徐々に暑さが和らいだ10月初旬、八ヶ岳周辺の山を登ろうと、以前から気になっていた飯盛山を登りました。
飯盛山は奥秩父の最果てに位置し、清里から日帰りで登る事のできる山です。SNSで登られている方の投稿を拝見し、山頂からは八ヶ岳や南アルプスの絶景が楽しめるそうで、いつか登ってみようと思い今回早速登ってみました。
当日は低気圧が近づく中での山行でしたが、運よく天気も安定し、山頂からは素晴らしい景色を堪能する事ができました。
今回は清里駅近くの無料駐車場から山頂を目指し、帰りには滝巡りを行うコースを選択したので、登山道の様子や山頂からの大絶景を紹介したいと思います。
飯盛山とは
飯盛山は清里の東部に位置する標高1643mの山で、周囲を奥秩父、南アルプス、八ヶ岳に囲まれています。
飯盛山の由来は清里方面から眺めると、まるでご飯を茶碗に盛ったように見える事からそのような名前が付けられ、山頂付近は樹木が少なく、展望は360度の大絶景を眺める事のできる、知る人ぞ知る長野の展望のよい山です。
清里周辺の展望所からもその姿はよく見え、知らない人にとっては見落としがちの山ですが、飯盛山は遠くから眺めても綺麗な茶碗形を成す美しい姿で、見つけては眺めてしまいます。
また、飯盛山の近くには大盛山と平沢山というピークがあり、これらの山も実は飯盛山のような茶碗形の山容を成し、飯盛山は茶碗形のピークが3つある山塊である事が分かります。標高も1600m台で、登山道も3つのピークを日帰りで十分歩ける距離になっています。
遠くから眺めると飯盛山、大盛山、平沢山の3つのピークが眺められ、”飯盛り三山”と名付けてもいいのではないかと、個人的に思います。
飯盛山のアクセス、登山口、駐車場
清里駅の登山口、駐車場
中央道須玉ICから車で約25分で無料駐車場に到着します。
駅から歩いて数分の所に広い無料駐車場があるので、清里駅方面から登る方は北斗市営清里無料駐車場がおすすめです。
平沢峠登山口、駐車場
もう1つの登山口である平沢峠にも獅子岩駐車場という無料駐車場があります。
こちらも広々とした駐車場で、数多くの駐車スペースがあります。
登山コース
清里駅左隣の駐車場からスタートし、飯盛山、平盛山(大盛山)、平沢山を縦走し、平沢峠へ下山するコースを歩きました。
下山後は宮司の滝経由で再び清里駅方面へ向かいました。
清里駅~千ヶ滝入口
清里駅の反対側にある無料駐車場から出発し、はじめに清里駅方面に歩きます。
途中、グラタン屋の看板があるので、そこを左に曲がります。
ここのグラタンアミは評判のいいグラタン専門店らしく、1度行ってみたいですね!
グラタン屋を越えると国道141号の道路に出るので反対側に渡りましょう。
国道を越えると、まだまだ登山道ではありませんが、徐々に繁華街から離れていきます。この辺りは川も近くにあり、清々しい気分になれます。
10月の上旬ですが、まだまだ緑色の葉が多数でした。
もう一か月経てばこの辺りも紅葉で綺麗な道になるに違いありません。
暫く歩くと千ヶ滝という入口看板が見えてきます。
滝へ向かうには右に曲がり、暫くすると千ヶ滝へ続く遊歩道が見えてきます。
ちなみに千ヶ滝はこのような滝です。
実は以前に千ヶ滝を訪れたことがあり、落差はそこまでではありませんが幅広で、巨大な壁のように豪快に流れ落ちる姿は迫力満点でした。
また、滝の近くには巨岩があり、巨岩の下には龍神様も祀られていた事から滝をご神体として祈られていたのかもしれませんね。
千ヶ滝入口~飯盛山山頂
さて、千ヶ滝から先も暫く道路を歩きます。
一般車だけでなく大きなトラックも走るので、歩く時は注意しながら進みましょう。
暫く歩くと集落が見えてきます。
スタートは山梨の清里ですが、歩いて行くうちに長野県に突入したそうです。
先ほどの千ヶ滝がちょうど県境だったそうで、千ヶ滝は県境を流れる滝という事になりますね。
集落を歩くと、飯盛山登山口の案内が見えてきます。
そろそろ本格的な登山道に差し掛かる予感がします。
ちなみに登山口案内の看板が立てられていたところには宿泊施設があり、喫茶店としても開かれているみたいです。
その隣には駐車場も完備されているので、こちらに車を停めて登るのもありかと思いますが、この駐車場は有料のようです。
集落を過ぎ振り返ると、なんと!八ヶ岳が見えてきます。
全体ではありませんが、主峰赤岳、権現岳がよく見えます!
