秋の深まる11月初旬、全国各地で紅葉ラッシュが進む中、前々から訪れたかった景勝地である山梨の昇仙峡を訪れました。
実は昇仙峡は梅雨の時期にドライブの最中に発見したスポットで、その圧倒的な奇勝に目を奪われ、これは紅葉の時期がベストだ!と思い、昨年の11月に昇仙峡の旅に出かけました。
昇仙峡マップを見ると、渓谷沿いには遊歩道やロープウェイが設けれれている他、昇仙峡渓谷に沿うように聳える羅漢寺山は登山道としても開かれているので、今回の旅はこれらの山を縦走し、下山後に紅葉の昇仙峡を歩くプランで実行しました。
なので今回はまず、昇仙峡渓谷沿いに聳える羅漢寺山の弥三郎岳から白山に連なる登山道の様子と展望を紹介したいと思います。
羅漢寺山縦走の概要
羅漢寺山は日本一の渓谷美として知られる昇仙峡に聳える標高1058mの山で、弥三郎岳、白砂山、白山の三つの峰を総じて羅漢寺山と呼ばれています。
また、標高は低いものの南アルプスや富士山の展望が良く、山梨百名山にも選ばれ、ロープウェイも開通しているので、気軽に登れる山でもあります。
登山口は獅子平の自然観察路獅子平橋と長潭橋付近の入口と金櫻神社方面の入口の3箇所あり、今回は駐車スペースのある金桜神社方面から長潭橋へ抜ける縦走路を選択しました。
トータル3時間40分くらいの歩行時間ですが、滞在時間も含め4時間以上は見込んだ方が良さそうです。
羅漢寺山、金櫻神社方面登山口のアクセス、駐車場
アクセス
中央道双葉スマートICから車で30分
中央道甲府昭和ICから車で40分
駐車場
昇仙峡グリーンラインを金櫻神社方面へ向かい、神社手前に羅漢寺山方面を示す看板があるので、そちらに曲がるとやがて墓地が見え、その手前に駐車スペースがあります。
金櫻神社方面の登山口~弥三郎岳
墓地の目の前の駐車場からすぐに登山口になります。
とは言っても、登山口という看板や案内は無く、暫くは車道歩きになります。
基本緩やかで登りやすく広くて快適ですが、たまに車が通るので注意しましょう。
また、この辺りは展望はありません。
15分くらいでしょうか、暫く歩くと突如視界の開けた場所に到着しました。
周りを見ると雄大な景色が広がっています。
振り向くと奥秩父の山々でしょうか?奥に金峯山が見え、手前には赤く染まった独特な山々も見えます。
最初は気づきませんでしたが、あちらは南アルプスの山々です!
開始早々こんな素晴らしい南アルプスを眺められるなんて、何と素晴らしい登山道なんだ!
周囲を見渡すと、恐らくこの一帯は森林伐採が行われた場所だと思われます。
あちこちに伐採された木々の跡が見受けられ、ひょっとしたら昔はこの辺も鬱蒼とした木々が生い茂り、このような景色も見られなかったとのでは?
まぁそのおかげでこんな絶景を楽しめるのだからラッキーですね。
地図にも展望良しと書いてもいいくらいの景色です!
注意深く観察すると、おや?あれは能泉湖並びに荒川ダムですね。
周囲が色付き、湖周辺を歩いてみても良さそうです。
さて、予期せぬ展望ゾーンを抜けると再び登山道らしい道になります。
しかし、相変わらず車の走った跡が目立ち、頻繁に車が走っている様子が分かります。
歩きやすいというか、ほぼ平坦な道で全く登山という感じがしませんが、これはこれで有難いです。
3,40分くらい歩いたところで、目の前に富士山が現れました。
これは弥三郎岳に到着でしょうか?
すると鳥居があったので、そちらに向かうと
神社と広場がありました。
どうやらここはロープウェイの山頂駅の様で、見渡すと展望デッキや観光案内の看板が多数設けられていました。
訪れた時間がまだロープウェイの運行時間ではなかったので、誰一人おらず、独占状態でした。これは登山者ならではの優越感ですね!
