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武甲山登山|お手軽の表参道周回コースと武甲山のビューポイントを紹介!

ソメイヨシノの見頃を過ぎ葉桜となった4月の半ば、秩父では春の最大の見どころである羊山公園の芝桜がちょうど見頃を迎え、多くの観光客が芝桜を求めて訪れる時期であります。

そんな秩父の春の名所を求めるついでに、古くから秩父のシンボルとなる武甲山を登りました。

この日は終日不安定な予報でしたが、朝から清々しい春の陽気に包まれ、武甲山は表参道をぐるり1周し、下山後はちょうど見頃を迎えた羊山公園の芝桜を堪能しました。

羊山公園の他、時間が余ったので周辺の史跡巡りや武甲山のビューポイントなども巡り、充実した1日となりました。

なので、今回は武甲山の表参道の様子と山頂から見える秩父市の絶景並びに、武甲山のビュースポットを合わせて紹介したいと思います。

武甲山とは

武甲山は標高1304mの武蔵第一高山として聳え、まるでピラミッドのような神聖感漂うその姿は秩父市のシンボル的存在として親しまれています。

現在の山容は見事な形となっていますが、かつては独立峰ながら穏やかな姿を成し、古くから神体山として仰がれ、素朴な山岳信仰から歴史が始まったとされています。

また、武甲山は山全体が石灰岩でできており、明治時代からセメントの原料として採掘が始まり、武甲山の石灰石は良質な為、現在も山容が変化されつつも採掘が続けられ、麓にはセメント会社の工場が仰々しく立ち並んでいます。

このように神体山として、鉱山としての顔を持ち、現在でも信仰の形式や山の姿が変わろうとも秩父を代表とする山は変わらず、更に日本二百名山として選ばれており、登山客の絶えない人気の山になっています。

武甲山表参道コース

行きは一の鳥居から不動滝を通り山頂へ、帰りは持山寺跡を経由して一の鳥居へ戻るコース。

一の鳥居から山頂まで約1時間20分、山頂から一の鳥居まで約1時間55分

登山口(生川基点)~大杉の広場

それでは登山に参りましょう。

登山口にはご覧の通り立派な鳥居が建てられ、山岳信仰の山という感じがします。

鳥居から先は神域なので気を引き締めて登ろう!

鳥居を潜り、駐車場の先が登山道になっています。

最初は生川沿いの登山道を歩きます。

川のせせらぎを聞きながらゆっくり歩きましょう。

暫く歩くと、おや?これは丁石ですね!

主に街道沿いに建てられた距離を知るための標識のようなもので、山岳信仰においては麓から山頂の寺院まで距離を知るための道しるべになっています。また、山によっては石仏に記されたり、丁石に梵字が書かれている場合など様々です。

丁石を越えると、何やら小屋のようなものが建てられていましたが、これは何でしょうか?

採石に関する小屋なのかは分かりませんが、小屋の前にはため池のようなものも数ヶ所あります。

中を覗いて見ましたが、特に生物がいるわけでもありません。が、所々には苔のようなものが沈んでおり、綺麗な緑色に輝いていました。

さて、謎の小屋を過ぎると少し急な道に差し掛かります。

道もコンクリートになっているので、この辺は車が通ったりするのでしょうか?

急登を登り続けると分岐点に到着。

ここからは武甲山山頂に直接向かうコースと持山寺方面に向かうコースに分かれます。

行は不動滝方面へ向かい、帰りは持山寺方面から下りて来る予定なので、ここは真っすぐ進みます。

分岐点から数分でコンクリート道も終わりを迎え、ここからいよいよ本格的な登山道になります。

15丁目の丁石を過ぎた辺りに、何やら補強された道が出現します。

かつて崩壊した道なのか分かりませんが、痛々しく道が削られている様子でした…

まぁ渡る分には問題ないので、ここはサクッと進みましょう。

そして不動滝に到着。

滝と言うより水場ですね。

水場の後ろにはペットボトルが大量に置かれています。

このペットボトルは山頂のトイレに使用する水を汲むものらしく、看板には登山者たちに山頂まで水を運んでほしいとの事でした。

私も1本協力しましたが、もう1本運べばよかったなと思いました…

不動滝からザックの重量が増えましたが、山頂はまだまだ先です。

ペットボトルは無理しない程度に運びましょう。

先ほどの滝から少し歩くと武甲山御嶽参道と書かれた石柱があり、ここから本格的な登山道が始まる予感がしますね。

急登を覚悟していましたが、意外にも登りやすく傾斜もそれほどありません。

むしろ清々しさが増し、神域という感じがして凄く落ち着く登山道です。

すると途中に石祠がありました。

苔が全体を覆い、周辺の石と同化しているようにも見えますね。

中に御札が立てかけられ、御札自体もそれほど古くはなかったので今でも修験者たちがこの参道を歩き、行に励んでいる事が分かります。

石祠を越えてすぐにこのような石積みがありました!

