瀬戸内海でも人気を誇る小豆島は風光明媚な景観や歴史、文化が栄え、現在は多くの観光客で賑わいを見せる島になっています。
島の至る所では巨岩や怪岩のよる奇景が広がり、見る人の心を動かす壮大な景色を楽しませてくれる島でもあります。
そんな奇景の多い小豆島の中で、島の西部に位置する重岩は読んで字の如く、見るからに重そうな巨大な岩が重なるように積まれ、海から眺めても確認できる程大きな岩です。ちなみに読み方は「かさねいわ」です。
山頂の重岩までは多少登らなければなりませんが、景色も一級品なので、今回は小豆島の観光スポットの一つである重岩の光景と山頂からの絶景をお伝えしたいと思います。
重岩までの登山道
駐車場からすぐに登山口に到着します。
登山口には不動明王が祀られ、まるで訪れる人々を歓迎しているようです。
地面を見てみると、出迎え道と帰り道があるそうです。
そういえば石鎚山も「お上りさん」と「お下りさん」という二種類の歩道があり、この二つの道も石鎚山の登山道を意識しているのかなと思いました。
石鎚山の登山道の様子はこちら↓
スタート直後から長い階段が続いています。
階段幅も狭く2列に歩くのは難しいので、混雑時は多少厄介かもしれません。
階段の両サイドにはポールが立てられていますね。
お祭りの時は幟などが揚げられるのでしょうか?
長い長い階段を永遠の登っていきますが、暫くすると登りながらも視界の開けた箇所に到着します。
疲れた時は振り返り素晴らしい景色を眺めながらゆっくり登りましょう。
視界が開けた階段を更に登ると、寺院が見えてきます。
ここは重岩不動と呼ばれる小さな寺院で、扉は閉まっていますが中に不動明王が安置されているそうです。
重岩は山頂の巨岩を御神体とする小瀬石鎚神社とも呼ばれ、神社名から愛媛県の石鎚神社の分社である事が分かります。
石鎚山の中腹には現在成就社という神社が建てられていますが、実はこの成就社は元は寺院として機能し、明治以前の神仏混淆時代においては石鎚山という修験霊場の重要な拠点となっていたそうです。
改めてこの寺院を眺めると規模は圧倒的に小さいけれど、以前石鎚山に登った際に通過した成就社のように感じ、恐らく重岩もこの寺院が重要な拠点となり、山頂の巨大磐座である重岩へ向けて登拝されていたのではないかと思いました。
ちなみに重岩不動からも景色は素晴らしく、ベンチも設置されているので、腰を掛けて一休みするのもいいでしょうね。
さて、山頂の重岩までまだまだ登りますので頑張りましょう!
といっても距離的にはほんの僅かなので、サクッと登れます。
注意書きの通り、ここから先は先程と違い岩場の目立つコースになります。
細く急な箇所もあり、鎖場はありませんが岩の露出した登山道です。
登山経験者にとっては楽しめるコースですが、未経験者にとっては少し過酷かもしれません。
コース以外は崖になっているので、外れないように進んで行きましょう。
山頂付近になると岩も大きく、地面も砂混じりになっていきます。
迫力満点!重岩の全貌
岩場を抜けると視界が広がり、奥に例の重岩が見えてきます。
そして遂に重岩に到着です。
岩の前には手作り感満載の鳥居があり、重岩の前はきちんと整備され、広い空間になっています。
改めて重岩を眺めると、土台の上に大きな岩が乗っかり、その上に小さい岩が更に乗っかている風に見えます。
恐らく自然現象でこのようになったと思われますが、人の手によって造られたようにも見えなくないのが不思議です。
岩の正面には小さな社が埋め込まれるように鎮座し、この重岩を磐座として信仰されている事が明らかですね。
埋め込まれているというか、お社が吸収されているように見えるのは気のせいか…
重岩は先程お話した通り、小瀬石鎚神社とも呼ばれ、石鎚神社は愛媛県にある石鎚山を神体山とする山岳信仰の神社で、石鎚山は日本七霊山の一つに選ばれているほど霊験あらたかな山です。
この石鎚山の信仰は瀬戸内海を中心に広がっているそうで、今まで登った瀬戸内海周辺の山にも石鎚神社や石鎚の神を祀っている社に何度も出会いました。
