まさかの6月に梅雨明け宣言が出され夏山が決まらない中、慌てて選んだのが八ヶ岳連峰の端に位置する蓼科山です。
諏訪富士という名でも呼ばれる蓼科山は秀麗で見事な成層火山の姿を成し、遠くから八ヶ岳連峰を眺めてもその端には、まるで富士山が寄り添っているかのような光景で、一目で蓼科山である事が分かる山容です。
また、古くから信仰登山としても盛んで、蓼科山の秀麗な姿から神体山としても仰がれたそうです。
八ヶ岳の最北に位置する蓼科山は八ヶ岳の縦走路としても、日帰り登山としても可能な山であり、特に山頂からの景色は文句なしの絶景です。
今回は山頂に一番近い7合目登山口から日帰り登山を行ったので、山頂までの道のりと山頂からの大パノラマを紹介したいと思います。
蓼科山7合目のアクセス、駐車場、トイレ
アクセス
中央自動車道諏訪ICから国道20号、152号ビーナスラインを白樺湖方面に進み、途中県道40号を蓼科スカイライン方面へ走り、トータル約50分で7合目の鳥居に到着します。
駐車場
駐車場は鳥居前に20台、トイレの奥100m先にも大きな駐車場が有ります。いずれも無料です。
トイレは登山口横にあり、24時間利用可能。
水洗和式トイレでした。(ペーパー完備)
蓼科山7合目~蓼科山荘
駐車場の目の前に鳥居があり、ここが7合目入口です。
登山口というより参道入口と言った方がしっくりきますね。
これから登山ではなく、何だか参拝しに行くみたいです。
最初は緩やかな参道を歩いていきます。
6月なので日の出の時間は早く、登山開始の5時前には既に明るくなっていましたが、いざ登山道を歩くとまだまだ薄暗い
暫く歩くと、シラカバの木でしょうか?このような木々が目立ちます。
そして下には大量の苔が生えていますね。
八ヶ岳はどのルートから登ってもこのような苔が無数に生えていて、展望の無い登山道でも苔アートが楽しめますね。
神秘的な苔アートを越えるとここから急な登りに突入します。
ご覧の通り中途半端な岩が多く登りも下りも滑りやすいので慎重に進みましょう。
ガレ場かザレ場か微妙なな大きさの石が大量に散乱しています。
ガレ場を登り振り返ると、少し展望が開けていますね!
遠くには北アルプスでしょうか?
横一列に険しい山々が確認できます。
注意を促す看板
まぁロープが張られているので真っすぐ進む人はいないでしょう…
そしてまた暫くシラカバと苔の道に差し掛かります。
この光景、いかにも八ヶ岳って感じで凄くいい気分になります。
途中にこんな看板がありました。
ここは天狗の露地という場所で、この坂はザンゲ坂と呼ばれているそうです。
天狗にザンゲって、いかにも山岳修験を感じさせる名前の場所ですね。
まぁ登山口が鳥居なのでこのような名前からも信仰登山が盛んだった事を思い知らされます。
ザンゲ坂を登って行くと、先ほどのガレ場第2弾という感じの場所に到着です。
ここを乗り越えれば蓼科山荘まで少しなので頑張りましょう。
ここからも振り返れば少し景色が見えますが、先ほどとあまり変わりません。
そして蓼科山荘に到着です。
ここは蓼科山山頂方面と北横岳との分岐点にもなっています。
中には軽食やコーヒーもありますので、休憩がてら立ち寄ってもいいですね。
蓼科山荘~蓼科山頂
蓼科山荘から蓼科山頂付近が見えますね。
お椀をひっくり返したような形で丸みを帯びています。
ただ、所々岩が目立っているので歩きにくいかどうかはこの段階では分かりませんが、早速山頂まで行きましょう。
入口からいきなり巨岩がゴロゴロ。
特段危険を感じる所はありませんが、しっかりと見極めながら進まないと転ぶかも知れませんね。
曲がり道や分岐が無く、ただ真っすぐに登るだけです。
途中にまさかの鎖場が登場!
