前日の磐梯山に続き、二連休の最終日はお隣の安達太良山に登りました。
標高は磐梯山より少し低い1700mで、鉄山、箕輪山、和尚山など様々なピークがあり、それらを合わせて安達太良山と呼ばれています。
最高峰の乳首という場所からは360度の大展望が楽しめ、更に安達太良山は沼ノ平と言う巨大な爆裂火口が見どころであります。
今回は一般的なロープウェイを使う奥岳登山口ではなく、爆裂火口をぐるり一周する事の出来る沼尻登山口からスタートしました。
終始興奮が止まらず、何度も立ち止まってしまうほどダイナミックな登山道です!
安達太良山、沼尻登山口のアクセス、駐車場
アクセス
猪苗代磐梯高原ICより19km、車で約30分、タクシーの場合はJR猪苗代駅より同じく約30分です。
駐車場
駐車場は広く50台ほど停められる駐車場になっています。
しかし、トイレは完備されていないので、トイレは国道115号沿いのコンビニで済ませましょう。
沼尻登山口~安達太良山山頂
さて今回も山頂に向けて参りましょう!
6月の半ばなので、朝の4時でもう明るいです!
この時期の登山は早めに行動出来るので得した気分ですね。
開始早々にビューポイントに出くわします。
ここからは白糸の滝という巨大な滝がよく見える展望台となっています。
美しい一本の滝が豪快に流れ落ちる様子が分かりますね。
実は滝のすぐそばを歩くバリエーションルートが存在しますが、現在は封鎖されているようです…


ダイナミックルートでありますが、最初の方はご覧の通り地味な登山道が続きます。
まぁどんな登山道でも最初の方はこのような登山道なので仕方ありませんね。
登山口から約30分地味な登山道を歩き続けるとようやく分岐点に到着します。
左は鉄山経由で山頂に向かうルートです。
今回は下山で使用するので、右側のルートに進みましょう。
爆裂火口はまだか?と思いますが、もうしばらくこのような道が続きます。
途中、急な登りもあり、ロープ箇所もいくつかありましたが特に危険ではありません。
徐々に視界が開け、吾妻連峰の山並みが見えていきます。
景色は山頂でじっくり眺めたい派ですが、登山の最中に視界が開けるとどうしても立ち止まってしまいますね…登山あるあるでしょうか?
おや?何やら巨大な火口が見えてきましたね。
どうやら左奥に見えるのが爆裂火口である沼ノ平です。
爆裂火口が見えてからは、火口の淵を通る登山道に差し掛かります。
左側は崖になっていて、落ちたら大変なことになりますので、よそ見をせず進んで行きましょう。
振り返るとこんな斜面を歩いてきたのかぁ~っと感心しますね。
絶景を眺めながら歩く登山道は最高です!
暫く進むと小さな火山湖に到着します。
その先には長方形の岩の塊が見えますね。
地図によると船明神山と書かれていて、なるほど確かに船のような形をした岩山である事が分かります。続いてはあちらに向かいます。
山容から見ての通り、この山は岩場があります。
特に危険を有する箇所は見当たりませんが、岩と岩の間を登るので注意しながら進みましょう。鎖は無かったです。
岩場を越えると祠があります。
地図に鳥居のマークが書かれているので、どうやらこれが船大明神でしょう。
岩場の険しい山なので恐らく信仰登山が行われたのではないかと思います。
振り返ると、先ほどの小さな湖が見えます。
太陽が昇ってきたので徐々に火口の姿がはっきりしてきましたね。
西の方を向くと、おや?昨日登った磐梯山が見えますね~
昨日はあの頂上からこちらを眺めていたなんて、ちょっと不思議に思います。
今も誰かがこちらを見ているのでしょうか?
昨日登った磐梯山の記事はこちら↓
岩山を越えると再び視界が開けてきます。
しかし、相変わらず左は崖になっていて、更に砂状の登山道で滑りやすくなっているので注意しながら進みましょう。
さて、山頂まであと3kmと書かれた分岐点に到着です。
写真の左上にちょうど山頂が写っていますね。あと一息!
