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乾徳山登山|スリル満点の岩峰!日帰りおすすめコースを紹介

秋が深まる11月の初旬、今年最後の2000m級を登ろうと、以前山頂でガスってしまい苦い思いをした山梨県の乾徳山を再チャレンジしました。

この日は終日天気も良く、山頂からは富士山を始め360度の大絶景を堪能し、更に下山後は奥秩父屈指の渓谷美を誇る西沢渓谷を散歩し、ちょうど紅葉の見ごろに訪れたので、素晴らしい渓谷美を味わう事ができました。

奥秩父の名峰甲武信ヶ岳の手前に位置する乾徳山は二百名山ながら山頂付近は危険な岩場箇所があり、スリルを味わえる山としても有名です。

今回は日帰りでも十分楽しめる周回コースを選択し、好天にも恵まれた為、前回とは比べ物にならないほど素晴らしい山行になりましたので、登山道の様子と山頂からの大絶景を紹介します。

乾徳山とは

日本二百名山及び山梨百名山に選ばれている乾徳山は奥秩父の山域にある標高2031mの岩峰で、山頂付近はスリル満点の岩場が点在し、バリエーション豊かな登山を味わえる、山梨では人気の登山スポットです。

山頂には乾徳山大権現を祀る祠、麓には乾徳神社がある事から古くは信仰の山として開かれ、鎌倉時代末期から室町時代初期には臨済宗の禅僧、夢窓国師が頂上直下で修行したと伝わっています。

夢窓国師は後に乾徳山恵林寺を創建し、寺から乾の方向に修行した山(乾徳山)があった事とその山は三富村徳和地区に聳える山から”乾”と”徳”を合わせて乾徳山と名付けられたそうです。

乾徳山のアクセス、駐車場

アクセス

 

勝沼ICから車で約50分で乾徳山登山口に到着します。

駐車場

乾徳公園前に無料駐車場有り。

約20台停められます。

駐車場すぐ隣には公園があり、トイレは24時間利用可能です。

トイレは水洗式の和式でした。

乾徳山の登山コース

駐車場のある乾徳公園から乾徳山登山口へ歩き、高原ヒュッテ、山頂の順に進みます。下山は迂回下山道を通り、高原ヒュッテから道満尾根を下り駐車場へ向かう周回コースです。

トータル7時間ほどの山行になります。

乾徳山登山者駐車場~乾徳山登山口

駐車場から乾徳山登山口へ向かいましょう。

最初は三富村徳和地区の集落を歩く形になります。

途中、まる旅館のような立派な建物も見られます。ひょっとしたらかつては宿坊としての機能もあったのではないでしょうか。

登山口までは所々案内看板が立てられているので、地図無しでも迷う事はないと思います。

そして、これは里宮でしょうか?

登山口手前に乾徳山神社が鎮座されています。

社殿には乾徳山大権現と掲げられ、やはり乾徳山も山岳信仰の影響を受けていた事が分かりますね。

神社から先はより鬱蒼とした道になり、いよいよ登山口が近づいてきた感が湧いてきます。

登山口から先には徳和渓谷という名の渓谷があるそうですね。

近くに西沢渓谷というメジャーな渓谷がありますが、こちらの渓谷は夢窓国師が修行を終えた後にこの渓谷の美しさに心を打たれたと伝わっているそうです。

また、渓谷の奥にはいくつか滝があり、夢窓の滝というのもあので、興味のある方は下山後に立ち寄るのもいいかもしれません。

杉並木でしょうか?

この辺りは修験道を思わせるような雰囲気が漂います。

乾徳山登山口~高原ヒュッテ

そして、登山口に到着しました。

ここが登山口と、手書きで書かれた張り紙がありますが…

実は反対側にはこのような立派な看板があります!

どうやら駐車場から歩くとこの看板を見逃してしまうためか、このような手書きの登山口が付けられたのですね。

これは…やっちまった看板です。

登山口を通過するとより一層深い森の登山道になります。

日の出時間はとっくに過ぎているのに、この薄暗さ…

なんか出そうです。

登山道ははっきりとし、よく歩かれているそうで、迷う事はまずないと思います。また、傾斜もそこまで急ではなく、比較的登りやすい道になっています。

暫くすると標高も上がり、徐々に明るくなってきました。それにつれ、木々も色付き、綺麗な紅葉の姿も現れます。

綺麗ですね~

紅葉に見とれながら進んでいくと、駒止という箇所に到着します。

駒は恐らく馬の事だと思います。

そう考えるとここは馬を止める場所だったのかもしれません。

その後は登山口よりも緩やかで、馬も歩きやすそうな道が続きます。

途中、おや?あれは鹿でしょうか?

