素晴らしき日本の景色たち

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五葉山登山|ツツジで有名な花の名山を赤坂峠から日帰り登山

岩手山の翌日は同じ岩手県内の五葉山を登りました。

前日の岩手山はダイナミックなジオスポットである焼走りコースから登り、火山の偉大さと畏れを体験し、また、天気も快晴だったので、大満足な登山ができました。

そして2日目もどこか山を登りたいと思い、同じ岩手県内で探したところ、以前訪れた遠野や住田町の近くにツツジの群生が見られる美しい山があるとの情報を入手し、翌日は花の名山である五葉山に決めました。

天気の心配もありましたが、運よく岩手県内まで晴天が続き、岩手山と同様素晴らしい天気の下での山行となりました。

残念ながらツツジは満開ではありませんでしたが、それでも山頂からは雄大な景色を堪能する事ができましたので、早速今回は花の百名山の1つである五葉山の定番、赤坂峠コースを紹介したいと思います。

三陸海岸沿い最高峰、五葉山とは

五葉山は遠野市から南東に位置し、釜石市、大船渡市、住田町にまたがる三陸海岸沿いでは最高峰1351mの山で、無雪期においては5月から6月のツツジ、7月以降はシャクナゲが咲き誇り、共に山一面を覆うほど美しい光景が見られる事から”花の百名山”に選れ、更に日本三百名山にも指定されています。

また、山頂からの景色も素晴らしく、東は三陸海岸の複雑な地形と太平洋を眺める事ができ、陸地には遠野の名峰、早池峰山を始め岩手山など東北の名山を眺める事もできる優れた展望です。

ちなみに山名の五葉山は、かつて山に阿弥陀如来、薬師如来、観音菩薩、虚空蔵菩薩、愛染明王の五仏を祀られていた事や、藩政時代においてヒノキなどの資材が豊富であった為、藩にとって重要な山から「御用山」と呼ばれ、いつしか五葉山になったと伝わっています。

登山道や山頂には神仏が祀られているので、五葉山もかつては信仰の山であった事も分かります。

五葉山(赤坂峠登山口)のアクセス、駐車場

アクセス

 

三陸道大船渡ICから国道107号、県道193号を走り、約30分で登山口に到着。

釜石道の場合は、滝観洞ICから県道167、180、193号経由、約45分で登山口に到着します。

駐車場

駐車場は登山口の目の前にあり、約50台ほど駐車可能な広々とした駐車場です。(無料)
平日はそこまで混んでいないものの、ツツジやシャクナゲの見頃の土日祝日は路駐車まで現れるので、注意が必要です。

駐車場の隣には24時間利用可能なトイレもあり、和式と様式、両方のタイプがあります。紙も付いているので安心です。

赤坂峠登山口~賽の河原

駐車場のすぐ目の前が登山口になっています。

登山口には鳥居が建てられていますね。

なるほど、これを見ると五葉山も山岳信仰のお山である事が分かりますね。

何だか蓼科山の登山口もこんな感じだったような気がします。

スタート直後は登りというよりほぼ平坦な道が続き、あまり登山道という感じがしません。

おや?所々にツツジが咲いていますね!

見所はまだまだ先ですが、やはりツツジがあちこちに咲き誇り、途中立ち止まって見てしまいます。

開始から賽の河原まではひたすらこのような道が続きます。

登るにつれ若干の角度は上がりますが、基本緩やかな坂道を永遠に登ります。

途中、突如展望の優れた場所に到着します。

鬱蒼とした茂みからいきなり展望が開けるので、ここは誰しも立ち止まってしまう箇所でしょう。

正面に見える湖は五葉湖かな?

