桜の見ごろを終えた4月中旬、次なる花の見頃であるアカヤシオとツツジを堪能するべく、群馬県は西上州の上野村にやってきました。
今回も登山と旅を楽しむためにお気に入りスポットの西上州を訪れ、長野県と埼玉県の県境に位置する上野村の笠丸山を登りました。
笠丸山は神流町の山の中でも展望が良く、特にこの時期になると山頂付近にはアカヤシオとツツジが見事に咲き誇り、岩が露出した山肌とピンクの花のコントラストが素晴らしく、絶景と花の2つの楽しみを味わえる西上州らしい岩山です。
実はこの上野村は初めて訪れる町で、毎年訪れる南牧村の隣町になります。
今回は見頃を迎えたアカヤシオを楽しむために日帰りコースの笠丸山を登り、更に麓にはまるで、桃源郷のような素晴らしい光景が広がっていたので、合わせて紹介したいと思います。
笠丸山西峰登山口~地蔵峠
西峰登山口にやって参りました。
笠丸山の登山口は東峰側と西峰側の2箇所あり、駐車場に近いのは西峰登山口です。
車で訪れる場合は西峰登山口からの方が登りやすいですが、東峰登山口から登る場合は急坂が連続するので、どちらにせよスタートは西峰登山口から登った方が良いかもしれません。
ちなみに、西峰登山口にはまだ桜が咲いていました。
最初のポイントである地蔵峠まで1時間くらいかかるそうです。
登山口から最初の方は道も広く歩きやすい登山道です。
途中、陥没している箇所がありました。
クレーターのような丸い窪みで、迂闊に近づくと落ちそうなので、ここはスルー
こんな箇所もありました。
苔混じりの階段。
登った先にはルートのようなものは無かったので、ダミーだと思いますが、これは何でしょう?
元々のルートでしょうか?
案内板が現れ、ここから本格的な登山道に差し掛かります。
とは言え、歩きやすいルートは変わりません。
途中、沢を渡る箇所もありますが、前回の毛無岩のような巨岩やら倒木も少ないので、簡単に渡る事ができます。
しかし、前回の登山であのような経験をすると今回の登山は本当に楽に感じます。
気温も4月半ばを越えれば暖かく、登っている最中は汗ばむくらいです。
ふと見上げれば、所々新緑も見られ、季節は着実に初夏へ向かっている事も実感できますね!
新緑に見とれながら進んで行くと、徐々に道が狭く、少し急な箇所を登ります。
左は崖になっているので注意しながら進みましょう。
地蔵峠へ向けて最後の登りです。
歩いた跡もしっかりと残っているので安心して進めます。
そして地蔵峠に到着です。
名前の通り、ここにはお地蔵様が安置されていました。
大きな木の下にちょこんと佇んでいて、顔の表情は分かりませんが、しっかりとしたお地蔵様です。
頭には赤頭巾をかぶられ、可愛らしい姿ですね。
ここ、地蔵峠は分岐点にもなっていて、笠丸山の反対は楢沢峠方面へと続きます。
そちらの方面はバリエーションルートになっているので、行かれる方は注意が必要です。
地蔵岳~西峰(アカヤシオの群生)
さ~て、休憩も澄んだ事だし、先に進みましょう。
ここから先は西峰、東峰方面へ向かう道で、途中にはツツジとアカヤシオの群生が見られる花の登山道です。
早速、ツツジが見られましたが、う~ん、残念ながら満開まではいってないようですね…
蕾が多く、所々咲いている感じでしたが、満開を迎えれば一面ツツジに染まりそうですね。
とっ、暫く進むと急な岩壁に差し掛かりました。
ここから先は岩場も登場し、少し困難な道ですが、特に難しい鎖や岩も無いのでサクッと進みましょう。
岩場を登り、ふと上を見上げると、なんとそこにはアカヤシオが咲いていました!
