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三ツ岩岳登山|花咲かじいさんは実在した!西上州No.1のアカヤシオが見られる三ツ岩岳を登ってみた!

今年も南牧村に春がやって来ました!

春と言えば桜ですが、南牧村の春の花は桜の他、アカヤシオや三ツ葉ツツジが有名です。アカヤシオは東北南部から紀伊半島まで分布し、西上州では”ひとつばな”とも呼ばれています。

アカヤシオはツツジ科の落葉低木で、春になると丸みを帯びた一輪の花を咲かせ、西上州では特に岩山の岩肌に群生が見られ、毎年春になるとアカヤシオの群生を目指す登山者で賑わいを見せます。

さて、そんな可愛らしいアカヤシオの群生が見られる西上州の山の中で、最も多くのアカヤシオが見られる山は南牧村の大仁田地区に聳える三ツ岩岳です。

大仁田地区の山奥に聳える三ツ岩岳は標高1000mと決して高い山ではありませんが、山容は西上州らしい岩山を成し、まさに奇峰に相応しい山です。

今回は西上州の春山で最も美しいアカヤシオの群生が見られる三ツ岩岳に登りました。山頂付近に咲き誇るアカヤシオは、まるで花咲かじいさんが咲かせたような夢の世界が広がり、訪れる人を幸せにしてくれる光景です。

残念ながら昨年は満開のタイミングが合わず苦い思いをしましたが、今年はベストタイミングで登る事ができたので、今回は西上州屈指の素晴らしいアカヤシオの群生を楽しめる三ツ岩岳の全貌と登山コースを紹介したいと思います。

三ツ岩岳登山コース

登山口から竜王大権現を経由し山頂登頂後、鞍部を通り登山口へ戻るコースです。

歩行時間は約2時間半、首なし地蔵へ行かれる方は山頂から片道5分程度で到着します。

三ツ岩岳登山口~三ツ岩岳山頂

登山口は大仁田ダムの真下に位置し、ご覧の通り登山口からは立派なダムが間近に見られます。

さて、ここからいよいよ山頂付近のアカヤシオの群生を見に行きたいと思います。

それにしても平日にもかかわらず駐車場は満車、道路沿いにも多数の車が駐車され、まるで百名山を登りに来ているような感覚です!

それほど三ツ岩岳はアカヤシオの満開時には大変混雑する事が分かります。

登山口から早々いきなり急な登りが待っていました。

そして見上げると巨大な岩が聳えています!

よく見ると岩肌にピンク色の花が咲いていますね。

あれはアカヤシオか気になるところですが、山頂付近には大量のアカヤシオが見れるので期待が膨らみます。

スタートからほんの数分で分岐点に到着。

三ツ岩岳は周回コースも可能な山で、もちろんピストンでもいいですが、実際距離も短いので周回する事をおすすめします。

反時計回りで周回した方がよいと思いますので、ここはまず竜王大権現方面へ進みましょう。

分岐点を過ぎるといきなり急登りが待ち構えています。

この竜王大権現コースは山の斜面を無理やり登山コースにしたような感じになっていて、登りやすいですが意外にキツイです。

途中、平坦な場所もありますが、すぐに急登地獄が待っています。

地図を見ても短い割に時間を有する厄介な道です。

しかもジグザグの変わり映えの無い道なので、途中飽きます…

不平不満に感じる急登を登りきると、突然巨大な岩壁が出現します!

どうやらここが竜王大権現のようです。

突如現れた巨岩はカメラを縦にしても収まらない程大きく、まるで巨人がそこに仁王立ちしているかのような、壮大で存在感があります。

巨岩の前には祭場のようなものが構えられ、中には石と木で作られた祠が設置されていました。

人工的に積まれた石と木で作られた塀が今でも残され、かつてはここで神事や祈願が行われていた感じが犇々と伝わってきます。

竜王大権現なので、恐らく雨乞いの祈りを集落の山伏や修験者たちがこの場所に集い、祈りを捧げていたと思われます。

周囲を確かめましたが、石仏等は見当たりません…

撤去されたのか?或いは元々安置していなかったのかは分かりません…

しかし、祭場は朽ちているものの、物凄い力を肌で感じます。やはり自然の力は何年経っても衰える事を知らないですね!

