日本には北、中央、南と3つのアルプスがあり、総じて日本アルプスと呼ばれています。アルプスと聞くと標高が高く迂闊にしか寄れない、経験豊富じゃないと登れないというイメージがあり、登山初心者はなかなか近づけない山岳エリアだと思われます。
更に標高も2000mを越える山々が目立ち、日帰りや軽装での登山が難しいのも事実です。
しかし、アルプスの中には経験豊富な登山者のみならず、登山経験の浅い方でも気軽に楽しめるコースも多数あり、憧れのアルプスの山に登った!という達成感を得る事ができます!
さて、今回紹介する日向山は南アルプスの甲斐駒ヶ岳の下部に位置する標高1660mの、アルプスの中では低い山ですが、山頂は真っ白で砂浜のような光景が広がり、低山とは思えない素晴らしい景色を堪能する事のできる山です。
登山口から山頂まで1時間半と短く、危険箇所もほとんど無いので余裕のある山行が期待でき、下山後も周辺の観光をする事ができると思います。
それでは今回は「天空の砂浜」と呼ばれる、美しい白の世界を堪能できる南アルプスの日向山を紹介したいと思います。
日向山のアクセス、駐車場
アクセス
登山口は甲斐駒ヶ岳と同じ尾白川渓谷駐車場です。
最寄りのインターは中央道長坂ICで、道の駅はくしゅうの手前を左に曲がり暫く進むと駐車場に到着します。インターからおよそ30分。
駐車場
約100台停められる無料駐車場があります。
また、トイレも完備され、24時間利用可能です。
日向山山頂までの登山道
登山口に案内の看板があります。
日向山までの一本道は何とかなりそうですが、所々通行禁止が書かれています。
この日は周回が無理そうだったので登山口からピストンで行って参りました。
さて、登山口がこちら。
甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根ルートと途中まで同じ道を歩きます。
相変わらず頭に皿を乗せたカオナシ君みたいな門番がいますw
最初は緩やかな下りです。
甲斐駒登った時と同じく、この段階では超余裕!って感じなんですよね~
しかしこの後、急登の洗礼を受ける事となるのだが…(甲斐駒の話)
見上げれば紅葉が見事で、どこを撮ってもベストショットですね!
秋は紅葉が素晴らしいので、つい写真を撮りすぎてしまう…
甲斐駒ヶ岳への道との分岐点に到着です。
ここからは日向山方面も登りが開始されます。
まぁ黒戸尾根に比べれば全然なので、気楽に参りましょう!
ここから矢立岩登山口まで約50分で到着です。
まだ標高も低く綺麗な紅葉を楽しみながら進んで行きます。
暫くすると急登に差し掛かります。
岩も転がり、少し歩きにくいですが、木にペイントされているので迷う事は無いでしょう。
急登を越えると再び緩やかな登りになります。
そして登りきると、いったん道路に出ます。
一瞬迷いますが、しっかり看板が立てられているのでそちらの方に歩きましょう。
しかし、途中道路を歩くと感覚がおかしくなります…
個人的にはそのまま登山道を歩きたいところですね。
と、そんな微妙な愚痴をこぼしながら歩くこと2分で、再び登山道らしい道に差し掛かりました(ヤッタね!)
そして、再び登山道らしい道を進んで行きます。
ほんの10分くらいで地図の通り、またしても道路に出ます。
ここは駐車場となっていて、実はここまで車を進める事ができます。
もっとサクッと日向山に登りたい方はこちらまで来られる事をおすすめします。
さてさて、ここから山頂までは一直線のハイキングコースです。
時間は1時間半と書かれ、意外に歩くなぁと思いますが、緩い坂が続くだけなので、心配は無いと思います。
それにしてもやたら錦滝の区間の危険を煽っています…
実は数年前にも日向山を登り、その時は錦滝方面へ下り周回するコースを選択しましたが、特に危険と思うような箇所は無かった気がするんですがねぇ…
地図もバリエーションルートにもなってないし…
謎は深まるばかりですが、ここはこの注意書きの通りに従いましょう!
ここからは緩~い登り坂が続きます。
展望は望めませんが、キツイ箇所は特に無いのですんなり進めると思います。
とは言え、多少歩きにくい箇所もあるので油断はできません。
足元だけでなく、頭上にも注意しましょう。
見上げれば木々に葉はほとんど無く、先ほどの秋らしい姿はどこにもありません…
この時期の登山は山頂に近づくほど冬を感じられる光景になるんですね。
山頂近くになると藪道も登場します。
そこまで鬱陶しくないので気にせず進みましょう。
しかし、雨上がりは少し濡れるかもしれませんね…
藪道を越え、暫くすると三角点という場所があります。
ここには標識と三角点があります。
標識は手作り感満載で、可愛らしいです。
しかし展望は一切なく、ただ茂みに標識と三角点があるだけです。
三角点に興味の無い方はスルーしましょう。
さて、三角点から天空の砂浜までもう少しです!