先に進めば進むほど、多くのアカヤシオが登場し、まるで歓迎しているかのように花のトンネルが現れました。
狭い登山道で、時折岩の露出した場所も見られますが、歩きながらアカヤシオの群生が見られるのは嬉しいですね。
しかし、あまりアカヤシオに見とれないように!
あくまでも登山中なので、注意しながら進んで行きましょう。
アカヤシオゾーンを越えると再び一般的な登山道に戻ります。
道は狭く途中、見上げるような巨岩も目立ってきます。
そろそろ山頂付近に近づいてきたのかも知れませんね。
さーて、いよいよ核心部に差し掛かりますが、核心部と言ってもただのロープ場です。
それにしても西上州の山は鎖場ではなく、ロープ場が多いこと!
個人的にはロープよりも鎖の方がテンション上がるんですがねぇ~
って自分のテンション云々はさておき、ここはしっかりロープを握って登りましょう。
この日は岩場とロープがかなり濡れていたので、慎重に登りました。
けど、難易度は全然なので焦らず進みましょう。
ロープ場は2箇所あり、これが地図で言う”稜線のコル”手前の最後のロープ場になります。
ロープを登り終えるとコルに到着します。
左が東峰へ、右が西峰へそれぞれ続いています。
このコルは狭いので混雑する時は注意が必要です。
それではまず、展望の良い西峰へ向かいましょう。
すると、いきなり断崖に出くわします。
道も狭く落ちたらただじゃ済まないルートに少しビビりました…
その断崖から身を少し乗り出してみると、アカヤシオが咲いています。
西峰は岩峰になっていて、側面にはいくつものアカヤシオが咲いており、歩きながら確認できますが、あまり身を乗り出しすぎて覗くのは危険なので、程々にしましょう。
落ちたらアウトの箇所も普通にあり、少々ビビりながら山頂へ進んで行きます。
危険マークは付いていませんが、決して安心できるルートではありませんね。
振り返るとこれまた素晴らしい!
アカヤシオと岩が見事にコラボしています。
が、左右スパッと切れた所での撮影なので、カメラを向けている時は落ち着きません…
西峰からの展望
意外なスリルルートを越えると遂に山頂に到着します。
山頂付近もご覧の通りアカヤシオが大量に咲き誇っていて、美しいです!
欲を言えばもう少し後の方が満開だったかもしれませんが、これはこれで素晴らしい光景です。
しかし、アカヤシオの山頂での満開を狙うのは難しいです…
近づいてもアカヤシオの可愛らしさが分かると思います。
それにしても、このピンクの色合いが何とも美しい!
展望も素晴らしく360度の大展望が広がっています。
北西部は南牧村の山々が見渡せます。
ここから見えるのは南牧村南部の山で、こちら側は西上州特有の奇峰ではなく、穏やかな山並みになっていますね。
よく見ると山肌に沿って伸びる御荷鉾山スーパー林道も確認できます。
複雑なルートですが、所々景色が開けた場所があり、走りがいのある林道です。
南は上野村とその山々
奥の方には奥秩父の山々も見えます。
実は奥にちょこんと八ヶ岳も見えるんですね!
西上州って八ヶ岳に近いんですけど、標高が低いのでなかなか八ヶ岳が見れないのが少し残念かな。
まぁ中にははっきりと山頂から見える山もありますよ!
ちなみに前回登った毛無岩山頂からははっきり見えました。
南東方面はギザギザが目印の両神山が見えますね。
妙義山ほどではありませんが、一直線にズラリと長い奇峰を形成する山稜が風格を感じますね。中心から少し左にあるキレットみたいな所が気になりますが…
西峰先端から下を眺めると、先ほど歩いてきた登山道とアカヤシオの群生が見えますね。
目を凝らすと、岩と岩の間に咲いていて、まさに春山という実感が湧いてきますね。
西峰~東峰
さて、再び稜線のコルに戻って参りました。
ここから東峰へ向けて出発したいと思います。
東峰への道は西峰より危険箇所は少なく、両サイド崖ですがしっかりとした道が続いています。
こちら側もご覧の通りアカヤシオが咲き誇り、途中何度もその美しさに足を止めてしまいます。
コルからたった4分で東峰に到着です。
東峰にはお社があり、笠丸山も信仰の山である事が分かります。
展望は西峰より劣りますが、こちらも見事なアカヤシオに囲まれています。
やっぱりシーズンに訪れるのがいいですね!