さて、竜王大権現の霊気を感じたら再び山頂へ向けて歩きましょう。

ここからは特に急登も無く、暫く進むと尾根歩きに突入します。

竜王大権現の近くにはまだ巨岩が転がっていますが、先ほどの巨岩を見てしまうと小さく感じてしまいますね。

そしてこの辺りから尾根歩きに差し掛かかり、徐々にアカヤシオの姿が見られ、更にミツバツツジも現れます。

おや?これは珍しく、黄色いツツジでしょうか?

黄色いツツジは他に見当たらなかったので、これはラッキー?

尾根にはご覧の通りアカヤシオのトンネル状態になっています。

いつもなら4月の下旬頃が見頃ですが、今年は妙に早く中旬でも少し花が散っている状態です。

しかし、昨年訪れた時より断然咲き具合は見事で夢のような光景です。

そして三ツ岩岳の全貌を眺められるポイントに到着しました。

そう、ここが三ツ岩岳の最大の見どころと言っても過言ではない、岩山を覆いつくすアカヤシオの群生の光景です!

いかがでしょか?

こんもりとしたイカツイ岩肌の山に散りばめられたアカヤシオはまるで花咲かじいさんが枯れ木に花を咲かせ、みんなを幸せにしよう!という願いが込められているように感じるのは気のせいでしょうか?

実は花咲かじいさんの内容がイマイチ分からず慌てて読んでみましたが、正直者は救われるというのがよく分かる物語ですね。

花咲かじいさんにいつも意地悪をするじいさんは花を咲かせたのは私だ!と大嘘をついたあげく、牢屋に閉じ込められてしまうオチがなんとも滑稽で、常に正直な自分である事が何より大切である事を分からせてくれます。

まぁ山というのは噓偽りのない真実の世界で、それと同時に残酷な世界でもありますからねぇ~

例えば悪天候に転じたら無理をせず引き返したり、少しくらい長距離を歩いても問題ないと過信したりせず、余裕を持って行動しないと取り返しのつかない事に陥る世界なので、正直な心で山と向き合う必要があります。

とまぁ余談になってしまいましたが、改めてアカヤシオの群生を眺めると何だか幸せな気分になりますね。多くの登山者もこの光景に見とれて、みなさん何度も写真を撮られていました。

三ツ岩岳を登るなら、この光景は絶対に目の当たりにしたいですね。

ちばみに側面もご覧の通りピンクのアカヤシオがびっしりと咲き誇っています。

ゴツイ岩肌を優しく纏うように咲き誇るアカヤシオとのギャップがたまりません!

さて、岩山全体を覆うアカヤシオの群生の中に突入しましょう。

先ほどの撮影ポイントから再び尾根を歩きますが、所々細い道になっている箇所があるので花に見とれず、注意しながら歩きましょう。

歩きながら見渡す限りアカヤシオが咲き誇っています。

本当に花咲かじいさんがここを訪れて花を咲かせたのではないか?と思うほど辺り一面ピンク色に染まっています。

暫く歩くと再び見どころポイントに到着

山頂までのラストもご覧の通りアカヤシオでいっぱいです!

アカヤシオの群生の中を歩く登山者が見えますね。

注意しながら歩かなければなりませんが、こんな光景の中を歩くとなるとなかなか集中できません…

幸せとしか言いようのない登山道です!

アカヤシオの群生を歩き、振り返ると相変わらずピンク一色に染まっています。

何度も振り返ってしまうので、なかなか先に進めません。

岩場を越えると平坦な道に出ます。ここを真っすぐ歩けば山頂です。

左右にはアカヤシオ!