と言いたいところですが、奥に何かありますね?少し立ち寄ってみましょう。
するとこんなものがありました。
気象観測器かな?と思いましたが、どうやらこれは気象庁が管理する安達太良山の火山活動を観測するための装置みたいです。
磐梯山の記事にも書きましたが、日本における火山や地震の研究は1888(明治21)年の磐梯山噴火をきっかけに始まったそうです。
しかも、磐梯山噴火からたった10年余りの明治33年にはここ安達太良山の沼ノ平で大規模な爆発が起こり、多くの犠牲者を出したと伝えられています。
現在は多くの火山で観測が行われていますが、明治の磐梯山と安達太良山の噴火から本格的にスタートしたそうです。
先ほどの分岐点に戻りました。ここから先もダイナミックな光景を眺めながら進んで行きます。相変わらず左は崖になっています。
振り返ると今まで歩いてきたルートが確認出来ます。
こうして見ると、とんでもない所を歩いてきたと実感します。まさに火口の淵を歩いてきた事が分かりますね。船明神山の岩も良く見えます。
そしてようやく爆裂火口こと、沼ノ平全体を見渡せる所に到着です。
昔はここに巨大な湖があったそうですが、現在は確認できませんね。一体どんな湖だったのでしょうか?
この山も明治時代を最後に噴火を終えていますが、つい最近噴火したような今も生々しい姿になっています。
自然にとって100年そこらはつい最近の出来事という事なのでしょうね。私たち人間とはスケールが違いすぎる…
巨大な火口をボーっと眺めながらそんな事を考えていましたが、先に進みましょう。
振り返るとちょうど分岐点になり、いよいよここから山頂に繋がる登山道に差し掛かります。
先に見える岩の塊が頂上の乳首という場所です。
へー、あのピークの名前、乳首って言うんですね…
乳首までの最後の登山道は大小様々な岩や石が転がり、まるで何処かの惑星の地面を歩いているような、異世界感が半端ないです!
さぁ!山頂の乳首に近づいてきましたよぉ~!!
長い距離を歩いてきたのに、あの乳首を見ると磁石のように吸い寄せられ、足取りが速くなってしまうのはナゼだ?
乳首に吸い寄せられる体質はさておき、標識があったのでここが山頂か?と思いきや、どうやらこの岩を登ったところが本当の山頂のようです。


最後は鎖を使って登ります。看板は一方通行と書かれており、帰りは反対側から降りるルートになっていました。混雑時には注意して登り下りしましょう。
安達太良山山頂からの景色
さぁさぁ!遂に山頂に到着しました!
この日も天気に恵まれ、360度の大絶景を堪能できました。
ちなみに安達太良山の標高はジャスト1700mなんですね!キリがいい!
正面は先程歩いてきた登山道と、帰りに歩く鉄山が見えますね。
正面奥には吾妻連峰もズラリ並んでいます。6月なので殆ど雪はかぶっていませんが、よく見ると少し雪が確認できます。
ここからは爆裂火口はほんの一部しか確認できませんねぇ…
少し横にずれると、船明神山の全貌が確認できますね。意外にも全体は穏やかな山容になっています。荒々しいのはほんの一部だったって事ですなぁ。
その奥に聳える独立峰は昨日登った磐梯山です。この日も大展望が期待できそうですね。
そして画面右上にはまだまだ雪山の飯豊山も見えます。さすがに磐梯山から眺めるより遠く感じますが、神々しさはここからでも感じます!
南にはすぐ近くの和尚山が聳えています。
あちらへの縦走も可能で、銚子ヶ滝登山口に繋がります。
日本の滝百選にも選ばれている銚子ヶ滝を登山がてら立ち寄れるコースなので、あちらから登るのも良さそうですね。
後ろは雲海が広がっていますが、奥には栃木や群馬の山々も確認できます。
東はオール雲海で何も見えませんが、雲海は雲海で見応えのある風景だと思います。
雲海が無ければ太平洋も確認できるのでしょうか?
ふと横を見たらちょこんと小さなピークがありました。
地図で確認するとどうやら篭山のようです。
近くまで行けるようですが、登る事は出来なさそうです。篭る山と書くので、かつてここで篭って修行でもしていたのでしょうか?
