素晴らしき日本の景色たち

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紅葉が美しい秋の粟ヶ岳登山!北五百川登山口からピストンで登ってみた

昨年の10月は龍ヶ窪に続き新潟県を訪れ、ちょうどこの時期に「Do It Yourself」 というアニメが放送され、新潟県の三条市が舞台となっていたので、登山がてら軽く聖地巡礼でもしようと思い、紅葉が美しい粟ヶ岳に決めました。

三条市は古くから「ものづくり」のまちとして栄え、金属製品の加工技術は世界に誇るほど素晴らしく、多くの鍛冶職人を輩出したまちでもあります。

そんな鍛冶のまち三条市は自然も豊富で、海側には独立峰の弥彦山が聳え、山沿いの下田郷は原風景を感じられる景観と、アウトドアも盛んになっています。

さて、今回は三条市の名峰粟ヶ岳という標高1293mの山を登りました。

1000mちょっとの決して高い山ではありませんが、市内からもよく見え、堂々たる風貌の山容は三条市のシンボル的な存在で、日本三百名山の一つでもあります。

登山口も2箇所あり、今回は三条市側の北五百川コースから山頂を目指しましたので、コース内容と山頂からの景色を紹介したいと思います。

粟ヶ岳北五百川登山口のアクセス、駐車場

アクセス

 

北陸自動車道三条燕ICから国道289号を直進し約45分で駐車場に到着します。

電車の場合は東三条駅前のバスで八木ヶ鼻温泉下車、そこから徒歩で登山口へ向かいます。

バスの情報はこちら

www.echigo-kotsu.co.jp

駐車場

駐車場は2箇所で、バイオトイレの前とトイレから数十メートル離れた登山口前にあります。

バイオトイレは24時間利用可能なので車中泊もできると思います。

北五百川登山口~粟薬師

北五百川登山口に到着しましたが、三条市内からここまで決して近いとは言えず、更に登山口周辺は…何もありません!

しかし、周囲を見渡すと静かな田畑が広がり、いかにも田舎の風景という感じがして居心地がいいです。

駐車場の隣には、おや?これはトイレでしょうか?

両サイドに階段が付けられ、デザインも個性的ですね!

名前も正面にバイオマストイレ!!と強調するように書かれているのがグッジョブ👍

なんか、ロケットみたいに飛んでいきそうw

ちなみに中はこんな感じ。

ぽつんと洋式便器が1体あるでけのシンプルなトイレ。

説明書きにも書かれている通り、自然にやさしいトイレですね。

さて、トイレで盛り上がるのもこれくらいにしましょう。

先ほどのトイレから2、30mくらい先にも駐車場はあります。

本来はここに停めるべきでしょうが、まぁどちらでもいいと思います。

登山口には看板が2種類あり、1つは字面がファンキーな看板と、もう1つはくそマジメな字面のトレッキングガイドの看板があります。

何故こんなギャップのある看板があるのか分かりませんが、あなたはどちらの看板を見ますか?

どーでもいい話を立て続けですみません…

ではここから登山開始です。

スタート直後は平坦な道が続き、車が通った跡もみられます。

暫くは川沿いを歩く感じで、清々しいハイキングです。

そしてここから本格的な登山道になります。

幅も一気に狭くなり、左は崖になっているので注意しましょう。

暫くすると、少し驚きの光景が!

なんと、目の前には小さいながら滝が出現しています!

ちょうど登山道を横切るように流れ落ち、歩く際はまさに滝を跨ぐ感じに進んで行きます。

見上げるとこんな感じ。

ダイレクトに流れ落ちると言うより、岩に沿って流れ落ちる系の滝ですね。

滝を横切る登山道は今まで無かったと思いますし、大した光景ではありませんが、自分の中では少し衝撃的かな。

しかし、この先更に衝撃的な光景が待っていた事を知らずに…

細い登山道は更に続き、みんなが大好きな橋が出現!

