素晴らしき日本の景色たち

主に日本全国の山や景勝地、観光スポットを紹介します

大山登山|歴史を感じる登山道及び山頂の絶景を紹介します!

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6月の半ば、梅雨の晴れ間を狙い神奈川県の大山を登りました。

4月に緊急事態宣言が出され、3月の丹沢山登山を最後に2ヶ月以上山に登っていなかったので久しぶりの登山。

神奈川は私にとってホームという事もあり気軽に足を運ぶ事が出来る山域なので、以外に近場の山は登っていませんでした。

コロナ騒動で数ヶ月登山を自粛し、6月に緊急事態宣言が解除されたものの、県外の移動は控えるようにと指令があったので、まだ登っていない有名な大山を選択しました。

今回は定番の大山ケーブルから大山阿夫利神社の下社を経由し山頂に至るまでのコースを選択したので、登山道の様子や山頂からの絶景と注意事項をお伝えしたいと思います。

大山のアクセス、駐車場

アクセス

 

車の場合:東名高速道路、厚木インターを降り、国道246号経由で約40分

公共交通機関の場合:小田急線伊勢原駅下車、北口の4番線神奈川中央交通バスより、伊10大山ケーブル行きで約25分

駐車場

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駐車場は第一、第二駐車場があります。

使用料は高いですが、一番近いのは第二駐車場です。

使用料は、第一駐車場が一日600円、第二駐車場が一日1000円、その他民営駐車場もあるとの事です。

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第二駐車場の隣にはトイレもあります。

ケーブル駐車場~阿夫利神社下社

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今回のルートはケーブル駅から男坂経由で下社まで行き、富士見台を通り山頂、見晴台、二重滝を歩き、帰りは女坂経由で大山寺に立ち寄るコースです。

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さて、ここから大山ケーブル駅に繋がるこま参道を歩きましょう。

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ケーブル駅まではご覧の通りお土産屋さんや宿泊施設などが立ち並んでいます。

江戸以降御師の活躍により庶民にも大山信仰が広がり、大山講がつくられた事により宿泊施設を兼ねた御師の家が大山山麓に多く建てられたそうです。

趣のある宿泊所も多いのは御師の家の名残だと思われます。

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また、このこま参道には多数のお土産もあります。

元々は修験道の山として、山伏達の修行の場として開かれた大山も江戸時代には物見遊山的な山へと変化し、多くの庶民や旅人達を招き入れるためにこのような様子になっています。

信仰登山という真面目な面を持ちつつ、娯楽やレジャーという遊びを取り入れながら大山参りが大ブームになったと言われています。

この参道だけでなく、駐車場より下の道沿いにも多くの宿泊施設やお土産屋が多く、いかに大山講の御師たちの努力の結果を感じる事のできる参道ですね。

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ケーブル駅まで登ってきました。

ここからいよいよ本格的な登山道に差し掛かります。

気を引き締めて登りましょう。

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ここでいきなり分岐点。

男坂と女坂の二つに分かれますが、後で合流するので基本どちらでも構いません。

が、どちらかというと男坂の方が急で足に負担がかかると思うので、自信の無い方は女坂を登る事をおすすめします。

ちなみに私は帰りに大山寺を寄るつもりだったので、行きは男坂、帰りは女坂を選択しました。

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坂という名前ですが、いきなり急な階段になっています!

写真だとよく分かりませんが、もの凄い角度です。

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いきなり階段を登りましたが、この男坂ほとんど坂ではなく階段です…

階段はこのような造りで、恐らく行者によって作られた階段だと思われます。

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写真で見るとわかるように、真ん中が窪んでいますね。

恐らく今まで何人もの人々が歩いた事によってこのような形になったのではないかと思われます。

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苔混じりの石段が何とも趣のある登山道を表現していますね!

六根清浄!六根清浄!と声をかけながら行者たちが一歩ずつ山頂を目指す様子が想像できます。

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長い男坂を終え、下社手前には茶屋があります。

ここでは有名なルーメソが食べられます。

ルーメソって何だ?と思いますが、普通のラーメンだそうです…

のれんを間違えて付けた事から始まったそうで、今では大山名物の一つとして人気を集めています。

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おっ!

茶屋から先はどうやら下社のようです。

早速参りましょう!

阿夫利神社下社~山頂

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阿夫利神社の下社に到着しました。

ケーブルは下社まで繋がっているので、登山者でない方もここまでは気軽に来られますね。

6時半前なのでほとんど人もおらず、ゆっくりお参りできました。

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下社からはご覧の通り景色も素晴らしいです。

江ノ島、三浦半島、房総半島まで見渡せるスペシャルビューを味わってみては?

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さて、私は登山者なのでここから先も歩いて山頂を目指しましょう!

