この山も修験道により神仏習合の山として崇敬され、明治以降は神仏分離に伴い神の山として崇敬されています。
歴史を持つ太平山は秋田市からもその秀美な姿を眺める事ができ、学校の校歌や市民歌にも登場するほど親しまれ、今では日本300名山の一つに選ばれています。
太平山のアクセス、駐車場、トイレ情報
アクセス
電車の場合:JR秋田新幹線秋田駅からタクシー約50分で旭又登山口
車の場合:秋田自動車道、秋田中央ICから約40分(25km)で到着
駐車場
登山口のすぐ目の前に無料駐車場があります。
約20~30台くらい停められると思います。
トイレ
駐車場にはトイレも完備されています。
中は綺麗で水洗式の洋式トイレです。
また、紙も完備されていました。
旭又登山口の注意事項
旭又登山口の駐車場にはかつて橋が架かっていたらしく、看板には駐車場の目の前の橋を渡るように案内されています。(赤い矢印)
しかし現在この橋はこのように崩壊されているので、こちらには近づかないようにしましょう。(渡ってはなりません!)
ではどこから向かえばよいかと言うと、トイレのすぐ横に迂回路という看板が立っているので、そちらを歩きましょう。
くれぐれも崩壊した橋の方に向かわないように注意!
私は迂回路の存在に気付かず、川を無理やり渡ろうとしました…
旭又登山口~宝蔵岳入口
さて、迂回路の存在に気づいたのでさっそく登山開始です。
スタート直後はしばらくこのような景色が広がります。
かなり鬱蒼としていますが、特に迷いそうな道ではありません。
が、よく熊が現れると報告があるそうなので、若干緊張気味でおそるおそる進みました。
迂回路はこのようにいくつも立てられているので、それに従って行きましょう。
宝蔵岳入口までに橋は2つありますが、橋はこのような形になっています。
人が一人通れるくらいの幅なので譲り合いながら進みましょう。
太平山ではご覧の通り天然の秋田杉を見る事ができます。
ちなみに秋田杉は日本三大美林にも選ばれているそうですよ。
さて、分岐点にやってきました。
宝蔵岳へ向かうコースと旭岳に向かうコースに分かれています。
宝蔵岳から太平山の間には登りの鎖場がある為、宝蔵山から太平山へ向かう方が安心だと思います。
宝蔵岳入口~太平山山頂
地図通り、宝蔵岳経由で進みましょう。
最初は急な登りが続き、道幅も狭いですが、特に危険箇所は無いので順調に進めます。
途中からブナ林に差し掛かり、ひたすらブナの木を眺めながら進んでいきます。
標高が高くなるにつれ、木々も色づいてきます。
登り続けると途中に軽井沢尾根の分岐点に到着します。
太平山山頂に向かうので、ここは左の奥岳方面へ向かいます。
国民の森に進まないように注意しましょう。
分岐点を通過し、ここから景色が変わるのかと少し期待しましたが、残念ながらまだまだブナ林は続きそうです…
長い時間展望無しの登りを登ると、早く視界が開けた道を歩きたくなるものですね。
しかし、標高が高くなるにつれ、木々も色づいてきました。
これは素晴らしい紅葉が期待できそうだ!
ブナ林を抜け、いよいよここから太平山へのラスト登山道になります。
地図には鎖場、ロープ場ありと書かれていた通り、開始早々ロープ場が現れます。
が、このロープ場は難なく進めるでしょう。
暫くするとようやく視界が開けてきます。
あの山は太平山の手前にある宝蔵山ですね。
道幅は狭いですが、特に危険な所は見当たらず、どんどん進めます。
鎖場手前を振り返るとこんな感じ
秋はこれだけでも絶景ですね。
山頂からはもっと素晴らしいと思うので、先を急ぎましょう。
宝蔵山を越えると鎖場がやってきます。
危険を伴うような鎖場ではないので、ここもサクッと登れます。
おっ!
