桜の時期を終えた四月の中頃、高山にはまだ残雪が見られるこの季節に残雪の影響のない素晴らしい展望の山を求め、富士山の外輪山である毛無山、十二ヶ岳、鬼ヶ岳まで縦走しました。
今回登った山々は富士五湖の一つである西湖の正面に位置し、十二ヶ岳は一から十二までのピークがある為に十二ヶ岳と呼ばれています。また、山容はギザギザとした形で、所々鎖場や岩場などスリルを味わえる登山道になっています。
正面に西湖、更にその先に聳える雄大な富士山との光景が素晴らしく、十二ヶ岳までの道のりは険しいですが途中からも常に絶景を味わえる登山道が話題を呼んでいます。
今回は毛無山登山口から毛無山、十二ヶ岳、鬼ヶ岳、雪頭ヶ岳経由で下山後は西湖沿いを歩いて登山口へ戻る周回コースを選択しましたので、登山道の様子や大絶景をお伝えしたいと思います。
十二ヶ岳のアクセス、駐車場
アクセス
中央道河口湖IC及び富士吉田ICから車で約20分。
公共交通機関をご利用の方は河口湖駅より周遊バスが出ています。詳しくは富士急行バスHPをご覧ください。
駐車場
道路沿いに登山者用駐車場の看板が立てられているので、それに従って進むと駐車場に到着します。住宅地にある駐車場で分かりにくいですが、駐車場を示す看板がこまめに立てられているので迷う事はないと思います。
毛無山登山口~毛無山山頂
駐車場が民家の中にある為、登山口も民家の中にあります。
駐車場を出て矢印の方へ進みます。
ほんの1分くらいでこの場所に到着します。
ごみ回収のカゴが目印で、分かりにくいですがこの細い道を進んで行きます。
途中に墓地がありますが気にせず進んで行きましょう。
暫くすると分岐点に差し掛かり、道路沿いからの登山道とここで合流します。
地図上では道路沿いの登山口から登るように書かれていますが、今回紹介した登山口からの方が若干近いですね。
さて、ここから本格的な登山道に差し掛かります。最初の方は似たような道が続きますが、そこまでの急登ではないのでご安心を。
登りの最中は景色は見えずただひたすらに登るだけです。
途中平坦や若干の下りに差し掛かる箇所が見られます。安心しているとすぐ登りになるので気を緩めず行きましょう。
高度が上がってくると坂も急になりますが、それと同時に視界も開け、振り返ると山頂ではありませんが富士山の姿を確認できます。
途中から富士山が見えるとつい立ち止まって眺め続けてしまいます!
それほど富士山の存在感は半端ないという事ですね!
登山口から1時間で毛無山山頂に到着しました。標準より30分くらい早くたどり着きました。
毛無山からは富士山の絶景を楽しめます。というより富士山方面しか展望はありません。
手前の湖は河口湖で、河口湖が見えるのはこの毛無山だけなんですね。
しかもギリギリ端っこだけです。
山頂は広く、大勢で富士山の絶景を堪能できるスペースです。
毛無山~十二ヶ岳
さて、富士山の絶景を楽しんだので再び登山へ戻りましょう。
ここから十二ヶ岳まで尾根歩きが始まります。名前を見てピンっとくるかもですが、一ヶ岳から十二ヶ岳までそれぞれピークがあり、狭い道や岩場、所によりロープや鎖場も点在するルートです。
そこまでの難易度ではありませんが、垂直に近いロープや腕力任せの箇所もあるので、岩場や鎖に慣れていない方は厳しいかと思います。
ご覧のように各ピークには看板が立てられていますが、ピークといえどもそこから景色は見えるのかと言えば見えません…
これは恐らく十二ヶ岳まで均等に設けられ、十二ヶ岳までのカウントダウンだと思えばよさそうです。
地図では十二ヶ岳まで危険マークが数ヶ所見られますが、一から四のピークまではほとんど岩場や鎖も無く、すんなり歩けるコースです。
最初の絶景ポイントは四ヶ岳でしょうか。
視界が開け、再び富士山が現れ、ここでようやく西湖が見えてきます。そしてこれから歩くであろう山々も見渡せます。
先に見えるあれが十二ヶ岳かな?