思いのほか高さがあり、少し怖い橋でした。

下も透けていて渡るにのに少し緊張します。

橋を越えると緩い坂道が現れます。

ここからやっと登山道らしい道になります。

ようやく登山道らしい道を歩くこと数分で…

おや?ここは鎖場か?と思いましたが、なんとそこは滝の上部を渡る道で、またしても滝を横切る事になります!

先ほどのファンキー地図によると、どうやら猿飛滝という場所らしく、まさかの滝上部を歩くコースですね。

改めて見ると高さもけっこうあり、近づくとかなり恐怖心が湧いてきます。

これ、今回は水量が少ないからいいけど、雨の後や増水の時は要注意ですね。

まぁこのレベルならギリギリ危険マークは付かないだろうが、那智の滝の上部とかどれだけ怖いのだろうか…

那智の滝の上部には注連縄が取り付けられているそうですが、人の手で張り替えているらしいですね。

まぁ怖い人は滝の方を見ずに渡れば何の問題もありません。

那智の滝の映像を見れば、この滝なんてヘッチャラ~です!

さて、滝を過ぎると次なるポイントである元堂に到着。

写真の通りいかにも寺社にありそうな階段が苔で覆われ、間もなく埋もれてしまう感じの儚い光景ですね。

しかし、この苔具合が何ともいい味を出していて、廃墟マニアが喜びそうな風貌です。

階段の周辺には建造物の姿や痕跡は一切無く、ただ空間が広がっていましたが、一部平らな部分があったので、かつてはお堂か何か建てられていたのではないかと、その為に元堂と名付けられたのかな?

そうなるとこの山も山岳信仰の影響を受けていた事になりますね。

元堂を過ぎた後はひたすら坂を登り、暫くすると大ぶなの木というポイントに到着します。

ポイントの通り、何故かこのぶなだけ妙に大きく、立派に立っていますね。

しかし、何故このぶなだけこんなに大きいのだろうか?

巨大ぶなを過ぎると所々急な坂が登場しますが基本登りやすく、ブナの木もちらほら見られます。

三合目に到着。

ここに来て初めて合目という場所が設けてあることを知りました。

先ほどの元堂と言い、やはり山岳信仰の匂いがしますねぇ!

ここから先も特に代わり映えの無い光景が続き、ただひたすら歩いていくと…

四合目です。

ここから先は少し岩が混じり始めましたが、難しい岩場では無いので問題ありません。

四合目を越えた先に、おや?

少し空が開けてきました!

振り返ると若干ですが周囲の山々と、集落も見えます。

先ほどまで展望ゼロの登山道でしたが、ここに来てようやく展望が眺められ、テンション上がります!

登山道も岩が大きくなり、なかなか楽しい道になってきましたね!

しかし、展望タイムと楽しい岩場はすぐに終わり、再び先ほどの展望ゼロ登山道に差し掛かります。

そして次なるポイントは水場です。

ここまで急登も見られましたが、特に厳しいコースではなく登りやすい道でした。

けれども夏はそれなりに体力も消耗し、かなり汗はかくと思います。

そんな時に嬉しいのが水場!

この水場はコースから数十メートル離れた所にあり、ガチの天然水を飲む事ができます。

私もペットボトル1本分を有難く頂きました。

水場は登山道によって様々で、このような本当の自然に流れる水を汲むものや、きちんとホースか何かで人工的に設置されたタイプもあります。

最初の水場を越えると、おや?

ブナ林に差し掛かったみたいですね~

先ほどの巨大ブナには及びませんが、ブナの木がズラリと並ぶ登山道って癒されますね~

太陽もいい感じに昇ってきて、清々しさが増します。

おいでよ!おいで!とでも語りかけてくるように、ブナたちが歓迎しています!

