西上州の山は特に標高の高い山は無く、妙義山のような奇妙な峰が連なる奇峰の宝庫です。その為標高も低く歩行時間も少ない割に危険を有する箇所がいくつも存在し、難易度の高い低山が揃った山域である事が地図を見て分かると思います。
さて、今回登った「立岩」という名はもはや山ではなく、全体を眺めても岩そのものであり、まさに”立つ岩”の名に相応しい姿をした岩山です。
以前登った奥妙義の秘峰高岩と名前が似ていて、山容も似ているので間違いやすいと思いますが、難易度最上級の高岩に比べ難易度もそれほど高くないので、適度なスリルを味わえる山行になると思います。
それでは今回は南牧村を見守るように聳える岩峰立岩の登山道の様子や危険箇所、見どころをお伝えしたいと思います。
立岩のアクセス、駐車場
アクセス
車の場合は上信越自動車道下仁田ICを下車し、国道254号、県道45、93号を南牧村方面へ約40分で到着。
電車の場合は上越電鉄下仁田駅からタクシーが望ましい。
駐車場
登山口のすぐ隣に無料駐車場有り
トイレはありません。
立岩登山口~核心部
地図で確認すると、立岩は荒船山の後方部に位置し、荒船山と縦走が可能な山になっています。その為、登山口には荒船山と立岩の二つの山の登山口になっています。
立岩全体を眺めると恐ろしい登山道じゃないかと思いますが、全体的に一般的な登山コースになっています。核心部に至るまでに目立った危険箇所は無く、道迷いが起こるような道もありません。
所により道が細くなったり、落ち葉によって歩きづらい場面が見られる程度です。
おや?正面に何やら巨大な岩が出現しましたが、これらが立岩の岩の部分でしょうか?
いよいよ核心部が近づいてきたと感じます!
突如岩場に突入する感じが奥妙義の高岩に似ています。
鎖が続いていますが、特に握りながら進むほどの道ではないので、すんなり進めると思います。
立岩の核心部
さて、立岩の核心部である岩壁に到着です。
え!?これを登るの!って思いますが安心してください、ちゃんとした鎖場が待っています。
これがその鎖場。
まさに岩壁の側面を進んで行く鎖場ですね。
側面に沿って進むために右側はもちろん崖になっています。
幅が狭く登るたびに高度も増すので少し緊張を有する鎖ですが、足場はしっかりしているのでそこまで難易度は高くありません。
幅はこんな感じですね。
意外にけっこうヤバいかもって思います…
技術を有するような鎖じゃないので、ここは右の崖を見ないように一歩一歩ただ前を見ながら進んで行きましょう!
緊張する鎖が終わっても鎖は続きますが、ここまで来ればもう鎖を握らなくても普通に進めるので安心です。
これ以降山頂までは特に危険箇所はありません。山容からもっと凄い鎖がありそうなイメージですが、意外にもすんなり登れる岩山ですね。
核心部~西立岩
さて、核心部は超えたのでここからはのんびり登れるコースになります。
と言っても途中大きな岩壁や迫力のある登山道も登場しますが、基本的に危険地帯は無いです。
途中、山頂の西立岩を望むポイントがあります。
遠くから眺めると天に聳える見事な岩ですが、間近で見るとその迫力さが更に伝わると思います。
誰もが近づく事を恐れる岩石の巨人兵がそこにいました。
あんなに凄い岩壁を見たのなら、さぞかし凄いルートなんだろうと思いますが、結局は裏側を通る為に鎖や岩場は通りません。
ごく普通の登山道ですよ。
ここが山頂直前の鎖&ロープです。
登り終えるとこんな感じです。
視界の開けた登山道になりますが、左側は断崖になっているので注意しましょう。
振り返るとそこには南牧村の集落と、西上州の山々を眺められます。
下界から眺めると断崖に人が立っているように見えるのでしょうか?
思わず集落に向けてヤッホーっと叫んでみたくなるような光景です。
奥に見えるあのギザギザは両神山でしょうか?
何年か前に登りましたが、終始鎖場が絶えないまさに、鎖場が好きな人には持ってこいな山です。
難易度的にはそこまで高くないですが、これでもか!っと思うほど鎖場が登場します。
最後のロープからすぐに西立岩の標識に到着します。
どうやらここが最高峰のようです。
おや?標高が1266と書かれていますが、下に5と書かれていますね。
地図で確認すると、標高は1265でしたw
作り変えるのもメンドイので、下にこっそり書いたのでしょうか?