1600m台の山ですが、これらの山は鋸のような姿をしているので、風格はありますね。
四ヶ岳から先はいよいよロープや岩場が目立つコースになります。
登りよりも下るロープが多いので、ここは慎重に行きましょう。
その後はアップダウンが続き、特に難しい箇所は無く進めますが、油断できない場所もあるので慎重に行きましょう。
おっ!これはもしや!八ヶ岳ではないか!!
一から順に登って七ヶ岳を通り過ぎ、次はあれか…と思っていましたが、案の定八ヶ岳でしたねw
まぁ、八ヶ岳登ったぞー!って送っても、本場八ヶ岳の最高峰は赤岳なので山をやっている人には伝わりませんね…はいっ
八ヶ岳から十一、十二ヶ岳までの道のりが核心部だと思います。地図での危険マークもこの辺りに付けられています。
十二ヶ岳手前の十一ヶ岳への登山道は急登とロープ場が目立ち、いよいよ核心部のエリアに入ってきたと実感できます。
これも苦戦するであろう十二ヶ岳手前の急な下り。
一旦下って再び登るコースですが下りも急でしかも長く、しっりロープを握っていないと滑り落ちてしまいそうな下り坂です。
そして十二ヶ岳手前で一番注目されている吊り橋に到着です。
よくネットで紹介され、一度渡ってみたかったのでこの山を登ったと言っても過言ではない!そんな吊り橋が目の前に登場!
どうです?
何でしょう、手作り感満載な橋であらゆる方向にロープが張られています。
実際目の前にしましたが、橋の下はそこまで高くないので恐怖感はあまり感じませんでしたが…
むしろ渡り切った後の鎖が怖いな~って思いますね。
しかもこの看板の、ひとりずつ渡れ!という言葉、何か余計に不安を煽るような…この橋本当に大丈夫?ってなりますが…
正面から
さて渡ろうか!と思いましたが、なんという事でしょう!出だしの部分が物凄く反っていてどうやって靴を乗せればいいか分からん…
十一ヶ岳から十二ヶ岳の間にある例の吊り橋、冗談抜きに一人ずつじゃないと危ない💦
— あおすけ (@aosuke32) April 24, 2021
こんな揺れる吊り橋初めてかも🤔 pic.twitter.com/MgQiJBzPcE
まぁ言葉じゃあまり伝わりませんので動画をご覧くださいな!
たった数メートルの橋ですが、渡るときに凄く揺れます!
バランスを崩したら落っこちるのではないかという恐怖心も起こります。
渡り切って振り返る。改めて見ると凄い橋だ!高さが無いのが救いですね…
恐怖の吊り橋を越え、十二ヶ岳へ向けてのラストは鎖場です。
ここから視界が開けてくるので、崖を登っているように感じますが、思うほど角度も無く足場もしっかりしているので鎖場のレベルはそこまで高くはないと思います。
振り返るとこんな感じ
むしろ富士山以外の山々がようやく見渡せるので、感動の方が大きいですね。絶景を眺めながらの鎖場は楽しい!
