昨年の10月は何度も行きそびれていた妙高山を登りました。
一昨年の秋に妙高山のすぐ近くにある戸隠山を登った時、妙高山の荒々しい山容が目に入り、いつかあの山にも登ってみたいと思い計画を立てていましたが、何故かこの山に登ろうとすると天気が崩れ延期が続き、結局昨年の秋にずれ込んでしまい、ようやく10月に登る事が出来ました。
今回の妙高山登山も日帰りで、帰りは野尻湖周辺をぶらつき、絶景を写真に収めてきましたので、登山口から山頂までの道のりと山頂からの絶景及び周辺のおすすめスポット等を紹介したいと思います。
- 妙高山の詳細
- 妙高山のアクセス、駐車場
- 妙高山の登山コース
- 燕温泉~北地獄谷麻平分岐点(湯道分岐)
- 北地獄谷麻平分岐点(湯道分岐)~鎖場
- 妙高山の鎖場
- 鎖場~妙高山山頂
- もう1つの山頂、妙高山北峰への道のり及び絶景
- 帰りは温泉分岐点より主コースを下る
- おすすめ日帰り温泉
- 下山後のおすすめスポット
- 最後に
妙高山の詳細
妙高山は標高2454mで、独立峰に見えますが四つの成層火山が積み重なった山に分類され、眺める角度によっては美しい姿となっている為に「越後富士」とも呼ばれ、新潟県を代表とする日本百名山の一つに選ばれています。
また妙高山は東南東から眺めると鷲が翼を広げたような形をしているように見え(上の写真)、チベット高原に位置する仏教の聖山であるカイラス山の山容に似ている事から仏教的な意味を込められて妙高山と名付けられた説もあるそうです。
現在の妙高山は山体崩壊により中央火口である溶岩ドームとその周りの外輪山から成り立ち、登山では中央火口のてっぺんが山頂となっています。
山体崩壊は噴火により山が崩れてしまう自然現象の事を言い、妙高山以外にも福島県の磐梯山などが挙げられます。
ちなみに、妙高山は山体崩壊以前の標高は3000m近くあったと推測されているそうで、余談ではありますが、富士山も次の噴火の際は山体崩壊が考えられ、もしかすると未来の富士山は違った形になるのではないかとさえ言われています。(大沢崩れが引き金になるかも)
妙高山のアクセス、駐車場
アクセス
上信越道妙高高原ICより県道187、396、39号を経て、関温泉側から燕温泉へ
※現在赤倉温泉から関見トンネルへ向かう道路は落石の危険のために通行止めとなっています。遠回りですが、当分の間、関温泉側からのルートのみ通行可能です。
駐車場
燕温泉前には無料駐車場が完備され、20~30台くらい停められます。
トイレも完備されているので安心です。
妙高山の登山コース
燕温泉から登るのが一般的で、コースは主コースとサブコースに分かれ、途中の温泉分岐点で合流し、天狗堂と鎖場を通り山頂へ到着します。
外側の麻平・長助線も主コースとなっていますが、今回は行きはサブコースから山頂に向かい、帰りは温泉分岐点から主コースの妙高縦走線経由で下山しました。
燕温泉~北地獄谷麻平分岐点(湯道分岐)
スタート地点の燕温泉です。
登山口の案内まで様々な温泉宿が点在しています。
温泉街には足湯コーナーもありました。
帰りにでも入ろうかなと思いましたが、登山靴なので脱いだり履いたりするのがめんどうだったので入りませんでした…
途中このようなおしゃれな旅館もありました。
温泉宿を抜けると登山届のポストがあるので、計画書を記入しポストに投函しましょう。
登山届からすぐに分岐点に到着します。
登山届から正面は主コース(左写真)で、左の坂を登る方はサブコース(右写真)になっています。
しかし、初めて来た方には正面が主コースである事が分からないんじゃないかと思います。
主コースの看板がご覧の通り、神奈山、大田切渓谷のみ書かれ、サブコースの入口である看板には妙高山と書かれているので、初めての方はこちらの方に進んでしまうのではないかと思います…
私もこの分岐点で迷い、妙高山の看板方面に進みそのままサブコースで登る事になりました。(途中まで自分がサブコースを歩いている事に気付かなかった)
なので、登山届の分岐点には注意して下さい。
暫く歩くと黄金の湯という野天風呂があるそうです。
露天風呂ではなく、「野」天風呂というのが気になりますね。
「野」天風呂を越えると滝を眺められるスポットに到着します。
惣滝という名の滝は落差80mを誇る大瀑布で、日本の滝百選に選ばれています。
思わず立ち止まって眺めてしまうほど立派な滝でした。
サブコースは暫くこのようなコンクリートの道が続きます。
途中に妙高山と書かれた看板もあったのでこちらで間違いないと思いますが…
いつもと違う登山道なので少々不安でした。
登るにつれコンクリートの幅も狭くなり、右側が崖になっている道に差し掛かります。
暫くはこのような道が続きますが、いつもの登山道よりは断然歩きやすいのが救いですね。
途中こんな所がありました。
硫黄臭たっぷりの煙が噴き出しているのが分かると思います。
個人的に硫黄の臭いが好きなので、何度も嗅いでしまいました。
途中に見える滝もこんな感じで、硫黄を含んでいるせいかこのような色の滝や川が流れています。
その後はようやく登山道らしい道が続きます。
道は狭く所により急斜や歩きにくい道もありますが、特に危険を有する場面はありませんでした。
さて、湯道分岐点にやってきました。
ここが主コースとサブコースの合流地点となり、ここからは山頂に向けて一本道になります。
合流地点から主コースの方を眺める
主コースは川を渡った先にありますが、入口が狭く少し分かりにくいです。
地図では北地獄谷麻平分岐点と書かれていますが、実際の看板は湯道分岐点という名になっていて、ここも混乱を招く地点となるので注意が必要です。(なんで違うんだろう?)
