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小豆島八十八ヶ所のトップバッター、霊場第1番洞雲山を訪ねてみた

からかい上手の高木さんにはまってから、今もっとも行きたい島になったのが瀬戸内海に浮かぶ小豆島。今年は高木さんの映画も放映される事からぜひ、今年中に訪れようと思い、5月に小豆島を訪れました。

小豆島と言えばオリーブ発祥の地として名を馳せ、その他には醤油や手延べそうめんなど数多くの特産品を生み出した島でもあり、更に歴史や文化、奇景を成す景観が素晴らしく、アクセスもよいので瀬戸内海の島旅において人気を博しています。

そんな見どころ満載で人気のある小豆島を2日間訪れましたが、島内には四国八十八ヶ所のようなお遍路が開かれている事をご存知でしょうか?

実は小豆島には「小豆島八十八ヶ所」というまるで四国八十八ヶ所のようなお遍路があり、四国と同様に霊場巡りが活発に行われているそうです。

さすがに全て訪れる事はできませんが、今回訪れたのはその中でも懸造の寺院を中心に訪れ、小豆島の奇景に溶け込む寺院の姿は圧倒的な光景でした。

なので今回は一番感銘を受けた小豆島八十八ヶ所のトップバッターである1番霊場の洞雲山を紹介したいと思います。

小豆島八十八ヶ所霊場とは

小豆島八十八ヶ所は島内にある88ヶ所の霊験あらたかな寺院で、空海が京都へ上京、帰郷する際に小豆島で修業した事により開かれたそうです。

四国で有名な四国八十八ヶ所と同じく、1番から88番まで霊場を巡り、空海のご利益を得ようと修練するものですが、四国の寺院とは違い小豆島ならではの霊場を巡る、いわば小豆島版お遍路という事になります。

小豆島は奇景を成す海岸や、奇峰が目立ち山岳修行にとっては非常に優れた行場が多く、四国のお遍路に比べると危険箇所も所により目立ち、いかにも修行を行っているかのような感覚も味わえます。

第1番洞雲山までの道のり

駐車場のすぐ横が洞雲山の入口となり、一番洞雲山と書かれた石柱が立てられています。まさにここが小豆島八十八ヶ所のスタートという事になり、気合が入ります!

スタート直後から岩壁の真下を歩く道になり、見上げると恐ろしい程高い岩壁になっていました。

途中には石仏が所々安置されています。

歩いて5分くらいで鐘堂があります。

鐘は鳴らそうと思えば鳴らせましたが、何故かいつも躊躇してしまうので今回も鳴らせませんでした…

その横の階段を登りますが、ここから先はがらりと雰囲気が変わる事を肌で感じます。

階段を登るとそこには堂宇がありますが、どうやらこれが本堂のようです。

岩壁に寄り添うように建てられ、いかにも山岳修験のお寺の雰囲気を感じます。

その隣には岩壁をえぐるようにぽっかりと空き、中には仏像が安置されています。

中はうす暗く、奥の岩壁からも滲み出るように水が流れており、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

この仏像は何でしょうね?お地蔵様のような顔ですが観音様のようなスタイルだし、表情もキリっとしていて、男性か女性かも分からない不思議な仏像です。

そして何故か仏像と岩壁が妙に一体化して違和感を全く感じないのは気のせいか…

岩窟の前には岩壁から滝が流れ落ち、池のようになっています。

これは「大師お杖の水」という泉で、名前から空海が杖を突いた事で水が湧いたという伝説が込められているように感じますね。

と言うのも、このような伝説は全国各地に存在し、どれも空海が杖で突いた事によって水が湧いたとして語られているそうです。

伝説が本当かどうかはさておき、水は私たちが生きていく上で欠かせない存在である事に感謝するためにこのような伝説が作られたのだと思いますね。

巨大な岩壁に現れた洞窟

さて、本堂と大師お杖の水の先には巨大な岩窟が出現します!

ご覧の通り巨大な岩窟の中に懸造の堂宇がすっぽり収まっている様子が分かります。

これぞ山岳修験の行場という雰囲気が犇々と感じますね!

というか、まぁよくもこんな凄い場所にこんな建物を建てたものだぁ~っと口をぽかんと開けたまま眺めていましたw

あの洞窟の奥には何があるのか?