しかし、この周辺にもツツジが咲いていて、ベストシーズンにはもっとたくさんのツツジ共に絶景を眺められるのでしょう。

気づいたらもう三合目まで登りました。

賽の河原までもう少しです。

そして、展望所から数分で賽の河原に到着しました。

賽の河原は小石が積み重なった箇所がいくつも見られ、登山においては賽の河原という場所はたまに見かけますね。

特に山岳信仰の山に多くあるみたいで、五葉山もかつては山岳信仰の盛んな山である事が分かります。

それにしても、この一帯だけ見事に岩や小石が多く、荒涼とした雰囲気が漂うのが不思議です。

その荒涼とした雰囲気を一変させるのがこのツツジで、実は賽の河原もツツジの見どころになっています。

周囲を見渡すと、あちこちにツツジが確認でき、やはり少し時期が早かったのか、完全なツツジ満開!とまではいきませんでした。

しかし、寂しいイメージの賽の河原がツツジによって明るいイメージになるのもなかなかいい感じですね。

賽の河原~畳石(四合目)

さて、賽の河原を越え先に進みましょう。

賽の河原から先も比較的緩やかな道が続き…

暫くすると、ツツジの見どころポイントに到着します。

一番の見頃には赤い山ツツジが登山道の両サイドに咲き誇るそうで、残念ながら少し時期が早かったのか、所々にツツジが咲いているだけでした。

しかし、それでも一部まとまって咲いている箇所が見られ、背後に聳える山と一緒に撮る事ができます。

見頃になれば、登山道の両サイドが真っ赤に染まり、赤いトンネルのようになるのでしょう。できれば見頃にまた訪れてみたいですね。

ツツジの見どころゾーンを過ぎても平坦な道は続きます。

果たして急登はやってくるのでしょうか…

と、そんな事を考えながら暫く進むと広いスペースに差し掛かります。

どうやらここが四合目のようで、ここに畳石があるみたいです。

畳石(四合目)~石楠花荘

四合目は広いスペースとなり、テーブルやベンチが置かれています。

四合目という事は、山頂までもう少し登るみたいなので、ここで少し休憩してもいいですね。

ちなみにこれが畳石のようです。

直方体の長い石で、人為的に削られたようにも見えますね…

このような石は実は採石場にも見られ、特に瀬戸内海の島々は採石場が多く、このような石が多数転がっています。

以前、北木島というところを訪れた時には、惜しくも靖国神社の鳥居になりそびれた石が安置され、その名は”残念石”という名で今でも残されていますが、この畳石を見たら残念石に少し似ていたので思い出しました。

まぁこの畳石は人為的に削られ、運ばれた石ではないと思いますが…

採石場以外にも北木島には多くの見どころがあるので、興味のある方はぜひ北木島に行ってみて下さい。

とてもいい島でした。

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さて、瀬戸内海の島の紹介になってしまいましたが、ここから急登に差し掛かります。

目の前には鳥居が立てられ、いよいよ本格的な登山が始まる予感がします。

案の定、鳥居を潜ると一気に登山道のような雰囲気になります。

登山道も急になりますが、先ほどまでの鬱蒼とした感じが無く、非常に心地よいです。

 

何の木だか分りませんが、とても気持ちのよい登山道ですね。

新緑の美しい木々に囲まれ、隙間からこぼれる日差しが何とも気持ちよく、5月なので暑くも寒くもない、ちょうどよい感覚で登る事ができました。

急登も混じった登り坂を登り進むと、あっという間に七合目に到着です。

ここから先も暫くは登りが続きそうです。

七合目を過ぎてすぐに小さなお社がありました。

何が祀られているのか分かりませんが、中を覗くとお札があり、最近のお札が置かれているので、現在も登拝が行われているそうです。

と、そのお社から少し登った所からこれまたいい景色が広がっています。

先ほど見えなかった海が見えますね!