安達太良山山頂~鉄山~分岐点
さて、分岐点に戻りました。
お次は鉄山方面へ向かいます。そのまま戻るのもいいのですが、せっかくなので爆裂火口をぐるり1周しちゃいましょう!
今までの登山道と同じく、ダイナミックなルートの予感しか感じませんねぇ!
左は相変わらず爆裂火口なので落ちないようにしましょう。
避難小屋の前に立ちはだかるイカツイ鉄山が見えてきました。
どうやらあの岩を越えなければならないという試練に差し掛かります!
行きに登った船明神山のように、こちらもご立派な山容ですな!
しかーし!残念ながら特に難しい所は無く、サクッと登れてしまうのがこの鉄山。
ペイントされた岩を目指してただ進むだけなので問題なし!
ふと見上げると山頂部が見えてきます。
一瞬顔に見えてギョッとしましたが、この岩の横を通るので心配ご無用です。
せっかくなのでギョッとした岩の上に登ってみました。
ここからも景色はよく、今まで歩いてきた道のりを振り返りました。
しかし、なかなか危険を感じる岩場なので、注意しながら立ち寄りましょう。
ちなみに鉄山から安達太良山方面を眺めるとこんな感じです。
今まで歩いてきた道が、ここ本当に人間が歩いていいのか?って思うほど激しさを物語っていますねぇ…
登山道って不思議なもので、遠くから眺めるとあそこ歩くのヤバくね!って感じますが、実際歩くと、さほど危険を感じないんですよね~
さーて、先を眺めるとおや?画面中央右に小屋がありますね。
まるでぽつんと一軒家のように建てられたあの小屋が鉄山避難小屋ですね。
ここから先は穏やかな稜線が続き、今までとは様子が違います。
鉄山から避難小屋まではほぼ水平な道で歩きやすくすぐに到着出来ます。
コンクリートの土台でかなりしっかりとした避難小屋ですね。
この避難小屋は分岐点のようで、反対方向は緩やかで美しい姿の箕輪山が見えます。
それにしても美しいですね!
地図を確認したら、このまま進むと吾妻連峰まで繋がっているみたいです。大縦走したい方は行ってみてはいかが?
避難小屋から先は暫く岩場は無く、地味な道が続きます。
暫く進むと、ん?何かのオブジェがありますね。
地図によるとしゃくなげの塔と書かれていましたが、どうやらこれがそのようですね。
毎年7月頃に鉄山、箕輪山周辺に多くのしゃくなげが咲き誇り、観光スポットにもなっているそうですよ。
しかしこれは何でしょう?しゃくなげの花ではなさそうですね…
葉っぱかなにか?私にはプロペラにしか見えませんがw


もう安心と思ったら、少し危なっかしい登山道になりましたね。
きちんと整備された登山道ですが、左がスパッと切れた道になっています。
ギリギリに立つとこんな感じ。
かなりスリルを感じる事が出来ますが、あまり近づかない方がいいかも知れませんね。この日は天気が良かったですが、ガスだったらどのように見えるのでしょうか?
想像しただけで怖いですね。
スリル満点な登山道を進んで行くと突然道が無くなりました…
が、地図で確認すると、どうやらここは胎内岩くぐりのようです。地図も線がぐにっと180度曲がり胎内岩くぐりと書いてあるので間違いないでしょう。
しかしこの胎内岩…
本当にここを通るの?って思うほど狭く、疑いましたが周りには他に通れそうな場所が無かったのでここだと確信しました。
ちなみに、入口の大きさはこれくらいです。
日帰りザックがちょうど収まる程度の幅しかなく、体が太い方はかなり通りにくそうです。まぁ奥に道が続いている事が確認出来るので、ここを通る事は納得いくでしょう。
しかし通りにくい…
胎内岩をくぐり振り返るとこんな所を通らせるんだ~って思いました。
まぁ岩場は面白いからいいんですけど!
