素晴らしき日本の景色たち

主に日本全国の山や景勝地、観光スポットを紹介します

金時山登山|公時神社から乙女峠経由の周回及び山頂からの富士山や絶景をお伝えします。

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箱根の山は天下の嶮

滝廉太郎らによって作曲された唱歌「箱根八里」の最初の歌詞に記された通り、

箱根には江戸に繋がる東海道の最も重要な関所が設けられ、更に深い山や谷を通らなければ東国に入る事の出来ない天下有数の難所として知られています。

箱根の山は駒ケ岳、神山の中央火口丘とその周りに聳える外輪山から成り立ち、

今もなお噴煙を上げる大涌谷の様子から、火山である事が分かると思います。

激しい噴火の名残である外輪山は1000m前後の山々が聳え立ち、その中でも山頂付近がおわん型で、遠くから見てもその形がよく確認できる金時山は、外輪山の最高峰であり、山頂からは富士山と大涌谷の噴煙がよく見え、天下の秀峰と名付けられた箱根の中でも人気のある山です。

今回はそんな箱根の山の中で人気を誇る金時山の登山道の様子や山頂からの富士山とその周辺の素晴らしい絶景をお伝えしたいと思います。

金時山のアクセス、駐車場

 

最寄りのインターは御殿場IC

インターから15分くらいで金時山の無料駐車場に到着します。

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駐車場は公時神社のすぐ横に位置し、20台くらい停められるスペースになっています。

無料駐車場がいっぱいの時はすぐ隣に有料の駐車場(1日500円)があるのでそちらに駐車。

無料駐車場にはトイレも完備されています。

金時山とは?

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金時山は箱根外輪山の北部に位置する標高1212mで、日本300名山の一つに選ばれ、

金時という名前は、日本昔話の定番である金太郎が由来とされています。

金太郎は足柄山(金時山を含む足柄峠を中心とする山地)の中で赤竜と山姥の間に生まれ、平安時代中期の武将源頼光にその偉大な力強さを見出され、後に源頼光に仕える事となり、坂田公時という名を授けられました。

源頼光の四天王としての坂田公時はその後も鬼の酒天童子退治に貢献し、

源頼光没後は再び足柄山に戻り、この山で消息を絶ったと伝えられています。

そんな英雄が過ごした山という事から、箱根外輪山の最高峰であるこの山の名前が金(公)時山となったと思われます。

コース紹介

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箱根裏街道沿いの金時神社入り口から金時神社経由で山頂に向かい、

帰りは長尾山、乙女峠を通り再び箱根裏街道を歩き、金時神社入り口に戻る周回コース

トータル3時間半くらいかかるコースです。(歩行時間)

公時神社入り口~公時神社

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駐車場の隣の公時神社鳥居から登り始めます。

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公時神社の社務所

いかにも金太郎伝説を象徴するかのように、

社務所の前には大きなマサカリが奉納されています。

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絵馬もご覧の通り、熊に乗った金太郎が描かれています。

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公時神社の御社殿に到着しました。

御祭神は金太郎こと坂田公時

足柄山で生まれ育った金太郎は熊と相撲をとった事から怪童伝説が伝わっています。

そのために、子供の健康や無病息災の神として崇められるようになり、毎年五月五日には公時祭りが行われ、多くの子供たちがこの地に訪れるそうです。

公時神社~金時宿り石

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さて、公時神社からすぐに登山道が現れ、いよいよ本格的な登山が始まります。

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開始直後は霊山を思わせるような荘厳な雰囲気が漂います。

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途中にこんな巨大な石が…

この石は金時手鞠石と名付けられています。

手鞠というと、模様が色鮮やかでソフトボールくらいの大きさをイメージしますが、

この金時手鞠石は石と言うより岩と呼んだ方が良いのではないでしょうか?

それにしても、こんな大きな石を手鞠として遊んでいたなんて…

どんだけパワフルな子供なんでしょうねぇ。

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手鞠石から暫く進むと今度は公時神社奥の院に到着します。

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ここにもこのような巨大な石と、てっぺんには祠が置かれていました。

奥の院や奥の宮は寺社にとって最も大切な場所であり、人目の付かない奥まった神聖な区域とされています。

個人的には、このような人がほとんど立ち寄らない奥の院や奥の宮を参拝する方がより神仏に通ずると思います。

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登山道に戻り進むと、またこのような大きな石が現れます。

地図には金時宿り石と記され、先ほど見てきた石より更に大きな石が目の前に広がります。

石は真ん中から割れていて、まるで誰かが割ったのではないかと思うほど見事に割れています。

まさかこれも金太郎が割ったのではないか…と思ってしまいます。

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どれだけ大きいのか、人と比べれば一目瞭然!

