素晴らしき日本の景色たち

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世界一神社|ポツンと一軒家ならぬポツンと一社!?新潟県三条市にある世界一神社とは?

昨年に引き続き、「ものづくりのまち」で有名な新潟県三条市へ旅をする事となり、今回もまた「Do It Yourself!!」の聖地巡礼がてら観光地を巡る旅に出かけました。

昨年は三条市の名峰である粟ヶ岳を登り素晴らしい紅葉登山を満喫しました。

しかし、観光の最中にグーグルマップを眺めていたら奇妙な名前の神社を発見し、しかもその神社は山の中にポツンと佇んでおり、何とも不思議なオーラを放っていました。

その名はなんと…”世界一神社”という名の神社です!

世界一の神社?はて?何が世界一なのか疑問に思い、そのまま向かおうと思いましたが、どうやら車ですんなり行けるような神社ではなく、予め調べなければ到底たどり着く事はできなそうだったので、また改めて訪れようと思いました。

今回はこの摩訶不思議な世界一神社を参拝するべく、きちんとルートを調べ現場へ向かいましたが、実は途中に恐ろしい隧道を通らなけらばならない箇所があり、この隧道が怖すぎました…

果たしてその隧道はどのような光景か、そして世界一神社とはどんな神社なのか?

早速、ミステリー神社である世界一神社の全貌とそこにたどり着くまでのルートを紹介したいと思います。

ポツンと山奥神社、世界一神社ってどこ?

まずは世界一神社の位置を見てみよう。

世界一神社は新潟県の三条市に位置し、グーグルマップから引用しましたが、ご覧の通り三条市の街中から大きく外れた山奥にポツンと一軒家ならぬ、ポツンと一軒神社状態になっているのがおわかりでしょうか?

グーグルマップによると、神社まで道路っぽいのが繋がっていますが、公式サイトでは徒歩でお越しくださいと書かれています。

といのも、この林道は非常に荒れていて、通行禁止になる場合もあるために極力麓に車を停めて歩いた方が無難だからだと思います。

なので、神社に行くには吉野屋という集落にある「吉野屋フォーラム」から徒歩で地道に歩いていく必要がありますが、地図に書かれた「旭隧道」というトンネルが最大の山場となり、後述しますがこの隧道は一筋縄では行かない恐怖のトンネルなので一気にハードな参道と化します。

しかしまぁ何でこんな所に神社が!?というかめちゃくちゃ気になるオーラを放っていて、こんな場所にポツンと神社があるのなら絶対に行きたいですよね?

【公式サイト】

jinja.morimori-forest.com

吉野屋集落から旭隧道

さて、吉野屋集落にある吉野屋フォーラムという場所に到着しました。

公式サイトの指示通り、ここに車を置いて徒歩で世界一神社に向かいたいと思います。

吉野屋フォーラムは集会場というか公民館で、なかなか立派な建物でした。

今回は世界一神社参拝という形なので、車を置かしていただきました。

ちなみに目の前にはずらりと一面田んぼで、正面奥には弥彦山が神々しく聳えていました。

写真からも分かるように、三条市街から離れた場所に位置します。

グーグルマップを頼りに吉野屋集落から旭隧道方面へ参りましょう。

あの山の中に目指す世界一神社がありますが、見た目は山というよりも丘に近いですね。

ちなみに吉野屋というのは三条市の地名で、ちょうど某牛丼屋の名前と読み方は同じですが、一文字違いになっているので少し紛らわしいw

そんな某牛丼屋みたいな名前の集落ですが、歩いてみると趣のある家屋が立ち並び、まるで重伝建地区のような雰囲気が漂い、非常に興味深かったです。

集落を更に進むと、登山道のような雰囲気になり、周囲も木々で覆われていきます。

ふと横を見ると川が流れており、隧道まで川沿いを歩いていきます。

この日は5月ながら不安定な天気で、午前中は雨、午後は晴れ予報でした。

写真の通り地面が濡れ、前日も雨が降っていたようです。

今から通る隧道は、事前調査によると常に水浸しで、川のように流れているそうなので、前日の雨がどのくらい影響あるのか少し不安です…

恐怖!日本の隧道トップレベルの長さを誇る”旭隧道”