じーっと動かずこちらを眺めていました。

鹿さんを越えると給水ポイントに到着します。

細長い管からコンコンと水が流れています。

給水ポイントから先は暫く平坦な道が続きます。

そろそろ高原ヒュッテが近いのでしょうか?

分岐点手前に到着。

ふと見上げると、大きな山の姿が現れました。

どうやらあれが乾徳山の本体らしく、あちらのてっぺんまで歩きます。

が、ここから見えているのは山頂部ではなく、山頂はももっと奥にあるらしいです。

高原ヒュッテ~鳳岩

そして分岐点に到着。

ここは山頂へ向かうコースと下山コース、更に道満山方面へ向かう道との分岐点になっています。

さて、私は山頂へ向かうので、そのまま真っすぐ進みましょう。

暫く歩くと、役行者の石仏や前宮跡など、徐々に山岳信仰を思わせる空気になってきました。

宮という名前からこの辺りに立派なお社が建っていたのでしょう。

平坦の道も終わりでしょうか、ここから先は登りが続き、視界が一気に開けそうな予感がします。

すると、予想通り一気に視界の開ける場所に突入しました。

周りを見ると、辺り一面ススキだらけでした。

振り向くと、うっすらですが富士山がようやく姿を現しました。

山頂までの道のりはまだまだ長いですが、このような光景に出会うと立ち止まってしまいますね。

ススキの道を登り終えると月見岩という分岐点に到着します。

この分岐点も道満山へ続く道があるそうですね。

さて、ここからは徐々に岩場が増えてくると思うので、気を引き締めて参りましょう。

先ほど下の分岐点から見上げた山が見えますね。

あの奥に山頂があるのですが、地図で見る限りは岩場がメインになります。

少しずつですが、大きな岩が目立ち始めます。

ただ、きちんとピンクのテープが取り付けられているので、迷う事は無いと思います。

進んでいくと鎖場も登場します。

が、この辺りは序の口と言わんばかりの簡単な鎖場です。

その後も登山口付近の登山道とは違い、所により大きな岩が出現する登山道になります。

まぁ鎖場のレベルも低いので、楽しみながら進めます。

そして、こちらは奇岩である髭剃岩に到着。

ひげそりという名の岩ですが、一体全体どこがひげそりなんだ?と首をかしげるばかりの奇岩です。

ちなみに奥は細く、その気になれば進む事もできますが…

中に入るのはやめて先に進みましょう。

髭剃岩のすぐ先は、まるで巨大な岩壁が出現します。

矢印が見えるので、どうやらこの壁を乗り越えるみたいですね。

と、岩を登ると突如スパッと切れた崖になり、一瞬足がすくみました!

これは怖い

勢いよく登ったら落ちそう…

どうやらここは次のカニ岩らしいです。

こんな狭い所を歩いて行きます。

もしかしてカニとはカニ歩きして進んでいくからかな?

剱岳のカニの横ばい的な?

しかしまぁいきなり岩場のレベルが上がったというか、まるでアルプスの岩場を登っている感じになり、好きな人は物凄くテンションの上がる場所です。

カニ岩を終えてすぐにまた恐怖の鎖場!

今度はカミナリ岩です。

見上げるような岩壁に鎖がぶら下がっています。

しかし、ここもそこまで苦労するような鎖場ではなく、まだまだ楽しめる程度です。

上から見るとこんな感じ。

ここは一気に登った方がいいかもしれません。

カミナリ岩を登りきると展望も良く、富士山と他の山々がよく見渡せます。

先ほど歩いてきたススキの道も見えますね!

あそこから見上げた岩ってここかな?

