9月も半ばに迫るも、まだまだ暑さの厳しく、この日は私の大好きな伊豆半島へ旅に出ました。
伊豆半島は海底火山が隆起し、プレートに乗って本州に衝突したことから始まったそうで、伊豆半島そのものがジオスポットという事になり、現在でも様々な場所でその景観を眺める事ができます。
今回紹介する場所は盥岬という場所で、近くには逢ヶ浜や龍宮窟など有名なジオスポットの間にあり、実を言うとあまり知られていないスポットですが、盥岬からは伊豆諸島を一望できる展望台があり、海岸沿いには三ヶ月の大洞という奇景を始め、魅力のある遊歩道が続いています。
今回も運よく快晴の空の下で遊歩道を散策でき、更に空気も澄んでいたので伊豆諸島も見渡す事ができました。盥岬遊歩道はまだまだ続きますが、今回は盥岬周辺のみの遊歩道を紹介したいと思います。
- 盥岬のアクセス、駐車場
- 盥(たらい)岬とは?
- 駐車場~椿園、分岐点までの道のり
- 盥岬遊歩道(健脚コース、らくらくコース、海岸コース)
- 盥岬先端から海の絶景!
- 本当の海岸コース?伝説を秘めた三ヶ月の大洞までの道のり
- 盥岬周辺のおすすめスポット
- 最後に
盥岬のアクセス、駐車場
アクセス
伊豆急行下田駅から車で約20分。
バスの場合は伊豆急行下田駅から東海バス、田牛行きバスに乗り、田牛で下車。
駐車場
盥岬遊歩道入口手前に無料駐車場が有ります。
約7~8台程度駐車可能のスペースになっています。
トイレは有りません。
盥(たらい)岬とは?
盥岬は下田市にある龍宮窟から海水浴で有名な弓ヶ浜の間に位置する南伊豆町のジオスポットで、弓ヶ浜から田牛に至るまで、「タライ岬遊歩道」というハイキングコースが続いています。
盥(たらい)岬という由来は特に書かれていませんが、盥とは手水や洗濯で使う水やお湯をためておく円形の容器、桶のようなもので、漢字を見てみると皿の上に水が書かれ、両手で水をすくう様子が分かると思います。
盥岬もこの盥という字が使用されており、この岬が盥のようになっているのかは疑問に思うところです。
見どころは盥岬の先端からの景色で、目の前には雄大な太平洋と、運がよければ伊豆七島が見渡せ、近年ではその展望のよさから、水平線がカーブを描くビュースポットとして、更に地球が丸い事を感じられるスポットとしても言われています。
また、遊歩道内には椿園という箇所があり、2~4月には1050本もの椿が咲き誇る花の遊歩道として楽しむ事もできます。
駐車場~椿園、分岐点までの道のり
簡単な地図があるので、こちらをご覧ください。
まずは、右の駐車場から椿園まで歩いてみましょう。
最初はコンクリートの道を歩きます。
この辺りはまだ海が見えません。
車止めから先は緩い坂道になります。
緩い坂道を登りきると、視界が開けてきそうな予感がします!
登りきるといきなり海の景色が見えます!
ここから先はまだ歩きますが、いきなりの絶景にしばらく立ち止まってしまいます。
正面が遠国島、その隣が伝説の込められた三ヶ月の大洞です。
ここからだと大洞がよく見えませんが、下の海岸コースからはよく見えるそうなので、帰りに立ち寄りましょう。
展望所からすぐに分岐点に到着。
こここら下に降りると、海岸コースに繋がるそうですが、まずは先に椿園方面へ行きましょう。→矢印の方
椿園方面へ向かうと、最初は登りになっています。
展望は無く、うねりのある木々に覆われた登山道のようになっています。
これれは亜熱帯性の木々でしょうか?