これらの石は石灰石で、恐らくこの山から採れた石だと思います。

石灰石は山頂の神社に置いてあるそうで、この石に願いや感謝の気持ちを記し、この石積場へ積んで行き、いつしかさざれ石のような立派な石へ育つような願いが込められたプロジェクトだそうです。

石はまだこれだけなので、最近始まったばかりか?は分かりませんが、多くの登山者たちの祈りや願い、感謝の気持ちが武甲山の神様に届くといいですね。

石祠以降は所々このような石仏や御神木が見られ、途中足を止めて何度も写真を撮ってしまいます…

そして遂に大杉の広場に到着。

何故かここは広い空間で、尚且つ平面な地面が広がっています。

休憩するにはちょうど良く、天気の良い休日は多くの登山者で賑わいそうな広場でした。

大杉の広場という名前の通り、広場には尋常じゃない程大きな杉の木が立っていました。

カメラに収める事は出来ず、見上げると四方八方から枝が伸びているのが分かります。

大杉の広場~山頂御嶽神社

さて、休憩も済んだ事だし、山頂へ向かいましょう。

ここから先も比較的なだらかな坂道で、特に急な登りは無く、非常に登りやすいコースです。そして、周囲には幹の太い杉の木が立ち並び、趣のある登山道になっています。

暫く進むと比較的大きな石が目立ってきます。

よく見ると白い石がゴロゴロ転がっているので、これらは石灰石でしょうか?

立入り禁止の案内もあります。

その先にはやはり大量の石が散りばめられ、採石場が近い証拠になっています。

そして、鬱蒼とした参道を抜けると明るい登山道になり、山頂までのラストスパートです。ここから山頂まであと僅かなのでもうひと踏ん張りです。

山頂にもトイレがある!と思いましたが、利用期間が決められていて、この日は入れませんでした。

壁紙には5月1日から利用可能との事でした。

トイレから歩いてすぐの所に御嶽神社がありますが、山頂の神社にしてはかなり大きいお社である事が分かりますね。

正面の拝殿には立派な御嶽神社と書かれた扁額が掲げられ、かつては壮大な山岳霊場であった事を思わせる社殿です。

横から見てもご覧の通り見上げる程大きい。

山頂の神社と言ったら奥宮や奥社のようなこぢんまりとした質素なお社を想像してしまいますが、この神社はまるで麓に鎮座しているような立派なお社です。

鳥居を潜り拝殿前には狛犬がありますが、よーく見ると狛犬は獅子ではなく狼である事が分かりますね。

一般の神社のい狛犬は獅子ですが、秩父地方の神社の狛犬はほとんどが狼像になっています。

狼信仰は秩父地方ならではの信仰で、「お犬様」の名で親しまれるほど篤く崇敬されている神の眷属です。

かつて秩父地方には数多くの狼が棲みついていたらしく、畑を荒らす猪や鹿を追い払い、更には盗賊を恐れさせる存在から古来より神のお使いとして崇められ、狼信仰として根付いたそうです。

現在は狼は絶滅してしまいましたが、秩父地方の神社にはユーモア溢れる狼像が安置され、神社によってデザインが違うので、狼像を巡る神社参拝も楽しみの1つになると思います。

由緒を読むと、現在は御嶽神社となっていますが、かつては蔵王権現が祀られ、更に武甲山周辺からは旧石器から縄文にかけての遺跡なども発見されている事から、武甲山による山岳信仰の歴史はかなり長いと思われます。

また、武甲山は大正時代から石灰石の採掘が始まり現在も大規模な採掘場として受け継がれていますが、秩父は日本で初めて銅が発掘された場所であり、日本初の流通貨幣である和同開珎が作られた事で有名である事はよく知られていると思います。

その他、秩父ではマンガン鉱山や金銀更にはヤマト王権にとって重要な鉱物である朱も採掘されたらしく、その証拠に秩父地方は朱の女神である丹生都姫を祀る丹生神社も多く鎮座しています。

由緒書の最後に書かれた日下部丹波守の”丹”も恐らく朱を意味し、朱の採掘に関わる末裔でないかと想像してしまいます。

先ほどの巨大な社殿の向かって右の建物の裏には不動滝で汲んできた水をマンホールに入れて下さいという案内があります。

最初どこに入れるのか分からなかったのですが、どうやらこのマンホールの中に流すそうなので、ここに運んできた水を流しましょう。

さて、神社から山頂まではすぐなので進みましょう。

最後に厳重に取り付けられた柵に沿って歩けば展望台に到着します。

武甲山山頂からの景色

そして遂に武甲山山頂に到着です!