ここに来てようやく太平洋を眺める事ができました。

よーく見ると、標高が上がってもツツジがちらほらと咲いていますね。

展望所から少し歩くと、再びお社があります。

ここは鳥居が立てられ、先ほどのお社より立派になっています。

そして背後には巨岩が積み重なっておりますが…どうやら磐座のようですね。

原始山岳信仰を思わせる雰囲気が漂い、中を覗くと、先ほどのような入峰のお札と金刀比羅神社と書かれたお札が入っています。

おまけに幣束も綺麗なものが奉られ、こちらのお社もきちんと管理されている様子でした。

ちなみに、お社の隣に古びた社もありました。

これは昔使われていたお社でしょうか?

かなり錆びついた様子で、痛々しい光景です。

さて、神社を通り過ぎると八合目!

山頂までのカウントダウンが始まりました。

四合目からの登山道と違い、ここからは比較的緩やかな登りになります。

登山口から三合目までの平坦さとまではいかないものの、登りやすい道が続きます。

こちらの木もブナでしょうか?

幹の色からそのように見えますが、形が妙な形をしていますね。

暫く進むと、何やら艶やかな葉の付いた木が多数見られます。

しかも、歩く度にこの葉が多数見られますが、これはどうやらシャクナゲのようです。

五葉山はツツジの他、シャクナゲの群生地としても有名で、シャクナゲはこの辺りで綺麗に見れそうです。

シャクナゲも登山道の両サイドに群生し、見頃になればこちらも綺麗に咲くのでしょう。

残念ながらシャクナゲはまだ咲いていませんが、この登山道一面を覆いつくす事は想像できます。

そして遂に石楠花荘に到着。

営業していそうな山小屋で、「石楠花荘」とでっかく縦書きに書かれていますが、こちらも立派な避難小屋です。

周囲を見渡すと広々としていて、所々テーブルが置かれています。

また、きちんとした水場も設けてあるので、水分補給にも最適です。

そして景色も良く、石楠花荘からは太平洋がよく見えます。

拡大すると三陸海岸の複雑な構造も確認できますよ~

石楠花荘~五葉山山頂

さて、石楠花荘から山頂ですぐなので、早速山頂へ向かいましょう。

相変わらずシャクナゲが多く、登山道の両サイドに群生しています。

シャクナゲロードを歩き続けると、ようやく展望が開け、青空が見えるようになります。

山頂までもう少しです。

そして、いい感じの鳥居が現れました。

ここは日枝神社とう場所で、立派な石垣が組まれています。

中を覗くと、石で造られた立派なお社がありました。

お社の周りには剣が奉納され、やはりこの神社も山岳信仰の影響を受けた神社だと思います。

日枝神社という名前になっていますが、冒頭でも説明した通り、かつては五仏を祀る山として開けていたので、日枝神社という名前も恐らく明治時代以降に付けられたのではないかと思います。

日枝神社から山頂方面とは反対側に聳えるあちらの山も気になりますね。

あの山は黒岩山という名前で、あちらにも登山口があり、五葉山まで登る事ができるそうです。

しかし、景色の良さそうな稜線が続いていますが、歩いたら気持ちよさそうです。

さて、私は五葉山山頂へ向かうのでこちらのコースを歩きましょう。

日枝神社からほんの数分で山頂に到着しますが、ご覧の通り視界が広く山頂部は広大で平坦な場所になっています。

山頂部は公園になっていて厳重にロープが張られています。

その両サイドにはマツがたくさん自生しています。

振り返るとこんな感じ。

先ほど眺めた黒岩山と五葉山山頂までの道のりがよく見え、周囲もすでに絶景が広がっています。

天気がいいと最高ですが、ガスっていたら真っ白ワールドですな…

広大な山頂部、五葉山山頂からの景色

そして遂に五葉山山頂に到着しました。

ここからは雄大な景色を堪能できます。

北を向けば遠野方面の山々がよく見渡せますが、残念な事にちょうど早池峰山がガスで覆われ、しっかりと早池峰山を確認する事ができません。

しかしまぁその他の山がよく見えるので、これはこれでよい景色です。

反対側は三陸海岸が見えます。

先ほど石楠花荘からも見えましたが、やはり山頂から眺める三陸海岸は絶景ですね。

朝方なので、少し眩しいですが、くっきりと三陸の複雑な地形がよく分かると思います。

その奥には雄大な太平洋!