この辺りの方は毎日雄大な八ヶ岳を眺めながら生活しているのですね。羨ましいかぎりです。
そして道路も終わり、ここからいよいよ本格的な登山道に入っていきます。
いきなり鬱蒼とした登山道になっていますが、登山道自体はしっかりと整備された道なので、迷いなく進む事ができます。
最初の方はロッジや廃ロッジのようなものが点在し、途中廃車も草で埋もれている箇所がありました。
少し進むと、木々の間から日差しが差し込み、若干ですが明るい登山道になってきます。道も特に急坂ではなく、比較的緩やかな登りが続きます。
足下には定番のクマザサが広がり、雨上がりだと濡れながら進む羽目になりますが、特にずぶ濡れにはなりませんでした。
徐々に角度の上がる登山道を登り進むと東屋が見えてきましたので、こちらで休憩しましょう。
東屋からは景色は見えませんが、周辺にはススキがたくさん生えていました。
相変わらず秋らしい気温ではありませんが、植物たちは着実に秋へ向かっている様子が分かります。
さて、休憩も済みましたので、ラストの登りに参りましょう。
これはもしや!いつもの鹿さん除けの扉かな?
登山口ほど緩やかな登りではありませんが、道幅も広く歩きやすいです。
途中、丸太が浮き出ている箇所もあります。
足に引っかからないように進みましょう。
そして、暫く丸太と格闘していると飯盛山の山頂部が見えてきました!
一瞬であれが飯盛山だと分かるくらい美しい山容です。
あそこに立ったら絶対に素晴らしい景色が楽しめそうです!
我慢できず振り返ると、山頂に近づくにつれ、八ヶ岳とその隣には南アルプスが見えてきます。
この道は帰りに歩いてもよさそうな道ですね。
登り続けると分岐点に到着します。
ここからは飯盛山と大盛山へ続く道に分かれるそうです。
しかし、標高1600m台のはずなのに、既に森林限界を突破した高山の雰囲気を感じます。
ここまで来ればラストスパート。
最後の坂を登ると絶景が待っています。
最後の坂にはススキが多く、その他にも多くの花が咲いていました。
飯盛山山頂からの大絶景
そして遂に飯盛山山頂に到着。
噂通り360度の大パノラマが目の前に広がっています!
まずは何と言っても八ヶ岳の全貌が素晴らしく、古の巨大火山の風貌がなんともたまりません!
八ヶ岳は昔、富士山より高かったと言われ、嫉妬した富士山が八ヶ岳を叩いて標高を低くしたと伝説では語られています。
確かに標高は富士山より低いものの、山頂部の荒々しい岩峰群とそれとは真逆に美しい裾野も兼ね備えたアンバランスな山容が富士山にはない魅力だと思いますね。
そのお隣には南アルプスの山々がよく見えます。
南アルプスも甲斐駒、鋸岳、鳳凰三山、奥には北岳も確認でき、こちらも大迫力の展望を楽しめます。
更に視線を横にすると、富士山とその周辺の山々もよく見えます。
富士山の手前には金ヶ岳、茅ヶ岳、曲岳、黒富士の山々が聳え、ちょうど富士山の間に挟まって見えます。
南アルプスの反対側は奥秩父の山々もズラリ。
金峰山の五丈岩も肉眼で見えます。
あちらの山も2000m以上の山が続きますが、ぱっと見は高そうに見えないんですよねぇ
西上州の山々も見えます。
手前の岩峰は男山、天狗山、その奥には西上州最高峰、御座山が聳えています。
そして最後に大盛山とその奥には浅間山までよく見えました!
大盛山は緩やかに盛ったような山容です。大盛という名前からもっと盛ったような姿かと思いましたが、これは意外ですね。
今回もズームコレクション!行ってみましょう!
八ヶ岳最高峰赤岳付近をズーム!