ご覧の通り、山頂からは秩父市を一望できる素晴らしい展望で、運がよければ男体山や谷川岳なども見え、主に北側の展望が優れています。

左奥は小鹿野町でしょうか?

その奥に聳える山々は群馬県との境となる山ですね。

しかし、ここから両神山が見えないのが残念です。

中央には秩父市街が見えます。

こうして見ると、平地部は町並みと丘が極端に分かれていますね。

中央部が三角形になっているのは自然にできた光景でしょうか?

少し拡大すると羊山公園の芝桜がよく見えます!

今頃あちらから武甲山を眺めている人が何人もいるのでしょう。

手を振ったら見えるのかな?

更に望遠レンズで遊んでいたら、工場が見えました。

武甲山で採れた石灰石はあちらの工場に運ばれるのでしょう。

ちなみに、夜になったら工場夜景が見られるのか気になるところですがいかがでしょうか?

ちなみに山頂付近はご覧の通り真っ白になっていて、斜面も白く急坂になっているのが分かりますが、覗いただけでは全貌は見えません。

展望台の向かって右側は遠くにさいたま市方面が見え、手前には堂平山がよく見えます。

拡大すると堂平山の天文台のドームが確認できます。

SAOの聖地巡礼の時に訪れましたが、堂平山山頂からの景色も素晴らしく、車で山頂まで行けるのでおすすめな山です。

武甲山山頂~持山寺跡~登山口(生川基点)

さて、山頂からの景色を堪能し終えたので登山口まで戻りましょう。

帰りは表参道ではなく、持山寺コースで下ります。

なので、途中まで大持山、小持山コースを歩いていきます。

分岐点まではこのような急坂が続きます。

これ、登りだったらけっこう辛い登山道になると思います。

そう考えると、表参道は終始緩やかな上り坂だったという事になります。

下りなのでサクッと分岐点に到着出来ました。

ここから左の道へ進むと持山寺方面に到着できるので、早速進みましょう。

分岐点から持山寺方面のコースは緩い下り坂で表参道コースのような道です。

道幅は狭いですが非常に歩きやすく、木漏れ日がいい感じに肌に触れ、とても清々しく歩くことができました。まぁ4月のちょうど良い気候なので、暑くも寒くもない状況下なので、気持ちのよい登山道である事は間違いありません。

そして持山寺との分岐点に到着。

持山寺から先はコースが無く、行き止まりになっているので、持山寺に興味のない方はスルーで大丈夫です。

私は気になってしまったので、持山寺方面へ進みました。

分岐点から数分で持山寺跡に到着。

跡地には石塔のようなものが建てられ、かつてここに寺が建っていた事を示すように感じます。

周囲を見渡しても面影は一切感じられませんが、所々明らかに人為的に並べられた石などが確認できます。

これらは寺と何か関係があるのでしょうか?

持山寺には伝説が語られているそうで、史実かどうかは定かではありませんが、かつてこの一帯が山岳霊場である事は分かると思います。

伝説の最後の部分は恐ろしい事が書かれており、最後は白い鳥になって飛んでいく場面はヤマトタケル伝説のラストシーンを思い起こしますね。

持山寺を後にし、最後は下るだけです。

特段急な坂ではなく下りやすい緩い坂道です。

そしてこの橋を渡れば表参道との分岐点となり、後は来た道を下れば駐車場にたどり着きます。

武甲山のビューポイント

寺坂棚田

国道299号を羊山公園方面へ向かう途中に寺坂棚田という、日本の原風景を感じられる美しい棚田があります。

駐車場から歩いて数分に東屋があり、目の前には趣のある棚田とその先に聳える雄々しき武甲山との光景が素晴らしく、まさに心にしみる景色ではないでしょうか。

ちなみにこの寺坂棚田の近くには寺坂遺跡という縄文時代の遺跡があり、古くから武甲山を仰ぎながら暮らしていたそうです。

残念ながら日本の棚田百選には選ばれていませんが、ポスト棚田百選として埼玉で唯一選ばれた風景です。

棚田には専用の駐車場があり、そこから散策路が通じ、いつでも訪れる事ができるので、ゆっくりと武甲山を眺めたいと思う方にはおすすめな展望所です。

【基本情報】

・駐車場有り(無料)