吉野家集落から歩いて数分で、いよいよ恐怖の旭隧道に到着しました。

着いた瞬間まず思ったのは、あぁ……こりゃやべぇやつだぁ……

って思いましたね。

中はもちろん明かりは無く、入口から漆黒の闇のオーラを感じます。

ちなみに隧道入口の上には、なんと滝が流れており、この日はあまり流れていませんが、酷い時は轟音を上げて流れ落ちているそうですよ。

この旭隧道は昭和29年に開通され、全長は763mで、開通当時は800m程あったそうです。

ちなみに手掘りの隧道で日本一長いのは同じ新潟県にある中山隧道で、長さは877m、開通当時は900mを超え、もうまもなく1kmに到達するほど恐ろしい長さを誇る隧道です。

しかし、中山隧道は現在車は通れず、しかも中も途中立入禁止になっており、現役としての隧道は役目を終えているので、ある意味観光スポットになっています。

以前中山隧道も訪れましたが、やはり入口には中山隧道についての説明看板が立てられ、中も電気がついて明るく、完全に観光スポット状態でした。

ただ、中山隧道は手掘りで、旭隧道は素掘りという方法で掘られた為、若干開通方法は違いますが、現役の素掘り隧道としては旭隧道が現在最長という事になります!

暫く呆然と立ち尽くし、腕を組んで隧道とにらめっこしましたが、ここまで来て引き返すわけにもいきません!

早速中へ進みましょう!

事前に調べた情報によると、中は一切の明かりもなく、下が川のような状態との事なので、今回はヘッドライトと登山靴で潜入しました。

まぁ私の場合は登山靴でしたが、一般の方は長靴等の濡れない靴にしましょう。

くれぐれもスニーカーでは潜入しないでください!地獄を見ます!

スタート直後は以外にも普通のトンネルでした。

まぁこの隧道、過去に中越地震により通行禁止となった事があり、その際に舗装した為にこのような形になっています。

暫く進むと、隧道の形が歪み、徐々に雰囲気が出てきます。

ちなみに後から知ったのですが、旭隧道は心霊スポットとしても有名らしく、何度かテレビでも紹介されたそうです…

そうとも知らず、私はズイズイと進んでいきましたが…

写真でも分かるように、中は漆黒の闇…

ライトがないと前に進む事もできません。

スタート直後、奥を眺めると若干の光が見えますが、あれが出口です。

しかし、歩いても歩いても近づかないのが少し怖い。

壁を見ると、鍾乳石のようなみのが垂れ下がっていてこれもまた怖いです。

そしてこの辺りが中間地点でしょうか、隧道で最も狭い箇所だと思いますが、この暗さと歪な形の壁が更に恐怖を引き立てます。

スタート直後とは違い、この辺りはいかにも人の手で掘られた箇所である事もよく分かりますね。

そして、ふと耳に飛び込んできたのですが…

あれ?なんか笑い声とうめき声が聞こえる…

一旦止まって耳を澄ましてみましたが、確かに笑い声とうめき声が混じったような声が聞こえて来たんです!!

その不気味な笑い声とうめき声がどこから聞こえてくるか解明できず、少しパニックになりました…

しかしここまできたんで先へ行こう。

奥に出口の光が見えますが、まだまだゴールは先…

相変わらず幻聴?であるうめき声と笑い声は聞こえたまま、恐怖との戦いです!

下はこんな感じで、本当に川の中を歩いているようでした。

さすが登山靴!完全に浸っても中は一切濡れていなかったので、登山靴で正解でしたが、もう少し水位が高かったらアウトなので、正直なところ長靴がやっぱりベストなのかもしれません。

もし、スニーカーだったら確実にアウト!!

パラパラと雨が降り、傘を持ちながらここまで進んだので、傘で深さをお伝えしようと、こんな事をしたのですが…深さはこれで伝わりますかねぇ?

意外に深いかも。

中盤から後半になるとスタート直後と同じような緑の丸っこいのが付いた隧道になります。

振り返ると…

吸い込まれそうなくらい恐ろしい闇が広がり、緑の丸っこいのが不気味に感じますね。

帰りもここを歩かないとなると、ほんと恐怖でしかありません。

奥も真っ暗…

そしてゴールが近づいてきました!