ブナと楽しい会話を終えると、広場に到着したみたいです。

ここが粟薬師という場所みたいですね。

ここには名前の通り薬師如来像が安置された薬師堂のような建物と、反対側には避難小屋でしょうか?少し変わったデザインの建物がありました。

まずは薬師堂

堂宇は岩で固められ、屋根も頑丈でした。

これなら雪が大量に降り積もっても問題なさそうですね。

中は薬師如来が7体安置され、花とお供えものがあり、きちんと管理されている様子が分かります。

一方、向かいの避難小屋も中は綺麗に整頓されていました。

粟薬師~七合目

さて、粟薬師から先も暫くブナ林が続きます。

地図で確認すると、粟薬師がちょうど中間地点くらいになり、ここから後半と言ったところでしょうか。

ブナ林を終え、七合目へ向けて新たな登山道が始まります。

そろそろ展望が恋しいですが、まだまだ先になるみたいですね。

暫くすると、鎖場に到着です。

と言っても補助的な鎖で、ここはサクッと登る事ができます。

そしてすぐに六合目に到着です。

ここは水場との分岐点にもなり、奥に行けば水場があります。

特段危険箇所はありませんが、この辺りは非常に滑りやすく意外に登りにくかったです。雨上がりは特に滑りやすそうです。

そして遂に視界が開ける場所に到着しました。

突然開かれた景色に暫し滞在し、視線の先には弥彦山が神々しく聳えています。

360度のパノラマまでは行きませんが、弥彦山と先には海岸沿いまでも見渡す事ができます。

視線を変えると、粟ヶ岳方面も見えました。

標高1200前後とは思えない堂々たる山容で、山頂付近は紅葉が始まっている様子が分かります。

ふと、視線を落とすと、おや?滝が見えます!

拡大すると、これは立派な滝で、どうやら三十三丈滝のようですね。

鬱蒼とする山肌からぽつんと出現する滝ってなんかいいですね~

音は聞こえないものの、流れ落ちるその姿から豪快さを感じます!

ここから先は展望のよく見える登山道で、つい振り返って景色を眺めてしまうのでなかなか進みません…

道も緩やかな登りなので、気持ちのいい登山です。

七合目~粟ヶ岳山頂

七合目に到着。

真後ろに弥彦山が見え右を向くと、この日は曇っていましたが守門岳が見えます。

あの山は越後を代表とする山の一つで、二百名山にも選ばれており、登山としても人気の山です。

雲が取れたらどんな姿でしょうか。

先ほどの視界が開けるポイントからここまでほとんど展望の良い道でしたが、所々木々で覆われている箇所もあります。

八合目付近になると、登山道もかなり色付く様子が分かります。

登山口はまだ青々としていた木々も標高が1000mくらいになると一気に秋を感じる事ができます。

そして八合目に到着。

少し広いスペースになり、展望もなかなかの場所です。

登山道から山頂方面を眺めると、かなり色付いている様子が分かります。

まだ早いかなぁと思っていましたが、どうやら山頂付近はいい感じの紅葉になっている事がこの場所からも想像つきますね。

紅葉登山にうっとりしていましたが、遂に危険ゾーンの馬の背に到着。

恐らく北五百川コース最大の難所だと思いますが、怖いというよりワクワクする方が強いですね。

ここまで滝横切りと軽い鎖場しか無く、もうちょっと危険を感じる場所があってもよいのでは?と思っており、ようやくそんな場所に出会えました!

さて、この馬の背ですが、遠くから眺めると危険マークで定番の刃渡りや戸隠山の「蟻の塔渡り」のように見えますが、実際に歩いて見るとスリルはあるものの、全然余裕で渡れます…

左右はスパッと切れていますが恐怖心は湧かず、むしろ紅葉が素晴らしくそちらに気を取られてしまいます。

渡り終えて振り返ると、八合目はピークのようになっていますね。

馬の背を無事に渡り終え、いよいよ最後の登りにやって参りました。

ここが山頂への最後の登りで、ご覧の通り紅葉も見頃に差し掛かった感じです。

ある程度登ってから何度も振り返る。

夏は青々とした山肌ですが、秋はカラフルな服を纏った美しい姿を堪能できますね!

こんな光景を見てしまったら先に進めません。

山頂直前はそこそこ急な坂で少ししんどいかも知れません。

スタートからそこまで急な登山道や険しさが無かったものの片道4時間程と、ここまで意外に長い登山道でした。

粟ヶ岳山頂からの景色

粟ヶ岳山頂に到着しました。

先ほどまで見えた景色の他、北東方面の山々の景色も解放され、360度の絶景が楽しめます。

三条市を一望できる大パノラマ!