北地獄谷麻平分岐点(湯道分岐)~鎖場
分岐点より自分がサブコースを歩いていた事にようやく気付き、ここからは気を引き締めて登ろうと心に誓い、再出発です。
分岐点からすぐの所に胸突き八丁というポイントがあるそうですが、
どうやらここが胸突き八丁という場所です。
見上げると大きな岩壁となっていて、修験者の行場のような雰囲気を醸し出していました。
実際、妙高山も山岳修験のお山ですからね。
ここからは岩の多い急登が始まります。
雨上がりは滑りやすいので注意しながら登りましょう。
暫くすると、広いスペースに差し掛かります。
どうやら天狗堂に到着したようです。
天狗堂となっていますが、実際はご覧の通り祠のようなものが一基あるだけです。
元々妙高山には天狗が住まう山として知られ、山頂には阿弥陀堂があったらしく、その阿弥陀堂を守る天狗として住まわれていたそうです。
恐らく明治以前はこの辺りに大きな天狗堂が建てられていたのではないかと推測できますね。
天狗堂を進み暫くすると、目の前に山頂部が見えてきます。
あれがいわゆる、中央火口ですね。
これからあの溶岩ドームに登るという事です。
横には光善寺池という池がありますが、池というより沼に見えます。
また、標高も2000mくらいになるとご覧のように紅葉が目立ちます。
10月の上旬なので、下界はまだまだ紅葉は見られませんが、山はすでに紅葉が始まっています。
溶岩ドームへ向け登りが始まります。
所々急な箇所がありますが、特に危険ではないのでサクッと登れます。
おや?
何やら人が岩に登っている光景に出くわしましたが、あれが鎖場でしょうか?
鎖場って遠くから見ると凄くスリルに感じますね。
妙高山の鎖場
さてさて、楽しみにしていた鎖場にやってきました!
妙高山の鎖場は3つに分かれていて、最初に目の前の鎖場、その次にトラバース、最後にもう1つの鎖という感じになっています。
さて最初の鎖場は、登り始めは緊張しますが、ご覧の通り窪みがあるのでそこに足を掛ければほとんど問題なく登れます。
角度も思ったほど垂直ではないので安心です。
ただ、一本道なので譲り合いながら登りましょう。
次はトラバース
ここも一見怖そうに見えますが、足場はしっかりとしているのですんなり進めますね。
最後にこちら
先ほど人が登っていたのはこの鎖場ですね。
これも楽しめる範囲の鎖場で特に危険ではありませんでした。
鎖場~妙高山山頂
鎖場を越えるといよいよ中央火口に差し掛かり、森林限界突破です!
そして視界も広がりすでに絶景が味わえますが、山頂まで我慢しましょう!
ここからは主に岩登りです。
と言っても矢印や印が書かれているので特に迷うことなく楽しみながら登れます。
山頂近くになるとご覧の通り巨大な溶岩が現れます。
巨岩を目の前にしながら、まるで冒険をしているかのような登山道です。
巨岩を登りきると遂に山頂に到着です。
妙高山の山頂は2つに分かれていて、1つはこちらのエリア
こちらの山頂は人が少ないので景色をゆっくり楽しむにはベストですが、
ご覧の通り大きな溶岩が転がっているので足場が悪く歩きにくい部分もありますので、渡る時は慎重に行きましょう。
さて、ここで山頂からの景色をお伝えしましょう。
南の方角にはなんと!富士山が見えます!
妙高山からではかなり小さく見えますが、一目で富士山である事が分かりますね。
富士山の隣には八ヶ岳もはっきり眺められます。
拡大するとこんな感じ
雲海の浮かぶ富士山と八ヶ岳が見事です!(左が富士山、右が八ヶ岳)
八ヶ岳の右端の綺麗な山は恐らく蓼科山だと思います(たぶん)
南西方面は木曽の名峰御嶽と乗鞍のツーショットが眺められます。
その右には北アルプスの山々が一直線に勢ぞろい!