社殿の横に山頂までの登山道があるのでそちらに向かいます。

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入口が鳥居になっていて、いかにも修験の山という雰囲気が漂っています。

男体山の入口も確かこんな感じだったと思います。

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長い階段を登り終えると本格的な登山道になります。

と言ってもここから先は特に危険箇所も無いので安心して登れます。

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暫くするとこのような木が現れます。

これは夫婦杉と言い、その名の通り途中から二手に分かれて木が伸びています。

分かれていますが、まるで寄り添い仲睦まじい夫婦のように見える事からこのような名前になったとか。樹齢は5、6百年経っていると書かれています。

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途中には様々な石や岩石が点在しています。

中には名前の付けられた岩や石もあるので、楽しみながら登れると思います。

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分岐点にやってきました。

山頂まで40分だそうです。

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この分岐点にはこのような石碑が立てられています。

現在は神仏分離の下で神仏習合の象徴である権現思想は無くなりましたが、場所によっては今でも権現として祀られている所もあるみたいです。

ここ大山も現在は神の山として山頂には神のみが祀られていますが、本来は神仏習合の象徴である石尊大権現が山頂に祀られていました。

かなり大きい石碑で、大山信仰本来の神仏を知らしめるかのように立てられていました。

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石碑から先は丹沢名物の木道が現れます。

が、そこまで長くないです…

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富士見台

大山唯一の富士山の展望所で、江戸時代にはここに茶屋があったそうです。

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木々の間から丹沢の山を手前に眺める富士山も絵になりますね。

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さて、富士見台からはあと少しで山頂です。

この鳥居を潜れば山頂の奥社に到着します。

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時間が早いのか分かりませんが、奥社は閉まっていました。

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現在は大山阿夫利神社の奥社として鎮座していますが、明治以前は石尊社として石尊大権現がここに祀られていました。

その石尊大権現となる巨岩があるそうで、探したのですがそれらしき巨岩は見当たりませんでした…

やはり今はお社の中に祀られているのでしょうか?

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奥社からの眺めです。

奥社からは南西方面の展望が楽しめます。

奥の方に薄く見えるのは恐らく伊豆半島だと思います。

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江ノ島もしっかり確認出来ます。

やはり下社よりもこちらの方が眺めいいですね。

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そしてついに大山山頂に標識に到着です。

ここからはあまり景色は見えません。

大山山頂~見晴台

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さて、先を急ぎましょう。

トイレは少し下った所にあるみたいですね。

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階段を下った所にトイレがあります。

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トイレの反対にはこれまた素晴らしい絶景が広がっていました!

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こちらからは南東方面の関東平野を一望できます。

ご覧の通りどこまでも続く平らな絶景。

横浜、東京方面がずらりと並び、スカイツリーもはっきりと見える、まさに抜群な展望です。

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さぁ景色も堪能したので、見晴台へ行きましょう。

ここからは下りになります。

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危険箇所はなく、特に急な坂でもないので安心して歩けるルートです。

天気もよく、緑が美しい登山道でした。

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2.2km下るとようやく見晴台に到着します。

見晴台は大きな東屋が建てられ、後ろには多くのテーブルとベンチが完備されています。

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広さも十分なので、ここで少し休憩しましょう。

それにしても…妙にテーブル多くないですか?

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見晴台という名前なので、大展望!と思いきや、意外に景色はそこまで見えません…

というか、先ほどの山頂からの方が展望は素晴らしかったと思います。

まぁここはここでベンチに座りながらゆっくり眺めるのも悪くないです。

なので、大絶景を十分に堪能したければ山頂で時間を費やした方が良いかもしれません。

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東屋から振り返るとこんな感じ

目の前に大山の山頂部がドーンと姿を現します。

見晴台はこの光景が見どころなのでは?と思いましたねー

見晴台~阿夫利神社下社

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さぁ休憩も取ったので、下社へ向かいましょう。

ここからも下りが続きます。

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木漏れ日が何とも清々しく、気持ちの良い散歩です。

所々狭い箇所もありますが、危険を伴う道はありませんので安心して歩ける道です。

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暫く進むとお社とその後ろには滝が見えます。

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二重社という名のお社で、高おかみ神が祀られています。

この高おかみ神は水神で、後ろに滝がある事から龍神にもたとえられ、調べてみるとかつては小天狗と称されていました。

先ほど、明治以前は山頂には石尊大権現が祀られていたと述べましたが、石尊大権現は大天狗と小天狗を同時に祀る特徴があるみたいです。

山頂には本社を中心に奥社と前社があり、前社にはこの高おかみ神が祀られている事から、奥社にはかつて大天狗が祀られていたのではないかと推測できます。

余談ではありますが、私は以前群馬県の富岡市にある鍬柄岳という山を登り、その山は山そのものが大きな岩山になっていて山頂には石尊大権現が祀られていました。

その時も石尊大権現の他、両隣りに大天狗、小天狗が同時に祀られているのを確認出来ました。調べによると、鍬柄岳の石尊大権現もどうやら雨乞いとしての性格を持っているらしく、恐らく鍬柄岳も大山講の御師によって開かれた山だと思われます。