カメラにおさめるのも大変でした。

金時宿り石~金時山山頂

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金時宿り石から先は所々急登が登場するので、自分のペースで登る事をおすすめします。

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ジグザグに登山道は続き、

途中には木の根が浮き出ている箇所か有りますので、滑らないように進みましょう。

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しばらく登ると徐々に視界が開けてきます。

山頂からゆっくり景色を楽しみたいですが、途中からこのように開けると、

つい写真を撮りたくなります。(登山あるある)

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分岐点に到着しました。

左に行くと金時山山頂へ、右に行くと明神ヶ岳、明星ヶ岳へ続きます。

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分岐点から山頂までは長い階段や岩場道になっています。

特に危険箇所はありませんが、急な登りなので焦らずに登りましょう。

山頂からの絶景

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急登を終え山頂に立った瞬間、目の前には雄大な富士山を仰ぐ事が出来ます。

金時山は箱根外輪山の中で最も高く、周りに遮るものが無いために富士山がよく見えるので、山頂から雄大な富士山を眺められる山として人気を博しています。

「天下の秀峰金時山」と掲げられていますが、まさにその名の通りです。

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左を眺めるとご覧の通り、箱根外輪山の山々を見渡せます。

外輪山は箱根山を中心に円を描くように並んでいるので、それはつまり、

巨大なカルデラという事が分かると思います。

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富士山の次に目に行くのはやはり箱根山でしょうか。

標高は低いものの、ドーム型で大涌谷から吹き上がる噴煙が存在感を強調しているように見えます。

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富士山の裾野を拡大すると

南アルプスの山々も眺める事ができます。

2月なのでまだまだ雪山シーズンは終わりません。

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外輪山の奥に目を向けると、駿河湾まで眺める事が出来ます。

何気に静岡県と県境の山なんですね。

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富士山の横に聳えるのは独立峰である愛鷹山。

あちらからの富士山の眺めも良さそうです。

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富士山と愛鷹山を望む

同じ独立峰でも高さが明らかに違いますね。

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芦ノ湖も確認出来ます。

運が良ければ遊覧船も見えそうです。

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東方面を眺めてみると、秦野市を一望できます。

山だけでなく、平野部もまたいい眺めですね。

山頂の様子

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山頂は広く、テーブルやベンチも何台か置かれ、

登山日和の時は、雄大な富士山を眺める登山客で賑わいを見せるそうです。

また写真でも分かるように、ここでも金太郎伝説にちなんだマサカリの標識が建てられています。

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山頂には猪鼻神社の祠が三つあります。

そもそも金時山と呼ばれる前は、この山は猪鼻山と呼ばれていました。

由来は…

幼少時代の金太郎が誤って大きな岩を落とした事により猪に当たり、残念ながら猪を死なせてしまいました。

金太郎は猪を死なせてしまった事を哀れに思い、その罪を償うために猪の鼻を切り、猪の鼻を山頂に祀った事からこの山は猪鼻山と呼ばれるようになったそうです。

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山頂にはなんと!

猫ちゃんがいらっしゃいます!

看板の淵のところで3匹が日向ぼっこしている様子が何とも可愛らしいですね。

途中、移動してはまたここへ戻ってくるので、ここが定位置なんでしょうか?

触ろうとしたのですが、寸前で逃げられてしまいます。

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金時山の山小屋(この時は金時娘の茶屋さんで)には記念写真用のマサカリがあり、

小屋の人に頼めばマサカリを貸してくれるので、

マサカリを担いだ金太郎になってみましょう!

ちなみにこのマサカリ、けっこう重かったです…

山頂の山小屋

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山頂には山小屋が2つあります。

お土産はもちろん、食堂も兼ねた茶屋になっています。

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金時娘の茶屋に入りました。

中は金太郎グッツでいっぱいです。

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金時娘の茶屋のおすすめは、きのこのみそ汁です。(500円)

ネギときのこがたっぷり入ったみそ汁で体も温まります。

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小屋の中の天上をふと見上げると、何やら木札のようなものがぶら下がっています。

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名前と回数から、金時山に登った回数を示しているそうで、一番登った回数が多いのは4600回だそうです!