まさにオールスターです!
昨年登った戸隠山と同じく、妙高山山頂からもアルプスマニアにはたまらない光景が広がっています。
ちょっとズームアウト
手前は戸隠連峰が見えます。
主峰はこちらからは見えずですが、存在感はありますね。
もう1つの山頂、妙高山北峰への道のり及び絶景
絶景を堪能したので早速もう一つのピークである北峰へ行きましょう。
特に急な登り下りはなく、ハイキングレベルの道が続いていますが、噴火による溶岩がゴロゴロ転がっているので、気分は冒険者です!
暫くするとビックリするくらい巨大な岩が出現します。
ロッククライマーが登りそうなこの巨岩は日本岩と名付けられているそうです。
先ほどの山頂から7、8分で妙高山北峰に到着します。
標高はこちらの方が低く、2446mです。(先ほどの山頂は2454m)
こちらの方が広く、多くの方が寛いでいました。
さて、肝心の景色ですが、標識より少し高い岩場を登る所がポイントとなります。
こちらの山頂は先ほどには見られなかった日本海を眺められます。
上越市とどこまでも広がる日本海に暫し見とれてしまいます。
運が良ければ佐渡島も見えるそうですが、この日は残念ながら見えませんでした。
すぐ目の前には百名山の火打山と丸い焼山が見えます。
あちら側の山も妙高山から縦走可能なので、機会があれば縦走してみたいですね。
ちなみに手前は外輪山の淵の部分です。
山体崩壊によりこのような姿になってしまったんですね。
地図上だとルートが書かれていませんが、なんか登れそうな感じになっています。
こちらからも北アルプスの山々の展望を楽しむ事ができます。
夢中になって写真を撮っている方もたくさんいました。
やはり、北アルプスは人気ですね。
帰りは温泉分岐点より主コースを下る
帰りは温泉分岐点より主コースを通ってみようと思い、川を渡り主コースを歩きました。
しかし、この主コースはとんでもなく道が細くかなり荒れていました。
荒れているのは分岐点近くの道ですが、全体的に本当にこれが主コース?って感じのルートでした。
不審に思いながらも足を進め、ゴール近くの河原の湯付近にやってきました。
この橋を渡ると主コースとサブコースの分岐点に到着します。
そしてここに到着します。
つまり、こちらが主コースという事でした。
どちらかと言うと、サブコースの方が歩きやすいです!
おすすめ日帰り温泉
妙高山の麓は多数のスキー場が運営され、温泉も多数あります。
そんな中、今回は駐車場からすぐ近くの関温泉街にある日帰り入浴可能な登美屋旅館の温泉に立ち寄りました。
中はこんな感じ
シャンプーやボディーソープが完備され、ガラス張りの温泉になっています。
また、この温泉からの眺めは良く、晴れていればご覧の通り絶景を堪能しながら湯に浸かる事ができます。
日帰り温泉は10:00~19:00
料金は一人500円
アクセス等は公式サイトをご覧下さい。
下山後のおすすめスポット
ナウマンゾウ博物館
妙高山は新潟県の山ですが、長野県の観光スポットである野尻湖がすぐ目の前にあります。
野尻湖といえばナウマンゾウが有名で、近くにはナウマンゾウ博物館があり、野尻湖周辺の自然環境について学ぶ事が出来ます。
【公式サイト】
また、博物館から徒歩3分くらいのところにナウマンゾウ化石発掘地もあるので立ち寄ってみて下さい。
野尻湖一周
野尻湖は歩く事も車でドライブする事もでき、途中には絶景スポットもあります。
ここサンセットポイントという場所からは野尻湖と沈む夕日によりシルエットのように聳える黒姫山を眺められます。
他にも多数絶景ポイントがあるので、野尻湖一周する事をおすすめします。
最後に
妙高山は山体崩壊を代表する山で、中心の溶岩ドームと外輪山がはっきりとした姿を確認できる、まさにジオパークのような山であり、登山と同時に妙高山が歩んできた歴史をその場で感じる事のできる山になっています。
山頂からは360度の大パノラマが楽しめ、北アルプスなどの名峰から日本海まで一望できる景色を味わえます。
今回は定番の燕温泉から主コースとサブコースの2種類のコースで歩きましたが、個人的には主コースよりもサブコースの方が登りやすく、サブコースのみでピストンした方がおすすめです。
妙高山の周辺は観光スポットが多く、戸隠山や飯縄山など歴史のある山も近いので、時間に余裕があれば合わせて訪れる事も可能になります。
ぜひ、越後富士の名を持つ秀麗な妙高山を登ってみてはいかがでしょうか。