ザックリとした山頂案内図
と言っても私が目指す弥三郎岳はここから20分ほどかかるそうで、意外にもかかるんですね。
やはりロープウェイで気軽に来れるので、山頂駅付近はは賑やかさを感じられるスポットが多数あります。
やたら目に付くのはパワースポット!ですね。
山頂最大のパワースポットと称されるこの和合権現は御神木が祀られ、御神木の方向が富士山を向いている為に富士山からの強い気を受けているのだとか。
これが御神木です。
確かに太い枝が富士山の方向に向いていますが・・・
無理やり向けた感がありますねぇ~
霊気を受けるという事は、受信機の役割だろうか?
それにしてもこの御神木、馬の横顔にしか見えないのだが…
和合権現の正面には確かに美しい富士山が神々しく見えます。
ロープウェイ営業中は混雑が見込まれますが、営業時間外はご覧の通り誰もおらず独占で富士山を見放題!
早起きは三文の徳とはこの事だね!
謎のふくちゃん、ゆめちゃん広場の先に弥三郎岳があるので、そちらに向かいましょう。
その前に展望台という場所があり、展望台まではほんの数分です。
しかし、なかなか面白い道ですね。
天然の巨大岩を登りやすい階段にされ、途中砂混じりの道もあります。
この辺は登山者だけでなく、一般の方も登られるそうなので、来られる際は履物に注意しましょう。
そして、弥三郎岳手前の展望台に到着
ここからは南アルプスの絶景を楽しむ事ができます。
しかし、足元には注意。
この展望台は巨大岩のてっぺんになっていて、手すりは一切設けていませんので、景色を見る時は十分に注意しましょう。
さて、目的の弥三郎岳までもう一息です。
登山道は相変わらず砂混じりのままですね。
下りと平坦が暫く続きます。
ここから登りに差し掛かります。
登りと言っても距離は短くすんなり登れる感じの登山道です。
そしてラストの岩登りもこんな感じで、ここまで来ると登山という実感が湧いてきますね。
こんな感じのハシゴいいですね。
ここまで来ると高度感もあり、岩と岩の間を歩く感じがたまらないです!
そして最後の階段を登れば山頂ですが、木が邪魔してなかなか通れませんので要注意です。
弥三郎岳山頂からの絶景
先ほどのロープウェイ広場から10分少々で到着しました。
着いた瞬間目の前には南アルプスの山々が一望できます!
それにしてもこの日は一切雲も無く、素晴らしい秋晴れの下で景色を堪能できました!
南アルプスは、右から甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、左奥には国内第二高峰北岳から間ノ岳、農鳥岳、更に悪沢岳方面も見えます。
そして先ほどの展望台からは見えませんでしたが、富士山もバッチリ見えます!
早朝の富士山なので、シルエットのように浮かび上がる感じになっていて、更に雲海がまた絵になります!
後ろの景色も素晴らしく、左奥には先ほど見えなかった茅ヶ岳が見えますね。
その他黒富士と独特な姿の太刀岡山がよく見えます。
更に右奥には奥秩父トップレベルの高さを誇る金峰山の姿がこのように!
奥秩父では一番の高さではないものの、やはりあの姿は奥秩父のシンボル的な山ですね。
少し拡大してみましたが、山頂の五丈岩も確認できます。
そして周りの岩々がまるで結界のように金峰山を守っているように見えます。
モヤのかかった南アルプス市と韮崎市もよく見えます。
これはこれで幻想的ですね。
こちら側も少し拡大
ピラミッド型の甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山のツーショット!
地蔵岳にあるオベリスクも確認でき、南アルプスの中でもこの二座は特に好きです。
ちなみにこの展望所はこのような丸い岩のてっぺんとなり、先は崖になっているので注意しながら展望を楽しみましょう。
近づいてみましたが、これはかなり怖いです…
幸い滑りやすい岩ではなくよほどの事が無ければ落ちませんが、先端に行くときは慎重に進みましょう。
ちなみに正面の白い部分は後ほど訪れる白砂山ですかね。
弥三郎岳~白砂山
さて、弥三郎岳を後にし、白砂山へ向かいますが、その前に面白そうなスポットがあったので立ち寄り。
先ほどの看板にもあった約束の丘に来ました。
そこには立派な鐘とベンチが設けられ、鐘を鳴らし、約束の丘から富士山を仰ぎ見ると、幸運の気を浴びる事ができるそうだが…
目の前の松の木が邪魔して肝心の富士山が見えません…
振り返って期待したんですが、見事に松の木とご対面!