しばらく進むと、下りに差し掛かります。
最初は階段の下りなので歩きやすいです。
下り終えるとより鬱蒼とした登山道になり、早く海の絶景が恋しくなってしまいます…
もう暫くは辛抱ですね。
そして椿園に到着。
2月~4月にかけてこの辺りには多くの椿が咲き誇るみたいですね。
残念ながら訪れたのは9月なので、椿の花に出会う事はできません。
2~4月の見頃に訪れるのもよいかもしれません。
椿園を越えると、分岐点に到着。
ここからは海岸コースと健脚、らくらくコースに分かれます。
まずは健脚、らくらくコースから参りましょう。
盥岬遊歩道(健脚コース、らくらくコース、海岸コース)
健脚、らくらくコース
海岸コース入口の隣に健脚コースとらくらくコースの分岐点があります。
看板が少し見ずらいですが…
健脚コースと書かれた方へ向かうと、いきなり急な登りが始まります。
健脚と書かれているとおり、確かにこの坂はきつく、階段なので登っていると足にきますね!
しかし、急登ですが登る距離は短くてっぺんに着くとすぐに下りになるので、意外にあっけない登りです。
下り終えるとすぐにらくらくコースに合流します。
ちなみに、らくらくコースは先ほどの健脚コースの山を迂回する形になり、少し遠回りですが、到着時間はそれほど変わりはありません。
まぁこれくらいならどちらから行っても時間に変わりはないですね。
コースはこんな感じで、歩きやすい平坦な道が続くだけです。
汗をかきたくなければ、らくらくコースの方がいいかもしれません。
さて、ここから盥岬展望所までは共通の道になります。
分岐点から盥岬展望所まではゆるい坂道になっていて、残念ながら展望は一切なしの道が続きます。
登りと言ってもほとんど平坦な道です。
最後に緩く下るとここでようやく海岸コースと合流になり、盥岬展望所に到着します。
ここからの海の景色が大変素晴らしい。
海岸コース
さて、海岸コースですが…
海岸コースはいきなり下りになり、このような木道をひたすら下る形になります。
木道をひたすら下ると、波の音が聞こえてきます。
こちらのコースは一旦海岸に出るコースなので、海沿いを歩く事になります。
そして海岸に到着しました。
ここから盥岬まで海岸沿いを歩く道になります。
目の前が海なので、非常に開放感のある道ですね~
あちら側は伝説の三ヶ月の大洞に続く道になりますが、まずは先に盥岬方面を歩きましょう。
海岸コースの核心部という所でしょうか?
目の前には少し恐怖を感じる道になっています。
特に危険箇所は無く、すんなり進める道に整備されているので、焦らずに進みましょう。
何でしょう…以前登った三ッ峠山の核心部によく似た道になっています。
振り返るとこんな感じ。
海岸のふちを歩く感じがよく分かります。
しかし、悪天候や強風、荒波の時は歩かない方がよさそうですね…
この日は天候に恵まれて本当によかったと思います。
核心部を過ぎると岩の階段を登り、登った先には展望の開けた場所に到着します。
この辺りは足場が悪く歩きずらく、断崖になっているので、歩く際は注意しながら歩きましょう。
波に削られた岩壁もはっきり見えます。
さすがにあそこまで行く事はできません…
断崖ゾーンを過ぎると最後の登りになります。
ゴールまではほんの少し登るだけです。
盥岬先端から海の絶景!
盥岬展望所には標識があり、記念撮影する事ができます。
ネットで調べると、以前はこれより大きい看板のような標識が建てられていたそうです。
奥に見えるのが先端になっています。
まるで石廊崎のような海の遊歩道になっていますが、規模は圧倒的に小さく、すぐに先端に到着します。
先端部はこぢんまりとして、目の前には広大な太平洋を望む事ができます。
この展望所からは伊豆諸島の全てを眺める事ができ、この日の午前中はかなり暑く完全に夏でしたが、展望はクリアに眺める事ができました。
左から順に爪木崎と大島が見えます。
爪木崎は平坦で、恐らく隆起してできた海岸だと思われます。
確か、あの辺りは見事な柱状節理が見られたような気がしますね。
正面は利島から神津島まではっきりと確認でき、水平線に浮かぶ島がどれも個性的で、まるで兄弟のように大小様々ですね。
伊豆諸島とは大島から南は孀婦岩までを指しますが、伊豆半島からは神津島くらいまでしかはっきり眺める事はできません。
それにしても天気が良すぎて、海がキラキラと輝いています。
あまりにもはっきりと見えるので拡大しましょう。
まずは利島と鵜戸渡根島
利島は右側が急降下していますね。あれは断崖なのでしょうか?
