梅雨入り前の6月上旬、徐々に山の雪解けが終わりに向かうこの時期に東北の南部である福島県の磐梯山並びに安達太良山を登りました。
磐梯山は福島県のほぼ中央に位置し、吾妻連峰の西部に位置する独立峰の山で、見方によって美しく見えるその姿は会津富士とも呼ばれています。
独立峰で成層火山の磐梯山は二度の山体崩壊を起こし、明治22年の噴火による山体崩壊で現在の姿となりました。噴火から130年余りしか経っていないその姿は山体崩壊の激しさを物語っているようで、まさにジオパークに相応しい山容です。
さて、そんな噴火からの歴史が浅く現在はジオパークとして認定された磐梯山を梅雨入り前の素晴らしい天気の下で登ったので山頂からの景色や登山道の様子をお伝えします。
磐梯山のアクセス、駐車場
アクセス
車の場合は磐梯道磐梯河東ICより県道64号、磐梯山ゴールドライン経由で約30分
公共交通機関の場合はJR磐梯西線磐梯町駅よりタクシー
八方台駐車場
登山口の目の前に無料駐車場、70台停められます。満車の場合は手前の第二駐車場(50台)に停められます。


駐車場には24時間利用可能な公衆トイレもあります。
和式ですが、水洗式でペーパーは完備されていました。
八方台登山口~弘法清水小屋
バスから一般車まで幅広く停車されている八方台登山口からスタートです。
スタート直後はご覧の通りブナ林の登山道になっています。
この一帯に生えているブナは樹齢100年程で、明治の噴火の際に多くの木々が吹き飛び被害を受けましたが、また新たに育ったブナです。
噴火から100年足らずで再び生い茂り、ブナの生命力を肌で感じます。それにしても新緑が綺麗ですね。
暫く進むと何やら硫黄の匂いがきつくなってきます。
どうやらここが中ノ湯跡という場所のようです。
正面のピラミッド型の山が磐梯山ですね。
池のように見えますが、どうやら温泉のようですね。
目を凝らしてみるとブクブク温泉が湧いている様子が分かりました。
地図に有毒ガス発生箇所と書かれているので長居はしないようにしましょう。
隣には廃墟があります。立ち入り禁止で中に入れませんが、かつては山小屋?として運営されていたのでしょうか?もしそうだとしたら温泉も入れたのでしょうね。
さて、ここまで緩やかな登山道でしたが、ここから本格的な登山道になります。
しかし危険箇所は無いので安心して登る事ができます。
先ほどと同じくブナがたくさん生えていますね。
大きな岩場もたまに登場しますが、基本歩きやすい道です。
展望は無く、だだひたすら歩くだけの登山道ですが、隙間から桧原湖が見えました。
登山の途中にこのような光景を見ると何故か止まってしまいますね。まぁ展望は山頂に着いてからゆっくりと眺めましょう。
暫く進むと分岐点に到着します。
山頂直下にある岡部小屋と弘法清水小屋へ向かうのに何故か二つのルートが存在します。お花畑とは何でしょう?花でもたくさん咲いているのでしょうか?
私は右の弘法清水の方へ進みました。
弘法清水までは急な登りではなく、緩やかな道でした。
そして広場に到着し、二つの山小屋がありました。
手前は岡部小屋で、先には弘法清水小屋があります。
帰りがけに立ち寄ると、弘法清水小屋は開いていました。
綺麗な山小屋で、恐らく宿泊はやっていないと思います。小屋の中は綺麗でお土産や軽食、カフェが揃っていて、つい休憩したくなるような雰囲気でした。
弘法とは恐らく空海の事ですが、実は磐梯山に空海が来たという事実はないそうで、麓にある恵日寺が真言宗に改宗された時に空海伝説は創られたそうです。
まぁ登山者にとって小屋の名前は特に気にしないでしょうね…
小屋の前は広く展望も素晴らしいです。
特に櫛ヶ峰の荒々しい姿は迫力あり、火山であるという実感が湧きます。
現在はここからも展望がよいのですが、明治の噴火前には磐梯山と櫛ヶ峰の間には小磐梯という山が聳え、今とは全然違う光景だったのでしょうね。
弘法清水という湧き水、いわゆる磐梯山の天然水が飲み放題です。
弘法清水小屋~磐梯山山頂
さて、ここから磐梯山の最高峰へ再度出発です!
登山道はラストスパートらしく急ですが、よく整備されているので登りやすいです。
途中から既に絶景の見える登山道なので、つい止まって写真を撮ってしまいます…


