素晴らしき日本の景色たち

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苗場山登山|祓川コースから日帰りで山頂の湿原地帯を楽しんでみた!

6月の半ばは梅雨の中休みを狙って、何度も悪天候で断念していた苗場山に登りました。

苗場山は新潟県と長野県の県境に位置する、標高2145mの越後第一の高山と称えられていますが、不思議な事に平地からはその姿を見る事はできず、まさに秘密の名山と言っても過言ではありません。

秘境の名山、苗場山は古くから信仰登山としても有名で、かつては苗場講の下、山頂付近には様々な神々や仏が祀られ、山岳修験の霊場としても開かれていたそうです。

現在でも講は続いているらしく、山頂付近には神社や様々な神の石碑を目の当たりにする事ができます。

苗場山の見どころは何と言っても山頂部の湿原地帯で、そこはまるで神々の楽園のような壮大で神秘的な湿原が広がり、湿原をよく見ると苗代を思い起こす光景から苗場山と名付けられた説もあり、本当に田んぼを眺めているように感じます。

さて、今回はリベンジ登山という事で、以前登った祓川コースを再び登る計画を立てました。初めて登った時はガスで覆われてしまいましたが、今回は苗場山の雄姿と山頂の湿原地帯を堪能できたので、祓川コースの登山道や山頂部の絶景を合わせて紹介したいと思います。

苗場山、祓川コースのアクセス、駐車場

アクセス

 

関越道湯沢ICより車で約40分で祓川登山口駐車場に到着します。

大まかな道順は、国道17号を苗場山方面へ走らせ、途中、道の駅みつまた手前に苗場山祓川方面の案内看板があるので、それに従います。

登山口に至る道は狭いですが、途中何度も案内看板が設置されているのでそれに従えば迷う事はありませんので心配なく。

駐車場

駐車場は20~30台程度停められるスペースがあり、入口には料金投函箱が設置されています。料金は1回1000円です。

また、駐車場にはトイレもあり、24時間利用可能です。

ちなみに様式で紙も完備されていました。

祓川登山口~和田小屋、ゲレンデコース

車中泊からおはよう!

登山口駐車場から朝日を浴びながら山頂へ向けて出発です。

登山口からゲレンデまでは暫く道路が続きます。

早朝は車も人もいないので、ゆっくり歩く事ができます。

暫く進むと、ゴンドラの線が見えてきます。

苗場山にはドラゴンドラという乗り物が有名らしく、そのドラゴンドラは反対側にあるそうですね。

見頃はやはり秋の紅葉で、その頃は多くの人々が紅葉を目指して訪れるでしょう。

しかし、こちらのゴンドラもなかなかいい景色が見れそうです。

写真は帰りに撮ったものです。

登り進むとゴンドラ山頂駅に到着します。

この辺りに和田小屋があるみたいです。

あちらが和田小屋です。

ここからいよいよ本格的な登山道に差し掛かります。

和田小屋の反対側に登山口があります。

入口にはベンチと、ありがたいことに靴洗い場まで設けてありました。

靴洗い場があるという事は途中、泥の多い箇所があるという事でしょうか?

ちなみにこの水場は飲料水としても利用可能だそうです。

さて、ここからはゲレンデを横切る形で進んでいきます。

遠くにリフトが見えますね。

冬場はスキー場として姿を変えるのでしょう。

ゲレンデにはきちんとした登山コースがあり、迷う事はまずないと思います。

山によっては、ゲレンデにはっきりとした登山コースが無く、曖昧な表示しかない山もあります。

あの時は迷いに迷いまくって苦労しました。まぁどの山とは言いませんが…

ゲレンデ~神楽ヶ峰

広いゲレンデを越えると、いよいよ本格的な登山道に差し掛かります。

最初は木道が続き、後に岩混じりの登山道になります。

比較的緩やかな登山道で、道もはっきりしています。

五合目から六合目にかけては展望も一切なく、ひたすら展望なき道を進む形になります。

六合半に到着。

時折山並みが見えるものの、相変わらず緩やかな登山道が続き少し飽きてきます。

暫く進むと、リフトに遭遇します。

なぜここにリフトが?と思いますが、冬はきちんと起動しているのでしょうか。

リフトを越え暫く歩くと、ベンチがありました。

この辺りで休憩するのもいいかもしれません。

ベンチのある休憩所から先は石が大きくなり、所々歩きにくい箇所が見られますが、特に危険箇所はないので、この辺はサクッと進みましょう。

そして七合目を過ぎた頃になると、ようやく展望が開けてきます。

木々の間から町も見渡せるようになりましたね。

しかし、そこから先は巨大な岩がゴロゴロと転がっているコースになり、徐々に角度も上がってきます。

キツめの岩ゾーンを越えると、再び木道になります。

ここまで来ると展望も開け、振り向くと遠くの山々も見渡せるようになります。

木道の途中にはベンチがいくつかあり、ここも休憩するには最適な場所になっています。

振り返ると、こんな感じの景色が見られます。

写真は帰りに撮ったものですが、木道を歩きながらこのような絶景を眺められるのは最高ですね!

