
7月下旬は百名山の谷川岳を登りました。
谷川岳はロープウェイを使えば気軽に山頂まで登れる反面、遭難死者数が世界一と恐怖の山でもあります。危険地区に立ち寄らなければそこまで危険ではないものの、きちんとした準備や計画は必要になります。
さて、今回登ったコースは一般コースの中でもハードな西黒尾根を歩きました。西黒尾根は日本三大急登の1つで、標高差約1200m、急な岩稜帯や鎖場もあり、一筋縄では行かない難コースです。過去に甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根を経験したので、それを活かして西黒尾根に挑戦しました。
当日は梅雨明けの素晴らしい快晴に恵まれ、山頂では珍しく雲の無い谷川岳の絶景を堪能する事ができました。西黒尾根を登った後は天神尾根、田尻尾根の順に下り周回しました。
今回は西黒尾根からトマノ耳、オキノ耳、天神尾根、田尻尾根の登山道の様子と山頂からの絶景をお伝えしたいと思います。
谷川岳西黒尾根のアクセス、駐車場
関越自動車道水上ICから車で20分。
谷川岳インフォメーションセンター前に24時間の有料駐車場があります。

駐車場は24時間で200円とお得な駐車場です。
駐車場内にはトイレもあり、こちらも24時間利用可能です。
谷川岳インフォメーションセンター~西黒尾根入口

谷川岳インフォメーションセンター前の駐車場からスタートします。
このインフォメーションセンターは谷川岳の自然環境や歴史文化を紹介され、様々な展示が見どころになっています。入館料は無料で登山後の休憩にぴったりなので、下山後に立ち寄る事をおすすめします。

登山口までは道路を歩きます。
登山口はロープウェイ乗り場の先になるので、この辺りは車がよく通ります。
歩行の際は車に注意しましょう。まぁ朝早い時間なのでほとんど来ませんが…

ロープウェイ乗り場付近まで来ました。
休日には多くの方がロープウェイを利用する事が想像できます。
朝早い時間だと人っ子一人いない静かなロープウェイ乗り場ですね。

ロープウェイ乗り場を過ぎても暫くは道路を歩きます。途中、ロープウェイの線路が見える箇所に出ます。

遥か遠くに終着点が見えますね。ロープウェイを使えば山頂まであっという間に到着できますが…

暫く進むと指導センターに到着します。
ここで登山届をしっかりと書いて登りましょう。中は登山道の詳しい情報が公開されています。ちなみにこの指導センターは24時間開いているそうですよ。
なるほど、だからこんな朝早くからでも開いているんですね。

指導センターから2、3分で西黒尾根の登山口に到着します。
登山口は案外地味な感じになっています。しかし日本三大急登の1つなので、ここからは気を引き締めて登ろうと思います。
西黒尾根入口~ラクダのコル

さて、スタートからいきなり狭い登山道となり、坂も急になっています。
岩場や鎖場までひたすら急登なのか少し気になります。


急登の途中に少し展望の開けた所に到着します。
鉄塔のある場所で、隙間から少し景色が見える場所でした。

鉄塔を過ぎると少し緩やかな坂道になり、ここから暫くはこのような道が続きます。急登ではないので助かります。しかし、日本三大急登なのにここまで緩くていいのか…

時折チラッと景色が見える場所に出ます。鬱蒼とした道を永遠に登るので、このような景色を見つけたら止まってしまいます。

標高が上がるにつれ、アジサイも咲いていました。地上ではとっくに終わっていますが、山ではまだ見られるんですね。

次第に石が大きくなり、少し足下に注意しなければならない箇所も出てきます。

急登を登り続けると鬱蒼とした登山道の終わりを告げる箇所に到着しました。ここからは一気に展望が開け、素晴らしい景色の下での登山になります。そして鎖場や岩場も登場するので、油断せずに進みましょう。登山口からここまで意外とすんなり着きましたが。

ロープウェイ終着点と天神峠方面が見えます。

太陽が昇る方角には赤城山がよく見えます。まぁ景色は山頂に着いてからゆっくり楽しみましょう!


そして最初の鎖場に到着しました。
見上げるほど高い鎖場ですが、ここは簡単な鎖場です。

鎖場を終えると谷川岳全体の姿が現れます。
ロープウェイから登る場合はこのイカツイ光景を見る事はできません。やはり谷川岳は岩山なんですね~


登るにつれ、花もたくさん咲いていました。山頂付近になると色んな種類の花が咲いているはずです。

草混じりの岩場を進んでいきます。特に危険箇所はありませんのでご安心ください。

そして二ヶ所目の鎖場に到着。
一箇所目より長く、難易度も上がるのでここは注意しながら登りましょう。


ヤバそうに見えますが、慎重に対処すれば問題ありません。しかし鎖場初心者には難しく感じそうなので、鎖場の経験が無いと危ないかもです。それなりに高い所を登ります。

鎖場を過ぎると再び鎖場に差し掛かります。またか~と思います。
最後はサクッと登って終わりです。結局危険を伴う鎖場はありませんが、どれも慎重に登りましょう。

鎖場を終えると再び岩続きの登山道になります。
ここから先は岩場もキツくなりそうです。
ラクダのコル~トマノ耳、オキノ耳

そしてラクダのコルに到着。
目の前には谷川岳の全貌がはっきりと見えます。西黒尾根を歩く人のみ見られる光景です。2000m未満ですが見応え抜群ですね!

