12月の半ば過ぎ、比較的暖かい伊豆半島をドライブし、以前から気になっていた岩山である城山を登りました。
詳しく調べてみると城山から先にも登山道が繋がり、ロープウェイで気軽に登れる葛城山、更に沼津へ抜ける発端丈山まで続き、登山としてもよく登られているそうです。
位置的に沼津寄りに位置する城山から発端丈山は富士山や雄大な駿河湾を望む事ができ、特に葛城山山頂はロープウェイの終着点ともなっており、山頂は散策路や展望カフェが充実し、近年では伊豆の人気スポットとして注目を浴びています。
ロープウェイで簡単に登れる葛城山ですが、今回は登山により城山から葛城山、発端丈山まで縦走し、それぞれの山頂からの絶景を紹介したいと思います。
城山へのアクセス、駐車場
アクセス
伊豆中央道から先の修善寺道路「大仁南IC」で下車、国道414号を南下しローソンの信号を右折、県道129号を北上すると登山口に到着します。
登山口にトイレは無いので、インター下車してすぐにあるセブンイレブンかローソンのトイレを利用しましょう。
駐車場
城山登山口の目の前に4~5台ほどの駐車スペースがあります。
万が一満車の場合は少し手前に数台の駐車スペースがあるので、そちらに駐車しましょう。
ジオスポット城山とは
伊豆半島中央に伸びる国道136号沿いには誰もが目を奪われる岩塊があります。その岩塊の名は城山と言い、見る人を圧倒する岩壁は海底火山の名残で、かつて地下にあった火山の通り道が地上に現れ、浸食されることによって現れた火山の根です。
つまるところ、城山の岩峰はマグマそのものであり、数百万年前の激しい火山活動の化石のようなものです。また、城山の隣には葛城山、発端丈山の山が隣接し、三山を合わせて静浦山地とも呼ばれています。
海底火山の名残なので山容は一際目立つ事から信仰の山としての一面もあり、有史においては数多くの歴史を刻んだ山域としても知られています。また、面白いエピソードとしては、読売巨人軍の監督を務めていた長嶋茂雄は城山をトレーニングコースとして利用し、何度も城山を駆け巡ったそうです。
近年は、城山の隣に聳える葛城山からはロープウェイが開通し、山頂は360度の大絶景が眺められる他、食事処やカフェも充実し、更に足湯など観光客を楽しませるスポットになっています。
城山~葛城山~発端丈山までの登山道
今回歩いた城山登山口から発端丈山までのコース。
葛城山は背面登山口から登った為、地図に載っていないコースを歩きましたが、帰りは通常コースで帰りました。
城山登山口~城山
城山登山口はこんな感じ。
登山口には立派な石碑があり、「城山」静岡の自然100選と書かれています。
奥にはハイキングコースとジオスポットとしての説明が書かれた看板が立てられていますね。


スタート直後は意外にも竹林コースになっています。
”意外”と書きましたが、実は火山と竹は密接な関係になっており、竹は水分の多い土地を好み火山灰を含む土壌に適した植物です。また、火山の近くには清らかな湧水や滝が多く、有名ブランドの水のほとんどは火山の近くで採水されています。つまり、清らかな水と火山の土壌により、火山の近くには竹もよく生え、このような竹林の景観を生み出していると考えられます。
また、コースは出だしから岩がゴロゴロ転がっているので、注意しながら進みましょう。
と、そんなことを考えていると何やら広い空間に差し掛かりましたが、こちらは石切場の跡のようですね。
石切場はここだけのようですが、他にもあったのかな?
石切場から先も相変わらず岩がゴロゴロとした道が続きます。
多少歩きずらいものの特に危険箇所はなく、道もはっきりしています。
暫く歩くと分岐点に到着します。
ここからロッククライミングルートとハイキングルートに分かれますが、私はハイキングルートに向かいます。
分岐点周辺から見上げると巨大な岩壁を確認する事ができます。
まさかこの壁を登るのか?と思うと、ロッククライミングとはとんでもない世界ですね。
その後も岩の多い道が続きますが、途中広いスペースもあります。
スペースにはテーブルやベンチがあり、休憩するにはちょうど良い感じになっています。
広いスペースを越えると比較的緩やかな登りに変わり、岩もほとんど無い登山道になります。
そして城山山頂への分岐点に到着。
ここから城山山頂まで、10分程度なのでサクッと行ってみましょう。
分岐点から先は木々が生い茂り、少しうす暗い登山道が続きます。
この登山道も長嶋監督が走っていたのか?気になるところですね。
暫く進むと、またまた岩の多い登山道へと変貌します。
しかし先ほどのような岩ではなく、巨大な岩が点在するルートになります。
まぁ岩山なので登山道に岩が多いのはあたりまえですね。
途中、幅も狭く両サイドがスパッと断崖になっている箇所も見られるので、この辺りは注意しながら進みましょう。
そして再びロッククライミングコースとの分岐点に到着。
ロッククライミングコースの方はロープが張られています。くれぐれもそちらには進入しないようにしましょう。
ここまで来ればあとは進むだけ、最後の登りを登りきると…
遂に城山山頂に到着です。
ここからは主に東部の展望が素晴らしく、伊豆の国市の街を見下ろす事もできます。
山頂には大きな標識と展望案内板があり、広々としたスペースになっています。
のんびりと景色を眺める事も可能です。
まずは正面、目の前には穏やかな山並みが広がっています。
その下には伊豆の国市の街並みが広がっています。
更に視線を左に向けると、箱根山と金時山など神奈川の名山が眺められます。
その奥には三国連山まで眺める事ができます。
狩野川もよく見え蛇行している様子もよく分かります。
右側は茂みでよく見えませんが、一際高い山が見えます。
あちらは天城連峰で、万二郎、万三郎岳が神々しく眺める事ができます。
少し残念なのは富士山が見えにくく、全体を収めるのに苦労します。
城山山頂~葛城山
城山山頂からの景色を堪能し、再び分岐点に戻ってきました。
ここからは葛城山、発端丈山方面へ向かいましょう。
葛城山方面は比較的平坦な道が続き、まさにハイキングコースという感じになっています。
途中、奇妙な木を発見しビックリしました!
人が埋まっている!?と思いきやただの木でした…
恐らく倒木が木に挟まってこのような光景になったのでしょう。