そんなワクワクが抑えられないので、早速中に入ってみましょう。

入口はしっかりとした階段になっています。

するとそこにはお社があり、後ろの洞窟に吸い込まれるかのように鎮座しています。

弁天宮らしく、奥にある小さなお社が気になるところです。

崖に沿うようにコンクリートの回廊が続き、奥が洞窟の入口になっています。

回廊から見下ろすとこんな感じ。

手前の舞台は夏至観音という夏至の日に見られる観音様を拝む為の舞台で、太陽の光で観音様が岩壁に映った瞬間に僧侶がこの舞台で般若心経を唱えるそうです。

入口は小さいですが、背後は漆黒の闇になっていて少し不気味です。

歩いた回廊を振り返ると、巨大な岩壁と一体になっている事が分かります。

一体私は何処へ来てしまったんだろうと、好奇心と同時に不安と恐怖も襲ってきます。

早朝でまだ誰もいませんでしたが扉は開き、中も電気が点いていました。

中には八角堂があり、八角堂の中には本尊である毘沙門天が祀られています。

八角堂の前には祭壇と後ろには椅子も設けてあり、完全なる洞窟ですが、しっかりと寺院の本堂の役割を果たし、自然と一体化した神聖な空間を醸し出していました。

しかし天上を見上げると恐ろしいほど真っ暗で、左右の岩壁が押し寄せて来るのではないかと物凄い圧迫感があり、個人的には神聖な空間と言うより怖れを感じてしまう場所でした。

本尊は毘沙門天で、仏教を守護する四天王の一人を指し、四天王の中でもリーダー的存在の神として崇められているそうです。

恐らく洞雲山は小豆島八十八ヶ所の第1番霊場だからこそ、強力な武神である毘沙門天をこのような迫力のある岩窟に祀った事も納得できます。

想像を絶する光景にただただ唖然とするだけで、肝心な写真をほとんど撮らなかったのが残念ですが、ここは写真で見るよりも実際にこの場に立って、この洞窟の神聖さや畏怖の念を抱いた方がよいと思います。

さて、再び外へ出てみると、懸造の下のところにも階段がありますね。

ここからも入れるようですが…

扉があり中に入ると先ほどの八角堂の後ろに繋がっていて、こちらからも入れる仕組みになっていました。

まるで洞窟探検の感覚も味わえます。

さて、洞窟のお堂を紹介しましたが、この第1霊場の1番の見どころは夏至観音でしょう。

先ほど少しお話しした通り、この洞雲山には夏至前後の太陽の光により岩壁に観音様が出現し、夏至観音と呼ばれています。

この夏至観音は霊夢という、夢の中のお告げに従い実際にこの場所を訪れた時に発見されたらしく、しかも発見されたのは平成元年という事が驚きです。

大体、夢の中でのお告げによってこのようになったお話は歴史上が多く、正直伝説なんじゃないか?と思う話も多々ありますね。

しかしこの夏至観音発見はほんの30数年前であり、本当にこのような事が起こりうることを分からせてくれる出来事だと思います。

しかも、夏至前後50日という限られた日数で出現する事も妙に神秘性を感じ、第1番から物凄く霊験あらたかな場所です。

讃岐十景の絶景スポット及び崖っぷち観音

さて、第1番霊場の周辺には第2、第3番奥の院の霊場が接近し、第1霊場の先には第3番奥の院があり、その手前には素晴らしい展望所が設けてあります。

石柱には讃岐十景と書かれています。

十景という事は讃岐を代表とする素晴らしい景色という事ですね。

展望所からはこのような光景が見えます。

残念ながら天気は良くないものの、解放感溢れる展望が広がっています。

右の丸みを帯びた半島の先には二十四の瞳映画村があり、奥にも半島が見えますね。

右寄りに目を向けると内海湾も見えます。

早朝なので船は出ていませんが、時間になれば船が出る所も見えそうですね。

おや?下の方を眺めると何やら仏像が見えますね!観音様でしょうか?

鬱蒼とした木々の中にポツンと佇んでいるようですが、あそこまで行けるのでしょうか?

しかも後ろは絶壁の予感しかしないのですが…

すると、展望所の隣に、さりげなく下る道があるのを発見しました。

どうやらここから先ほどの観音様まで続いているようですが、行ってみましょう。

きちんとした道になっていますが、急な所もあるので慎重に下りましょう。

暫くすると明るくなってきましたが、なんか、崖の予感がします…

そして、先ほどの観音様に到着しました。

ずいぶんとまぁ立派な姿をされています。

そしてこの観音様の後ろは崖っぷちになっているので、あまり奥に行かない方がいいかもしれません。

しかし、なぜここに観音様がいるのだろうか?

洞雲山と関係があるのか?だれが安置したのか分かりませんが、こんな崖の上に安置した事には何か意味があるのではないかと思いました。

ここからも景色は素晴らしく、まるで観音様が下界の人々を見守るような感じになっていました。

けれども、観音様は下界に背を向けていたので、これも何か意味があるのだろうか?

