素晴らしき日本の景色たち

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那須岳登山|秋の那須岳を茶臼岳から朝日岳、三本槍岳まで縦走登山

秋の便りが北から徐々に訪れる10月の中頃、栃木県の名峰那須岳の紅葉が見頃を迎えたので、今年最初の秋山は那須岳を登りました。

那須岳は主に朝日岳、茶臼岳、三本槍岳から形成され、主峰の茶臼岳は現在でも噴気を出し続け、いかにも活火山である風貌を成し、生々しい山容を目の当たりにする事ができます。また、朝日岳、三本槍岳周辺も火山が成す独特な奇形が次々と現れ、歩きながら那須火山の荒々しさを感じられます。

今回の山行は峠の茶屋という登山口から茶臼岳、朝日岳、三本槍岳を目指すコースを選択しました。この日はまだ秋に差し掛かったばかりにもかかわらず、冬型の気候の為、北西からの強風が激しく、前半は雲の多い山行でしたが、後半はすっきり晴れ、日差しも暖かくなり、更に展望も楽しめる登山になりました。

登山道や山頂からの景色の他、今回は紅葉が見頃だったので、美しい紅葉を纏った那須岳も併せて紹介したいと思います。

那須岳のアクセス、駐車場

アクセス

 

東北道那須ICを下車、那須街道(県道17号)を那須岳方面へ走らせ、約40分で峠の茶屋駐車場に到着。

駐車場

駐車場は広く登山口に約150台停められます。

無料かつ24時間利用可能なので、車中泊にも最適です。

ただ、登山シーズンは土日祝日に限らず、すぐに満車になってしまうので注意が必要です。

トイレは24時間利用可能で、中も綺麗でした。

登山コース(茶臼岳、朝日岳、三本槍岳縦走)

峠の茶屋駐車場から一番近いピークは茶臼岳なので、茶臼岳から朝日岳、三本槍岳へ進む事をおすすめします。

また、紅葉シーズンには姥ヶ平に足を運んでみるのもよいかもしれません。

峠の茶屋~紅葉の名所、姥ヶ平

峠の茶屋の駐車場にあるトイレの横から進み登山口へ向かいます。

登山口に到着しました。

ここからいよいよ登山開始です。

いきなり階段ですが、そこまで急な登りではないのでご安心ください。

標高もある程度ある為か、この辺りから既に色付いていました!

ここから先も紅葉が期待されますね。

暫く歩くと、一気に展望の開ける登山道に出ます。

意外にも早い段階でこのような道になります。

右を向くと雄大な朝日岳が姿を現します。

夏には青々とした姿だと思いますが、秋はご覧の通り豪華で煌びやかな衣装を纏った姿で登山客をお招きします。

それにしても、いかつい朝日岳に美しい紅葉が纏う姿はギャップを感じますね。

ここから先は常にダイナミックな登山道を登っていきます。

左には間近に茶臼岳が聳えています。

巨大な岩の塊のようで、物凄く威圧感があります!

遠くに赤い屋根の小屋が見えますね。

あそこは避難小屋で、分岐点となるところです。

まずはあそこまで進みましょう。

この辺りは大きな岩がたくさんゴロゴロしています。

緩やかな登り道ですが、足元には注意しましょう。

そして避難小屋に到着。

この日は猛烈な強風のため、写真では分かりませんが、立っているのがやっとな状況でした。

にもかかわらず、登山者は多いです。

ここは分岐点でもあり、左に行けば主峰、茶臼岳。右に行けば朝日岳と三本槍岳へ続く登山道になります。

さて、まずは主峰と呼ばれる茶臼岳方面へ向かいましょう。

茶臼岳は那須連峰の中で最後に噴火した峰であり、その証拠に茶臼岳周辺からは今でも噴気が上がっています。

茶臼岳は明治十四年を最後に噴火が収まったとされていますが、今でも生々しさの残る活火山です。

そんな恐ろしい茶臼岳は規制も無く、ぐるりと1周することができます。

分岐点から反時計回りに進んでいくと、何やら怪しい煙が出ていますね。

これが無間ノ地獄と呼ばれる爆裂火口で、今も噴気を目の当たりにする事ができます。

実は那須岳を登るのは2回目で前回は7,8年くらい前に登りましたが、私の記憶によると以前の方が噴気が多かったような気もしないでもありません…

しかし、周辺には黄色い硫黄の岩がゴロゴロ転がり、まさに地獄のような恐ろしい光景です。匂いも硫黄臭漂い、まさに無限の地獄そのものです!