暫く緩やかな登山道を進むと、途中道路に出ます。
こちらにも車を停めるスペースがあるみたいですね。
道路の反対側には登山道があり、葛城山へ向かうにはこちらから入ります。


入口は急なものの、再び平坦な道が続きます。
展望はありませんが、歩きやすくのんびり進む事ができます。


途中、観音様や展望案内の看板などが見られます。
神島小富士と書かれた看板の先にどうやら山が見えるそうですが、残念ながら眺める事はできませんでした…
神島小富士とはどのような山でしょうか?
そして、ひたすら平坦な登山道を進むと葛城山背面登山口という看板に差し掛かります。
地図には書かれていませんが、どうやら裏ルートがあるみたいですね。
先に結論を言いますと、こちらのルートはかなりの急勾配で道も不明慮、完全にバリエーションルート並みの高難易度の道です。どちらかというと、こちらのコースはショートカットになっています。
時間を短縮して登りたい方はこのルートを登る事をおすすめしますが、特に時間を気にせずに登りたい方は通常のコースの方がいいと思います。
しかし、好奇心旺盛な私はこの背面登山口から葛城山を登ってみたいと思います!
登山口からいきなり物凄い急な道で尚且つ道幅も狭く、なかなか踏ん張れません。
辛うじて登山道が分かるものの、油断すると迷いかねないので、しっかりと周りを見ながら進みましょう。
途中、角ばった岩道も登場し、益々歩きずらい道になっているので要注意です。
不明慮な道と格闘し続け、登り終えると一瞬展望の開けた箇所に出ます。
中央には先ほど登った城山が見えますが、これはこれでなかなかの景色ですね。
一瞬の景色を堪能し、再び登山へ戻りましょう。
案内板の通りに進みます。
道幅も狭く右側は崖になっているので、歩く際は注意しましょう。
そして葛城山山頂エリアへの入口に到着しましたが…
あれ?なんだか入れないぞ?
他に入口が無いのか周囲を探してもやはり入口はありません。
扉の隣にはこのような看板が掲げられています。
つまり、山頂へ行きたい場合は施設料金の2500円を払わなければならないそうです!
実は以前にも葛城山へ登った事があったのですが、その時はこのような柵や入口が無く、すんなり山頂エリアへ入れた事を思い出しました。
しかし、看板に書かれているように2024年11月から登山者も完全有料制になったみたいですね…
せっかくここまで来たのに、しかも天気も良かったので訪れないわけにもいかず、施設利用料を払って中に入りました。
インターフォンを押し登山で訪れた事を伝えるとドアを開けてくれるので、開いたら中に入りましょう。
葛城山山頂エリアの散策、絶景スポット
そして、葛城山山頂エリアに到着しました。
ここからは強烈な絶景を目の当たりにする事ができ、目の前には絶妙な富士山の姿が現れます!
施設料はロープウェイのスタッフの方に支払いましょう。
以前ならロープウェイの料金を一切払わず、絶景を堪能できたのに、これからは片道の値段を支払わなければなりません…
碧テラスという名前の通り人口の青い水盤が敷かれています。
しかしこの水盤は綺麗ですね!
お店は2ヶ所あり、ロープウェイ側には葛城珈琲というカフェがあります。
メニューも豊富で、コーヒー以外にも様々な飲み物があり迷ってしまいます。
私は定番のブレンドコーヒーをチョイス。
それと同時におすすめのシナモンロールを食べてみました!
シナモンロールはあたたかく、中はふわっふわでシナモンの味がしっかりとしみ込んでいてとても美味しかったです!
そしてこの碧テラスと書かれた青いカップもまたオシャレでいいですね👍
さすがに山頂は寒く、思い切って中でいただきました。
中は木で造られた落ち着く雰囲気で、椅子は無く立ちスタイルでいただくカフェでした。
ちなみに反対側には茶屋があり、こちらは和菓子に力を入れています。
こちらもメニューが豊富なので、気になる方は立ち寄ってみて下さい。
また、こちらの茶屋はテラス席が素晴らしく、外には絶景を眺めながらいただく事も可能です。こんな素晴らしい景色を眺めながら食事ができるなんて最高ですね!
碧テラスと書かれた青い看板の前で写真を撮りたいですね。
青い空と青い海、そして碧いテラスのトリプルブルー!
こちらにもベンチがありますね。
ここで座ってのんびり眺めるのもいいですね~
展望はこんな感じで、目の前に富士山、奥には南アルプスの山々と弧を描くように伸びる沼津の海岸と駿河湾。その先は静岡市でしょうか?
手前には沼津のシンボル、淡島も見えますね。
中腹にはかつてのロープウェイの跡も確認できます。
さて、ここで葛城山山頂エリアを少し散策しましょう。
散策路によると、天城ルート、富士見ルート、奥に伸びるフォレストウォークのエリアに分かれるみたいですね。