それらの山は決まって、山頂付近に巨岩や奇岩が散乱し、まるで石鎚山を登っている感覚に見舞われ、石鎚山を模した登山を味わえる山がほとんどです。
役行者によって開かれ、弘法大師空海が修行した山でもあり、更に西日本最高峰の山から、西の富士山と言っても過言ではないと思います。
そう考えると、このような場所は富士塚のような機能も兼ね備えているのではないかと思います。
今まで訪れた石鎚信仰の見られる山はこちら↓
石鎚山山頂の天狗岳は天を指すように伸びる岩で、まるでエネルギーを放出しているかのような迫力のある姿で、何度訪れてもその光景には唖然とします。
この重岩も石鎚山の天狗岳には程遠いですが、力強さを感じ、見る人の心を奮い立たせるようなエネルギーも感じます。
現在は観光スポットとして訪れる方がほとんどですが、恐らくこの岩も磐座信仰から始まり、山岳信仰の霊場として発展し、現在に至るパワースポットだと思います。
石鎚神社の様子はこちらの記事へ↓
ここで注目して頂きたいのがこれ、石鎚山の鎖です。
説明書きにはこの鎖は三の鎖と書かれており、石鎚山のは、試しの鎖から一の鎖~三の鎖まで厳しい崖を登る行場があります。
現在でも登山道として開かれていますが、鎖に慣れていない人にとっては危険を有する鎖場で、「鎖禅定」という石鎚山最大の行場です。
写真の鎖は江戸時代の鎖で、現在の三の鎖は一回り大きく、鎖の端っこが巨大な輪の形になっています。
実際に鎖を見るとかなりすり減り、恐らく石鎚山に登った何百人、何千人もの行者達の思いが形になって表れているように感じます。
石鎚山の実際に取り付けられていた鎖が御神体として祀られている事は、この山も石鎚信仰の山である事が明らかで、石鎚の信徒たちの篤い信仰を感じ取る事ができます。
重岩からの絶景
さて、重岩の姿の他、山頂からの景色も素晴らしく、360度の大絶景を楽しめるスポットでもあります。
何と言っても海の展望が素晴らしく、すぐ近くの豊島、小豊島が見えます。
重岩からは大小様々な島が見られ、奥には岡山の姿も確認できますね。
波が穏やかで、時折船が通り過ぎるのも見どころです。
行きに乗ったフェリーも姿を現しました。
麓の集落もよく見えます。
こうして見ると趣のある屋根が目立ち、伝統的な家屋が多いですね。
写真の中央奥の小さな漁港とこんもりとした森が少し気になりますが…。
重岩から振り返る時に見える鳥居と奥に見える島々の光景が素晴らしく、何度も写真を撮ってしまいました。
この日は少し霞んでしまいましたが、天気が良い日はもっといい光景が楽しめそう。
目を凝らしてみると、奥にはテーブルマウンテンの屋島と五剣山が見えますね。
あちらの半島は四国最北の地らしく、見どころ満載の地でもあるので、小豆島と合わせて観光するのも良さそうです。
東を向くと大深山が見えますね。あの山の向こうに土庄港と町があります。
重岩の先のも大小の岩が点在しているのが分かります。
しかし、重岩のような奇妙な形をした岩は確認できず、やはりこの重岩は一番の奇岩である事が分かりますね。
地図を見るとここから先もある程度道が続いているらしく、この山も大阪城石垣石の採石場だったので、ひょっとしたらそのルートの跡ではないかと思います。
重岩(小瀬石鎚神社)の場所、駐車場
場所
駐車場
車は出迎え不動の前まで停める事ができますが、明確な駐車場ではないので、停める時は左右確認しながら停めましょう。
駐車スペース場までは細い山道を登るので、かち合いには注意。
最後に
いかがでしょうか?
小豆島は石の文化が栄えた事から、石の存在が欠かせない島であると同時に岩や石を磐座とする信仰の絶えない島でもあります。
今回紹介した重岩も磐座信仰の一つで、姿形も昔のまま変わらず、見る人を圧倒する存在であり続けたからこそ、今でも多くの観光客を惹きつけていると思います。
重岩は土庄港から車で数分の所に位置し、港から最初に訪れるスポットとしてもおすすめで、多少の登山はあるものの、迫力のある巨岩や素晴らしい瀬戸内海の景色を楽しめるので、迷ったらまず、重岩に訪れてみてはいかがでしょうか。