晴れと雨の攻防戦が繰り広げられる9月下旬、東北の山やアルプスでは秋が深まるこの時期に栃木と群馬の県境に位置する日光白根山を登りました。
日光の山と言えば百名山である男体山が有名で、その周辺にはまるで家族のように寄り添って聳える女峰山、太郎山を合わせて日光三山と呼び、日光白根山山頂からその光景を目の当たりにする事ができます。
今回登った日光白根山も日本百名山の一つに選ばれ、標高は2578mと日光連山の中で実は一番高く、関東以北の最高峰の山でもあります。
登山ルートも様々ですが、今回は車中泊の可能な無料駐車場が多数ある登山口の湯元温泉側から登り、帰りは五色沼経由で下山しました。
それでは早速、湯元温泉側から登る登山ルート並びに山頂からの絶景を紹介します。
日光白根山湯元温泉のアクセス、駐車場
アクセス
東北道宇都宮ICから日光道清滝ICを降り、国道120号を中禅寺湖方面へ進み、約40分で湯元温泉に到着
駐車場
登山口周辺には無料駐車場が多数ありますが、一番近いのは100台程停められる湯元スキー駐車場です。
ただし、スキーシーズンの土日祝日は有料になるので注意が必要です。
近くに24時間利用可能なトイレもあるので前夜泊者には安心です。
湯元スキー場入口~前白根山
車中泊おすすめルートである湯元温泉側から参りましょう。
登山口はスキー場入口になり、あまり登山口らしくはありませんが、ここからスタートです。
数十メートル進むと登山届のボックスがあります。
ここで記入ですね。
暫くは広い道を進んで行きます。ちなみに私は日の出前にここを歩き、その時は鹿がいっぱいいました…
ライトを向けると目が光り、不気味な姿でしたね。
リフトがあります。
冬には辺り一面真っ白になり、スキーを楽しむ人たちで賑わう場所になるだろう。
そこまで急な坂ではなく、緩い坂道なので気軽に登れます。
しかしここからはまだ白根山は見えません。
広い登山道もここまで。
ここから先は急登続きが待ち構えています…
地図にも足場悪い、ガレた道と書かれているので注意しなければなりません。
その問題の登山道はこんな感じ
終始木の根が露出した登山道で、非常に歩きにくい。
更に岩もゴロゴロ転がっていて、ガレ場になっている箇所もあったので体力を奪われます。適度に休憩しながら登りましょう。
振り帰ってみても荒れた登山道である事が分かりますね。
帰りは帰りで苦労します。
急登を登り終えると、暫く平坦な道が続きます。
ここまで来ると一安心ですが、白根山まではまだまだ歩きます。
ちなみに展望はここまでほとんどありません。
天狗平に到着しました。
ここまで来れば前白根まではあと少し。
天狗平を過ぎるとハンゴウソウのお花畑が待っているようですが、これは夏に咲き誇るらしいです。
季節はもう秋、残念ながら枯れた道を進みます。
枯れたお花畑を越えると、一気に視界が開け、白根山の全貌が現れます。
ここまでほとんど景色が見られなかったので、この光景を見た瞬間立ち止まってしまいます。
前白根に到着
ここからは白根山全体と五色沼を眺められる絶好のビューポイントになります。
白根山は火山であり、ドーム型の山容から分かると思います。
しかし、姿が生々しいというか、噴火からそこまで年月が経っていないようにも感じますね。
左側に辛うじて登山道が見えますが、次噴火したら登山道が無くなってしまうのではないか?と思うほどプレッシャーを感じる光景です。
前白根山頂は広く、休憩するにはちょうど良い広場になっています。
景色は白根山山頂ほどではありませんが、周辺の山々を見渡せます。
しかし、前白根山からは白根山と五色沼のツーショットが一番ですね!
福島県の一切経山にある魔女の瞳のような美しい火山湖である五色沼は見事なエメラルドグリーンになっています。
五色沼経由で山頂に向かう事も出来るので、帰りに立ち寄ってみるのも良いですね。
前白根山~白根山山頂
さて、白根山へ向けて再び出発です。
ここからは一旦下り、更に避難小屋まではひたすら下りになっています。
最初はこのような岩と砂の急坂を下りますが、特に危険ではないのですんなり通れます。
下り終えると平坦で歩きやすい道になります。
ここは五色沼へ向かう分岐点ですね。
帰りはあちらのコースからここへ合流します。
徐々に太陽の光が当たってきましたね。
この辺りは視界を遮るような木は無く、解放感溢れる気持ちの良い歩行が楽しめます。
夏頃は緑の草が生い茂り、花もたくさん咲いているのではないでしょうか?
暫くすると再び展望の無い下り道に差し掛かります。
ここから一気に避難小屋まで向かいましょう。
下り終えると避難所に到着
中は自由に使えるようですが、扉が重い…
そして窓に付いているハシゴは何でしょうか?ここから入れってこと?
避難小屋を越えるといよいよクライマックス!
白根山を登ります。
目の前に見えていますが、これから山を登るというより溶岩ドームに登る感覚ですね。
しかし、急坂と書いてあるので油断はできません!
登るにつれ、徐々に木々が少なくなり、森林限界に近づいていく事が実感できます。
森林限界の境目ってどこなんでしょうね?
暫くはジグザグで岩がゴロゴロした道が続きます。
スキー場から前白根山に行く途中の急登に比べれば全然歩きやすいですね。
おや?登山道の途中から五色沼も見えますね!