なるほど!富士山は心で眺めよう!って事ですね。
安心してください、約束の丘のすぐ下に富士山遥拝所という場があるので、富士山はそこから眺めましょう。
少し寄り道しましたが、早速白砂山方面へ向かいましょう。
ここから白砂山までは暫く下りが続き、分岐点から登りに差し掛かる道になります。
先ほどまでは車も通りましたが、ここからは純粋な登山道となり、しかも歩きやすく清々しい道になります。
紅葉の具合も丁度よく、つい見上げながら歩いてしまいます。
ほんの数十分で分岐点に到着。
ここから白砂山まで時間はそれほどかからないものの、道も細く若干分かりづらい道でもあったので注意しましょう。(帰りに少し迷った)
テープがあるものの、一歩間違えれば迷いかねないルートです。
ハイキングコースとは言え、ここは注意深く歩きましょう。
暫く登ると、突如視界の開けた場所に到着します。
しかも、地面が真っ白で、まるで砂漠のようになっていました。
ここが白砂山でしょうか?
先に進むと行き止まりというか崖になっていて、進める所まで進んで止まりました。
目の前には先ほどの弥三郎岳が見え、周囲の山肌からは巨大な岩が突き出ていますね。
先っちょまで行ってみましたが、先端は崖になっているのであまり先にはいかない方がよいかも知れませんね。
正面の巨岩が何とも目立ちます!
まるで、山に埋め込まれたかのような不思議な形をしていますね。
あのてっぺんはどうなっているのか、あそこまでルートが繋がっているのかも気になります。
標識が無いので、ここが本当の白砂山か?と少し疑問に思ったのでもう少し進んでみると…
おや?先ほどと同じような砂漠ゾーンに到着しました。
砂漠と言えば南アルプスの日向山を思い出しますね~
あそこも山頂に着いた瞬間、ガラッと景色が変わった事を覚えています。
まるでアルプスに登っているような感覚です。
振り返ると南アルプスの一部は隠れて見えませんが、青い空と白い登山道とのコントラストが素晴らしく、何枚も写真を撮ってしまった。
砂漠の先に白砂山と書かれた小さな標識が木に取り付けられていました。
どうやらここが白砂山山頂のようですが、景色は先程とほとんど変わりません。
ここも先が崖になっているので注意しましょう。
白砂山~白山及び白山からの展望
白砂山は行って帰ってくる場所なので、再び分岐点へ戻りました。
さぁここから最後のピークである白山を目指しましょう。
この辺りも平坦で歩きやすい道が続きます。
特段急な坂も無く、道もはっきりしています。
一人分の幅の道もあります。
ここまで金櫻神社方面から歩いてきましたが、今まで歩いた道は金櫻神社へ続く古道か何かでしょうか?
途中、ロープウェイ山頂の神社や富士山遥拝所もあるので、ひょっとしたら信仰登山としての道なのかも知れません。
すると途中にこんなものが。炭焼き窯跡
何故山の中にこんなものが…
原形はほとんど残っていない物の、明らかに人工的に石を積んで造り上げた窯になっている事が分かります。
現役時代にはどのような姿で、何を焼いていたのでしょうか?
しかし、今までの道に史跡らしいものは一切ありませんでしたが、窯が登山道にあるには珍しいかもしれません。
そして分岐点に到着。
ここは白山と長潭橋方面へ向かう大事な分岐点で、白山は展望台扱いになっていました。
しかし、この分岐点周辺の紅葉が見事な事。
そして、分岐点から歩いて1、2分で展望台に到着します。
ここからも南アルプスや茅ヶ岳の展望が素晴らしく、何よりも急な砂浜状になっています。
ここだけ見事に砂状になっており、歩く際は注意しましょう。
その砂の正体は拡大すると分かります。
花崗岩ですね。
どうやら金峰山付近からこちらまで花崗岩帯が続いているそうで、その為に昇仙峡の岩は花崗岩質で形成されています。
ちなみに白山は花崗岩が風化してこのような砂状の景観を産み出しているそうです。
ひょっとしたら白山という名前は百名山の白山や白山信仰からではなく、単に白い山だからこのような名前になったのかな?