胎内岩を越えると暫くザレ場の下りになります。
所々滑りやすく、一瞬登山道を見失う箇所もあるので、注意しながら進みましょう。
下り続けると川に合流しますが、この色は何でしょう?物凄く赤みを帯びています。
地図では硫黄川と書かれ、確かにこの周辺は硫黄の匂いが漂います。
赤い川とは…ちょっと不気味ですね。
赤い川から先は岩がゴロゴロしていて、歩きにくいです。
しかも道が不明慮で、間違いやすいのでペイントされた場所をしっかり見極めて歩きましょう。
それにしてもこの周辺も迫力ありますね。
胎内岩くぐり後は荒涼とした風景が続き、見上げれば開いた口が塞がらず、何度も写真を撮ってしまいます。
この光景を楽しむのが沼尻登山口の醍醐味なんでしょうね!


相変わらず硫黄川を眺めながら荒涼とした風景を進んで行くと、ん?何か見えてきましたね!
川沿いにライン状に伸びています。
近づいてみるとかなり荒れている様子が分かります。
過去に何か建てられていたのでしょうか?それともこの場所に温泉施設や小屋があったのでしょうか?謎は深まるばかり…
そして何故か家庭用の湯舟らしきものがぽつんと置かれています…
これは何に使っていたのだろう?
しかしまぁこの荒涼とした風景と色鮮やかな温泉色の川、そして硫黄の匂いを嗅ぎながらここで湯につかるのも最高な気がしますね!
これはこれでアリだと個人的に思います。


先ほどは血のような赤い不気味な色でしたが、この付近になると誰もが知る温泉色の川になります。
見ているだけで入りたくなるような色をしていますw
今は下山途中なので、一刻も温泉に浸かりたい体になっているんですよね~
こんな光景を目の前にしたら今すぐ川に飛び込みたくなりますよ!
後で調べたら、どうやらこの硫黄川に浸かる事も出来るみたいです!
つまり、本当の天然温泉を堪能できるんですね~!
真っすぐ進んでしまうとバリエーションルートに向かってしまうので、ここは通常ルートへ向かう道を選択しましょう。
分岐点を左に曲がり硫黄川に架かる橋を渡ります。
ここには物凄い勢いで温泉が流れています。
これは下界に繋がっているのでしょうか?
確か、沼尻登山口の下には中ノ沢温泉という温泉街があるので、恐らくそちらに運ばれるのでしょう。
下山後に温泉街へ向かいました♪
最後にここを登り、分岐点に合流します。
ダイナミックな登山道もここでおしまいです。
少し寂しいですが、帰らなければならないので登りましょう。
振り返るとこんな感じ
行きにこの光景を見たら間違いなくテンション上がりますね!


暫く草木が生い茂る細い道を進むと、先ほど通った分岐点に合流します。
後はこのまま登山口方面に進めばゴールです。
下山後は中ノ沢温泉に入ろう!
沼尻登山口のすぐ下には中ノ沢温泉街があり、場所も登山口から近いので、登山後はこちらの温泉に入る事をおすすめします。
各旅館が運営する温泉なので時間や料金も様々です。
事前に調べて訪れるように計画しましょう。
ちなみに今回は写真右にある花見屋旅館の温泉に入りました。
こちらの旅館の露天風呂は素晴らしい庭園を眺めながら入れます。
奥に池も設置され、本格的な日本庭園である事が分かります。庭師が常に手入れしているんでしょうね。
広い庭園なので、豪華な露天風呂に感じます。
【日帰り入浴】700円、シャンプー、ボディーソープは完備されています。
【日帰り入浴時間】10時~18時
【駐車場】有
その他の温泉情報はこちらのサイトをご覧ください
最後に
安達太良山はロープウェイを使用すればほんの1時間ちょっとで山頂に到着できる山ですが、今回はあえて定番のロープウェイを使用せず、反対側の沼尻登山口から登りました。
写真でも紹介しましたが、こちらのルートは爆裂火口を間近に眺めながら進み、終始迫力のある壮大な景色を楽しむ事ができ、登山と同時に冒険に出ているようなワクワクする登山道でした。
荒涼とした景色の道は所々迷いやすい箇所もありますが、特に危険箇所も無く、歩行距離もさほど長くないので、日帰りも十分可能です。
また、沼尻登山口を下った所には中ノ沢温泉と言う温泉街があるので、下山後は安達太良山から流れ出した温泉に浸かりながらゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。