そんな地獄のすぐ真下を歩くなんて…

と思うかもしれませんが、これはこれで楽しい歩行でした。

ふと右を眺めると…

おや?何やら紅葉が綺麗ですが、あちらがどうやら紅葉スポットである姥ヶ平ですね。

赤、黄、緑と絶妙なバランスで彩られています!

上を見上げると山頂部が見えます。

山頂部周辺も至る所から煙が上がっていますが…

明治十四年の噴火が最後なので、百四十年も経っていますが、火山にとってはついこないだ噴火したようにしか思えません。

今にもまた爆発しそうで少し怖いですね。

この道は主に平坦で特に危険個所も無いので歩きやすいです。

そして牛ヶ首に到着しました。

ここも分岐点となり、南月山方面と姥ヶ平方面への分かれ道になっています。

せっかく紅葉が綺麗なので、姥ヶ平まで下りてみましょう。

かつて茶臼岳が噴火した際は草木が一本も生えていませんでしたが、現在はこのような紅葉の名所にまでなるとは…

本当に自然とは何が起こるのか分かりませんね!

振り向くと大きな茶臼岳が見えます。

やはり山頂部の火口が恐ろしい形を成しています。

そして姥ヶ平に到着。

特に何かあるわけでもないのですが、ここから眺める噴気を上げる茶臼岳と紅葉が何とも素晴らしいです!

ここはぜひ紅葉のシーズンに訪れるべきですね!

姥ヶ平~茶臼岳山頂

さて、再び牛ヶ首に戻り、次はいよいよ茶臼岳山頂を目指しましょう!

この日は不安定で、南東方面は恐ろしいほど天気が良く、那須の広大な平原を眺める事ができました。

なのでこちら側はど快晴です!

まるで富士山のような登山道です。

茶臼岳山頂までは先ほどと同様に、山の中腹を沿うような登山道なので、急な箇所はほとんど無く、スムーズに進めます。

登山道には至る所に巨大な岩が転がっています。

これれも噴火によってもたらされた火山弾の類でしょうか?

そして合流地点に到着。

ここはロープウェイで来られた人たちとの合流地点で、ここから茶臼岳山頂まで一直線に登っていきます。

さぁ茶臼岳山頂を目指しましょう。

ここから山頂までは30分前後なので、そこまで時間はかかりませんが、急登でしかも岩場がメインとなるので、しっかりと前後左右を注意しながら進みましょう。

振り返るとこんな感じ。

相変わらず南東方面は天気が良く、素晴らしい那須の平原を眺める事ができますね。

登山道は岩にペイントされているので、しかも人も多く迷う事はほぼ無いと思います。

特に鎖場もありませんので、岩場は三点支持を意識して進もう。

ふと横を眺めると朝日岳も見えますね。

こちらからも美しい紅葉姿を確認できます。

そして鳥居が見えてきましたね。遂に茶臼岳山頂に到着です。

山頂には那須岳神社の祠が祀られており、標識もありました(記念撮影はしていない)

山頂は人が多く、やはり那須岳の主峰というだけあって多くの人で溢れていました。

山頂部は平坦ですが、ご覧の通りかなりの岩が散乱しているので、移動の際は注意しながら歩きましょう。

景色は残念な結果でしたが、本来なら日光の山々から東北の名峰までずらりと眺められるそうですよ。

しかし稜線は見事で、先ほど歩いた牛ヶ首からのびる稜線が確認できます。

あちらの方もゆっくり歩いてみたいものです。

そして姥ヶ平もよく見えます。

あの一帯だけ色付いているのが不思議ですね。

振り返ると手前の鳥居がいい感じに写っていました!

青空と那須平原のパノラマはまるで富士山山頂を思い起こす雄大な光景でした。

ロープウェイから30分登っただけでこんな素晴らしい光景が見れるとは!