途中には行場がたくさん!

第1霊場の洞雲山は入口から巨大な岩壁が出現し、まさに霊場そのものの姿を感じられる山です。

そんな洞雲山を崖っぷち観音に向かう途中に数ヶ所、行場のような場所が見られるので紹介しましょう。

岩壁に行場のような場所を発見したのは崖っぷち観音より先の隼山を見学した帰りで、岩壁を見上げると岩窟の中に社があるのが分かりました。

気になったので近づくと、どうやらここから入れるらしいので、行ってみました。

ほんの1分くらい登ると、何やら巨大な岩壁が出現し、先ほど眺めたお社が見えてきます。

道はしっかりと整備され、危険ではありませんが慎重に進みましょう。

そして例の穴にたどり着きました。

先ほどの懸造の岩窟ほどではありませんが、こちらも物凄いオーラーを感じます。

足場はしっかりしていますが、よそ見すると踏み外しそうな場所なので要注意です。

見上げるとこんな感じ。

後ろの岩壁には上下ぽっかりと穴が開き、中に入れそうな岩窟になっていました。

上下の穴の境はどうなっているのでしょう?

よく見ると岩が挟まって上下に分かれているようにも見えますが…

個人的には上の穴に入ってみたいですね。

ひょったしたらなにか祀られているかも?更に奥に通じているかも?など、期待感が込み上がってきます。

どうやらここには八大龍王が祀られています。

龍神ってことは水の神様ですね。

しかし、岩壁を見ても水が湧いているようには見えませんでしたが、かつては湧いていたのでしょうか?

龍神より先(駐車場方面)のところには見るからに恐ろしい岩窟がありました。

見上げると崖の先にぽっかりと空いた穴があり、鎖とありえない方向を向いたハシゴというか脚立が何個も設置されていました。

見た瞬間、これ登っても大丈夫か?という感じでした。

まぁせっかくなんで行ってみましたが、ヤバいと思ったら引き返すつもりでした。

最初のハシゴ、鎖を登り見上げると、こりゃ凄い!一般の登山でもこんなハシゴは滅多にない、恐怖のハシゴが登場!

強度を確かめると、一応しっかり固定されていましたので登れない事はありませんが、ここは恐怖との戦いでしたね。

特に難しいハシゴではないと判断したので、サクッと登ってみました。

ありえないハシゴを登り下を眺めると…

なかなか怖い…

そして、またハシゴが登場しますが、こんなにハシゴいらんだろうって思いましたね。

というか、この穴は鎖だけの方がいいと思うのですが…

こんなにいっぱいだと、逆に怖いですね。

登りきるとそこは空洞になっていて、奥には右足を上げた蔵王権現が祀られていました。

蔵王権現は修験道の開祖役行者が感得した仏像であり、まさにここは修験道の行場に相応しい場所という事になります。

しかし修験道の縁の場には不動明王が祀られている事が多く、蔵王権現が祀られているのは珍しいですね。というか、私も山の中で蔵王権現を発見したのは初めてかも?

第2番霊場碁石山もおすすめ

洞雲山の隣は第2霊場である碁石山も近く、歩いて尋ねる事ができます。

見どころは山頂の断崖に安置された波切不動明王で、そこに至るには険しい岩場を登らなければたどり着くことはできない、まさに修験道の行場を感じられます。

景色も素晴らしく、内海湾はもちろん、更に大嶽など険しい山々も見渡す事のできる展望所になっています。

洞雲山のアクセス、駐車場

アクセス

 

国道436号から県道28号を走り、途中洞雲山へ繋がる細い道を登っていきます。

洞雲山入口まで車を進める事ができ、入口に駐車場があります。

駐車場

入口に4,5台停められるスペースがあります。

最後に

小豆島八十八ヶ所のトップバッターである洞雲山は岩山と一体化した霊場であり、岩窟に収まった懸造は見る人を圧倒させ、まさに霊場に相応しい景観です。

小豆島のお遍路は行場が多いと言われる通り、霊場の至る所に鎖場や岩場など危険を有する箇所も見られ、第1番から厳しい霊場である事を物語っています。

また、洞雲山のすぐ近くには素晴らしい絶景スポットや第2、第3奥の院霊場もあり、合わせて訪れるのもおすすめです。

本場のお遍路は四国ですが、この小豆島のお遍路も独特な形で開かれているので、お遍路に興味がある方もない人もぜひ霊場に足を運んでみてはいかがでしょうか。