標識の奥の景色はこんな感じです。
見渡すと面白い形の山が多いですね。山からにょきっと岩が生えたり、奇妙な曲線が描かれた山容が目立ちます。
ちなみに奥に見える山は八ヶ岳でしょうか?かなり自信ありません…
更に体の向きを西に向けると奥ゆかしい山々のが現れます。
やはり所々岩が飛び出している様子が分かりますね。
西立岩から更に進むともう一つの展望所に到着します。
ここからは毛無岩や荒船山の経塚山、更に遠くには富岡市も眺めることが出来る。
立岩の展望は以上の3カ所あり、3カ所合わせて360度を眺められる展望になっています。3カ所の展望所は密接し、眺めたい景色があればその場所に移動することが可能なので、荷物はデポすることをおすすめします。
西立岩~威怒牟畿不動
さて、ここからは主に下りですが、途中再び鎖場が登場するので油断は禁物です。
とは言え、道もしっかりしていて迷うこともないので難なく進めるでしょう。
地図で鎖数蓮、ジャンダルムと書かれ、何だか物凄い鎖場が登場するのかヒヤヒヤしましたが、どうやらこれがその鎖場のようです。
一瞬、おーっ!!って思いましたが、鎖も足場もしっかりして、特に困難な鎖場ではありません。が、両サイドはスパッとなっているのでそこだけ注意しましょう。
鎖場って特にヤバそうな鎖じゃなくても、写真の撮り方で難易度高そうな鎖場に見えますよね~
この現象は何でしょうね~、いかにも俺こんなスゲーところ登ったぜ!をアピールしたいのか、物凄く怖い鎖場の写真を撮る人いますねw
私はそのような技術を持っていないのでこんな感じの鎖場しか撮れない…
おっかねー鎖場の撮り方はどうでもいいので先に進みましょう。
次の分岐点までは単調な道が続き途中視界が開けたり、軽い岩のコースが現れる程度です。この辺りも楽しめる程度の道ですね。
さて、ここが分岐点ですね。右は荒船山方面へ向かう道です。
今回はぐるりと周回する予定なので、威怒牟畿不動方面へ向かいましょう。
分岐点から威怒牟畿不動までは緩い下りです。
午後1時を過ぎ、太陽も西に傾いたので日差しがとても暖かく、気持ちのいい下り道となりました。この辺りは杉の木が多く生えていました。
暫くすると、奥には何やら巨大な岩壁が見えてきます。
あれが威怒牟畿不動でしょうか?
威怒牟畿不動~立岩登山口
杉並木から突然巨大な岩壁が現れました。
岩壁の下部には木造の小さなお社のようなものが岩壁に組み込まれています。
全体を見てみると、この岩壁の巨大さが分かると思います。
正面から行くことも出来なくはないですが、登山道から岩壁の下部に繋がるルートがあるので、近くに行きたい方はそのルートを通りましょう。
近くまで来ると、ちょうど岩の窪みに木造のお堂?が埋め込まれるように建てられています。これも投げ入れ堂の一つでしょうか?
調べによると、江戸中期から修験者や御嶽行者の行場として栄えたらしく、昭和初期まで参詣者がいたそうです。現在はこのように朽ち果てた姿をしていますが、当時は立派な投げ入れ堂であった事が想像できますね。
ちなみに、岩壁の正面にはご覧の通り水量は少ないですが滝が流れています。
とても微量なので轟音を立てるような滝ではありませんが、修行を行うには持ってこいな滝ではないかと思います。
それにしてもこの巨大な岩壁と水量は少ないが落差の大きい滝、異界へ繋がっているのではないかと思われるような岩穴がいかにも山岳信仰の祈りの場という雰囲気が漂い、思わず立ち止まって眺め続けてしまうほど威厳を感じる。
元々西上州は不動明王信仰が盛んな場所で、この威怒牟畿不動は荒船不動と黒滝山不動と共に西上州を代表とする不動信仰の一つとして数えられています。
名前は威怒牟畿不動とかいてイヌムキフドウと読みます。
名前からして物凄く強力な力強さを感じる不動明王ですね!
ちなみにこの威怒牟畿不動は現在麓の吉祥寺に祀られているそうです。
威怒牟畿不動から東屋を越えると再び荒船山との分岐点に到着します。 看板の荒船山に惑わされないようにしましょう。そちらに向かうとスタートの駐車場にはたどり着けません。
ここは少し分かりにくいので注意が必要ですね。
後はただひたすら真っすぐ進めば元の駐車場に到着します。
南牧村のおすすめスポット
西上州の南牧村は四方を山で囲まれた秘境感のある村です。
春には桜やカタクリ、ミツバツツジなど南牧村でしか見られない花が咲き誇り、秋には山々が色付きゆっくり紅葉を楽しむ事ができます。
毎年春から秋にかけて山登りを中心に周辺の観光を行い、見どころやおすすめな場所を訪れています。以下に過去の訪れた山や観光の記事を貼るので、参考にしていただければ幸いです。
・戦慄!群馬県南牧村の最奥で密かに眠る人面石に会ってきた! - 素晴らしき日本の景色たち
・【火とぼし】群馬県南牧村に伝わる伝統の”火とぼし”の魅力をお伝えします! - 素晴らしき日本の景色たち
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・真っ黒な麺!群馬県南牧村名物、千歳屋の炭ラーメンを食べてみた! - 素晴らしき日本の景色たち
最後に
南牧村の奇峰立岩、いかがでしょうか?
山頂から南牧村を見下ろすように聳え立つ岩はまさに、立つ岩ですね。
今回は登山口から山頂、威怒牟畿不動を経由する周回コースを案内しましたが、荒船山にも近いので時間に余裕のある方は荒船山に足を運ぶことをおすすめします。
山容から難易度の高い登山と思われがちですが、適度なスリル程度なのでそこまで岩場の技術は必要ないと思います。
南牧村は山以外にも楽しめるスポットが多数あるので、下山後も是非散策してみてはいかがでしょうか。