茶臼岳~朝日岳山頂

さて、ここから一旦避難小屋まで戻りましょう。

避難小屋までは急な下りで登りよりも足元を注意しなければなりません。

登りと同様、岩の多い登山道が続きます。

しかし、目の前に聳える朝日岳が妙に神々しく見え、下りながら何度も眺めてしまった…

風が強く、雲の流れが速い。

思うように進む事ができず、途中何度も止まってしまいました。

しかし、下っている内に、次第に雲が取れてきているような感じがし、これはひょっとしたら!!と何故か期待が膨らみました。

避難小屋が近づいてきました。

近づくにつれ、天気も徐々に回復へ向かいました。

そして再び避難小屋へ到着。

完ぺきではありませんが、行きに比べて青空の率が上がってきたと思います。

このまま回復する見込みがなければこのまま下山しようと思いましたが、この様子だと雲が取れると確信したので、このまま朝日岳に向かう事になりました。

避難小屋から朝日岳方面を向くと、こちらもまた迫力のある風景を目の当たりにする事ができます。

ちなみにこの写真は三本槍岳から再び避難小屋に戻った時に撮った写真なので、すっかり雲が取れた状態で撮影されました。

さて、ここから朝日岳へ向かうのですが、岩場がメインの登山道で、周囲を見渡すと荒々しい岩が露出しています。

振り返ると茶臼岳と最初に登ってきたルートが見えますね。

それにしても茶臼岳は迫力あります!

あの中何が詰まっているのだろうか?と思ってしまいますw

朝日岳に近づくにつれ、景色もこのような岩だらけの光景に差し掛かります。

写真には写っていませんが、運が良ければ朝日岳山頂へ向かっている人の姿も見る事ができます。

茶臼岳と違う所は、まず噴気が出ていないところと、噴火を終えてある程度の年数が経っている事でしょうか。

しかし、火山特有の荒々しい雰囲気は物凄く感じますね。

鎖場はありませんが、途中このような迫力のある登山道にさしかかります。

危険ではありませんが、対向者には十分に注意しながら登りましょう。

この先も道幅が狭くなったりする箇所も出てきます。

それにしてもワイルドな登山道で、物凄くテンションが上がります!

怖いトラバースを越えると、次の分岐点まで最後の登りになります。

ここは踏ん張りどころです。

そして分岐点に到着。

ここから朝日岳山頂まで10分なので、早速山頂まで登りましょう。

さて、ここからの登りは正直しんどいですが、ここを登れば素晴らしい絶景が待っているので頑張りましょう。

人が見えてきました。どうやらあそこが山頂です。

周囲はもちろん岩だらけ!

朝日岳山頂からの景色

そして遂に朝日岳山頂に到着しました!

ここからは360度の大絶景を楽しめます。

先ほど茶臼岳では雲が多く北西方面が見えませんでしたが、ある程度雲も去ってくれたので遠くの山々も眺める事ができました。

最初に目に飛び込んできたのは茶臼岳です。

先ほど歩いてきた道がほぼ確認でき、茶臼岳全体のダイナミックな姿も眺める事ができますね!

近くの山の他、奥には恐らく日光や尾瀬の山々も見えるはずです。

たぶんそちら方面の展望は三本槍岳からの方が良さそうですね。

先ほどの分岐点から先にも道は続いており、奥の山塊は流石山から三倉山にかけての稜線ですね。

更に右の方を向くと三本槍岳方面へ続く登山道が見えます。

次はあちらに向かいましょう。

そして真後ろを見ると雄大な展望が!

先ほど茶臼岳から眺めたような那須の平原がドーンと広がっています。

更に真下にはちょうど見頃な紅葉も見えますね。

そして茶臼岳の下には峠の茶屋の駐車場もよく見え、その下を辿ると那須高原も確認する事ができます。

最後に山頂の様子を。

山頂はそこまで広くないです。

そして大きな岩が転がっているので、写真を撮る時は十分に注意しましょう。

また、端っこはかなり急になっているので、迂闊に近づかないように!

朝日岳~三本槍岳

分岐点まで戻りました。さぁここから三本槍岳まで歩きましょう。

少し歩いて振り返ると、先ほど登った朝日岳が見えますね!

茶臼岳から眺める朝日岳に比べてずいぶん山容が違いますが…

眺める方向によって全く違い、陰と陽のような関係になっています。

茶臼岳から朝日岳へ向かうコースとまた違い、穏やかな稜線を歩くコースになっています。

暫く歩くと、1900m峰というポイントに到着します。

ここからもなかなかいい景色が見られるので、休憩ポイントとして立ち止まりたいですね。

され、1900m峰を過ぎると、雄大な草原を目の当たりにします。

今まで恐ろしい噴気の道や岩だらけの道に比べ、本当に火山なのか?と思えるくらい美しい光景です。

下りの途中ですが、目の前の山が恐ろしいほど大きく見えるのは気のせいかな?