地図に鎖場と一切書かれていなかったので少し驚きましたが、ここは補助的な役割を持つ鎖なので特に握らなくても普通に登れます。
登るにつれ、岩場も険しさを増し、難易度も上がってきます。
周りを見ると木の数が減り、森林限界に近付いてきた感が湧いてきます。
そして振り返ると素晴らしい景色も見えます。
下には先ほどの蓼科山荘が、奥には浅間山でしょうか?その隣は軽井沢方面ですね。
登山道を振り返るとこんな感じで、少し怖いです。
下りは特に注意しましょう。
そしてラストの岩場を乗り越えると…
蓼科山頂ヒュッテに到着します。
展望はもちろん外のテーブルで飲むコーヒーは最高でした!
展望は先程とあまり変わりませんが、こんないい景色を眺めながらコーヒーが飲めるなんて贅沢の一言ですね。
蓼科山山頂からの大絶景
ヒュッテからすぐに山頂が見えます。
どうでしょうか?
これが蓼科山の山頂です。
恐ろしいほどだだっ広い空間で想像がつかないと思いますが、ここは列記とした山頂の火口なんです!
まっ平のように見えて実は僅かですが中央は窪み、カルデラのようになっています。
早く大展望を眺めたいですが、この広い空間に目を奪われ、暫くこの光景に惹かれてしまいますね。
火口の中央付近には鳥居と祠が鎮座されています。
蓼科神社の奥社で、里宮は蓼科山の北側にある立科町芦田にあり、この地方では屈指の古社として鎮座しています。
明治以前は高井明神として信仰されており、高井は高い所にある井を表し、蓼科山が麓の村々に水の恵みを運ん御でくれるという素朴な農耕信仰として崇められたそうです。
現在の御祭神は高御産巣日神、大己貴命、木花開耶姫の三柱が祀られ、この高御産巣日神の産巣(むす)はむすびとも言い、万物を産み出す力を持つ神を意味します。
このことから、農業神としての一面もあり、古来から信仰された高井明神のご利益を受け継いだ存在になっていると思います。
さて、肝心の展望ですが、山頂の端っこに行けば大絶景を仰ぐ事ができます。
奥に展望所のようなものが見えるのであちらに行きましょう。
もう既に絶景ですが…
たどり着きました。
ここからは主に正面に御嶽、乗鞍岳、北アルプスと中央アルプスの山々、更に八ヶ岳と南アルプスと有名な山々を見渡せる大絶景です。
一番近い八ヶ岳と奥には南アルプスが見えますね。
八ヶ岳の裾野が特に綺麗です!
荒々しいイメージの八ヶ岳ですが、ここから眺めると何故か美しい山に見えます。
少し視線をずらすと南アルプスの隣奥には中央アルプス
こちらもはっきりと見えました。
その下は茅野市でしょうか。
こっちも凄い!
左から御嶽、乗鞍岳、そして北アルプスの山々が横一列にズラリと並ぶスペシャルな展望です。
何という贅沢な景色だ!
視線を下ろすと霧ヶ峰と美ヶ原も見えるんですね~
中央の湖は白樺湖です。
ここでズームアップ大会!
御嶽山のズームアップ!
最高峰の剣ヶ峰付近はまだ灰で覆われていますね。
御嶽山は国内の中でも独立峰第2高峰なのでよく目立ちます。
肉眼でも辛うじて見える霧ヶ峰と電波塔が立ち並ぶ美ヶ原も見えます。
霧ヶ峰と言えば白く丸い気象レーダーが目印ですね。
緩やかな丘の上にあり、ビーナスラインや散策路も良く見えます。
更に拡大すると人が見えるかも?
美ヶ原の電波塔群の後ろには北アルプスの山々が見えます。
更に視線を下げると白樺湖!
その奥はビーナスラインと霧ヶ峰。
ビーナスラインは広々としたドライブコースですが、見下ろすと何故か小さく見えるのは何でだろう?
みんな大好き北アルプス!
北アルプスを眺めると、真っ先に確認できるのが尖がった槍ヶ岳!