・トイレ有り

 

羊山公園

羊山公園は埼玉県最大の芝桜が咲き誇る公園で、毎年4月の中旬ごろに芝桜まつりというイベントが開催され、公園内にはまるで絨毯が敷き詰められたような美しい芝桜を見る事ができます。

公園内からはご覧の通り武甲山もよく見え、芝桜と壮大な武甲山とのコラボが何とも絵になり、多くの方が写真を撮られていました。

ピンクと白、薄紫色の芝桜が公園内に咲き誇り、よく見ると芝桜には色んな種類があり、遠くから眺めても、近くで眺めても芝桜は可愛らしい花です。

また、イベント期間には出店が開かれ、秩父地方の名物や特産品の販売も行われ、種類が豊富なのでどの店を訪れるか迷ってしまいます。

【基本情報】

・入園料300円、駐車代500円 ※芝桜まつりの期間中のみ

詳しくはこちらのサイトをご覧ください

navi.city.chichibu.lg.jp

 

旅立ちの丘

最後に紹介する武甲山ビューは旅立ちの丘という場所で、こちらは秩父ミューズパークの中にあるスポットの1つになっています。

そのビュースポットである旅立ちの丘はミューズパークの奥に位置し、特に展望の優れた場所に位置します。

展望台からは秩父市街と秩父市を覆う山々とシンボルである武甲山が聳え立つ光景が楽しめます。

展望台は斬新なデザインで、夜は昼間の展望とは一変し夜景が素晴らしく展望所もライトアップされ、カップルたちにも人気のスポットになっています。

展望所の名前が旅立ちの丘という名前になっていますが、実は卒業ソングで定番の「旅立ちの日に」という曲は秩父市のとある中学校から生まれた曲で、今や全国の学校の卒業式に歌われ続けているこの「旅立ちの日に」の発祥の地として、更にこの歌が歌い継がれる事を記念して「旅立ちの丘」という場所を作られたそうです。

展望所には「旅立ちの日に」のイントロと実際に録音されたコーラスが繰り返し流れています。

「旅立ちの日に」という曲を知っている人も知らない人もぜひ、「旅立ちの丘」から眺めるこの広い大空へ夢や希望を託してみてはいかがでしょうか。

【基本情報】

・駐車場有り(無料)

・トイレ有り

 

下山後のおすすめ温泉、武甲温泉

武甲温泉は寺坂棚田のすぐ近くにあり、武甲山の下山後におすすめの温泉施設です。

日帰り温泉はもちろんの事、更に宿泊施設も備えられ、目の前にはキャンプ場もあるので、キャンプを楽しんだ後も気軽に立ち寄れる温泉になっています。(屋根が武甲山の形になっていますw)

また、私が訪れた時には武甲温泉の目の前に流れる横瀬川に大量の鯉のぼりが泳いでおり、ちょうど「横瀬鯉のぼりまつり」の期間中だったそうです。

鯉のぼりは4月の上旬からGWにかけて掲げられているので、期間中に訪れたらぜひ見上げてみてはいかがでしょうか。

【基本情報】

・入浴料 平日700円、休日900円

・営業時間 10:00~21:00迄

・定休日 年中無休

【公式サイト】

www.buko-onsen.co.jp

 

武甲山のアクセス、駐車場

アクセス

 

関越道花園ICから国道140号を秩父駅方面へ向かい、途中皆野寄居有料道路を通過し、再び140号、更に国道299号を通り、生川入口の信号を右に曲がり暫く進むと武甲山御嶽神社一ノ鳥居に到着。インターから約50分。

駐車場

駐車場は登山口にあり約30台ほど停められます。(無料)

広い駐車場ですが、平日にも関わらず下山後は満車になっていたので早めに停める事をおすすめします。

24時間利用可能なトイレもあります。

トイレは綺麗で洋式でした。

最後に

今回は緩やかな登山道である表参道から山頂までと、帰りは持山寺跡コースを下る周回を紹介しました。

表参道コースは終始緩やかで、丁石や石祠など時折山岳信仰を感じさせる趣のあるコースです。

山頂付近には立派な社殿を設けた御嶽神社や採石所としての姿を見られ、武甲山と人との関りの長い歴史を肌で感じる事ができます。

また、武甲山だけでは物足りない方は大持山と小持山を縦走する健脚者用のコースもあり、時間的にも日帰り可能な範囲なので長時間登山を楽しみたい方は縦走される事をおすすめします。

最後に紹介した武甲山を遠くから眺めるビュースポットもおすすめなので、ぜひ訪れてみて下さい。