そして遂に山頂に到着です。

山頂付近はアカヤシオが咲き誇り奥には360度とはいきませんが、西上州の山々を眺める事ができます。

妙義山方面は奥妙義の高岩も辛うじて眺められ、裏妙義のギザギザがよく見えます。

その隣にはアーモンド形の鹿岳、黒滝山も確認できます。

何の変哲もない山並みだと思いますが、よく見ると奇妙な形の山が所々見られ、まさに西上州ならではの個性的な山容です。

何年も訪れていますが、西上州の山々の光景は何度見ても飽きないですね。

正面には危険な大岩と立岩、荒船山方面の山々と奥には長野の山々が聳えています。

ミステリー石仏、首なし地蔵

さて、展望を楽しみましたが、実はこの先に首なし地蔵という奇妙な石仏があります。

写真で見ると小さいですが人が写っていますね!?

そう!あちらまで行きます。

地図ではルートは書かれていませんが、ここから先にある石仏まで行くことが可能です。

ネットでこの存在を知ったのですが、1回目に行ったときはどのように行くのか分からず断念し、今回はそのルートをようやく知る事ができたので、首なし地蔵まで行く事にしました。

写真で見ると物凄い断崖の上にぽつんと石仏が安置されているのが分かりますね。

三ツ岩岳と書かれた標識の先は崖になっており、ここを下ると首なし地蔵が安置されている岩峰に出るのでそこを登れば到着出来ます。

しかし、入口はよく分からず、初めてだとここを下るという発想が無いと思いますね。

地図にルートが書かれていないので、ほとんど道なき道を行く感じで、物凄い急な崖になっていますが、恐らく何度も通られているそうなので、迷わず進む事ができます。

おや?先に到着した人がいますね!

どんな絶景が待っているのでしょうか?

崖を下りるとすぐに岩壁に到着します。

そしてこの岩と岩の間であるチムニーを登り、最後にトラロープを登ると到着します。

つまり、ロープは2箇所です。

最初はこのロープ。

掴むところはあるので、慌てず3点支持で登りましょう。

しかし、下りは少し怖かったです…

登り終えるとすぐに最後のトラロープがあります。

右は完全に切れており、落ちたらヤバい系なので慎重に。

そして遂に念願の首なし地蔵が安置された岩峰に到着です!

先ほどの山頂とほとんど変わらない景色ですが、こちらの方が断然視界が広く、雄大な景色を堪能できますね!

遮るものが無いので余裕で周囲の景色を楽しめます。

また、ここまで来る人が殆んどいないので写真も撮り放題!

首なし地蔵の岩峰から先ほどの山頂を眺めると、意外に怖い所にいた事が分かります。

そして裏側もアカヤシオが綺麗に咲いていますね。

しかし、ここに立つと先ほどの山頂から見えるので意外に目立ち、あんな所に人がいる!って思われます…が、やはり優越感に浸っていい気分です♪

実は首なし地蔵が安置されている所に近づきましたが、足元が不安定だったので間近に撮影できませんでした…

しかし、誰が何のためにこの場所に石仏を安置したのでしょうか?

石仏は妙義山方面に向けられているので、そちらの関係の修験者が安置したのか?分かりません。

しかも首が無いのも奇妙な事で、これは神仏分離令によってやられたのか、それとも自然にこのようになったのかも気になるところ。

まぁいずれにせよ命がけでこの場所に石仏を安置し、祈りを捧げていた事には変わりありません。

ここから先も行けなくはありませんが、さすがに行こうとは思いません…

昔の行者はこの岩峰を渡り歩いたのでしょうか?

先っちょに行きましたが、やはり怖い!

奥へ続く岩峰も怖いですが、スパッと切れている箇所もなかなか怖いです。

集落の拡大も楽しい!

下界にいる人は、まさか覗かれているなんて思わないでしょうね~

再び三ツ岩山頂に戻り、首なし地蔵まで行ける事を教えると、そちらへ向かう人がいました。

意外にも首なし地蔵まで行けるという情報はあまり知られていないようです。

首なし地蔵に興味を持ったおじさんも無事に登頂したようです!

そしてカメラに気づき手を振ってくれたので、私も👍で返事をしました!