そして遂に磐梯山頂の標識が立てられていたので山頂到着!と思いましたが、ふと上を見上げると、どうやらてっぺんはこのガレを登った所ですね。
それにしても何で標識がここにあるのでしょうか?
磐梯山山頂の大展望
さて、展望ですが独立峰ならではの360度の大絶景です!
目の前に巨大な猪苗代湖が出現します。車で近くを通るだけでかなり大きな湖と分かりますが、磐梯山から眺めるとその全貌が明らかになります!
猪苗代湖は町にぽっかりと空いたクレーターのように丸く、国内で4番目に大きい湖というだけあって、一周するのに時間がかかりそうです。(実際ぐるり回ってみましたが、かなり時間かかりました…)
少し視線をずらすと会津若松市が見えますね。遥か遠くには平ヶ岳や武尊山なども確認できるそうですが、少しモヤっとしていて見えません。
朝一に登った猫魔ヶ岳、奥に聳える神々しい姿の雪山は飯豊山です。こちらははっきり確認出来ました。7月ですが2000mを越える東北の山はまだ雪山なんですね。
ちなみ猫魔ヶ岳の向こう側に雄国沼という猫魔ヶ岳のカルデラ湖があるんですが、ここからは見えません。
山肌に見えるのは道路でしょうか?それともロープウェイかリフトですかねぇ?


拡大してみました!
左が中ノ湯跡、右が駐車場にある待合所ですかね。
まるでぽつんと一軒家のように写っておもしろいです。山頂ではいつもこんな遊びをしますw
北を向くと目の前に桧原湖が見えますね。現在は美しい湖に見え、観光スポットになっていますが、明治の噴火により岩なだれが生じ、川を堰き止めた事で生じた湖です。
噴火当時は恐ろしい光景であったと思いますが、僅か百数十年でこのような光景に変化する事が不思議に思えます。
奥には月山が見えるはずですが、うーん…こちらもモヤで見えないですね…
拡大です
噴火により誕生した湖は主にこの桧原湖と小野川湖と秋元湖の三つに分かれます。
桧原湖はその中で一番大きく、見どころ満載の観光スポットになっています。湖の中に島がぽつんぽつんと点在し、まるで瀬戸内海の島々のような絵になる光景ですね。
その他湖以外に小さな沼が数多く存在し、ハイキングがてら様々な沼を楽しむ事ができます。下山後に裏磐梯方面を散策するのもおすすめです。
吾妻連峰も良く見渡せます。
吾妻連峰最高峰西吾妻山から東吾妻山までなだらかな山容が続いています。
さすがに一日で縦走は無理なので、日数をかけて登ってみたいですね。
ちなみに以前東にある一切経山と吾妻富士を登りましたが、展望が素晴らしく特に一切経山から見える魔女の瞳が大変美しかったです。
最後に東を向きましょう。
左奥に翌日登った安達太良山が見えますね。
あちらも火山ですが、ここからだと独立峰には見えませんね。
しかし、雲が一つもなく、360度どこを見渡しても絶景なのが素晴らしいです!
最後に山頂の様子を
山頂はご覧のようにガレ場になっていて踏み外すとコケるので景色に夢中にならないように足元も確認しましょう。
また、ロープも張られているので、飛び出さないようにして写真を撮りましょう。
余力があればお隣の猫魔ヶ岳へ
八方台登山口の反対側には猫魔ヶ岳という山へ続く登山道があります。
猫魔ヶと、ちょっと変わった名前ですが、実はこの山には化け猫伝説が伝わりこのような名前になったそうです。
登山口から山頂まで一時間半かかるかかからない程度で到着し、標高差も200mくらいなので気軽に登れる山です。
特に有名な山ではありませんが、山頂からは猪苗代湖や吾妻連峰、更に大磐梯山の秀麗な姿を眺める事ができます。また、そこから更に一時間程で猫魔ヶ岳のカルデラ湖である雄国沼にも足を運ぶ事が可能です。
高山植物の群生地でもあり、特に6月中旬から7月上旬にかけてはニッコウキスゲが見頃を迎えるので、立ち寄る事をおすすめします。
最後に
磐梯山は吾妻連峰の中で安達太良山と共に独立峰の山で、山頂からは360度の大絶景を楽しめます。登山口から山頂までさほど遠くなく、隣の猫魔ヶ岳や雄国沼まで足を運ぶ事も可能です。
また、磐梯山は噴火により山体崩壊を招き見方によって大きく異なるので、色んな角度から眺めるのも楽しみの一つです。
百名山完登を目指している方は、すぐ隣に安達太良山もあり、こちらもロープウェイを使えばすぐ到達でき、一日二座登頂する事も可能なので、合わせて登られてみてはいかがでしょうか?