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【観光】噴火によって誕生した観光地、裏磐梯を訪ねてみた!

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日の出前に猫魔ヶ岳と磐梯山を登り時間も余裕だったので、下山後は磐梯山周辺の観光スポットである裏磐梯を散策しました。

裏磐梯には噴火で生じた三つの湖があり、その内の一つである桧原湖は最も大きく、湖周辺にはキャンプ場やホテルが充実し、見どころの多いスポットです。

今回は桧原湖を中心にドライブがてら気になった所を訪れ、更に五色沼をハイキングしたので、合わせて紹介したいと思います。

今回訪れた裏磐梯

地図

裏磐梯のアクセス

磐梯自動車道磐梯河東ICから県道64号、磐梯ゴールドライン経由で約40程で裏磐梯に到着します。

公共交通機関ご利用の方は、JR猪苗代駅から磐梯東部バスで約30分。

詳しくは裏磐梯観光協会のサイトをご覧ください。

www.urabandai-inf.com

明治時代の噴火により生まれ変わった裏磐梯とは?

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磐梯山を中心に南側を表磐梯、北側を裏磐梯と呼ばれています。

噴火以前の磐梯山北麓の裏磐梯は田園地帯が広がる穏やかな集落でしたが、日本で最大の悲劇と謳われるほど最悪の噴火という災害に会い、多くの犠牲者を生んでしまいました。

また、かつては小磐梯というピークが存在していましたが、この噴火による水蒸気爆発により小磐梯が崩壊し、それに伴い岩屑なだれを引き起こし磐梯山の北側に流れていた長瀬川を堰き止め、裏磐梯には三つの湖が誕生しました。

噴火直後の地獄絵図と化した磐梯山北麓はその後荒れ果てた土地に変貌し、噴火の恐ろしさ物語る光景であったに違いありません。しかし、その後は荒れ果てた地に10万本の植林に成功し、更に道路整備や温泉宿を建設させ、噴火後に生まれた湖を中心に観光地への道を歩み始めました。

長い年月の復興により現在は自然豊かな景勝地へと変貌を遂げ、東北を代表する観光地へ生まれ変わり、噴火と言う悲しい出来事を乗り越え、現在の裏磐梯は多くの観光客で賑わいを見せる場所となりました。

裏磐梯屈指の見どころ、五色沼

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明治時代の大噴火により長瀬川が堰き止められ、大小様々な湖や沼が誕生し、その数は300と言われています。その中でこの五色沼は磐梯山に最も近い沼群で、光の加減により様々な色を見せてくれる美しい沼です。

五色沼は柳沼、青沼、るり沼、弁天沼、竜沼、みどろ沼、赤沼、毘沙門沼の全て合わせ、赤、青、緑など多彩な色に輝く事からこのような名前が付けら、決して沼や色の数を表している訳ではないそうです。

桧原湖の裏磐梯高原駅が入口となり、ハイキングコースは約4kmほどで、散策に1時間程度かかりますが、じっくり散策すると1時間半くらいかかりました。

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入口には看板が立てられここからスタートです。

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スタート早々に綺麗な沼が現れます。

沼と言うより湖のようで、透明度が高く水中の苔もよく見えますね。

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散策路はよく整備され、アップダウンもないので歩きやすかったですが、地面をよく眺めると大小の様々な形の岩や石が埋め込まれ、所々デコボコになっている箇所もあります。これらは恐らく山体崩壊により流れた岩や石だと思われますね。

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柳沼から青沼の途中には五色沼周辺に様々な植物を10万本植林された遠藤現夢さんのお墓があります。

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暫く進むとお墓というより磐座のような巨大な岩があり、どうやらこれがお墓のようです。

五色沼周辺の木々や植物はこの方の植林事業によって10万本以上の植林によって生い茂り、散策路を見渡してみても人口で植えたように見えず、まるで自然に発生したかのような光景が素晴らしいです。

五色沼散策路もこの方によって生み出されたと言っても過言ではないですね。

余談ですが、東京の明治神宮の森も実は植林によって生まれた森で、人口に生み出されたにもかかわらず、まるで自然に造られた森のように感じた事を思い出しました。

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遠藤現夢墓を過ぎると青沼、るり沼、弁天沼と接近する綺麗な沼が現れます。

この青沼は名前の通り青に輝く沼から付けられたと思いますが、どちらかと言うとエメラルドグリーンに輝いていますね。太陽が雲に隠れると微妙な色でしたが、陽が射すと突然輝きだす神秘的な沼です。

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こちらはるり沼

正面奥に磐梯山が見えますね。五色沼の中では毘沙門沼とるり沼のみ磐梯山を眺める事ができます。しかし、るり沼と言いながら特にるり色ではなさそうですが、当初は瑠璃色だったんでしょうか?

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るり沼からすぐの所に何やら光り輝く青い沼が見え、期待感が湧いてきます。

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こちらは弁天沼と言い、恐らく毘沙門沼の次に大きな沼です。

遊歩道からではあまりよく見えませんが、有難い事に展望台が設けられているのでそこから眺めるとご覧の様な光景が広がります。

ここからは磐梯山ではなく、吾妻連峰の最高峰である西吾妻山を眺めることが出来ます。この日は天気も良くガスも発生していなかったので、青空と光り輝く美しい弁天沼と共に眺めることが出来ました。

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別の角度から

どこまでも続く青い沼、所々ベンチが設けられているのでこの美しい光景をじっくり堪能する事もできますよ。

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弁天沼を越え、ちょうど中間地点に竜沼、みどろ沼、赤沼と続けて沼が現れます。

この竜沼は鬱蒼として沼全体が見えません…

先ほどの沼に比べると神秘的というか何か出そうな雰囲気が漂っています。

竜と名前が付けられているので、竜の伝説でもあるのでしょうか?謎は深まるばかりです。

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竜沼の隣にはみどろ沼があります。

漢字では深泥沼と書き、湖底が泥深い事からそのような名前になったそうです。

濁りぎみで、所々赤かったり緑色になっているのが特徴です。これはプランクトンが多い事によりこのような色になっているとの事。美しさと不気味さを兼ね備えた沼ですね。

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お次は赤沼

名前の通り赤い沼かと思いきや、あれ?赤くないですね!