いよいよ本格的な岩場に差し掛かります。
しかし、この辺りも特に危険や難しい箇所は無く、すんなり進む事ができます。


とはいうものの、巨大な岩の前を通ったり岩によじ登ったりする場面もあります。

もう鎖場は無いと思っていたら、なんと再び鎖場に遭遇しましたが、これは鎖場と言っても特に鎖を握らなくても行けるタイプの鎖場です。距離は長いですが、ここは簡単な鎖場です。


徐々に山頂付近まで近づいてきました。
まるでアルプスのような山容を成す谷川岳を眺めながら進んでいきます。天神尾根の合流地点までもう少しかかりそうです。

しかし、まだまだ急な岩場は続きます。
日本三大急登なので、そう簡単には終わりにしてくれません。




暫く歩くと、お花畑に到着します。
岩場からちょこんと綺麗な花たちが顔を覗かせています。このような光景を見るとほっこりしますね。

そしてニッコウキスゲも咲いていました!
群生ではありませんが、見つけると絶対に写真を撮ってしまいます。

お花畑の登山道を進んでいくと、奥にモニュメントのようなものが見えますね。
あの辺りが天神尾根との合流地点になりそうです。

そして合流地点に到着。
何気にここからの景色も最高でした!
目の前に谷川岳肩の小屋、その奥には万太郎山、仙ノ倉山の尾根が続いています。

合流地点からトマノ耳への最後の登りです。
あのてっぺんが山頂になります。

そして遂に谷川岳山頂のオキノ耳に到着。
360度の大パノラマを楽しむ事ができます。また、この日は珍しくガスも発生せず、遠くの山々を眺める事ができました。

南東から北方面は赤城山や日光、尾瀬の山まではっきりと確認できます。
写真の右奥に見えるのは赤城山。まるで八ヶ岳のような山容です。
ちなみに左奥に見える尖った山は皇海山だそうです。

逆光で少し見にくいですが、日光白根山と左奥には燧ヶ岳が見えます。燧ケ岳は綺麗な山容ですね。

標識の真後ろには苗場山が見えるのですが、どれが苗場山なのか分かりません。
距離的にそこまで離れていないので見つかると思うのですが…
あの山は道路からは見えないある意味秘境の山ですね。

左に見えるのなだらかな山容は巻機山です。その右奥に見えるのが越後三山だそうです。巻機山にはまだ若干の雪が積もっていますね。越後三山は中ノ岳と越後駒ケ岳かな?
快晴なのでここまではっきり見えるのは嬉しいです!

先ほど合流地点から眺めた仙ノ倉山方面もいい感じに見えます。

トマノ耳からオキノ耳を眺めます。オキノ耳への稜線が続き、奥には一ノ倉岳、茂倉岳へと続いて行きます。この光景で2000m未満なんですね。

年間を通してガス率の高い谷川岳ですが、この日はご覧の通り快晴で全くのガスも発生していません。百名山なので常に人が多い山頂ですが、朝早くからロープウェイの運行前に到着できたので誰もいません!
前回来た時は真っ白だったので、こんな素晴らしい絶景を眺められたことに感謝!