あの光の先にあるのはまぼろしか?それとも…

まぼろしではなく、ちゃんと道が続いていたので安心しました。

振り返ると、行きと変わらず不気味に口を開けた隧道がありました。

いやー、普通こんな怖いトンネル入りませんよね…

旭隧道から世界一神社までの道のり

なんか、心霊スポットの記事みたいになってしまいましたが、これは神社を紹介する記事なのでここから切り替えましょう!

さて、恐怖の隧道を無事に抜けた後は再び道を歩きます。

周りは完全に山となり、集落から完全に遠ざかった所を歩いていきます。

地図では山のように見えますが、実際はほとんど平坦な道になっているので、安心して進めます。

道端にはあじさいや花がたくさん咲いていました!

花の名前は詳しくないのでよく分かりませんが、色とりどりの花が咲き、途中何度も写真を撮ってしまいました。

それにしても辺り一面木々に覆われ、本当に山の中をただひたすら前へ進むだけです。

本当にこの先に神社があるのか少し不安になります。

ぽつんと一軒家を探す時もこんな気持ちなのでしょうか?

もう少しで神社に到着できる位置に来ました。

周りには立派な杉林が立ち並び、修験道を思い起こす景色になってきました。

が、道中には一切の石仏や祠などは安置されていませんでした。

趣のある杉林を通り過ぎると、おや?突然視界が開き、車が数台見られます。

もうすぐ神社でしょうか?

 

それにしても、この車たちは一体何なんでしょう?

恐らく廃車ですが、ここに停めておく理由があるとか?

その先には住居のようなものも建てられていますが、神社関係者の建屋でしょうか?

倉庫らしき中にはショベルカーもありましたが…

そして建物の隣に…おっ!あれは鳥居ですね!

遂に念願の世界一神社に到着したみたいです。

遂に到着!世界一神社の境内と社殿

入口である鳥居前に到着しました。

鳥居はごく一般的な神社と変わらず、そこに建てられていますが…

扁額を見てみると、世界一神社と書かれていますね!

シンプルだけど珍しい扁額です。

鳥居を潜ると社殿まで階段が続いています。

階段はコンクリートで草や苔で覆われていますが、そこまで古さは感じられず、比較的新しい階段でした。

そして階段を登りきると世界一神社の社殿に到着です。

正面は拝殿ですが、ご覧の通り拝殿を覆うように周囲にはガラス戸が取り付けられていました。

これは雪対策か何かでしょうか?

ここは新潟県なので冬になれば雪が大量に積もることが予想され、社殿と地面の間に比較的高さを設ける事も豪雪地帯の社殿の特徴らしいですよ。

周囲は完全に山で、一切の喧騒も無く、ただただ静寂の中に鎮座しています。

この世界一神社、公式サイトによると世界で唯一の存在であるあなたを守る神社と書かれており、つまり頂点を目指すナンバーワンではなく、オンリーワンであるあなたを守ってくれる神様という事になります。ん?なんか、どこかで聞いたことのある歌のフレーズのような…

そして不思議なことに、この神社には御祭神が一切書かれておらず、普通神社にはこんな神様が祀られていますよ!と由緒があるのですが、公式サイトも一切触れていません…

これには意味があるのか、詳しいことはこの段階では分かりません。

しかしまぁこれほど立派な社殿なので、恐らく本殿にはきちんと御神体があり、日々祈られていると思いますが、ここまでシークレットなのも不思議ですね。

正面のガラス戸は開いていたので、中に入ると玄関のようになっていて、正面に賽銭箱があったので参拝しました。

靴を脱いで上がる事もできそうですが、念のため玄関までにしておきました。

見上げると幕とその上には牛が描かれた額がありますね。

この幕に描かれたのは月でしょうか?

そういえば境内のあちこちに月に関する文字や石碑が建てられていましたが、御祭神と関係があるのか?疑問に思いました。

さて、社殿周辺を見ていきましょう。

先ほどの鳥居から階段を上り終えると、何故かこのような二手に分かれる階段になっていて、少し複雑な構造になっています。

社殿の右手には摂末社が鎮座し、その先も繋がっていますが、立入禁止と書かれていて先に進む事はできません。

拝殿の幕に描かれていた月が、このように摂末社にも描かれており、満月とも書かれていますね。

ここまで来ると、もはや想像の世界ですが、やはり月にちなんだ神様なのか?だとしたら月読命とかでしょうか?

