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筑波山登山|筑波山神社から男体山、女体山の周回コースを紹介

唸るような暑さが続く9月上旬、秋雨前線を避けるために茨城県の名峰、筑波山を久しぶりに登りました。

筑波山は標高1000mに満たない山ですが、関東平野にぽつんと佇む独立峰は一際目立ち、山容も富士山のような美しい姿を成し、”西の富士”、”東の筑波”と呼ばれるほど多くの人に知れ渡り、信仰の山としての歴史も深い山です。

また、日本百名山のなかでは一番低く、標高は877mですが、筑波山神社を始め、山中にはロープウェイやリフトもあり、更に夜には関東平野の夜景を楽しめる、観光スポットとしても人気のある山です。

今回は夜景登山ではなく、純粋な登山として訪れ、中腹の筑波山神社から男体山、女体山の2つのピークを目指す周回コースを選択しました。

山頂からの展望は素晴らしく、更に道中には奇岩や怪岩も多くみられ、見どころ満載なので、早速紹介したいと思います。

筑波山のアクセス、駐車場

アクセス

 

常磐自動車道土浦北ICより車で40分。

電車の場合はつくば駅からシャトルバス、直行約40分。

つくば駅からのシャトルバスについてはこちらのサイトへ↓

ttca.jp

駐車場

筑波山神社に最も近い駐車場は筑波山神社内の有料駐車場です。

1日500円で台数に限りがあるので、満車の場合は周辺の市営有料駐車場や民間有料駐車場を利用しましょう。

いずれも1日500円が定番です。

ちなみに一番安くて比較的近いのがこの駐車場で1日200円。

ほとんど空き地状態ですが、入口にはお金を入れるポストも設置され、管理はされているようなので、ここもおすすめです。

この駐車場から筑波山神社正面まで歩いて10分くらいです。

 

筑波山神社~男体山山頂

筑波山神社の駐車場から歩いて数分で神社に到着します。

看板の指示に従って歩いて行くと…

社殿手前には立派な隋神門が建てられ、非常に歴史を感じます。

恐らく明治以前は仁王門として機能していたのではないでしょうか?

隋神門を潜ると、目の前に大きな社殿が現れます。

登拝者は登山前に必ず参拝すると思いますが、我々登山者も登らせていただきますという気持ちを持って登山に参りましょう。

登山道はケーブルカーがある方向なのでそちらに向かいましょう。

途中までは同じ道ですが、途中から登山者とそうでない方との分岐点になり、登山者は鳥居の方面へ進みましょう。

ケーブルカー沿いの登山道ですが、ケーブルカーを見ることなく坂道が続いていきます。

前半は鬱蒼とした森の中を進んでいく感じです。

途中にはベンチもあるので、適宜休憩しながら進みましょう。

登るにつれ、岩も目立ってきますが、危険個所は特に無いので安心して歩く事ができます。

そして、ケーブルカーに最接近する箇所に到着です。

目の前にレールが見えますね。

電車の線路そのものですが、角度がえげつない事になっています。

朝早くから登っているので、通過する瞬間はみえませんが、運がよければ走っている姿を確認することが出来そうですね!

最接近の箇所から暫く歩くと、今度はレールを真上から眺める事のできる場所に到着します。

ちょうどこの真下がトンネルになっている箇所という事になりますね。

トンネルを越えると、登山道が一気に岩だらけになります。

特に危険個所はありませんが、岩も大きくなっているので足下に注意しながら進んでいきましょう。

途中にはこんな大きな杉の木でしょうか?