その後は木道、岩場、木道の順に変化していく登山道で忙しい…

小松原分岐

小松原湿原と苗場山山頂方面への分岐点です。

あちらがわの湿原地帯も気になるところですね。

分岐点から神楽ヶ峰まではもう少しです。

ひたすら木道を進んでいきましょう。

木道を進み暫くすると、奇岩「股スリ岩」に到着。

登山道に突如現れるように登場します。

股スリという名前から股を擦ってしまうからかな?

たしかにここを渡る時、股を擦ったかもしれませんw

その股スリ岩のてっぺからはなかなかいい景色が広がっていました。

手前に見える木道もなかなか歩きたくなるような道ですね。

この木道を越えた先に神楽ヶ峰があるのかな?

神楽ヶ峰~苗場山山頂

歩き続けると、神楽ヶ峰の標識に到着。

実はここからも景色が良く、遠くを眺めると山頂部に雪の残った高山も微かに見えます。

そして、手前には田代湖でしょうか?淡いグリーン色の湖もはっきりと見えますね。

平野部は南魚沼市でしょうか?

その奥はモヤっとしていてよく分かりません。

ひょっとしたら八海山や越後駒ケ岳など越後三山くらいまで見えるのかな?

南部側も絶景が広がっています。

名前は分りませんが、奥ゆかしい山並みが続いています。

神楽ヶ峰の先も暫くは景色のよい道が続き、暫くすると…

遂に下界からはその姿を見せる事のない、苗場山の全貌が明らかになりました。

突如現れたので驚きましたが、見た瞬間、あれが苗場山だ!と分かります。

それにしても堂々たる風貌で、山頂に湿原があるとは思えない姿ですね。

さて、神楽ヶ峰から山頂まではアップダウンの激しい道が続きます。

神楽ヶ峰山頂からは暫く苗場山を眺めながらの下り道になります。

苗場山をよく見てみると、白い筋のようなものが見えますね!

あれは恐らく残雪で、まるで川のように流れています。

アップするとその様子がわかります。

暫くすると水場に到着します。

雷清水という名の水場ですが、なぜ雷なのでしょうか?

まぁそこは少し気になりますが、水は冷たく非常に美味しい!

ここまで汗だくの山行だったので、水のありがたみを感じます。

この辺りからの景色も素晴らしく、相変わらず苗場山と稜線もよく見え、まるでアルプスを登っているような光景です。

歩きながら何度も写真を撮りたくなるような景色ですね。

そして下り終えると、お花畑という地点に到着します。

6月に訪れた時は特にお花はありませんが、見頃の時期になると一面お花畑になるのか気になります。

お花畑から先も稜線が続き、この辺りから登りに差し掛かります。

最後は急登が待ち受けていそうですね。

しかし、最後までずっと稜線歩きかと思いきや、突如茂みのコースに突入します。

これは予想外です。

しかも、岩も多めの登山道で、途中ロープ場もあり注意が必要です。

しかし、鬱蒼とした道はほんの少しで、いよいよ山頂へ向けてラストの登りになりました。

振り返ると神楽ヶ峰と今まで歩いてきた道を見わたせます。

こちらからの光景もなかなかいいですね。

雲尾坂

たぶん最後の急登です。

ここから先は道も狭く、すれ違う時は注意が必要です。

特にきつい岩場や鎖場はありません。

景色もいいので、よそ見をしないように歩きましょう。

苗場山山頂の湿原地帯

雲尾坂を登りきると、遂に山頂部である湿原地帯に到着します。

先ほどまでの景色と違い、いきなり広大な景色が広がったので驚きです。

登山道も木道になり、いよいよ湿原歩きが楽しめる予感がします。

暫く歩くと、ようやく湿原が現れました。

このようなため池がいくつもあり、風がない時は青空と雲を映す鏡のようになっていました!

