前回の杓子山に続き富士山がよく見える山を登りに、山梨県の山中湖付近に聳える石割山を登りました。
石割山は山中湖の北部に位置し、山頂からは雄大な富士山を眺められる山として有名で、山梨百名山に選ばれています。
また、登山道の途中には石割山の由来となる二つに割れた大きな岩が聳え立ち、古来よりこの大岩を御神体とし、この場で修行を励んでいた事から石割山は山岳信仰の山である事がわかります。
今回は石割山の駐車場から石割神社、石割山そして平尾山経由の短くお手軽なコースで登り、登山道や巨大な大岩を御神体とする石割神社の様子、山頂からの素晴らしい富士山の絶景及び山中湖周辺のおすすめスポットを紹介したいと思います。
- 石割山のアクセス、駐車場
- 登山コース
- 石割山登山口~石割神社
- 天岩戸伝説が伝わる石割神社とは?
- 石割神社の背後に聳える大岩の中に入ってみよう
- 石割神社~石割山山頂
- 石割山山頂からの景色
- 石割山山頂~平尾山
- 平尾山~石割山登山口
- 石割山周辺おすすめ観光スポット
- まとめ
石割山のアクセス、駐車場
アクセス
車の場合:東富士五胡道路山中湖ICより約20分で駐車場に到着
電車の場合:富士急行線富士山駅より富士急行バスの周遊バス「ふじっ湖号」で「石割山ハイキングコース入口」下車、そこから徒歩20分程で登山口に到着
詳しくはふじっ湖号 - 富士急行バスをご覧ください。
駐車場
石割山登山道入口前に約30台停められる無料駐車場が有ります。
また、駐車場の隣には公衆トイレが完備され、洋式ではなく和式のトイレです。
登山コース
石割神社の鳥居からスタートし、石割山、平尾山経由の周回コース。
歩行時間は2時間半から3時間程度の登山です。
石割山登山口~石割神社
この趣のある橋を渡ると登山口に到着します。
登山口が鳥居なのでここから先は神域です。
気を引き締めていざ登山開始です!
鳥居をくぐり見上げると果てしない長さの階段が現れます。(先が見えない!)
その数なんと403段!
階段の周りは杉並木が広がり、いかにも山岳信仰の山の雰囲気が漂う登山道ですが、
登っても登っても階段は続き、一体どこまで登るのだろう?と、頭の中で何度も問いかけてしまうほど長いです。
こんな長い階段の神社は他にあるのでしょうか?
ようやく登りきったと思ったら大間違いです。
登りきって右を見ると…また果てしない階段が広がっています…
403段と書いてありますが、実際はもっとあるように感じます。
余裕のある方は数えながら登ってみてはいかがでしょうか。
そしてようやく階段を登りきると東屋があります。
ここで少し休憩をしましょう。
さて、ここから石割神社までは急登もなく道も広いので、
楽しく安心して登る事が出来ます。
途中、富士山がちらりと見えました!
しかし、これからの季節は葉が生い茂り富士山は見えなくなるでしょう。
しばらく歩くとようやく石割神社に到着です。
余りにも巨大な岩を目の前に暫し茫然としてしまい、石割神社参拝後は登山を忘れて境内を何度も見て回り、何度も写真を撮ってしまいました(笑)
なので、ここで少し石割神社についてお話します。
天岩戸伝説が伝わる石割神社とは?
石割の由来
先ほどまでのハイキングコースが一変、突如目の前に大きな岩が姿を現します。
ここは石割神社といい、名前の由来は読んで字の如く石が二つに割けている事や大岩の表面が石という字に似ている事などが伝えられています。
また、この大岩はちょうど真ん中が割けていて、まるで誰かが動かしてこのような姿になったのではないかと言われた事から、ここが天岩戸伝説の地ではないかとも言われています。
天岩戸伝説は日本各地に存在し、宮崎県高千穂町の天岩戸神社、長野県の戸隠山、沖縄県の伊平屋島など枚挙にいとまがなく、ここ山梨県の石割山も伝説の一つに数えられています。
天岩戸伝説については以前書いた戸隠神社の記事に触れたのでそちらをご参考下さい↓
石割神社の御祭神
石割神社の主祭神は天手力男神、相殿を須佐之男命、建御雷之男神、石長比売、倭建命とされています。相殿とは主祭神の他複数の神が祀られた社殿を示し、この社殿の中を覗くと神棚のようなものが何体か置かれていました。
石割神社の縁起によれば元々は権現さまとして祀られていたらしく、名前も石割権現と呼ばれていた事からこの大岩を御神体として崇められ、石割山は修験者の山岳信仰の霊場とされていたそうです。
周辺の山を見ても近くには御正体山という山があり、この山もかつては山頂に寺院が建てられたり、即身仏が祀られていた事から山岳信仰の霊場とされ、更に大天狗、小天狗という雷の神も祀られていた事から、石尊信仰と同様に雨乞いも行われていたと思われます。
石尊についてはこちらをご覧ください↓
また、大岩のすぐ横にあるお釜石から水が湧きだし、この水は里宮である天満宮の湯立ての神事で使われており、ここでも修験道の面影を伺う事が出来ます。
境内の様子
境内は燈籠及び、狛犬が二体と至って一般的な神社の光景でした。
狛犬の口の中には石?のようなものが咥えられており、“石割”から狛犬にも石を割らすためにこのような光景になったのでしょうか?