それにしてもまだまだ雪が積もっていますね~って、この日はまだ6月だった事を忘れていました…
あまりにも良い天気で気温も高かったので、完全に夏山の景色を想像していましたが、暦は正直ですね。
北アルプスは長く、奥の方まで続いています。
よく眺めると所々雪が降り積もっている山が確認できますね。
少し分かりづらいですが、下に女神湖も見えます。
山頂はどこもこのような岩だらけなので、移動する時は景色にとらわれず、きちんと下を見ながら進みましょう。
私も何回かバランス崩してこけそうになりました…
ヒュッテ側からは北方面も良く見渡せます。
こちら側は奇峰の目立つ西上州の山々が見えますね。
日本のテーブルマウンテンである荒船山もよく見えます!
あの山は本当にまっ平で、ある意味奇妙な山です。
以前登った時も山頂である事を全く感じさせない平坦な道が続き、端まで歩くと恐ろしいほど断崖でした。
山頂の標識もありますが、文字があまり見えません…
プレートが下にちょこんと置かれていたので、記念撮影にはこちらを使った方がよいかもしれません。
また、下が不安定なので注意しながら撮影しましょう。
下山後は女神湖へ
登山を終えたらまず、白樺高原に位置する女神湖へ行きましょう!
女神湖は実は人工湖であり、かつては赤沼という池が湖として造り変えられ、現在の姿になっています。
湖からは先ほど登った蓼科山の美しい姿が見られます。
湖周辺は遊歩道が整備され、周囲を歩くこともできます。
更に湖にはボートなどもあり、さほど大きな湖ではないので、気軽にボートを楽しむ事ができます。
また、周辺にはホテルや牧場、ゴンドラリフトなどがあり、小規模ながら下山後の観光にぴったりな場所だと思います。
登山口に一番近い温泉はゴンドラリフトの隣にある白樺高原ホテルです。日帰り入浴も可能なので、登山で流した汗はこのホテルの温泉でで洗い流そう!
日帰り入浴は大人600円、小人400円、受付は11:00~22:00まで
時間に余裕のある方はビーナスラインから霧ヶ峰へ
大絶景ドライブ!ビーナスライン
女神湖を下り、白樺湖に差し掛かると霧ヶ峰へ続くビーナスラインがあります。
このラインは先程山頂から眺めた通り、霧ヶ峰の緩く穏やかな山容をなぞるように開通した道路で、走行中は巨大な牧草地を走っているかのようなスケールの大きいドライブを楽しめます。
途中には展望所や休憩所、食事処など天気が良ければ大絶景を眺めながら気持ちの良いドライブを堪能できるおすすめスポットです。
霧ヶ峰も登ろう
そして時間があったらぜひ霧ヶ峰にも訪れて欲しい。
霧ヶ峰は日本百名山の一つであり、百名山の中でも飛びっきり難易度が低く山頂までのアプローチが短いので、誰でも簡単に登る事のできる山です。
コースは多数ありますが急登もほとんど無く、木道や湿原を歩く、いわばハイキングコースがメインなので、気軽に歩くことができます。
特に7月はニッコウキスゲが咲き誇る時期で、広々とした草原に一面オレンジのニッコウキスゲが咲く光景は非常に美しいのでこの時期に訪れるのが望ましいです。
百名山完登を目指している方は、早朝に蓼科山を登り、下座後すぐに霧ヶ峰を登れば、1日に2座百名山を登る事も可能なので、蓼科山と霧ヶ峰をセットで登られるのもおすすめです。
最後に
蓼科山は独立峰のようで独立峰ではないですが、荒々しい八ヶ岳の最北に位置する秀麗で美しい山です。
今回紹介したコースは山頂に最も近い7合目登山口から登るコースで歩行時間もそれほどかからず、のんびり登る事ができます。
山頂からは日本を代表する名山が一望できる大パノラマが楽しめ、山頂自体は一面岩が敷き詰められ、まるで異世界のような今までの山頂とは一味違う光景に驚かれると思います。
周囲には様々なスポットがあり観光地として栄えているので、下山後は時間をかけず充実した観光が可能です。また、百名山完登を目指している方はすぐ隣の霧ヶ峰にも足を運んでみてはいかがでしょうか。