鵜戸渡根島は島というより海に浮かぶ山のように見えます。
新島、と式根島。奥にうっすらみえるのは…三宅島でしょうか?
神津島もはっきりしていますね!
その手前に見えるのは神子元島の灯台です。
縞模様の灯台は日本最古の洋式石造灯台で大変歴史のある灯台みたいです。そして、なんと、現在も現役で使用されているそうです。
一方、神津島は古代から黒曜石の採石場として有名で、沼津市や関東近辺の遺跡から神津島産の黒曜石が発見されているそうです。
黒曜石は矢じりや石器として使用され、非常に重宝された資源であり、古代人にとっては生きていくうえで貴重な存在だったと思われます。
しかし、船の無い時代に命がけで神津島まで黒曜石を採取しようという縄文人のアグレッシブな精神には驚きですね。
神津島の縁起には、そこに神々を集め島を焼きだされる相談があった場所から神あつめ島(神津島)となったそうで、黒曜石は黒い宝石とまで言われている通り、非常に重宝された資源なので、黒曜石が豊富な神津島は必然的に神々が集まる島である事には納得いくと思います。
さて、南の方を眺めると石廊崎の海岸も確認できます。
あちらは観光スポットとして有名なので、平日のこの日の同じ時間でも観光客が景色を楽しんでいる事でしょう。
それにしても海岸の周辺には奇妙な形の岩が多数見られますね。
左奥には石廊崎の灯台も確認できます。
ちなみに展望所はこんな感じで、円形の展望解説版には島の配置が記されています。
何気にここは断崖なので遠くから見ると恐ろしい場所に見えるのでしょうか?
案内板の先はご覧の通り断崖です!
下を覗くとこんな感じで波が勢いよく海岸にぶつかる様子が分かります。
頑張れば下に降りる事も可能ですが、ここは見下ろすだけにしましょうか。
さて、実はもう1箇所見どころがあるので紹介。
先ほどの展望所手前右手に下る箇所があり、そこを下る事ができます。
そこにはなんと、オレンジ色の花が咲き誇り、一瞬ニッコウキスゲかな?と思って近くで見ると、少し違うみたいだったので調べてみるとどうやらノカンゾウという花らしく、ユリ科で、6月~8月にかけて咲くそうですが、9月にご覧の通りちょうど見頃を迎えていました。
岩と草原の間にひそかに咲いていて、まさに秘密の場所です。
このようなこぢんまりとした海岸沿いに咲く花も趣があっていいですね。
奥は柵が取り付けられ、その先は断崖と雄大な海の光景が広がっています。
いつまでも眺めていたい海の光景です。
ちなみに、展望所の先の断崖には潮風に負けじと、力強く咲いているノカンゾウがあり、他のノカンゾウとは違う根性を感じました。
本当の海岸コース?伝説を秘めた三ヶ月の大洞までの道のり
さてさて、各コースと盥岬からの展望を紹介しましたが、海岸コースには三ヶ月がよく見えるポイントがあるので、そちらまで歩いてみましょう。
先ほど歩いた海岸コースの核心部まで戻り
向こう側まで歩けそうなので、行けるところまで歩いてみましょう。
波による浸食で海岸は複雑に入り組み、足場の悪い箇所もあるので注意しましょう。
途中、トラバースするところもあります。
ここは先ほどの海岸コースのところより細く、落ちたら海にドボンしかねないので、慎重に渡りましょう。
しかし、この辺りも天気がいい日は歩けますが、悪天や潮が満ちている時は歩かない方がいいかもしれませんね。
そして歩いて数分で三ヶ月の大洞がよく見える地点に到着します。
正面にはぽっかりと開いた洞穴が見えますね。
それにしても、ものの見事に穴が開いています。
本当に波によって削られたのか疑問に思うほど綺麗に削られています。
拡大すると、奥に繋がっているようにも見えますが、中はどうなっているのでしょう?