鍬柄岳の様子を知りたい方はこちらの記事をどうぞ↓

www.narisuba.com

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震災前には滝壺のほとりに樹齢千年を超す老杉が生えていたそうで、その杉はのろい杉と呼ばれ、丑の刻参りの呪い人形を打ち付けられた杉と伝えられています。

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残念ながらその杉の木は現在ありませんが、二重社の前に立派な杉の木が生えています。

ひょっとしたら釘の跡がどこかにあるんじゃないか!と、恐る恐る近づいて釘の跡が無いか確かめましたが、やはり釘らしき跡はありませんでした…残念…

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二重社から数分でこの階段に到着し、これを登れば先ほどの売店にたどり着きます。

女坂、大山寺を経由に駐車場へ

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さて、行きは急な階段地獄の男坂を登りましたが、帰りは女坂を下りましょう。

と言うのも、女坂の途中にある大山寺も参拝したいので帰りはこちらを選んだ次第です。

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女坂の様子

どうでしょう?

こちらも急な階段が続き、登っている人はみんな辛そうでした…

若干女坂の方が角度は緩やかに思いますが男坂とあまり変わらないですね。

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おや?

これはどうやらケーブルカーの線路のようです。

通るシーンを撮りたかったのですが、待っていても来ませんでした…

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女坂には女坂七不思議という、不思議なスポットがあるみたいです。

登り下りをしながら見つけるのも楽しみの一つですね。

ぜひ探しながら歩いてみて下さい。

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途中に大山寺があるのでそちらに寄ってみましょう。

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立派な本堂ですね。

この大山寺は明治以前は現在の下社の場所に位置し、奈良時代の755年に僧良弁によって雨降山大山寺として開山されました。

つまり、本来はこの場所に寺は無く、明治以降神仏分離に伴い大山寺はこちらに移動されたという事になります。

本尊は鉄造不動明王で、鉄で造られた中では最も大きい不動明王だそうです。

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駐車場のところに昔の大山の浮世絵が展示されていたので撮らせていただきました。

これは安政5年(1858)に描かれた大山の様子で、山頂に雨降神社、現在の下社の位置にかつての大山寺の様子が描かれています。

絵を見れば分かるように、大きな仁王門や本堂など大山寺が立派に描かれています。つまり、江戸時代までは大山は壮大な仏教寺院として開かれていた事が確認できます。

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本堂からもご覧の通り少しではありますがよい景色を眺められます。

秋には境内一面紅葉で色づくそうなので、秋に訪れるのも良いかもしれません。

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更に下ると龍神堂がありました。

これは元々二重滝にあったお堂で、神仏習合時代には八大龍王が祀られ、修験者たちの水垢離、禊場であったと思われます。

滝という字に注目してみると分かるように、竜にさんずいが付いていますね。

つまり、竜は水を司る生き物として古来より考えられ、滝の近くには龍神が祀られている事が多いです。また、水が流れるその姿が竜に似ている事からも考えられているそうです。

本来ならば取り壊されていたかも知れない大山寺やこの龍神堂が残されている事から、やはり大山信仰は多くの民衆から篤い崇敬を受けていた事がこのような跡から感じられますね。

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下ろう!下ろう!女坂を下ろう!

女坂とはいえ、すれ違う方々の表情は険しいです。

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途中こんな伝説も…

空海さんが爪だけで、しかもたった一夜でこの石仏を彫刻されたとの事です…

このような類の伝説、他の寺でもよく見かけるのですが…空海さん、あなたどんだけスゲーんだっていつも思いますねー

しかし、私には聞こえるよ!

あの世から空海さんが「そんな事できるワケねーだろーー!」って事を!

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空海さんの怒りのツッコミはさておき、これまた空海さんの伝説…

次はなんと!空海さんが岩に杖を突いたら水が湧いたという伝説

凄いですねー!空海さんは水も操る事のできる魔術師でしょうか?

モーゼによる“海割りの術”といい勝負が出来そうですねー

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魔術バトルはこちらに置いといて~、これが空海さんの術で湧いた湧水です。

狭い箇所から滑らかに湧いています。

手ですくって飲んでみましたが、冷たく非常に柔らかいお水でした。

空海さん、ありがとうございます。

おいしくいただきました。

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弘法の水から歩いて10分くらいでケーブル駅に到着します。

後は元の道を歩くだけです。

最後に

今回の大山登山は主に車で日帰りしたい方向けのコースを紹介しました。

麓の宿坊群から下社、奥社へと向かう古来の信仰登山が行われていたコースなので、歴史を感じられる登山が楽しめると思います。

また、大山は独立峰に見えますが、様々なコースに繋がっているので、縦走したい方にもおすすめの山です。

今回登った登山口周辺には食事処や大山土産も豊富なので、観光のみの方にもおすすめなので、気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。