鎖場を終えたら5分10分で十二ヶ岳山頂に到着します。この辺はすんなり進めます。
そして遂に一ヶ岳から順に十二の峰を渡り切り、十二ヶ岳山頂に到着です。
西湖がいい感じの位置にやってきました。
展望は富士山と西湖の他、西を向けばちょこんと大室山と青木ヶ原樹海、そしてまるで結界のように富士山の外輪山が立ち並んでいます。あと、目を凝らすと微妙に本栖湖も見えます。
青木ヶ原樹海を眺めると恐ろしいほど広く、まさに樹海って感じがしますね。あそこに紛れ込んだら果たして帰って来れるのだろうか…そんな思いで見つめていました。
富士山は何度眺めても飽きませんね。綺麗な成層火山ですが、富士山って見る角度で微妙に形が違うんですよね。山梨側から眺めると男富士、静岡側から眺めると女富士と言われていますが、これは見比べてみないと分かりませんね…
その理論だと今眺めている富士山は男富士になるのですが・・・どう見ても美しい女性らしい姿ですね。
山頂には祠が二つあり、寛げるスペースもあります。
十二ヶ岳~鬼ヶ岳、鬼ヶ岳の大絶景
十二ヶ岳を登り、富士山の絶景を満喫しましたが、まだまだ凄い景色が待っているので先に行きましょう!
鬼ヶ岳までの道のりは途中の金山までは急な坂や岩場鎖場が待ち構えています。
所により狭い岩場や崖道もあるので油断の出来ないコースです。
十二ヶ岳に近い所は鎖場や岩場が目立ちます。そこまで難易度は高くないので、慣れている人には楽しい登山道です。
金山までは展望の開けた登山道を進み、途中何度も止まって写真を撮りたくなるような光景が広がります。いつもの癖でなかなか先に進みません…
絶景コースを終えると金山まであと少し、歩きやすい坂を登ると金山山頂に到着します。
金山山頂は分岐点になっています。ここから鬼ヶ岳方面、節刀ヶ岳方面へ分かれます。
あまり山頂らしくないですが、富士山はよく見えました。
金山から鬼ヶ岳までは緩い下りと登りがあるだけで、特に危険箇所はありません。先ほどの岩場や鎖も登場せず、安心して進む事ができます。
そして三度目の絶景ポイント、今回登った中で一番高いピークである鬼ヶ岳山頂に到着です。
ここからの展望は先ほどの西湖の他、毛無山で辛うじて見えた河口湖が再び眺められ、更に奥を覗くとなんと!山中湖まで確認でき、富士五湖の内三つを眺められる山頂なんです!
毛無山から今までほとんど富士山の展望でしたが、ここからは南アルプスと八ヶ岳も眺められるスペシャルな展望です!
北西を見るとご覧の通り南アルプスが見事一列に並んでいるではありませんか!
一番右の尖った山が恐らく甲斐駒、真ん中より少し右にある三角が北岳かな?
残雪がまるで南アルプスの天然水のラベルのようで、何とも美しい光景ですね。
南アルプスの真正面に聳える神々しいお山は八ヶ岳です。八ヶ岳って縦長に連なるイメージがありますが、見方によっては独立峰にも見えますよね~
八ヶ岳と南アルプスの一部
実はこの奥に薄っすら雪山が見えるのですが、位置的に北アルプスじゃないかと思います。超望遠レンズだったら明確に分かるかも知れませんね。
下界は甲府市や甲斐市、南アルプス市でしょうか?それにしても丸見えですw
奥秩父方面もしっかり確認できます。
金峰山と瑞牆山ってどれでしょうね?共に2000mを遥かに超えている山ですが、いつもどれだか分かりません…
本栖湖が近づいてきました!
本栖湖が見えるという事は富士五湖の内、四つ見えるという事ですね。
山頂は縦に長く大きな岩が目立ちます。
岩に登ると360度の絶景が見れますが、足元に注意しましょう。
鬼ヶ岳~雪頭ヶ岳経由で西湖まで
さて、縦走はこの辺で終了!
これより先は下りに差し掛かります。地図を確認すると精進湖、本栖湖方面の外輪山まで繋がり、大縦走も可能な登山道ですが、今回は日帰りなので鬼ヶ岳から下るルートを選択します。まだまだ先も絶景が広がるコースなので、機会があれば縦走したいですね。
さぁこれから下りだ!と思っていたその時、目の前にこんなハシゴが現れました!