ここら辺は妙に平坦な道が続きますね。
荒船山の山頂付近も確かこんな感じでしたっけ…?
しかし、こんな光景から一気に砂浜の光景に変化するなんて、にわかには信じられませんが、もう間もなく景色が一変します。
そして遂に砂浜に到着です!
これが天空の砂浜!美しすぎる山頂の様子と絶景
今までの登山道から一変、一気に視界が広がりました!
正面には八ヶ岳の全貌が広がり、蓼科山の奥には霧ヶ峰や美ヶ原方面も見渡せます。
更に金峰山、瑞牆山などの奥秩父を代表する山々も確認でき、ハイキングコースとは言え、展望はなかなかの見応えです。
せっかくなので八ヶ岳を少しアップ
左から蓼科山、右端の編笠山まで一直線に並んでいます。
八ヶ岳連峰は縦に長く全体が鋸のように複雑なので、眺める場所によって姿が変わっていきます。
蓼科山と北横岳
左の蓼科山は見事な形ですね!
雪が薄く降り積もっていて、神々しさが増します。
蓼科のお隣には霧ヶ峰とその奥は恐らく美ヶ原でしょうか?
緩やかな山並みですが、あちらも歴とした火山です!
右の緩やかなお椀状の山が霧ヶ峰で、拡大すると山頂にある気象レーダードームが見えますね。
そして八ヶ岳より右には奥秩父の山々が見えますね!
地味な山並みですが、瑞牆山、金峰山は2000mを遥かに越える高さを誇り、百名山にも選ばれています。金峰山は標高2599mと意外に高い!
さて、山頂の様子ですが、ご覧の通り辺り一面白い砂になっています。
石灰岩が風化してこのような姿になったそうですが、不思議な事に山頂のこの一帯だけ砂浜のようになっています。
真っ白な砂の写真だけなら、ここが山であるという事が分からないかも知れません。
午前中に訪れたので所々影になっていますが、お昼頃の太陽だったらもっと砂が輝き、より一層砂浜に見えると思います。
雲の無い青空の下なら青と白のコントラストが素晴らしく、標高は1600mとそこまで高くないにも関わらず2000m級の山に登った感覚を味わえます。
風化によって削られた石灰岩も独特な形をしており、まるで自然の彫刻のように佇んでいます。場所によっては間近で見れる箇所もあるので、興味のある方は触れ合ってみてはいかがでしょうか。
きちんとした道はありますが、先端はまるで蟻地獄のような吸い込まれる崖にもなっているので、なるべく崖の方には近づかない方がいいと思います。
ご覧の通り両サイド切れている箇所もあり、行かれるときは注意しながら進みましょう。
私は初めてこの光景を目の当たりにした時、北アルプスの燕岳を思い出しました。
燕岳は剣岳や穂高岳、槍ヶ岳など、険しい山容を成す北アルプスの山岳地帯の中で、山頂付近が日向山と同様に白い砂浜状になっていて、荒々しい北アルプスの山とは違い、美しい光景が広がる事から「北アルプスの女王」という名で呼ばれています。
上の写真は燕岳に登った時の写真。
こちらも砂浜のような光景が広がっていた。
改めて日向山の砂浜を見てみると、やはり規模は断然小さいですが、2000mに満たないハイキングコース並みの登山道を歩いただけで、ここまでの光景が見れるのは中々無いと思います。
ちなみに、反対側は巨大な甲斐駒ヶ岳が堂々と聳えています。
11月なので山頂付近に雪が積もっていますね。
ここから眺めると一体どこの海外の山なんだ?って感じに見えます。
夏に黒戸尾根から日帰りで登りましたが、やはり甲斐駒ヶ岳山頂からの景色は素晴らしく、今でも鮮明に覚えています。
真夏の登山でしたが、珍しくガスが一切発生しないベストな山行でした。
その時の様子はこちらの記事をどうぞ!
甲斐駒の左には鳳凰三山と富士山も見えますね!
甲斐駒山頂ほどではありませんが、なかなかの景色。
現在通行禁止になっている錦滝方面
砂浜と木々がはっきりと区別されていますね。
本来ならここから下って別ルートで戻りたいですが、通行禁止なら仕方ありません。
今回はピストンという事で登ってきたルートを引き返しました。
登山道の情報は北杜市のホームページにも書かれているので、最新の情報はそちらを確認してください。
最後に
日向山は南アルプスの中でも登りやすく日帰り可能で、アルプス未経験者が初めてのアルプスを経験するのにちょうどいい山だと思います。
また、登山道も比較的緩やかで歩行時間もちょうど良く、下山後も余裕をもって観光出来ると思います。
山頂は標高2000mに満たないですが、着いた瞬間一面砂浜の光景は誰もが圧巻し、景色もさすがアルプス!と言わんばかりに素晴らしい光景が待っています。
南アルプスは首都圏からのアクセスも良く、アルプスの日帰り登山は貴重な体験となると思うので、アルプス常連者もそうでない方にも日向山はおすすめなので、ぜひ登られてみてはいかがでしょうか。