山頂の神社が見えますね。
つまり、もうじき山頂です。
太平山山頂からの景色
山頂に到着しました。
太平山山頂は遮るものがなく、360度のパノラマを楽しめ、北は岩木山、八甲田山、更に男鹿半島を一望できます。
この日は雲が多く、あまり展望はよくありませんでした。
晴れていれば東北の名山が一望できたであろう。
分かりづらいですが、中央奥に薄ら独立峰の鳥海山が見えます。
その手前には秋田空港が見えるはずですが、よく見えませんね~
秋田市街も確認出来ます。
しかし、望遠レンズを遠野に置き忘れた為、ズームできません…
男鹿半島と日本海も眺められます。
男鹿半島の曲がり具合がよく分かりますねー
下山後はあちらに向かいましょう。
雲の多い空模様でしたが、山頂付近の山々はご覧の通り見事な紅葉です。
10月半ばの下界はまだまだですが、山はすでに衣替えの時期ですね。
東北には紅葉の有名な山がいくつかありますが、ここ太平山もそれに劣らず美しい紅葉を目の当たりにする事ができます。
山頂には登山道からも見えた太平山三吉神社の奥宮が鎮座されています。
現在の御祭神は大己貴大神、少彦名大神、三吉霊神の三柱でありますが、この山も明治以前は神仏習合の山であり、本来はこの地に薬師堂が建てられ、薬師如来の他、三吉権現が祀られていました。
そして明治以降に薬師堂は廃され、薬師如来は少彦名大神そして大己貴大神に三吉権現はそのまま三吉霊神と変化しました。
この三吉ですが、かつての太平城主の鶴寿丸三吉という人物の名前で、領民に慕われていたそうです。しかしそれを憎んでいた大井太郎五郎という人物に攻められ三吉は太平山に逃げ込み、そこで神となり敵を滅ぼしたという伝説があります。
それ以降三吉大神との名で崇敬され、災害や天変地異などが起こった際は災いを鎮めてくれると信じられました。
それはまるで天神信仰のような分類となりますが、地元の人々は三吉さんと呼び親しまれていたそうです。
神仏分離以降もこの三吉信仰と素朴な太平山信仰が残っていた為に、現在は太平山三吉神社という社名になりました。
奥には参籠所が併設されています。
6月初旬から9月下旬まで開かれ、無料休憩所から宿泊まで可能となっています。
詳しくは太平山三吉神社のHPをご覧ください
太平山山頂~旭又登山口
さて、景色を堪能したので、登山口に帰りましょう。
ピストンではなく、周回コースで帰りたいので、こちらから下りましょう。
ちなみに、下り口の所にはトイレが完備されています。
帰りの尾根も見事に色づいています!
たとえ天気がよくなくても、こんな素晴らしい紅葉を目の当たりにすれば、テンション上がりますね!
下っていくとこのような銀色の鳥居に到着します。
この鳥居よく見ると左上が折り曲がっています。
なんでこのようになったのだろう?
雪で折れ曲がったのでしょうか?
暫くはカラフル道を進みます。
平坦な道なので、歩きやすいです。
途中、旭又登山口と旭岳へ向かう分岐点があります。
旭又登山口に向かうには左へ進みます。
間違えてそのまま直進しないように注意しましょう。
ここからしばらく先は分岐点がなさそう…
次のポイントとなる御手洗まではひたすら急な下りで狭い道ですが、しっかりとした登山道でした。
また、途中まではご覧の通り紅葉が綺麗です。
そして、お地蔵様が見えてきたらようやく御手洗に到着です。
ここは広いスペースになっていて、テーブルも完備され、休憩するのに最適です。
地図では水場ポイントと書かれており、奥には池がありました。
恐らく湧水だと思いますが、飲めるかどうかは分かりません。
菅江真澄と書かれていますが、この人物は江戸時代の紀行家及び文人で、東北地方の各地を旅して記録を行った人物です。
菅江真澄もこの太平山を登り、山頂で一泊したと記録されています。
しかし古来より水をもたらす山と信仰され続けている為か、すぐ隣には御手洗大神が祀られ、今でも崇敬されている事が肌で感じました。
さて、ゴールまではまだ時間がかかりそうです。
次の御滝神社へ向かいましょう。
先ほどとほとんど変わらない登山道をひたすら下ります。
この辺りは特に急な下りや危険箇所はありません。
そして御滝神社に到着
神社というより祠のような小さなお社が建てられていました。
駐車場まであとわずかと思い看板を見ると、ひらがなでみたらしと書かれています。
あれ?みたらいじゃないの?って思いましたが、調べてみるとどうやら御手洗と書いてみたらしと読むそうです。
御滝神社を越えると再び秋田杉の登山道に差し掛かります。
戸隠古道のように太い杉の木ではありませんが、それに劣らず細い杉の木が綺麗に立ち並び神々しさも感じられる登山道です。
そして宝蔵岳入口に合流し、後は行きと同じルートを歩けば駐車場に到着します。
最後に
太平山は標高1170mと決して高い山ではありませんが、秋田市街からシンボルのように聳えるその姿は古くから信仰の山である事を感じさせる山です。
登山道には珍しい天然林である秋田杉を見る事ができ、夏には花、秋には素晴らしい紅葉を眺める事もできます。
また、6月初旬から9月下旬の間には山頂の神社参籠所が開いているので、予約制ではありますが、宿泊可能なので、山頂からの御来光も楽しめそうです。
ぜひ、秋田市のシンボルである太平山に登り、絶景を仰いでみてはいかがでしょうか。