山頂部は基本木道を歩きましょう。

湿原を歩くと土壌が固くなり、衰退してしまう恐れがあるとの事です。

山頂手前のは大きな休憩所&展望所があり、ここからは湿原を一望する事ができます。

近場の山はよく見えますが、遠くの名山は空気が澄んでいる時しか見えそうにありませんね。

しかし、広大な湿原地帯の絶景も苗場山ならではの光景です。

山頂に到着しました。

ちなみに山頂の展望は無し。

巨大な標識のみ建てられていました。

山頂のすぐ隣には苗場山唯一の山小屋である、苗場山自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)があります。

ログハウス風の山小屋で、ここでは宿泊もでき、外にはいい感じのデッキもあるので、休憩やお昼には利用してみるのもいいですね。

地図には載っていませんが、小屋の所に見晴らし台という箇所があるみたいなので、行ってみました。

約1分で素晴らしい展望箇所に到着しました。

この日は天気がいいものの、やはりモヤが多く遠くの景色はイマイチでした。

先ほどの看板によると、北アや妙高山、火打山、更に日本海まで見えると書かれていたので、ベストの時はなかなかいい景色が楽しめそうです。

しかし、すぐ近くの鳥甲山はよく見えます。

拡大すると、急峻な山である事がよく分かります。

恐ろしい山容ですが、難易度はいかに…

さて、本当はここで引き返すつもりでしたが、せっかくなのでもう少し先まで歩いてみましょう。奥には苗場神社という所もあるみたいなので、そちらまで歩きます。

山小屋から先も木道が続き、途中には湿原と池があちこちで見られます。

途中、何やら神様の名前が書かれた石が大量に置かれていました。

天照皇大神を中心に天岩屋戸、天孫降臨に活躍した神々の他、大己貴命や事代主命などの国津神系の神々も祀られていますね。

苗場山山頂には伊米神社が鎮座され、場所的にはここではないのですが、お社が無くなってからここに移動されたのでしょうか?

詳しい事はわかりませんが、謎は深まるばかり…

また、苗場山には古くから山岳信仰の山として栄え、湿原がまるで苗田のように見える事から農業神としても信仰され、伊米神社の米の字からその事が分かると思います。

しかし、苗場山の信仰は詳しく知られておらず、伊米神社の由来や神々についての起源も分かっていないそうです…

苗場山の由来も、恐らく田んぼを思わせる光景から来ていると思う。

湿原に注目してみると、確かに苗を植えたばかりの田に見えなくもない様子が分かり、思わず標高2000mの高山である事を忘れてしまう。

というか、いったい誰が苗を植えたのだろう?と本気で思ってしまいますね。

途中、残雪箇所もあるので注意しましょう。

特に危険な残雪ではないので、ここはサクッと進みます。

残雪を抜けるといい感じの木道が広がり、奥には鳥甲山がよく見える風景になってきます。

こちらもいい感じの湿原地帯が続きます。

そして分岐点に到着。

ここから苗場神社までは歩いてすぐです。

苗場神社に到着。

お社は立派な神棚のような造りになっていて、巨大な岩に、しかも不安定な場所に鎮座されていました。大丈夫でしょうか…

伊米神社との関係は分りませんが、こちらは場所もはっきりしているので、容易に訪れる事ができます。

何の神様が祀られているのかは分かりませんが…

苗場神社から先も道は続き、暫くは木道と湿原が続くと思います。

私は苗場神社で引き返し、再び苗場山山頂方面へ向かいました。

苗場山近くのおすすめスポット

清津峡渓谷トンネル

日本三大峡谷の1つに数えられ、巨大な岩壁に刻まれるV字谷は国の名勝、天然記念物に指定され、近年ではアーティスティックな雰囲気にコーディネートされ、多くの観光客を招く渓谷として有名です。

特にトンネルの最奥にあるパノラマステーションは清津峡最大の見どころで、自然景観と人工物のコラボが大変素晴らしく、更にパノラマステーションに至るまでに様々な仕掛けやアートが楽しめるトンネルになっています。

春の新緑から秋の紅葉まで春夏秋冬楽しめるスポットとしておすすめなので、ぜひ訪れてみて下さい。

www.narisuba.com

龍ヶ窪

龍ヶ窪は長野県と県境の津南町にある湧水スポットで、名水百選にも選ばれています。

名前の通り龍神伝説が伝わってるそうで、池の色を眺めると淡い緑色を成し、何か潜んでいる?ような感じに見舞われます。

また、池周辺にはブナや杉の木で覆われ、遊歩道は非常に神秘的な雰囲気が漂い、かつては禁足地であったのではないかと思えるくらい幽玄な池です。

池には駐車場が完備され、遊歩道もしっかりしているので、気軽に立ち寄る事ができます。

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最後に

苗場山は展望よりもやはり、山頂の雄大な湿原地帯や植物を楽しむ山だと、写真を見て感じていただけたでしょうか?

湿原のため池はまるで誰かが苗を植えたような不思議な光景で、本当に田んぼのような光景である事も分かると思います。

また、今回は残念ながら展望はあまりよくなかったものの、空気がよければ絶景も堪能できるので、山頂の湿原と共に楽しめればよりよい山行になると思います。

今回は日帰りコースを選択しましたが、苗場山も縦走可能な山なので、日程に余裕があれば縦走登山で訪れるのもおすすめです。