その後は巨岩に囲まれた登山道を進んでいき…

胎内に到着。

胎内と言う名の岩は山岳信仰の山では定番な箇所で、巨大な岩の窪みに入り、罪穢れの無い生まれたての自分に蘇ろう!という意味を込められた修行の場です。

胎内を越えても巨大な岩は続きますが、難所は特に無いのでどんどん奥へ進めます。

そして再び展望の開けた箇所に到着。

標高も高くなり、そろそろ2000mを越える感じになってきます。

ここは恐らく雨乞岩のところだと思うのですが…

ふと下を見ると、崖から一際突き抜けた岩が見えますね!

あれが雨乞岩でしょうか?

雨乞いと言う名の岩なので、恐らくあそこに立って雨乞いの祈りを捧げていたのでしょうね。

しかしその気になれば行く事は可能だと思いますが、そこまで勇気がありません。

ここを越えるとラスボスの鳳岩まであと少し。

そいつは突然やってきた…

乾徳山最大の難所、鳳岩を登ろう

乾徳山の核心部である鳳岩に到着!

目の前には巨大な岩壁が立ちはだかり、そこにぶらーんと鎖が垂れ下がっています。

近づき見上げると、一本の鎖が岩壁に沿ってぶら下がっています。

本当にこんな所を登るのか?

横から見ると意外にも垂直ではなく、ある程度の角度はあると思いますが、この鎖場は腕力勝負である事間違いないですね!

最初の腕力勝負を登り、中間地点に少し休憩ポイントがあります。

下を覗くとこんな感じで、意外にも恐怖心は感じません。が、ご覧の通り靴1足分の幅です。ここが先ほどのようにスパッと切れた崖だったら恐らく怖いと思いますが、運よくただの岩壁なのでそこまで怖くありません。

中間地点から1mくらい?トラバースしますが、ここは慎重に進みましょう。

渡り終えって振り向く。

そう、この隙間を歩くんです!

しかし、写真だとイマイチ高度感が伝わりませんね…

ここから最後まではそこまで難しくないです。

やはり先ほどの中間地点までの登りとトラバースが最大の難所という事になりますかねぇ。

ラストの後半を登り終え、振り向くとこんな感じ。

これを登り終えるとすぐに山頂の広場に到着します。

ここで、どうしても鳳岩が無理!と言う方は、安心してください!ちゃんと迂回路もあります!

迂回路は鳳岩のすぐ横に迂回路という看板があるのでそこを通ります。

こちらは鎖場は無く、ハシゴだけなので簡単に進む事ができます。

山頂からの大パノラマ

そして遂に山頂に到着しました。

目の前には富士山が雄大に聳え、周囲には奥秩父の名峰がずらりと並んでいます。

まだ太陽が低い位置なのでよく見えませんが、こちらは大菩薩嶺から三ッ峠山まで見渡せます。

少し視線を左にすると、東京都最高峰の雲取山まで見えます。

そして真後ろには甲武信ヶ岳、黒金山、国師ヶ岳と続いていきます。

更に稜線を辿っていくと、おや?あのちょこんと佇んでいる岩は金峰山の五丈石ですね!

やはり五丈石は遠く離れていてもすぐに分かるミステリーストーンです。

一体どのようにしてできた石でしょうか?

一説によると人が運んだとも言われていますが、果たして真相は?

拡大するとこんな感じ。

もはやモンスターがそこにいるようにしか見えないのですが…

西の方の薄らと高い山々は南アルプスですね!

横一列にずらりと並んでいる様子が分かります。

もう暫くしたら雪化粧の南アルプスを眺める事ができそうです。

正面真下に見える町は山梨市でしょうか?

朝方なのでかすんで見えますね。

ちなみに山頂は岩がゴロゴロと散りばめられ、歩くのも困難な状態になっているので、移動する時は十分に注意しましょう。

また、端っこもこのような崖になっており、迂闊に近づかない方がいいかもしれません。

乾徳山山頂~迂回下山道

さて、山頂の景色も堪能したので、下山に参りましょう。

山頂の奥に進むと登山道が再び続き、すぐに鎖の下りになります。

鎖を下ると暫くは岩場続きの道になります。

この辺りも迫力のある岩が多く、楽しみながら進む事ができます。

ちなみに、山頂から最初の分岐点の間に、夢窓国師座禅窟という夢窓国師が修行した岩窟へ向かう道があるそうですが、地図には記載されていないのでどこのあるのか分かりませんでした。