葛城山には葛城神社が鎮座されています。
葛城山とは修験道開祖の役行者が修行した山であり、その名の山は全国各地にあり、この葛城山も恐らく修験道として元々は開かれていた山だったと思われます。
山頂には古くから葛城神社があったそうで、近年はご覧の通り鳥居も新しくなり、益々立派な神社へ生まれ変わりました。
神社から先には、これは嬉しい!足湯コーナーがあります。
富士山と沼津市の景色を眺めながらのんびりと足湯に浸かりましょう。
これはナイスです👍
そして再び展望所が現れます。
ここからは富士山方面だけでなく、天城方面の山々も見渡せる、まさに360度の大絶景を楽しむ事ができます。
階段を登ると先ほどより視界が広く、高度感抜群の展望を堪能する事ができます。
改めて見ても、やはりこの景色は最高です!
反対側は先ほどよく見えなかった天城連峰の全貌を眺める事ができます。
展望台の隣には葛城山山頂の標識があります。
やはりここが葛城山の最高地点のようで、ロープウェイができる前は登山者がこの場所から景色を堪能していた事でしょう。
展望台から先にも道は続きます。
ここから先はフォレストウォークになり、恐らく最近作られたエリアだと思います。
せっかくなので行ってみましょう。
フォレストウォークを進むと、ハンモック?のようなものがぶら下がっています。
お気軽にどうぞ!なのでしょうか?
先に進むと、弧を描いたコースに到着します。
ここをぐるりと周ると…
なんと!こちらにも展望所があります。
こちらはコースから突き抜ける感じの、少しスリルを味わえる展望台になっています。
先ほどとあまり変わらない展望ですが、こちらの方が人が少なく映える写真も撮れるのでおすすめですね。
しかし、このような突き抜ける展望台は最近流行っているような気がしますが?
たしか、小室山にも似たような展望台がありましたね。


さて、最後に天城ルートへ向かいます。
天城ルートの見どころは百体地蔵尊なので、さっそく行きましょう。
階段を登るとそこにはピラミッド型に並べられたお地蔵様の姿が現れます。
どうやらこちらが百体地蔵尊のようです。
ピラミッドには様々な表情のお地蔵様が安置されています。
このような並べ方は恐らく最近になってだと思いますが、かつては地元の方が葛城山を登り、地蔵尊に願いを込めていた様子が分かります。
胸掛けもありました。
今も昔もお地蔵様を大切にする心は変わらないですね。
百体地蔵尊を越えると再び碧テラスのエリアに到着します。
登山者も有料になってしまった事は残念ですが、景色だけでなく様々な工夫を凝らされているので、葛城山山頂エリアに立ち寄ってみる事をおすすめします。
【公式サイト】
出口は一箇所しかないので、先ほどのインターフォンのある扉に向かいましょう。
出る時もインターフォンを押し、再び登山をする事を伝えてください。
葛城山~発端丈山
さて、葛城山山頂エリアから発端丈山方面へ向かいましょう。
発端丈山方面の矢印に行きたいところですが、先ほどの急登を下るのは大変危険です。
地図で確認したところ、小坂みかん園方面からでも発端丈山にたどり着く事ができるので、ここは小坂みかん園方面へ進む事をおすすめします。