岩場に取り付けられているそうですが、なんか不安に感じます…
しかし、割としっかりとしたハシゴなので、あまり恐怖は感じません。
むしろ下っている途中、このように南アルプスの絶景が広がり、テンションが上がりました!何とも贅沢なハシゴですね。
見上げるとこんな感じ
別にハシゴじゃなくてもいいように思えるのですが…
途中、先ほどのハシゴが見えました。
遠くから見ると恐怖のハシゴのように見えますね!
ハシゴから2、3分で雪頭ヶ岳に到着
標識が手作り感満載でいいですね~、最近作られたのかな?
ここからは南アルプスのみ一望できます。
暫く進むと視界の開けた広い展望所に到着します。
なんとここからも富士山と西湖がはっきり眺められます。
実はネットの情報で、十二ヶ岳や鬼ヶ岳よりこの雪頭ヶ岳から眺める富士山が一番いい!と書かれていたのを思い出し、この光景を目の前にして確かに!っと一瞬で感じました。西湖と富士山が見事に一直線に並び、これぞまさにベストショットという配置になっています!
展望所はこんな感じ
まるでスーパーアイドル富士山を眺める為に設けたステージのようになっています。
ひょっとして誰かが作ったのではないか…
何でしょう…まるでスーパーアイドル富士山が「さぁ、私を美しく撮りなさい!」と挑発してくるように感じたので、つい私も(・∀・)イイネ!! (・∀・)イイネ!!と言い体をクネクネしながら富士山を撮り続けてしまった…
さて、変態カメラマンはさておき、ここからは下りのみで展望ともおさらばです。
最初は急な下り坂が目立ち、ロープを使う所が多いです。
下界に近づくにつれ緩やかで歩きやすい道に差し掛かります。木漏れ日の気持ちいハイキングですね。
暫くすると民家が見えてきます。平坦な道が続きもうじき道路が見えてくる気配を感じます。
そして遂に県道21号に到着です。すぐ目の前に駐車場とトイレが完備されています。
こちらからスタートしてもよさそうですね。
登山口まで西湖沿いを歩こう
さて、ここからは元の登山口まで西湖沿いを歩かなければなりません。
県道21号を東に向かって進んで行きましょう。
西湖は富士五湖の中で四番目に大きく、水深は71.1mと第二位で大きさはそこまでありませんが歩くとなるとやはりそれなりの大きさを感じます。
歩道はありませんが、自動車や自転車が常に通っているので歩くときは注意しましょう。また、登山のようなアップダウンもなく平坦な道のりで、富士山と西湖のコラボが何とも素晴らしい光景です。
途中下りれる箇所があるので、西湖を間近で眺めるのもいいかもしれませんね。
先ほどの十二ヶ岳登山口からやっと毛無山登山口まで戻ってきました。
何だかんだで1時間くらい歩きます。途中、温泉や食事をするともっと時間がかかってしまうので下山後の時間も考えましょう。
おすすめ温泉、いずみの湯
先ほどの登山口から半分くらいの所に日帰り温泉施設のいずみの湯があります。
道路沿い唯一の日帰り温泉で、スタートに戻りがてら寄ることの出来る便利な温泉施設です。
ここから毛無山登山口までもうしばらく歩くので、車の方は一旦登山口まで戻り改めて車でお越しの方が良いと思います。
温泉は内風呂と露天風呂付きで、お風呂の他食事処や休憩所も併設されています。更に宿泊施設も兼ねているので、登山以外でもおすすめの温泉施設です。
最後に
今回縦走した毛無山から雪頭ヶ岳までは終始富士山の眺めを楽しみながら登る事のできる登山道です。
富士山の外輪山は標高もさほど高くなく、危険箇所も少ない道ですが、十二ヶ岳前後は岩場や鎖場などもあるので、景色だけでなく多少のスリルを味わいたい方にはおすすめな縦走路です。
今回歩いた外輪山はほんの一部に過ぎず、富士山の外輪山はまだまだ先に続き、長い時間をかけて微妙に異なる富士山の表情を感じながら縦走するのもいいかもしれません。