さて、もう一つのピークであるオキノ耳に向かいましょう。
オキノ耳へ行くには下って再び登る形になります。


途中にはこちらにも花が咲いていて、地面を見る度に綺麗な花が咲き誇っていました。

こちらのコースもなかなか岩が多く、見上げると迫力のある岩たちがこちらを睨んでいます。

最後の登り。緩やかまでは行きませんが登りやすい岩場です。

そして遂にもう一つの山頂であるオキノ耳に到着。
山頂の広さはトマノ耳と同じくらいですが、岩が目立つ山頂になっています。ここでものんびり絶景を楽しむ事ができます。


景色はほとんど変わらないものの、やはりここまで素晴らしいと何度も写真を撮ってしまいます。

違うのは先ほど登ったトマノ耳の全貌が見える事ですね。
物凄く尖っていますが、石鎚山の天狗岳に似ているような気がします。

オキノ耳からも一ノ倉岳、茂倉岳方面の尾根が見えます。時間があればあちら側も歩いてみたいですね。

遠くの山は次第にガスが発生している様子が分かります。
谷川岳も暫くしたらガスに覆われるでしょう。その前に下山します。
オキノ耳~天神尾根~天神峠

さて、オキノ耳まで戻り、ここから天神尾根方面へ向かいます。
ここから先は始発のロープウェイに乗った方とすれ違う事になります。

合流地点の標識
独特の形なので、やはりモニュメントに見えます。

そして谷川岳肩の小屋に到着しました。
今回歩いた中では唯一の山小屋で宿泊施設が備えられています。物凄く景色のよさそうな場所に建てられていますね。

案の定、背後の景色も素晴らしく、宿泊しながらいい景色を眺められそうです。

ここから天神尾根に入りますが、帰りはひたすら下りで暫くは階段を下ります。

暫く歩き振り返ると尾根道が見えます。
天神尾根側は思ったより岩が少なく穏やかな稜線ですね。

佐ノ倉山方面の山も相変わらずいい感じに見えます。

そして天狗の留まり場に到着します。ここは岩場の展望所になっていて少々危険ですがいい景色を眺める事ができます。

天神峠とロープウェイ終着駅がよく見えますね。

天狗の留まり場から先は岩場が目立ちます。所々急な箇所もあるので下る際は注意しましょう。また、登りの人も多いので譲り合いながら進みましょう。

鎖場もあります。しかしここは坂道に取り付けられた鎖なので危険ではありません。

避難小屋に到着。
ここからは急登ではなく緩やかな登山道が続きます。

時折木道が見られます。ロープウェイから来られる方とすれ違いが多いので注意しましょう。

木々の隙間から谷川岳の姿も見えます。
ちょうどトマノ耳とオキノ耳もよく見えますね。拡大すると西黒尾根の道も見えるかも?

そして田尻尾根との分岐点に到着しました。
このまま進んでもいいですが、せっかくなのでロープウェイの方面へ向かいました。

ロープウェイ終着駅が見えてきました。

そしてロープウェイ終着駅に到着。
実はここからの景色もなかなかのものだったので驚きました!
左には谷川岳、右には笠ヶ岳、朝日岳、白毛門の三山がよく見えます。

こちらの三山の光景もいいですね~
ロープウェイと一緒だといい感じに写ります。

背後にはリフトもあります。
あちらに乗ると天神峠、天神山山頂に到着するそうです。リフトを利用して天神山、谷川岳山頂を目指すのもいいかもしれません。

ロープウェイ山頂駅にはレストランやお土産ショップがあります。少し覗いてみましたが、窓の外はまるでアルプスのような絶景が広がっています。登山者も観光客も景色を楽しめるレストランです。
帰りは田尻尾根

さて、再び田尻尾根方面へ戻り分岐点に到着しました。
ここからはひたすら下るのみです。早速参りましょう。

田尻尾根は終始草木に覆われた尾根で、特に岩場や鎖場はありませんでした。
地味な登山道を永遠に進んでいく感じになっています。危険箇所も無く登ってくる人もほとんどいないので歩きやすい道です。

しかし、所により細い道や倒木、滑りやすい石混じりの道もあるので、気を抜かないように。

田尻尾根から眺める谷川岳。
先ほど天神尾根から眺めた谷川岳より全体が見えます。

下り続けるとロープウェイの線路らしきものが見えますね。地図で確認すると確かにロープウェイの線路でした。

暫くするとゴンドラが行き来している様子が分かります!
思わず手を振ってみたくなりますが、遭難者と間違えられそうなのでやめました…
ゴンドラから私を見るとどのように見えるのでしょうか?

その後は傾斜の緩い砂利道を下っていきます。
正面には笠ヶ岳、朝日岳、白毛門の三山がよく見えます。


最後の方は川沿いを歩きます。かなり豪快に流れる川でした。雨上がりはもっとすごいんだろうな~

ロープウェイ乗り場が見えてきました。ゴンドラが出てくる様子がよく分かります。

そして遂に道路に到着。最初は鬱蒼とした地味な登山道でしたが、後半以降はロープウェイの真下を歩く迫力のある楽しい道でした!あとは駐車場まで道路を歩くだけです。

ちなみに田尻尾根入口はこんな感じで、トラロープが張ってあります!
一瞬ビビりましたが、普通に歩いても問題なさそうです。しかし地味というか、これでは見逃してしまうのでは?
最後に
今回は日本三大急登である西黒尾根から山頂を目指しました。登山口から暫くは急登が続くものの比較的登りやすい登山道でした。岩場や鎖場など険しい道のりですが一般的なロープウェイから登る天神尾根からは決して見る事のできないダイナミックな谷川岳の姿は感動的でした。
下山は天神尾根、田尻尾根経由でスタート地点を目指し、日帰りでも十分に歩く事が可能です。定番のロープウェイ以外で谷川岳を登ろうとお考えの方はぜひ西黒尾根から山頂を目指してみてはいかがでしょうか。