正面の社殿の前には鉄製の下駄が置かれ、天狗信仰のお寺などではよく見かける光景で、健脚の御利益があるそうです。
下駄が奉納されている事から、この山も修験道の影響を受けていた事が分かります。
社殿は正面と大岩の真下にそれぞれ建てられています。
正面の社殿が出来る前は恐らく大岩真下の埋め込まれた社殿で祭儀が行われていたと思われます。
大岩の様子
近くで見ると、その巨大さが分かると思います。
岩には大きな注連縄が掛けられ、それはまるで布刀玉命が岩戸に二度と天照大御神が戻らないように掛けた注連縄なのではないかと想像してしまいます。
何気なく眺めていたら、なんと大岩から太陽が現れました!
この写真を見るとまさに、岩戸から天照大御神が出現し、暗黒の世界から光輝く素晴らしい世界への復活を果たしたシーンを思い起こされます。
それにしても、天岩戸伝説の有名な、しかも神々しい場面を彷彿させる決定的瞬間を収められたのが何よりです!
石割神社の背後に聳える大岩の中に入ってみよう
大岩は見るだけでも十分ですが、せっかくなので岩の内部に入ってみました。
入口の様子です。
まるで遺跡のような造りになっていて、人がギリギリ入れるかどうかの隙間しかありません。
内部はこんな感じです。
入口付近は普通に入れますが、途中からかなり細くなり、私は横向きにならないと入れませんでした。(焦りました…)
この割れ目を3回時計回りに通れば幸運が開けると言われ、更に岩から滴る水は万病に効く薬水と伝えられ、これらは恐らく修験道の胎内くぐりから来ているのではないかと思われます。
胎内くぐりとは読んで字の如く、母親の胎内に籠り身を清め、オギャーと生まれた純粋無垢な赤ちゃんのような生命力溢れる自分として復活する事を表し、洞窟や岩の割れ目を女陰と見立て、その中に籠る事で暗闇の世界から光に満ちた日常の世界への活力を得る為に行われていたそうです。
つまり、岩の割れ目を女陰が持つ万物生成や新しい自分に生まれ変わる為の聖地であると信仰し続けた事により、このような発想が受け継がれているのではないかと思われます。
石割神社~石割山山頂
石割神社について熱く語ってしまいましたが、ここから先は登山の様子を再びお伝えします。
石割神社より先は道幅が狭くなり、若干急な登山道となりますが、
山頂まではほんの20分くらいで着いてしまうので、ぜひ山頂まで登りましょう!
石割山山頂からの景色
そして展望のない道を抜けると、目の前には見事な富士山を眺められる広場に到着します。
展望は西側のみで、富士山や奥には南アルプスの山々が見渡せます。
この日は天気もよく、更にアルプス方面も雲一つ無い空の為に、全てを見渡せる絶好の眺望日和でした。
南アルプス方面を拡大
4月の上旬ですが、標高2000~3000m級の山々はまだ雪が残っています。
山中湖と富士山のコラボも撮影可能です。
望遠レンズで石割山の標識とでっかい富士山を撮影しました。
上手く撮影出来ませんが、富士山の巨大さが伝わると思います。
北側は先月訪れた杓子山が堂々と聳えています。
あの頂上の眺めも大変素晴らしく、360度の大パノラマを楽しめる山なのでおすすめです。
今回はこのまま平尾山方面へ向かいますが、反対側は二百名山の御正体山まで続く登山道があります。
地図によると、ここから御正体山方面の途中に大天狗という場所があり、気になってそこまで行ってみましたが、残念ながら大天狗という場所はどこなのか確認出来ませんでした。
何か祠や石仏があるのでしょうか?