東峰は展望よりもアカヤシオの可愛らしい姿に夢中でした。
東峰~東峰登山口
東峰から先はオール下りルートです。
笠丸山は二つの登山口があり、ここを下ると行きとは違う登山口に到着します。
西峰より東峰の登山道の方が急斜面で、登りはこちらの方がキツそうです。
急斜面なので、下る時も注意は必要です。
しかし、そう考えるとやはり、西峰から東峰にかけて登った方が楽かもしれませんね。
登山口に近づくにつれ、歩きやすい道になります。
下りだとこの辺は気持ちいいです。
東峰登山口からすぐにこのような登山道になります。
ご覧の通り最初から急登なので、こちらの方がハードですね。
東峰山頂から30分かからなくらいで登山口に到着しました。
こちらの方がこぢんまりとした登山口で、入口には石灯篭が二基設置されていました。
山頂にお社があった事から、本来はこちらの登山口から登るのが正しいのでしょうか?
そう考えると西峰は修行の為の峰なんでしょうか?
登山口の横には廃墟がありました。
気になったので中を覗くと酷く荒れており、現役時にはどのように利用されていたのでしょうか?
笠丸山の麓は桃源郷?
さて、ここから西峰の登山口へ歩いて戻りますが、笠丸山にはもう一つ見どころがあります。
それがこれ!
どうでしょうか?実はこの集落は桜とツツジが多く、春になるとご覧の通りまるで桃源郷のような一面ピンク色に染まる、知る人ぞ知る素晴らしい光景を目の当たりにする事ができます。
そう、実はこの光景も見たいがために、訪れる時期を考えていたのです!
恐らくこの花たちは西上州によく見られるミツバツツジで、枝先に3枚の葉を付けるのが特徴です。
しかし、山の斜面にしかもちょうど人が通る道路沿いにこのように咲いていると、何だか気持ちがいいですね!
ちなみに4月の中旬ではありましたが、まだ桜も頑張っていたようで、桜とミツバツツジのコラボも見られました。
なかなか同時に見れるタイミングは難しく、今回はまさにベストでした!
集落は南牧村によく見られる石垣が積まれ、山の斜面に日本の原風景を感じさせる家が立ち並んでいました。
山頂でアカヤシオの群生を、下山後はミツバツツジの群生という1回の登山で2度も花を楽しむ事ができます。
特に天気のいい日には青空とミツバツツジや桜の紫、ピンクの色合いが何とも絶妙で、花見がてらスタート地点へ戻る事ができます。
笠丸山のアクセス、駐車場
アクセス
関越自動車道、本庄児玉ICより国道462号、299号を走り道の駅上野を越え、上野村役場方面へ進み、暫くすると笠丸山駐車場が見えてきます。
駐車場
駐車場は西峰登山口に12~13台程停められるスペースが有ります。
ちなみにトイレは無いので、道の駅上野で済ませるようにしましょう。
最後に
いかがでしょうか?今回は西上州の上野村に位置する展望の優れた笠丸山を紹介しました。
展望もそうですが、やはりアカヤシオとミツバツツジの見頃の時期に訪れる方が多く、岩山に寄り添うように咲き誇る花がなんとも絵になり、何度訪れても飽きる事はないでしょう。
また、最後に紹介した通り、笠丸山の麓の集落はミツバツツジの群生が素晴らしく、桃源郷を思い起こすような光景も楽しめます。
両方咲き誇るタイミングはなかなか難しいと思いますが、1度の登山で2度の花を楽しめる山行をぜひ味わってみてはいかがでしょうか?