かつては赤く染まった沼だからそのような名前を付けられたそうですが、現在は淡くも綺麗な緑色の沼になっています。

しかし、沼の周りのが赤くなっていますね。鉄分が茎に付着して酸化されているのでこのように見えるそうです。調査によるとこの沼は鉄分やマンガンが多く含まれているとの事です。

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五色沼最後は毘沙門沼です。

毘沙門沼は五色沼の中で最も大きい沼で、沼と言うよりも湖と言ったほうがしっくりくるのではないかと思います。

縦に長い沼なので、暫く沼を眺めながら遊歩道が続いていきます。

しかし、名前が毘沙門となっていますが、毘沙門天と関係があるのでしょうか?

先ほども弁天沼という名前の沼がありましたが、仏教系の名前はこの二つですね。どこかに仏像が安置されているのでしょうか?個人的に気になるところです。

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五色沼の中で唯一ボート乗り場があり、訪れた時もボートを楽しむ方がいらっしゃいました。

毘沙門沼からはるり沼と同じく磐梯山を眺める事ができます。

残念ながらボートの波紋により、沼に映った磐梯山を見る事はできませんでしたが、ここが一番磐梯山の眺めが良いです。

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毘沙門沼にはお土産屋さんや軽食コーナーがあり、毘沙門沼を眺めながら食事をする事ができます。

柳沼と同じく駐車場やお土産屋が多いですが、毘沙門沼の方か一般観光客が多いように感じました。恐らくすぐ目の前にボートが楽しめる沼と磐梯山を同時に楽しむ事ができるからではないかと思います。

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おすすめは五色沼ソフトです。

五色沼のエメラルドグリーンをモチーフにしたソフトで、色鮮やかな沼と一緒に写真を撮るのもいいですね。ちなみにこのソフトは至って普通のバニラ味です。

磐梯山噴火記念館

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国道459号を歩いていると、突如立派な建物が現れます。

これは磐梯山噴火記念館という博物館で、磐梯山の噴火の歴史について展示されています。

一階と二階に分かれていて、一階は主に明治時代に起こった噴火について詳しく展示されています。当時は写真技術が乏しく、噴火の様子は殆ど絵で表現されていますが、その絵が妙にリアルで、当時の噴火の恐ろしさを必死に伝える様子が分かります。

二階は磐梯山周辺の自然や日本の火山についての展示で、更に気象観察についての貴重な資料も展示され見ごたえのある内容です。

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噴火記念館の反対側には磐梯山3Dワールドという、何だか興味深い名前の建物があり、磐梯山の噴火と周辺の春夏秋冬を巨大なスクリーンで、しかも映像が飛び出す3Dの大迫力で学ぶ事ができるので、博物館と合わせて訪れる事をおすすめします。

桧原湖をドライブ

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裏磐梯には三つの湖があり、その中で最も大きいのが桧原湖です。裏磐梯の紹介でも殆どが桧原湖周辺に注目され、キャンプ場やホテル、観光施設も桧原湖中心に展開されています。

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もちろん、桧原湖を一周ドライブする事もでき、途中には磐梯山の展望ポイントも設置され、気軽に立ち寄れる施設も多いです。

磐梯山展望スポット、中瀬沼

五色沼の向かい側、桧原湖の東部にも五色沼ほどではありませんが探勝路があり、そこにある展望所から眺める磐梯山が素晴らしいとの事で紹介します。

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道路沿いに数台停められる駐車場があり、この入口から展望台まで続いています。

入口には案内図が立てられています。距離も短く数分で到着します。特に登り箇所も無く道も整備されているので気軽に散歩できます。

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展望所からの眺めはこんな感じです。

目の前には鬱蒼とした森とそこから見える沼が何とも幻想的というか神秘的な雰囲気を醸し出しています。更にその延長上に、山体崩壊の様子がはっきりと分かる磐梯山が聳えています。

この場所は小磐梯から約6km離れた場所で、噴火により崩れた小磐梯の岩塊がここまで流れ出したそうです。つまり、今立っている地面は元々小磐梯の一部という事ですね!

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明治時代の噴火直後はこの一帯は草木が一本の生えず、まさに地獄のような光景であっただろう。しかしたった百数十年でこのような美しい姿を私たちの前に見せてくれるとは驚きです。

写真として残っていないのは残念ですが当時の地獄絵の光景と比べると、いかに自然は力強い存在である事を思い知らせる光景ですね。

見る角度によって違う磐梯山ですが、中瀬沼からは見事な姿を眺められます。

磐梯山の頂上からも素晴らしい絶景なので、登山を考えている方は登ってみてはいかがでしょうか。

www.narisuba.com

最後に

裏磐梯は明治時代の噴火以前の穏やかな集落とは一変し、現在は多くの観光客を招く風光明媚な光景へ変化しました。

今回は裏磐梯は特に観光スポットの多い桧原湖を中心に紹介し、色鮮やかな沼などをお伝えしましたが、キャンプ場や温泉など夏だけでなく一年の通して楽しめるスポットも多いです。

ぜひ、主峰磐梯山を眺めながら裏磐梯の歴史や伝統に触れ、噴火によって生まれ変わった素晴らしい自然を肌で感じ取ってみてはいかがでしょうか。