物凄く興味ありますが…

岩場を越えると再び木々の生い茂る登山道になります。

そして分岐点に到着しました。

ここの分岐点は黒金山、甲武信ヶ岳方面へ続く道と乾徳山登山口へ向かう分岐点となります。

地図によると、ここから先は迷いやすいポイントになるそうなので、慎重に下りましょう。

最初は急な下りになり、看板の通り所々ガレ場が目立つ登山道なので注意しながら進みましょう。

ちなみに前回ここを下った時はピンクのテープがほとんど無く、時折道迷いに陥りそうになったのですが、今回はご覧の通りテープがしっかりと付けられ比較的安心して下る事ができました。

恐らくここ数年で新たに取り付けられたのだと思います。

非常に有難いです。

暫く進んでいくと、再び綺麗な紅葉に出くわします。

秋ならではの光景ですね。

高原ヒュッテ手前になると、苔の多い登山道になります。

紅葉とはまた違い、これはこれで美しい光景です。

そして再び高原ヒュッテに到着しました。

この高原ヒュッテは避難小屋で、中は非常に綺麗な部屋になっていました。

分岐点に到着。

ここから行きと同じルートでもいいですが、せっかくなので道満尾根から徳和方面へ向かいましょう。

道満尾根~乾徳山登山者駐車場

分岐点から道満尾根方面に向かう最初は緩い登り坂。

道幅が広く、登りやすい坂道です。

坂の途中からご覧の通り、富士山の展望所があります。

天気がいいので富士山がはっきりと見えました。

展望所を過ぎると分岐点に差し掛かります。

この分岐点は少し複雑で、山頂か大平高原へ向かうコースと徳和に向かうコースに分かれています。

一瞬どちらか迷いますが、徳和と書かれた看板を頼りに下りましょう。

看板から先も下りが続き、傾斜もそこそこあるので下る時は足元に注意しながら進みましょう。

紅葉も綺麗ですが、秋は落ち葉が多く進みずらいです。

そして道満山に到着。

360度の絶景かと思いきや、360度見渡しても展望がありません…

しかも標識が杭みたいなものに取り付けられているので、記念撮影もしずらいですね。

その後も再び下りになり、途中には急下りの箇所もあります。

暫く進むと傾斜も緩くなり、杉林の登山道になります。

そろそろ登山口が近いのでしょうか?

もうすぐゴールだと信じ、杉林を下っていくと道路に到着しました。

ここが道満尾根入口になる登山口です。

道路を下っていくと、徳和の集落が見えますね!

しかも奥の山も色付き、見事な紅葉で彩られています。

後は看板に従いスタート地点である駐車場へ向かうだけです。

下山後のおすすめ食事処、ラーメン中村屋

鎖場の厳しい乾徳山を登り終えた後の食事は麓にあるラーメン中村屋に立ち寄ろう。

国道140号、徳和入口の信号にある中村屋は地元住民とバイカーに愛されたラーメン屋で、ここでは山梨名物である馬肉の入った、その名もバイクラーメンがおすすめです。

歯ごたえのある馬肉とラーメンのスープとの相性が抜群で、多くのバイカーたちに人気のあるラーメンです。また、このお店は特にチャーシューが美味しく、自家製のあぶりチャーシュー麺も大変好評のラーメンになっています。

私は定番のバイクラーメンの他、チャーハンも食べましたが、チャーハンに入っているチャーシューが特に美味しく、次訪れるときはぜひあぶりチャーシュー麺を食べてみたいと思いました。

みなさんもぜひ下山後の食事はこの中村屋のラーメンを食べてみて下さい。

 

最後に

乾徳山の山頂周辺はアルプス並みの岩場、鎖場が続き、これからアルプスの岩場や鎖場に挑戦したい方はステップアップの為に経験される事をおすすめします。

今回紹介したコースは日帰りですが、このまま甲武信ヶ岳方面へ日帰りに限らず縦走される事もできるので、様々なバリエーションを組むことも可能です。

また、秋には紅葉や麓の徳和渓谷や時間に余裕があれば西沢渓谷まで足を運ぶこともできるので、渓谷巡りと併せて計画するのもよいと思います。

秋の紅葉登山で迷ったら、素晴らしい渓谷の近くに聳える乾徳山を登ってみてはいかがでしょうか。