それにしても凄い光景ですね。

三ツ岩岳山頂~三ツ岩岳登山口

さて、アカヤシオと絶景、首なし地蔵を満喫したので、後半戦に参りましょう。

山頂から来た道を戻る途中に分岐点がありますが、ここ意外に見落としやすいので注意しましょう。

しかも入口も少し分かりずらく、少し心配になります。

しかし、暫く進むと道も広くなり、まともな道に変化しますのでご安心を。

こちら側のルートはアカヤシオの他ミツバツツジも綺麗に咲いており、アカヤシオと共に登山道を彩っています。

ミツバツツジは紫色の花びらで、普段見るツツジよりも少し小さめです。

こちら側のルートはミツバツツジが多く、途中何度もミツバツツジに遭遇します。

途中、急な岩場とロープ場があるので注意しましょう。

ロープ場を過ぎると歩きやすい登山道に差し掛かります。

木々の間からの木漏れ日が何とも気持ちいいです。

下りだけだと思ったらいきなり急登も登場します。

が、一瞬だけなのでそこまで問題ありません。

急登を越えるとミツバツツジ群に遭遇します。

この辺りはアカヤシオよりミツバツツジが多いですね。

そして再び急登を登り、振り返ると先ほどの山頂と首なし地蔵の岩峰が見えました。

真ん中の岩峰は首なし地蔵、右には人が写っていますね!

岩の周りには相変わらずアカヤシオが咲いています。

急登りを終え再びミツバツツジの登山道を進んで行くと分岐点に到着します。

ここから先はルートが無いみたいなので、進まないようにしましょう。

分岐点から先はひたすら下りになります。

よく見ると徐々に新緑の季節が近づいている事が分かりますね。

途中、ミツバツツジも見られます。

そして登山道の看板に到着しますが、ここを見逃すととんでもない所に行ってしまうので注意。

前回この案内に気づかずに真っすぐ行ってしまい危うく道迷いになるところでした…

なので今回はしっかり確認してゴールの登山口を目指しましょう。

ラストは雑木林の中をひたすら下り、暫くすると竜王大権現との分岐点に到着します。

この辺りは沢になっていて、僅かですが川が流れています。

しかし、ほとんど水が流れていないので、増水する事は無いと思います。

そして再び竜王大権現との分岐点に到着。

後はスタート地点までは同じ道なのでそこを下ればゴールです。

三ツ岩岳のアクセス、駐車場

アクセス

 

上信越自動車道下仁田ICより国道254号を南牧村方面へ走り、南牧村役場を大仁田方面へ進み、大仁田ダム手前に駐車場があります。

駐車場

駐車場は登山口に2箇所あり、1つは登山口の真横に2~3台のスペース、もう1つは登山口の斜め前に10台程度停めれれる無料駐車場があります。

特にアカヤシオ満開時には混雑が見込まれ、道路沿いにズラリと並ぶ事もあるので注意が必要です。

トイレ

トイレも登山口にあり、洋式ではなく和式ですが、紙は付いています。

大仁田地区のその他の山、烏帽子岳とシラケ山もおすすめ

三ツ岩岳のすぐ隣にある烏帽子岳とシラケ山もおすすめです。

こちらの山は三ツ岩岳と同じく岩山で、適度なスリルを味わえる山です。また、烏帽子岳からシラケ山に向かうコースには岩陵コースもあり、岩場が好きな方には楽しめると思います。

春は三ツ岩岳ほどではありませんが、こちらの山もアカヤシオが咲き、秋には綺麗な紅葉も堪能でき、更に烏帽子岳とシラケ山は隣同士になっているので、日帰りでも十分縦走可能になっています。

www.narisuba.com

最後に

西上州の春はアカヤシオが至る所に咲き誇り、特に三ツ岩岳の山頂付近は岩山を覆いつくし、まるで花咲かじいさんが咲かせたような光景が広がっています。

三ツ岩岳以外にもアカヤシオが咲く山はありますが、これほど多くのアカヤシオの群生が見られる山は無く、三ツ岩岳はまさに西上州一のアカヤシオが咲き誇る山です。

毎年4月中旬から下旬が見頃ですが、満開のタイミングが難しいので逐一情報を確かめながら行かれるのをおすすめします。

春に西上州の山を登りたいとお考えの方はぜひ西上州一のアカヤシオが見られる三ツ岩岳を登られてみてはいかがでしょうか。