あそこまで行けないか周囲を見ましたが、完全に岩壁になっており、渡り歩く事は不可能に近く、ここまでにしました。
まぁ無理に行こうと思えば行けると思いますが、下を覗くと深そうで、落ちたらさすがにまずい感じになっています。
引き返そうと思いましたが、反対側によじ登れそうな岩があったので、そちらを登ってみました。
てっぺんに立つと先ほどの三ヶ月の大洞と遠国島が見えます。
その反対側は海岸コースが見えますね。
それにしても海が綺麗で、見事なエメラルドグリーンになっています。
海の方面も相変わらず伊豆諸島の島々と、時折漁船が行き来して、いつまでも眺めていたい海の絶景が広がっています。
9月の中旬に差し掛かったこの日ですが、最近はまだまだ夏空が続いていますね。
ちなみに浅瀬を覗くと、魚たちが元気よく泳いでいました🐟
魚だけでなく、カニもいました🦀
さて、帰りは元の海岸コースを登るのもいいですが、最初の分岐点に繋がる道を歩きましょう。
振り返ると相変わらず美しい海景色が広がっています。
もうちょっと眺めていたいのですが、急ぐ旅なのでこのへんで。
先ほどの海岸コースより坂は急で、道も狭いので、すれ違う時は注意しましょう。
そして、最初の分岐点に到着。
弓ヶ浜、タライ岬は椿園へ向かい、海岸は海岸へ向かいます。
どちらかというと海岸に向かった方が盥岬に近く、ショートカットになります。
盥岬周辺のおすすめスポット
龍宮窟
下田から少し南に下った田牛にはハートスポットで有名な龍宮窟がおすすめです。
龍宮窟は海底火山後に隆起した部分が、長い年月をかけて削られ天井部が崩落してこのような空間ができたそうです。洞窟内にはエメラルドグリーンの波が流れ込み、薄暗い中に太陽の光が注ぎ込むと大変神秘的な光景を目の当たりにする事のできる、伊豆半島屈指のジオスポットとしても有名です。
下の洞窟内だけでなく、天井部もきちんとした遊歩道が設けてあり、天井部から洞窟を見下ろすとハートの地形が見られ、最近ではハートスポットとして、多くのカップルや恋人同士で訪れる方も多いそうです。
しかし、近年天井の崩落が進み一部規制がかけられているので、入洞される時は事前に確認の上、訪れましょう。
特攻艇「震洋」洞窟
盥岬から車でほんの数分の所に手石港という港があります。
この港には太平洋戦争末期に海軍が開発した特攻兵器「震洋」の格納庫が今でも当時のまま残された戦争遺構があります。
格納庫は海岸の岩壁に穴を開けて作られ、岩壁を眺めるといくつもの穴が確認できます。格納庫は全部で8箇所あり、穴の中も入る事が可能になっています。
周辺には当時のままの遺構や岩壁には文字も残されています。
伊豆半島には約200箇所もの「震洋」の格納庫があり、その中でもこの手石港の格納庫は当時のままの姿を保たれ、戦争の記憶を今に伝える貴重な戦争遺構です。
下田にも足を運んでみよう
下田と言えばペリー来航が有名で、江戸時代の鎖国の終わりを知らせる出来事で有名な地になっています。
そのために、下田にはペリー来航の記念碑やペリーロードという和洋折衷の歴史あるスポットがあり、その他アジサイで有名な下田公園や海の絶景を楽しめる寝姿山など、自然を堪能する観光スポットも多く伊豆では人気のある観光地です。
また、道の駅開国下田みなとにあるハンバーガー屋の金目鯛バーガーは最高に美味しく、伊豆に来たら毎回食べるほど気に入っているので、こちらはぜひ1度食べてみてください。
最後に
伊豆半島はジオスポットの宝庫で、海岸沿いには火山によって形成された奇岩が多く、遊歩道も多数整備されています。
今回紹介した盥岬もジオスポットの一部で、特段有名な箇所ではありませんが、天気がいい日には雄大な海と伊豆諸島を眺められる絶景遊歩道で、所々危険箇所はあるものの、気軽に歩く事ができます。
また、海岸コースは三ヶ月の大洞を目の前に眺める所まで歩行可能で、海のコンディションがよければ海岸沿いを歩く事もできるので、そちらまで行かれてみてはいかがでしょうか。