よく見ると、赤岳頂上山荘と左には赤岳天望荘が見えます。
少しズームアウトすると、横岳もセットで見えます。
権現岳も!
権現岳山頂にある奇岩も確認できますね。
甲斐駒、鳳凰三山のアップ!
地蔵岳のオベリスクがはっきりと見えました!
あちらは金峰山のシンボル、五丈岩!
鳳凰三山の地蔵岳のオベリスクよりくっきり確認する事ができます!
ちなみに山頂はこぢんまりとしたスペースで、記念撮影にはピッタリの大きな標識が立てられています。
暫く山頂のスペースで腰を下ろし、ゆっくりと大絶景を眺めながらお茶でも飲みたいですね。
大盛山、平沢山~平沢峠まで縦走
さて、飯盛山の大絶景を堪能したので、ここからは大盛山と平沢山、最後に平沢峠まで縦走しましょう。
再び分岐点に戻り、今度は大盛山へ向かいます。
標識に従い、大盛山へ向かいます。
途中、こちらもススキが綺麗に生えていて、つい写真を撮ってしまいます。
気持ちのいい登山道を歩くと、すぐに大盛山山頂に着きます。
この周辺のススキも綺麗でした。
そして大盛山に到着。
地図には平盛山と書かれていますが、なぜか標識には大盛山と書かれています。
一応グーグルマップには大盛山と書かれていますが…
こちらからの景色は八ヶ岳と南アルプスは変わりませんが、飯盛山の美しい山容を眺める事ができます。
八ヶ岳もご覧の通り!
ススキと一緒に眺める事ができます。
上手くいけば富士山とコラボ写真も撮れます!
ここまで美しい山容なら○○富士と名付けられてもいいのではないでしょうか。
反対側の平沢山も見えます。
あちらの山頂もいい景色が見れそうな予感がしますね!
浅間山方面はご覧の通り視界が開けて開放感があります。
さて大盛山を後にし、再び最後のピークになる平沢山へ向かいましょう。
最近よく見かける鹿よけネットはきちんと閉めるように。
平沢山までは八ヶ岳と南アルプスを眺めながら稜線を歩いて行きます。
特に急登も無く、スムーズに歩く事ができます。
平沢山まで距離は短く、暫くすると美しい山容の平沢山が見えてきます。
それにしても、なんとも歩きたくなるような稜線ですね!
ここが2000m級の山ではない事が嘘のようです。
美しい稜線を歩くと途中、平沢山への分岐点に到着します。
このままスルーする事もできますが、ここはぜひとも平沢山に登りましょう。
すぐに山頂に到着できるものの、意外にも急勾配です…
たぶん飯盛山よりキツい登りですね。
しかし、すぐに山頂に到着。
平沢山の山頂部は広く、大勢が寛げるスペースになっています。
相変わらず目の前には巨大な八ヶ岳が聳え、南アルプスもよく見えます。
振り返ると大盛山、飯盛山、その奥には富士山が見えます。
それにしても飯盛山は本当に美しい姿をしていますね。
浅間山方面は先ほどと変わらない光景です。
平沢山の先は細い登山道が続きます。
この辺りは地面が湿っていて少し歩きずらいですが、特に危険箇所はありませんので、サクッと進む事ができます。
基本展望はありませんが、時折開ける箇所もあります。
これは登っている時に眺めたら気持ちよさそうな光景です。
そして、宮司の滝への分岐点に到着。
ここから宮司の滝へのショートカットがあるみたいですが、このまま平沢峠まで下りる事にします。
下り続けると、ついに登山口に到着します。
実を言うと、こちらの登山口から登られている人が多く、飯盛山へ登るには平沢峠登山口の方が定番のようです。
平沢峠には広い駐車場があり、観光バスも何台か停まっていました。
ここは観光スポットとしても取り上げられているらしく、特に八ヶ岳の展望と隣にあるしし岩が有名です。
しし岩は名前の通り、岩が獅子の姿に似ているから付けられたそうで、この一帯の火山活動によって形成された火山岩の一種です。
入口から進んでいくと、恐ろしい形の火山岩の群れに出くわします。
どれがしし岩なのか分かりませんが、迫力のある火山岩が続いていきます。
以前訪れた浅間山の鬼押し出し園を思い起こす光景が続き、岩は登る事もできますが、十分に注意しながら登りましょう。