小屋の方に聞いたところ、金時山は何回も登る方が多く、特に平日は熟達者が多く登られるそうです。

そういえば私もこの山を登っている時、前方におばぁちゃんハイカーがいて、

いつもならだいたいお年寄りの方々は譲ってくれるのですが、そのおばぁちゃんは何故か闘争心むき出し?で、もの凄いスピードで登っていく姿を確認しました。(結局、おばぁちゃん選手が先にゴール!)

やはり金太郎という怪童伝説が伝わる山のためか、この山に登っている人は何か違うように感じました。(パワフルハイカーだらけ?)

山頂~乙女峠

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雄大な富士山を始め、素晴らしい景色を堪能した後は長尾山、乙女峠を経由に下山です。

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長尾山まではほとんど下りで、所々登りがある程度です。

危険箇所も無く、公時神社から山頂までの道より歩きやすい登山道になっています。

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山頂から30~40分で長尾山に到着です。

山頂の周りは草木で覆われ、不思議な事に山頂は平坦で広い空間になっていて、

荒船山の山頂付近の平坦な道のりの雰囲気に少し似ている気がします。

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長尾山から乙女峠まではひたすら下りが続きます。

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乙女峠直前にはベンチが設けられています。

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ここからも景色は素晴らしく、大涌谷の噴煙がより一層確認する事が出来ます。

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乙女峠に到着しました。

ここも富士山を確認出来るポイントで、

展望台の後ろにはわざわざ写真撮影用の台まで設けら、自撮りも簡単に行えます。

乙女峠~公時神社入口

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乙女峠は国道138号へ下る方向と、外輪山を更に進む方向の分岐点になっています。

駐車場へ戻るので、ここは下りましょう。

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ここから先はひたすらジグザグに下る道になっていて、飽きるくらい地味な下りです。

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飽きるほどジグザグ道を越えると、鬱蒼とした登山道になります。

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まるで鞍馬山の根道のような道も現れます。

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この辺りは迷いやすい道になっているので、ロープ沿いを歩きましょう。

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そして下りきると、国道138号に到着します。

ここからは道路沿いを駐車場方面に歩きます。(左方面へ)

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ここからは道路沿いを駐車場方面に歩きます。

歩道がほとんど無いので、歩く際は注意が必要です。

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道路沿いを約10分歩けば、元の駐車場に戻ります。

以上、金時山ぐるり周回コースでした。

金時山周辺の観光スポット

金時山周辺には数多くの観光スポットがあります。

ほんの一部の紹介ですが、登山後に少しでも時間に余裕のある方は訪れてみてはいかがでしょうか。

仙石原

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金時山から一番近い観光名所である仙石原は辺り一面ススキの草原が広がり、

秋には素晴らしい光景が見られるそうです。

箱根関所

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芦ノ湖周辺は見どころが多数ありますが、特におすすめなのが箱根関所です。

当時の関所の様子をリアルに再現され、江戸時代にタイムスリップした感覚に見舞われます。

【公式サイト】箱根町 箱根関所『よみがえった箱根関所』

大涌谷

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大涌谷は今もなお噴煙が立ち上がり、火山活動の様子を間近に見られる観光スポットで有名です。

現在はほとんど規制されていますが、それでも多くの観光客で賑わっています。

【公式サイト】国立公園 箱根 大涌谷 | 大涌谷くろたまご館

まとめ

金時山は山頂に着いた途端に視界が開け、突如目の前に現れる富士山を目の当たりにすれば、感動間違いないと思います。

また、金時山は金太郎伝説ゆかりの地でもあり、登山道には金太郎にちなんだスポットが存在し、景色以外にも歴史を感じる事の出来る山としても有名です。

登山口から山頂までは2時間以内に到着でき、無料駐車場も完備されており、芦ノ湖にも近い位置なので登山がてらの観光も十分に可能だと思います。

ぜひ天下の秀峰金時山の山頂から、日本最高峰である雄大な富士山を眺めに登ってみてはいかがでしょうか。