真相は不明です…
弥三郎岳からも見えましたが、茅ヶ岳の展望は白山からの方がいい感じです。
茅ヶ岳の裾野もはっきり確認でき、見事な独立峰を描いています。
白山~長潭橋
白山の展望を堪能した後は長潭橋方面へ向かいましょう。
先ほどの分岐点から長潭橋までは基本下りです。
テープも等間隔に付けられ、歩きやすい道が続いていきます。
途中、こんな巨岩も出現しました。
見ると、えぐれたような跡がありますが、これは自然にできた跡でしょうか?
途中にこんな看板がありました。
どうやら今まで歩いてきた道は霊峰金峰山へ続く道らしく、その名を御嶽古道と呼ばれてるそうです。
また、先ほどの白砂山へ向かう途中には旧羅漢寺の遺構があるらしいですが、そのような案内板は見当たらなかったので、恐らく一般公開はしていないと思います。
さて、分岐点に到着しました。
ここから長潭橋まで、1.8kmです。もうしばらく歩きますので頑張りましょう。
ゴールの長潭橋まで約30分の歩行です。
しかし、分岐点から早々にこんな光景が!
なんと、今にも倒れそうな木があります。まぁいきなり倒れる事は無いと思いますが、注意しながら歩きましょう。
平坦から下りに差し掛かりました。
何だか今回の登山は下りがメインだったのですが、それはつまり長潭橋から登山開始すれば登りがメインになる事です。
細く、少し鬱蒼とした下りに入ります。
この辺りは少し傾斜があります。
そして、久しぶりに道路に出ました。
一瞬ゴールかと思いましたが、もうしばらくは歩きそうです。
看板には800mと書かれ、残り僅かとなりました。
ここから暫く緩い道路を下っていきます。
そして、長潭橋方面と手書きで書かれた案内板があるのですが、ご覧の通りススキで埋もれてよく見えません。
危ない事に私はここを見逃しそうになりました…
それにしてもこれ分かりずらいですね…
しかも入口も草で鬱蒼として余計見逃しやすくなっているので、ここは注意深く進みましょう。
ここを下れば念願の長潭橋に到着します。
歩行時間はおよそ5分くらいです。
そして、おや?何やら民家のようなものが見えてきましたね!
入口には動物除けのような扉が設置されています。
熊出没注意が何とも恐ろしいですが…
扉の向こうはゴールの長潭橋がありますが、入口付近の紅葉が見事です!
ちなみにこの長潭橋付近は紅葉の見どころスポットとして知られています。
遠くから眺めてもその美しさが分かると思います。
残念ながら工事期間中だった為、上手く写真が撮れませんでしたが、橋と紅葉とのコラボが美しく、是非この光景も味わっていただきたい。
帰りは昇仙峡渓谷を歩こう
さて、スタートから弥三郎岳、白砂山、白山の羅漢寺山を縦走し、これから昇仙峡渓谷を歩きながらスタートへ戻りましょう。
日本一の渓谷美を誇る昇仙峡の秋は大変素晴らしく、ここはぜひ歩いてその渓谷美を体験していただきたい。
渓谷には奇岩、怪岩、更にユニークな名前の岩や圧巻の光景が続き、ポイントごとに見どころがあるので、絶景を楽しみながらスタート地点へ戻る事をおすすめします。
最後に
今回の旅はまず、昇仙峡の背後に聳える羅漢寺山を金櫻神社方面から弥三郎岳、白砂山、白山の順に縦走しました。
それぞれのピークでは景色が違うものの、渓谷からは味わえない素晴らしい絶景を目の当たりにする事ができ、特に弥三郎岳はロープウェイでも来られる為、山頂周辺には様々なスポットがあり、登山者以外の方でも楽しめると思います。
羅漢寺山縦走の後は奇勝、昇仙峡の渓谷沿いをゆっくり歩き、日本一の渓谷美を堪能しましょう。