地図で確認すると、恐らくスダレ山という山名らしい。

スダレってあの簾の事かな?

平原まで下りました。

ここからは暫く木道を歩くコースになります。

途中には湿原のようなところもあり、この辺りは花もたくさん咲き誇るそうですよ。

木道を越えると茂みの多い道になり、ここから先は最後の登り以外は平坦で、緩い下りや登りがメインです。

三本槍岳が見えてきました。

槍岳というと尖った山容のイメージですが、実際は平べったく槍らしい姿ではありませんね…

そして山頂へ向けて最後の登りになりました。

緩そうに見えて意外に急な登りが続いていきます。

途中からも景色は良く、右を眺めるとこれまた雄大な山並みが見えます。

そして振り返ると今まで歩いてきた道のりも確認できます。

茶臼岳、朝日岳と比べると非常に穏やかな山容になっているのがお分かりだと思います。

那須岳連峰の中で、最も若いのが茶臼岳で、その次に朝日岳、三本槍岳という風に時代ごとに噴火活動が起こった為、このような違いが生まれ、まるでタイムトラベルをしているような、そんな感覚に陥ります。

という事は茶臼岳も何万年後には穏やかな山容になるという事ですかね?

三本槍岳からの景色

そして遂に那須岳最後の三本槍岳に到着しました。

那須岳は茶臼岳、朝日岳、三本槍岳と、どのピークも360度の大絶景を楽しめる山です。そして展望も遠くは変わりませんが、近くの景色が違うので三山からの風景を楽しむ事が何よりおすすめです。

標高は1917mと書かれ、何気に三山の中では一番標高が高いです。

まず目に飛び込んでくるのは朝日岳からもよく見えた流石山、三倉山たち。

最初に登った茶臼岳の時よりだいぶ雲が取れてきた感があります。

後ろには茶臼岳とちょこんと朝日岳のてっぺんが見えますね。

無間ノ地獄の登山道も見え、数時間前はあそこを歩いていたんだ~っと感心しています。

少し視線をずらすと遠くには日光の山々が薄ら見える?かな?

そして先ほどの山々からは見えなかったであろう猪苗代湖も見えました!

ここからだと全体は見えませんが、大きな湖である事は何となく分かります。

その後ろには…安達太良山と磐梯山が見えるはずですが、この日は最後までガスを被っていました。

しかし、さすがは百名山!

ガスを被っていても物凄い存在感を感じます。

ズームアウトすると、目の前には奥那須の山々がよく見えます。

左側の尖った山は旭岳でしょうか?別名赤崩山とも呼ばれていますが、どうやら現在は登れないそうです。

那須平原は朝日岳ほどではありませんが、こちら側も開放感溢れる景色が広がっています。

山頂は三山の中でも一番安定していて、このように広々としていました。

ここで食事をするのもよさそうですね。

下山後の温泉は鹿の湯がおすすめ

那須岳の麓にはたくさんの温泉がありますが、その中でも有名な温泉は殺生石のすぐ近くにある鹿の湯で、那須七湯の中で一番歴史のある温泉です。

硫黄の臭いが漂う白濁の湯は、まさに天然温泉そのもので、施設も昔ながらの雰囲気が漂い温度も細かく分かれており、自分の好みの温度でゆっくり浸かる事ができます。

シャンプーや石鹸等は使用禁止ですが、登山で疲れた体を芯から癒してくれる温泉なので、ぜひ登山後に入ってみて下さい。

【基本情報】

・営業時間:8時~18時(最終受付17:30)

・休日:無し(設備改修の場合は臨時休業有)

・入浴料:大人500円、小人(小学生)300円、幼児は無料

【公式サイト】

www.shikanoyu.jp

最後に

那須岳は主峰茶臼岳を中心に縦走可能な火山で、現在はロープウェイで茶臼岳山頂付近まで登れる気軽な山です。

特に茶臼岳、朝日岳、三本槍岳の三山は噴火の歴史が異なり、山容の違いが著しく、縦走によってその姿を間近で眺める事をおすすめします。

これら三山の縦走は日帰りでも十分可能で、下山後の温泉も併せて那須火山の恵みを味わってみてはいかがでしょうか。