そして更に南の方に目を向けると、あれは…大船渡港でしょうか?

拡大すると船が見えるので漁港だと思います。

ちなみに山頂部はこんな感じで、登山道の途中に標識が立てられた珍しい山頂です。

標識周辺はスペースがあるので、のんびり景色を眺めながらぼーっとする事もできます。

山頂から先も道が続いているので先に進みましょう。

しかし、ここから先は緩い登りなので、恐らく山頂より高い所へ向かっているはずです。

暫く歩いて振り返ると今まで歩いてきた道がよく見えます。

遠い山や海を眺めるのもいいですが、この平坦で広大な山頂部の光景もなかなかですね。

その後は再び茂みのコースになり先に進むと楢ノ木コースに差し掛かるので、途中で引き返しましたが、途中、何やら巨大な岩柱があったので寄ってみました。

まるで、天を穿つように伸びるこの岩は、日の出岩という名前で、いかにも磐座のような神々しい姿をしています。

手前には祠のようなものもあるので、かつてはここで祭儀が行われていたのでしょうか?

その日の出岩は横から登る事ができ、なかなかスリルを味わえる岩場になっています。

なんというか、アルプスの岩場を登っているような感じで、2000m級の山を登っているみたいです!

そして、再び五葉山山頂方面へ歩き、来た道を下り、登山口へ向かいました。

五葉山周辺のおすすめスポット

洞窟内最大級の滝!滝観洞

五葉山の近くでおすすめのスポットと言えば、住田町にある滝観洞をおすすめします。

滝観察洞はその名の通り洞窟の中にある滝で、洞窟内にある滝としては日本最大級の滝として知られています。

岩手県は龍泉洞を始め、多くの鍾乳洞があり、メジャーなものからマイナーな洞窟まで多数存在しています。

その中でも滝観洞は知る人ぞ知る鍾乳洞で、洞窟内はきちんと整備されていますが、所々こんな場所を通るの!?というようなあっと驚く場面もあり、ありのままの洞窟の姿を体験する事ができます。

そして何より、終着点にある滝は高さ約30mの巨大な滝は、漆黒の闇の中から豪快に流れ落ち、水しぶきも肌に触れるほど圧巻で、更に普通の滝と違い洞窟内の巨大な滝は、感動というよりも恐怖の方が大きいです。

また、滝の奥には巨大な地底湖もあり、未だに全貌が明らかになっていない未知の洞窟として、現在も調査が進められているそうです。

滝観洞ICのすぐ目の前なので、車で訪れる方はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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遠野物語の舞台、遠野市

そして、もう一つのおすすめは、遠野物語の舞台となる遠野市です。

少し距離はありますが、遠野は日本の原風景を味わえる場所で、初めて訪れても不思議と懐かしさを感じてしまい、心和む景観を楽しむことができます。

河童やオシラ様、座敷童など、日本を代表する妖怪や化け物の発祥としても知られ、各観光名所を訪れると、遠野物語をもとに今でも親しまれている事がよく分かります。

日本の神観念、信仰心についてのヒントになる旅ができると思うので、登山後に余裕があれば訪れてみたい場所です。

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最後に

いかがでしょうか?

普段見かけるツツジの花も群生として山で眺めると、また違った形でツツジの美しさが伝わると思います。

五葉山は所々に祠や神社が鎮座し、信仰の山として開かれた事を感じる事もできます。また、山頂部は広大で近くには早池峰山の他、東北の名山が眺められ、更に三陸海岸や太平洋も眺められる素晴らしい山です。

五葉山の近くには洞窟内最大級の滝が見られる滝観洞や更に足を伸ばせば、遠野市を観光する事も可能なので、ぜひ1度登られてみてはいかがでしょうか。