月読命は天照大御神、須佐之男命と共にイザナギから生まれた尊い神様たちで、「三貴子」とも呼ばれています。

神宮と出雲大社の主祭神で有名な天照大御神と須佐之男命に対し月読命はあまり知られていないようですが、実は月読とは月の満ち欠けによって暦を読む事であり、御存知の通り太陰暦とは月の満ち欠けの周期を基準とした暦で日本では明治の初期まで太陰暦が用いられ、特に農耕や漁猟はこの太陰暦つまり、月の満ち欠けによって行われていたので、その月を司る月読命は太陽神である天照大御神と同時に日本人にとっては必要不可欠な尊い神様です。

ちなみに月読命は男か女かはっきりしておらず、ミステリー要素が満載な神様でもあります。

とまぁこの神社の御祭神が月読命かどうかも分からず勝手に語りましたが、やはり境内には月という文字や月に関するものが多く、不思議な雰囲気でした。

また、境内の向かって左側には開祖生誕の記念碑が建てられていました。

この石碑がいつ建てられたか確認し忘れましたが、開祖生誕110周年記念碑と書かれているので、この神社は恐らく明治時代かそれ以降に始まったのではないかと思います。

由緒や詳しいお話を聞きたかったのですが、この日は誰もいなかったみたいで残念でした…

記念碑の先を進むと、立派な住居らしき建物がありました。

あまりジロジロ見ると怪しまれるといけないので近寄りませんでしたが、社務所でしょうか?

ここまで来るのに恐ろしい隧道や山道をひたすら歩き、更に由緒や御祭神も分からないという謎多き神社ですが、地図で見た通り町から遠く離れた山中にポツンと鎮座する為か、一切の雑音は無く、ありのままの自然に身を置かれ、安心と癒しを感じる事ができました。

神社というと、様々な歴史や由緒、御祭神について語られていますが、世界一神社は由緒や御祭神も語られていない、シークレットなところがある意味魅力的で、実際にこの場に来て自ら神威を感じ取り、守られている事を実感してほしいという思いの強い神社であると思います。

世界一神社のアクセス

アクセス

 

公共交通機関の場合は、上越新幹線 燕山上駅からタクシーまたはレンタカー30分で吉野屋フォーラムに到着。

車の場合は、北陸自動車道 栄PAを下車し、30分で吉野屋フォーラムに到着。

駐車場

駐車場は吉野屋フォーラムにあり、広々とした駐車場です。

世界一神社以外の神社も参拝しよう!

吉野屋集落にはもう一つおすすめの神社があるので紹介します。

こちらの石動神社(いするぎじんじゃ)も吉野屋フォーラムから歩いてすぐのところにあり、見どころは社殿内外に彫られた彫刻で、この彫刻の作者である石川工雲蝶は日本のミケランジェロとも呼ばれるほど、緻密ながらもダイナミックな彫刻を施す天才彫工です。

私も以前魚沼市の永林寺か西福寺のどちらを訪れたか忘れましたが、今まで見たこともない壮大な彫刻を目の前に言葉が出ず、天才とはまさにこういうものだ!と瞬時に思えるほど魅力的でした。

社殿内の彫刻は連絡をすれば見させてくれるそうですが、拝殿の外にもいくつか彫刻があるので、ぜひそちらを鑑賞してみてはいかがでしょうか。

また、石川蝶雲の作品は新潟県内のいくつかの寺社に奉納されているので、興味のある方はぜひ訪れてみてください。

www.iine-uonuma.jp

最後に

ぽつんと山奥にひっそりと鎮座する世界一神社は、恐ろしい隧道や山道を歩かなけらばならず、気軽に参拝することはできない神社でした。

神社自体は特に一般的な造でしたが、街から遠くかけ離れた場所に位置するので、一切の雑音は無く、非常に清々しい気持ちで参拝できると思います。

参拝される際は、重装備まではいかないものの、ある程度の装備品や準備、下調べを行ったうえで訪れてみてください。