景色も素晴らしいですが、エメラルドに輝く五色沼もまた美しく見とれてしまいます。
ここまで来る2000m級の山に登ってる!という実感が湧いてきます。
この急坂を登りきると山頂エリアに突入します。もう少しの辛抱。
空が近いですね!
急登を終えると山頂付近に突入します。
先ほどの前白根山から眺めた通り、山頂付近は複雑な地形になっていますね。
まるで誰かがまき散らしたような巨岩や複雑な形の岩を見ると、いかにも火山に登っている事を感じます。そして、あそこへ向かうとなると何だかワクワクします!
近づいてみると、やはり迫力あります!
まるで城壁のようなしっかりとした岩壁で、山頂を守っている様に感じます。
その真下にいつ無くなってしまうか分からないほんの小さな火山湖を発見!
ほんの僅かな湖…
いつまでもあり続けるのでしょうか?
反対側はこのようになっていますが、これは元々水があったのでしょうか?
まるでクレーターのようにぽっかりと空いていますね。
帰りに降りてみましたが、ケルンのように石積みされている所もありました。
クレーターから少し進むと祠がありました。
ここが山頂?と思いきやどうやらもう少し先が山頂みたいですね。
山頂の標識らしきものが見えますね。
あそこが白根山の頂上のようですが、そこに至るには一旦下って岩を登る形になります。
それにしても複雑な登山道です。まぁ個人的にはこんな感じの道は好きです。
白根山山頂からの景色
そして遂に日光白根山山頂に到着です。
標識も綺麗で記念撮影されている方も多かったです。
関東以北の最高峰だけあって展望は素晴らしく、近くには谷川岳や武尊山、燧ヶ岳など上信越の山々、南には遥か遠くに富士山まで確認できる360度のパノラマが待っています。
富士山が見えるという事は恐らく南アルプスも確認できるのではないかと思います…


山頂は狭くないですが、ご覧の通り岩だらけで足場も悪いです。
場所によっては断崖になっている箇所もあるので、絶景に夢中になって足を崩さないように注意しましょう。
残念ながらこの日は天気は良いものの、ガスの発生が著しく、上信越方面の山々は見えませんでした。
しかし雲海が素晴らしく、これはこれでなかなかの絶景だと思いますが、いかがでしょうか?
白根山の一番の絶景はやはり日光三山ですね。
中禅寺湖の目の前に秀麗な形の日光男体山、その真後ろに太郎山、奥に女峰山が聳えているのが確認できます。
手前に男体山(お父さん)、後ろに太郎山(息子)女峰山(お母さん)とまるで仲睦まじい家族のように見え、何だかほっこりします。
或いは配置は違いますがエジプトのキザの三大ピラミッドのようなミステリアスな雰囲気を醸し出す不思議な光景です。
男体山の手前には中禅寺湖がはっきりと見え、山に囲まれたその姿は幻想的に見えます。
歩いてきた道がよく見えますね。
手前の部分は火口でしょうか?
噴火からだいぶ時が経っているように見えますが、日光連山の中でも最も新しく、噴火も江戸時代(1649)に起こっているそうです。
ただその時の火口がどれだかは分かりませんでした。
帰りは五色沼へ立ち寄り
さて、帰りはピストンでも構いませんが、せっかくなので五色沼経由で前白根山へ向かいましょう。
先ほどの避難小屋の分岐から五色沼方面へ足を運びます。
避難小屋から五色沼までは平坦で、多少の下り道になります。
暫くすると綺麗な湖に到着します。
避難小屋から10分程度で到着できると思います。
白根山の登山道から見えた通り、地上からもエメラルドグリーンが確認できますね。
見た感じ水深はあまり深くなさそうで、その気になればある程度入る事も出来そうな感じの沼になっています。
ただ、奥の方がいきなり深くなっている可能性もあるので、むやみに侵入しないほうが良さそう…というか入っちゃダメ。
五色沼からは間近に白根山を眺める事ができます。
先ほどの前白根山より迫力の増す光景ですね。
最後に五色沼から前白根山へ抜ける道を進めば先ほどの分岐点に合流します。
周辺のおすすめスポット
日光二荒山神社
二荒山神社は勝道上人が男体山の登頂に成功し、そこに奥宮を祀った事から始まり、男体山山頂の奥宮、麓の中宮、東照宮の横に位置する本社、滝尾神社から成り立たっています。
全て離れた場所に位置し、特に奥宮は男体山山頂に鎮座されているので、気軽に訪れたい方は駐車場が完備されている本社や中宮へ参拝しましょう。
二荒山神社についてはこちらの記事をご覧ください↓
男体山
男体山は日光三山の一つで、日光信仰の中心となる二荒山神社の神体山として聳える秀麗な山です。
中禅寺湖の目の前に位置し、美しいその姿は登山者以外の人々にも印象を与え、日光を代表する山として、日本百名山にも選ばれています。
入山期間と入山時間が限られているので登られる際は調べてから登りましょう。
男体山の記事はこちらです↓
最後に
今回紹介した湯元温泉コースは、常時解放の駐車場とトイレが設置された唯一の登山口であり、前夜泊登山者にとって最も便利なルートです。
登山口から前白根山までは急登が続き、前半は苦しい箇所もありますが、基本的に危険箇所は無く、程よい山行になると思います。
また、帰りは五色沼に立ち寄る事もできるので、帰りがけに立ち寄る事をおすすめします。
日光の山と言えばやはり男体山が有名で知名度も高いですが、白根山は関東以北最高峰という事もあるので是非、その山頂から眺める絶景を仰いでみてはいかがでしょうか。