なぜか二股になっている巨大な杉の木がありました。

どうしてこんな風になったのか…

見れば見るほど不思議に感じます。

そしてここも立ち寄りポイントである男女川の水源に到着です。

鬱蒼とした森の中にちょろちょろと湧水が優しく流れいました。

その湧水の後ろは岩が積まれ、どうやら岩窟のようになっているそうですが、人が入れるような岩窟ではなさそうです。

地図によると、水場ポイントとなっていてます。

水が足りなくなったらここで水分を補給しましょう。

この水場の周辺には注連縄が張られ、現在も神聖な雰囲気が漂います。

水場を過ぎ、暫く鬱蒼とした登山道を越えると、山頂までの最後の登りに差し掛かります。

景色は見えませんが、時折日差しが降り注ぎ、明るい登山道が続きます。

そして山頂へ向けて最後の登山道は階段地獄です。

スタートからここまで距離は短いですが、最後の最後で階段は少し嫌気がさしますね。

最後の階段を登りきると、遂に展望の開けた場所に到着します。

ちょうどここがケーブルカーの終点となり、ケーブルカーを使えば体力を使う事もなくこの場所にたどり着く事ができます。

実はここはまだ山頂ではなくちょうど男体山と女体山の間の箇所になります。

登山用語的に言えば”コル”という事になりますね。

コルは山のピークとピークの間の窪んだ箇所を示す用語で、よく登山をする方なら○○のコルという標識を見かけた事があると思います。

コルの大きさも様々で、筑波山のコルは平坦で広いコルという事になります。

なので、このようにケーブルカーの駅も作りやすく、お土産屋さんや食事処も多数建てられる訳ですね。

ちなみに展望も素晴らしく、男体山や女体山に登らなくてもこのような絶景を堪能する事もできます。

さて、私は登山者なので、しっかりと男体山と女体山を目指します。

まず始めに男体山から。

男体山山頂まではそれほどかかりませんので、ここはサクッと登りましょう。

登山道も特に危険個所は無く、歩きやすい道が続いていきます。

そして最後の登りに差し掛かりました。

見上げると大きな岩が密集し、まるで蓼科山のラストを思い起こす光景です。

ですが、この岩場も一簡単に登る事ができます。

登り進むと社殿らしきものが見えてきました!

遂に筑波山の男体山に到着です。

お社の後ろに男体山871mと書かれた標識がありましたが、標識はこれだけのようですね。

小さいながら立派な社殿には伊邪那岐命が祀られており、男体山という名前から男神が祀られている事になりますね。

そして、反対側は視界の開けた展望台になっています。

目の前は雄大な関東平野が広がり、どこまでも広く恐ろしいほど平坦な光景を眺める事ができます。

この日は天気が良かったものの、遠くに聳える山々は残念ながら見えませんでした。

空気が澄んでいたら秩父や浅間山、男体山、赤城山などの名峰も眺める事ができるそうです。

さて、来た道をそのまま引き返すのもいいですが、男体山には自然研究路という道があるそうなので、そちらから引き返しましょう。

と、その前に、社殿から少し下がった所に気象観測の建物があるのでそちらをご案内。

こちらの気象観測所は日本初の山岳観測所として、明治35年に建てられたそうで、その後は名前の変更や建替え、無人化などの歴史を重ね、平成13年には閉鎖されました。

しかし、平成24年に筑波大学に引き継がれ、筑波山の気象データと共に研究が今も続けられているそうです。

残念ながら中に入る事はできませんが、正面からその建物を眺める事はできます。

正面入り口の石柱が所々崩れ、何ともいい味を出していますね!

さて、自然研究路と言う名の道があるそうなのでそちらから参りましょう。

自然研究路には様々な動植物が生息し、四季折々の植物や小動物を観察する事ができます。

研究路内には多くの説明書きやスポットがあり、途中展望所もあるのでただ歩くのではなく、より多くの知識を得られる登山道になっています。

興味がある方はぜひ、自然研究路から進みましょう。

男体山山頂~女体山山頂

男体山を終え、もう一つのピークである女体山へ参りましょう!

改めて広場を見ると、多くのお土産屋さんや食事処がありますね。

休日になればきっと多くの方で賑わう事でしょう。

しかし、女体山の方が標高は高いのに、見た感じ男体山より低めに感じます。

女体山への出だしは道幅も広く非常に登りやすい登山道です。

途中、ガマ石という奇妙な岩があります。

これは筑波山名物である「ガマの油売り口上」の由来となる岩で、永井兵助という人がこの岩の下でガマの油を売るために口上を考えた事からこのような名前の岩になっています。

しかし、よく見ると岩の形が、まさにカエルの口のようになっているのがお分かりだと思います。

その後も緩い登山道が続きます。

そして遂に山頂直下の岩場に到着です。

岩場と言うより、きちんと整備された階段が続きます。

周囲には比較的大きな岩が転がっていたので、昔は普通の岩場だったのでは?

そして遂に女体山山頂に到着しました。

女体山にも男体山と同様に社殿が建てられています。

男体山に伊邪那岐命が祀られているので、必然的に女体山には伊邪那美命が祀られています。

そう、筑波山の男体山と女体山は日本神話でおなじみの岐美二柱の神、イザナギとイザナミが祀られた山という事になります。

なるほど、だから縁結びの神様として人気があるのですね。

ちなみに女体山には天浮橋というスポットがあり、社殿の裏にその橋が架けられています。

しかし、訪れた時には通行禁止となっていたので渡れませんでした。

説明書きを読むと、天浮橋から天の沼矛をかき回し、おのころ島が誕生し、その島が筑波山と書かれていますが…

おのころ島は瀬戸内海にあるはずじゃ…と心の中で思いました。

気を取り直して、早速展望を眺めましょう!