暫くは下りが進みます。
この辺は道も広く歩きやすいです。
暫く進むと謎の巨岩に到着します。
竜神岩という名の巨岩で、なぜかここだけに大きな岩として存在しています。
よく見ると岩が濡れていて、常に水が滴れている様子がわかります。
竜は水を司ると言われているので竜神岩と名付けられたのでしょうか?
さて、竜神岩を越えると、おや?
何やらロープウェイらしきゴンドラが通過しているみたいですね!
どうやら葛城山ロープウェイの線路の真下に到着したようです。


見上げると次から次へゴンドラが通過していく様子が分かります。
思わず手を振ってみようかと思いましたが、遭難者と勘違いされそうなのでやめました…
その後も緩やかな下りが暫く続きます。
そして分岐点に到着。
葛城山山頂方面には相変わらず有料を促す看板が設置されています。入場料が書かれていないのは意図的なのか?書いてもいいような気がするのだが…
分岐点から先はコンクリートの平坦な道になります。
この辺りは登山という感じがしませんね。
ふと横を眺めると富士山が見えました。
標高も低いので、周囲には紅葉の姿も見られました。
しかし、12月なのにまだまだ紅葉が見頃って、よほど紅葉が遅れているのが分かりますね。
中央の尖った山は沼津アルプス最高峰の鷲頭山ですね!
沼津アルプスも非常に登り応えのある山なので、興味のある方は登ってみてはいかがでしょうか?
コンクリート道を歩き続けると、再び本格的な登山道に差し掛かります。
発端丈山方面を目指して進みましょう。
10分も歩かないうちに再び分岐点に到着。今度は3つに分かれた分岐点のようです。
どうやら葛城山の背面登山口から登らない場合はこの分岐点から小坂みかん経由で葛城山を登るみたいです。
まぁ急登を避けたい人はこちらのルートから登った方がいいかもしれません。
さて、最後の発端丈山まで再び歩きましょう。
分岐点から暫くは平坦な道が続きます。
時折細い道になりますが、特に問題なく進む事ができます。
終盤に分かれ道に到着します。
ここは発端丈山方面へ向かいましょう。
ここから徐々に角度も上がり、いよいよ発端丈山山頂に近づいてきました。
ラストのこの坂がかなり急でしんどいです…
道幅は広いですが、枯れ葉が邪魔をして石が見えず何度も躓きそうになりました。
急坂を登りきると発端丈山山頂に到着します。
山頂は広く、レジャーシートを広げてお弁当を食べたくなるような広場になっています。
右端に雲で隠れてしまいましたが、富士山と奥には静岡市、目を凝らすと焼津市まで見渡せそうな展望です。
あちらは恐らく内浦湾でしょうか?
こぢんまりとした小さな湾です。
後ろを眺めると先ほどの葛城山がよく見えます。
全体像は見えませんがあの山もなかなか綺麗な形ですね。
後で気づいたのですが、どうやらここから反対側の伊東市にある大室山が見えるそうで、写真中央の山は大室山らしいです。自信はありませんがw
発端丈山から先にも登山道が続き、あちらに進むと沼津市に抜けられます。
車ではなく、公共交通機関をご利用の方はそのまま沼津方面へ向かうのもいいかと思います。
ちなみにここから先はかなり急勾配な坂道なので、行かれる方は注意しながら進みましょう。
最後に
いかがでしょうか。
今回はジオスポットでありながら登山により絶景を楽しめる城山から葛城山、発端丈山までの縦走を紹介しました。
城山は圧巻の岩山ですが、特に危険箇所も無く初心者でも簡単に登れ、葛城山は入山料がかかるものの、山頂エリアは見どころが多く訪れる価値は十分にあります。
また、標高も低く葛城山の背面登山口以外はアップダウンも少なく日帰りでも登れ、下山後は伊豆の国市と沼津市にも立ち寄りやすく、登山と同時に観光する事も可能なので、ぜひ静浦山地に登ってみてはいかがでしょうか。