実際に岩の上から眺めると非常に開放的で、雄大な八ヶ岳を眺めるには絶好な場所だと思うので、立ち寄る事をおすすめします。
平沢峠~宮司の滝
さて、大きな駐車場のある平沢峠を後にし、宮司の滝方面に行きましょう。
平沢峠から暫く道路を下りながら歩きます。
道路沿いにもご覧の通りススキがたくさん生えていました。
下山後は汗ばむ陽気でしたが、ススキを見ると秋なんだなぁと感じます。
そして道路沿いに宮司の滝方面を示す標識が現れますが、ここは見落としがちなので注意しましょう。
まぁ宮司の滝を寄らなくてもこの道路を下れば、最初に歩いた道路に合流できるので問題はありませんが、せっかくなので宮司の滝という名の滝を見てから帰りましょう。
先ほどの看板から再び登山道に突入します。
地図を見ると、実線ルートだったので安心して通れると思いきや、かなり鬱蒼としたルートになっていました。
恐らくこのルートはあまり通られていないらしく、踏み跡もほとんどありませんでした。
迷うほどではありませんが、所々分かりにくい所もあるので、注意しながら進みましょう。そして蜘蛛の巣がやたら多く、何度も顔に引っかかりました…
ここも見落としがちです。
この柵に入らないと宮司の滝方面には行けないので注意!
この看板を逃すと知らずに奥に進んでしまいます。
私も途中まで気づかず、先に行ってしまいました…
柵を越えても、相変わらず鬱蒼とした登山道が続きます。
本当に実線ルートなのか疑いを持ちますね…
暫く進んでいくと、川に差し掛かります。
ここまで来れば、宮司の滝まであと少しというところでしょうか?
川を眺めると、水が綺麗である事がわかります。
清々しいですね。
そして手書き看板の分岐点に到着。
ここから宮司の滝方面に向かい、そのままスタート地点へ戻りましょう。
道迷いにならないよう注意しながら進みます。
分岐点から先は細い道になり特段危険箇所はありませんが、途中細い尾根道もあるので注意が必要です。
下り終えると宮司の滝を示す看板があります。
どうやら滝はもうすぐそこのようですが、鎖があるらしく、どんなルートなのか気になるところです。
鎖場の手前に謎の階段がありますが、どうやらここを登るみたいですね。
登り終えると、いきなり鎖場に突入します。
右には巨大な岩壁があり、そこを沿うように鎖が垂れています。
足場も巨大な岩が複雑に絡み少し歩きずらいですが、ここは特に恐怖心もあまり感じないので難なく進む事ができます。
鎖を渡り終えると橋があり、目の前に滝が見えます。
どうやらあちらが宮司の滝のようですね。
滝は少し遠い所にありますが、橋から眺めても豪快さが伝わります。
さて、宮司の滝を眺め終えたので、元の場所に戻りましょう。
滝から先に道が続き、この道を歩いて行きます。
主に川沿いを歩いて行く道で、ほとんど平坦な道になっています。
所々に泥で埋まった橋があります。
ここは登山靴が濡れないよう慎重に進みましょう。
途中、いい感じの橋もあります。
吊橋のようなデザインですが、しっかりと固定されているので安心して渡れます。
その後も川沿いを歩き、橋を渡りながら進んでいきます。
暫くすると道路が見えてきます。
出口の先には行きに通過した千ヶ滝入口があり、後は清里駅方面へ歩くだけです。
後で知ったのですが、飯盛山は縁結びの山として広まっているそうです。なぜ縁結びのご利益があるのかは分かりませんが、飯盛山の秀麗な姿が美しい女神のように感じたのでしょうか?
そう考えると飯盛山も○○富士のようにご当地富士山に認定してもよさそうですね。
最後に
いかがでしょうか?
飯盛山は長野百名山ではなく、あまり知られていない山ですが、山頂からの景色は抜群で多くの名山を眺める事のできる素晴らしい山でした。
また、ピークは他にもあり、短い距離ながら日帰りで楽しめる縦走コースが充実し、展望がよく、気軽に縦走登山がしたい方におすすめです。
登山口は2ヶ所あり、時間に余裕があれば2つの滝を巡る事も可能なので、登山と併せて巡ってみてはいかがでしょうか。