女体山の山頂部は岩が多く足場の悪い箇所もあり、しかも今までに多くの方が踏まれた為か、岩が摩耗して滑りやすくなっているので、景色に気を取られず、足元も良く確認しましょう。

ロープを越えてはだめですが、ギリギリに立つとなかなかの高度感を味わえ、まさに展望雄大!という感じでした。

正面はドーンとどこまでも平坦な関東平野を眺める事ができ、山々の光景も素晴らしいですが、この平坦すぎる光景もなかなかいい感じですね。

一つ残念な事は、実は車の中に望遠レンズを置き忘れ、望遠レンズでの撮影ができませんでした…

目を凝らしたら富士山が微かに見え、双眼鏡で確認したら確かに富士山でした!

富士山は写真中央の奥に写っていますが、見えますか?

男体山から見えなかった南西方面がよく見え、近くの霞ケ浦もはっきりと見えます。

目を凝らせば、太平洋も見えるので、双眼鏡か望遠レンズで確認してみては?

後ろには常陸三山の足尾山と加波山もはっきり見え、更にその後ろの吾国山と難台山も確認する事ができますね。

北は先ほど登った男体山が見えます。

こうしてみると男体山は秀麗で整った形をしていますね。

少し目線を下げると、おや?あれはロープウェイですね!

トップシーズンには夜まで運行しているそうで、夜の夜景も見どころの一つです。

女体山山頂~筑波山神社

さて、女体山から筑波山神社へ向かいましょう。

女体山から筑波山神社へ続く登山道は岩場がメインになり、所々巨岩や奇岩が点在する、いわば山岳修験を彷彿させる道になっています。

現在は筑波山神社として歴史を歩んでいますが、明治以前には中禅寺という法相宗の寺院がこの山を管理され、後に真言宗へ改宗したものの、神仏習合時代には堂塔伽藍が立ち並ぶ、まさに山岳信仰の霊場として栄えていたそうです。

仏教的建造物は一切取り除かれたものの、各巨岩や奇岩には祠や社が安置され、かつての山岳信仰としての面影は色濃く残されています。

こちらは胎内くぐり。

山岳信仰の山ではよく見かける修行の場で、自然と一体化し、純粋な自分へ生まれ変わる事を目的とした行ですね。

その他いろんな名前の岩が次々に現れ、あっと驚くような岩も登場するので、歩きながら楽しめます。

そして、筑波山の奇岩と言ったらこの弁慶七戻りが有名で、弁慶でさえも頭上の今にも落ちそうな岩に驚き、七戻りした事からそのような名前になったとか。

改めてみると、確かに今すぐに落ちてもおかしくない構造の岩ですね!

下から眺めると、岩と岩の間に収まった形になっていて、上手くバランスが取れているように見えなくもありませんが…

しかしみんな余裕の笑顔でこの岩の真下を通っていきます。

もしこれが落ちてきたらどうなるんでしょうか…

と、私は少しビビりながら通過し、振り返りました。

裏から見ても巨大な岩が挟まった様子が分かりますが、手前から眺めた方が迫力ありますね。

弁慶七戻りを越えた辺りから巨岩コースも終え、行きに歩いたような登山道になります。

しかし、時折石段のような造りの箇所も見られ、まさに修験道を思い起こす登山道になっています。

暫く進むと鳥居が見え、鳥居を越えると住宅地になり、本格的な登山道の終わりを告げられます。

ここまで来ればあと2,3分で筑波山神社に到着します。

下山後は筑波山温泉つくばの湯へ

神社のみの参拝やケーブルカーでの登山ではあまり汗をかきませんが、登山で訪れた方はそれなりに汗や疲れが出ると思います。

そんな方にはぜひ筑波山神社から最も近い温泉である、”つくばの湯”で体を洗いましょう。

最近リニューアルされたらしく、内装は非常に綺麗で、大浴場には露天風呂も完備され、温泉の他、食事処やくつろぎスペースもあり、のんびり過ごす事もできます。

また、更衣室の洗面の蛇口がオシャレというかモダンな造りになっていて面白く、遊び心も感じられます。

 

【公式サイト】

tsukubanoyu.com

最後に

筑波山は標高は1000mに満たないものの、恐ろしいほど平坦な関東平野にポツンと聳える事で存在感のある山です。

そんな筑波山を今回は筑波山神社から男体山、女体山を巡る周回コースを歩きました。

山頂からの景色は素晴らしいものの、登山道には巨岩や奇岩などの歴史を感じるコースがあり、ロープウェイやケーブルカーでは味わえない筑波山の素晴らしい所を体験できました。

今では縁結びやデートスポット、更には夜景を楽しむ事ができ、気軽に登れる山へと変化しましたが、かつての信仰登山としての面影も根強く残されています。

登山道は整備され、危険個所も少なく、歩行時間もそれほど長くないので、筑波山の自然と歴史を肌で感じたい方にはぜひ登山で巡ってみてはいかがでしょうか。