市街地の他、麓の下田郷までしっかりと眺める事ができます。

奥には先ほど紹介した弥彦山も見えます。

弥彦山を拡大

平坦な三条市、燕市と弥彦村の先に神々しく聳えていますね!

弥彦山の山頂からは広大な日本海と水田の光景が素晴らしく、春夏秋冬いつでも登りたい山です。

おや?あれは八木ヶ鼻ですね!

平坦な森に突如現れた断崖の岩です。

下山後に訪れたいい湯らていも見えますね~

最初に目に飛び込んできたのはこの紅葉ですね。

こちらの尾根は中央登山道方面で、こちらの紅葉も素晴らしく見とれてしまいます!

あちらの登山道も間近で歩いたら綺麗そうですね!

その奥は日本海や運がよければ佐渡島も見えそうです。

その奥も美しい尾根が続いていますね。

三百名山とあまり知られていませんが、有名な山に負けないくらい美しい姿を見せてくれます。

北東方面は奥ゆかしい山々が眺められ、何だかホッとする光景です。

少し雲が多くなってしまい、遠くまでは確認できませんが、展望が良ければ鳥海山や飯豊連峰、二王子岳もよく見えるそうです。

御神楽山は近いので、はっきり見えます。

東方面もどうやら登山道が続いているそうですね。

しかし、あちら側も見事に色付いています。

残念ながら守門岳は雲の中に隠れてしまいましたが、存在感のある山容であることは分かりますね。

最後に山頂の様子

山頂は広くベンチが一つ置かれ、展望盤も設置されているので参考しながら展望を楽しみましょう。

標識には鐘が付けられており、登頂記念に鳴らしましょう!

下山後の温泉は八木ヶ鼻温泉いい湯らていへ

さて、粟ヶ岳北五百川コースも無事に終え、下山後の楽しみである温泉は奇勝、八木ヶ鼻のすぐ目の前にある温泉施設、いい湯らていへ行きましょう!

様々な種類の湯があり、中でも目の前に圧巻の八木ヶ鼻を眺めながら湯につかることの出来る絶景露天風呂は必見で、極楽の湯を味わってみてください!

また、施設内には食事処やお土産コーナーが充実し、その他マッサージルームや休憩所もあり、下山後はここでのんびりするのもいいと思います。

入館情報はこちらをご覧ください↓

【公式サイト】

https://www.iiyuratei.com/

施設からは先程登った粟ヶ岳が一望できます。

こうして見ると独立峰にように見え、存在感もありますね。

ちなみに八木ヶ鼻はこんな光景です。

静かな集落に突如生えるように聳える絶壁。

新潟県景勝100選に選ばれ、季節や時間ごとに味のある景観を楽しめます。

特に紅葉の時期は美しく、10月下旬~11月中旬頃に色付いた八木ヶ鼻を眺める事ができるそうです。

その他、近くには「道の駅漢学の里しただ」があり、ここもおすすめです。

ここでは地元の野菜を使った郷土料理を味わえる農家レストランが有名で、下田郷の旬な食材を楽しめます。

【公式サイト】

https://www.michinoeki-shitada.com/

最後に

ものづくり、鍛冶職人のまちとして知られる三条市の名峰、粟ヶ岳を今回は下田郷の北五百川登山口から登りました。

登山道の途中には滝を横切る場面が2箇所あり、その他馬の背など注意する箇所がありますが、特段危険箇所は無く、七合目付近から視界が開け、紅葉の時期にはカラフルな登山道を歩く事ができます。

下山後は麓のいい湯らていへ立ち寄り、ゆっくり景勝八木ヶ鼻を眺めながら極上の一時を過ごし、時間に余裕があれば下田郷巡りに出かけるのもおすすめです。

今回は紅葉の粟ヶ岳を紹介しましたが、夏の青々とした粟ヶ岳も素晴らしそうなので、紅葉に限らず登ってみたい山でもありました。