山頂の様子
山頂は広々としていますが、平らではなく斜面上になり油断すると滑りますので注意が必要です。(危険を伴うほどではありません)
石割山山頂~平尾山
さて、ここからは平尾山へ向かいましょう。
平尾山まではほとんど下りの登山道になっています。
最初は杓子山の急登のロープ場を思い起こす様な道になっているので、
滑らずロープを持って進みましょう。
ロープ場を越えれば後は歩きやすいハイキングレベルの登山道が続くだけです。
分岐点に到着しました。
ここは平尾山方面、石割山方面、平野(駐車場方面)の分岐点です。
ここから歩いて2、3分で平尾山に到着するのでそこまで向かいます。
平尾山に到着しました。
景色はあまり変わりませんが、こちらの方が山中湖をよく見渡す事が出来ます。
山頂も平らでベンチが置かれているので、富士山を眺めながらお昼を食べるのに最適だと思います。
平尾山~石割山登山口
先ほどの分岐点に再び
これから駐車場までの道のりを紹介
分岐点から次の分岐点まではひたすら下りが続き、途中から階段が現れます。
急な階段ではないので心配ご無用です。
しばらくすると分岐点に到着します。
駐車場へ向かうので、ここは駐車場方面に進みます。
地図によれば平野方面に進んでも駐車場に行けるみたいなので、基本どちらでも大丈夫そうです。
私は案内の通り駐車場方面の道を選びました。
杉並木をひたすら下る感じになっています。
途中、木の隙間から差し込む春の日差しが気持ちよく、距離もそこまで長くないので
気楽に歩く事が出来ます。
下山を終え、ここからはコンクリートの道を下っていきます。
ここから5分くらいで元の駐車場に到着します。
石割山周辺おすすめ観光スポット
石割の湯
石割山から最も近く、緑に囲まれた木製ドーム型の外見の温泉施設は、自然と調和することで癒しを与えてくれる温泉です。
大広間の他、個室も完備されているので、家族連れや少人数で訪れる方にはおすすめです。
【公式サイト】
山中湖温泉紅富士の湯
富士吉田市と山中湖村の境に位置し、大浴場と露天風呂から富士山を眺める事の出来る温泉施設です。
銭湯の壁にはよく富士山の絵が描かれていますが、ここの温泉ではガラス越しにリアルな富士山を眺めながら湯に浸かる事の出来る有難い温泉になります。
【公式サイト】
山中湖パノラマ台
国道730号を三国峠方面に走らせた途中に位置する、富士山と山中湖がよく見える有名なスポットです。
駐車場も10台くらい停められトイレも完備されているので、ドライブがてら気軽に最高の富士山ビューを味わえるスポットになります。
地図↓
山中湖から富士山ビュー
観光スポットと言えるのか分かりませんが、山中湖周辺は所々無料駐車場が完備され、山中湖や、運が良ければ山中湖に映し出された逆さ富士を眺める事が出来ます。
また、山中湖には白鳥が生息し、道路沿いの”なぎさ”というお店には餌も売られているので(200円)、白鳥に餌を与えながら触れ合う事も出来ます。
なぎさの場所↓
天神社
石割神社の里宮として鎮座する天神社はここ平野地区の氏神様として篤く崇敬されています。
例大祭には天岩戸神楽が奉納されている事から、石割神社の境内が天岩戸伝説の地であるという地元の人たちの思いを感じる事が出来ます。
また、この神社には天神社の御朱印の他、石割神社の御朱印も頒布されているそうです。
地図↓
まとめ
石割山は富士山ビューを楽しめる山として山梨百名山に選ばれ、途中にある大岩を御神体とする石割神社の境内は、本当にここが天岩戸伝説の場所なのではないかと思える様な雰囲気を醸し出し、登山と同時に史跡にも触れ合う事の出来る山です。
また、登山口から山頂までは2時間未満でたどり着き、最初の階段以外は特に難しい箇所も無く、ハイキング感覚で登れるので、本格的な登山の経験が無くても十分に楽しめる山だと思います。
観光地として有名な山中湖のすぐ近くなので、下山後は山中湖周辺の観光スポットを同時に楽しむのもおすすめなので、ぜひ登ってみてはいかがでしょうか。